怪獣娘(絶) 〜ウルトラマンZ参戦計画〜 作:ただのファンだよ。
感想や誤字報告してくださる方、誠にありがとうございます。
返信できていませんが全て必ず読ませていただいてます!カンソウウレシイ…ウレシイ…。
後、今週はこの一話だけになります。
連休入るやからって納期に余裕のある仕事を先取りして仕事量増やすの草。……いや、笑えねぇし。これもレイブラッド星人の仕業なんだ!(?)
ベリアル
ではどうぞ。
「ギィィ……ッ」
(おう、待たせたなトゲトゲ怪獣)
警戒して唸る怪獣を俺は正面に捉える。
「ジェェアッ」
地面を踏み締め、腰を下ろし、構えを取る。
(いくぜ、覚悟しろよ?俺は、俺達はウルトラ強ぇぜ?)
「ジィヤァ!!」
「ギィーー!!」
俺が、次に怪獣が相手に向かって駆け出す。
「ジェア!」
先手は俺の飛び蹴りだった。胴体に俺の蹴りを受けた怪獣が数歩退がるが、怪獣も反撃にと左右の腕で交互に殴り付けてくる。
(ぐぅ、コイツも重いな!)
一撃一撃が前回、異次元空間で戦ったシルバゴンを思い出させるパワー。なるほど、恐竜みたいなタイプの怪獣は純粋に強くてタフな傾向にあるのか。
「ギィィア!」
「ジヤァ!」
「ギャ!?」
怪獣の噛みつきをバク転で躱しながら、右足で怪獣の顎を蹴り上げる。顎の衝撃に怪獣が怯み、ここがチャンスと畳み掛ける。
「ジェア!ジャッ!ジィィッア!!」
『アルファバーンキック!!』
「ギィーー!?」
大振りで放った炎を纏った上段蹴りをくらわせ、蹴りを受けた怪獣が地面を転がる。怪獣はすぐさま起き上がり、怒ったように両腕で振り回すと突進を仕掛けてきた。
俺は横に飛んで突進を躱すが怪獣は振り向いて腕で殴り付けてくる。
「ジェア!」
怪獣の殴打を冷静に受け流し、更にはその勢いを利用して投げる。ごろんと怪獣が転がる。けれどまたすぐに起き上がると猛突進してくる。なんだコイツ?
『なんだか必死、の様に見えるな』
(はい。なんでかわかりませんけど焦ってるみたいです)
『ここは一旦様子見してみた方がいいか?』
(了解ッス)
ゼットさんの言葉に同意して怪獣の様子を伺う。
すると怪獣はぶるりと身体を震わせると、カッと目を見開いた。
『何かしてくるぞ、気を付けろゼツト!』
(応っ!)
何でもきやがれ!
『いけません!ザキラのレーザーを受けてはなりません!避けてください!!』
(え?)
「ギィィーー!!!」
「ジェ……ッ!?!?」
あ、がぁっ!?……なん、だよこれ…!
怪獣───ザキラの目からレーザーが放たれ、俺に直撃する。今の一発で膝がガクガクと笑い、立っているのがやっとの状態にまで追い込まれる。
目からビームって、そんなのありかよ!?
「ギィィ!」
ザキラは今がチャンスと、攻め立ててくる。まだ痺れが取れ切れない俺は避ける動作が出来ず、辛うじて防御しようとするもザキラの豪力に吹っ飛ばされる。
(いってぇ…!)
『あのレーザーは強力だ!こうなったらレーザーを撃たせない様に接近戦を仕掛けるぞ!ウルトラフュージョンだゼツト!!』
(お、
インナースペース内でゼットライザーのブレードを戻し、トリガーを押して再度認証の状態へと戻した。
「真っ赤に燃える、勇気の力!!マン兄さん!エース兄さん!タロウ兄さん!」
ホルダーからウルトラ兄弟の次男、五男、六男のメダルを取り出し、スロットに装填してブレードを動かしスキャンさせる。
《Ultraman.》《Ace.》《Taro.》
「ウォッシャー!!」
気合いの一声と共にゼットさんが現れ、腕を広げる。
いつもの気合い入るヤツ、頼みます!
『ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェェット!!!』
「ウルトラマン!ゼェェェット!!!!」
掲げたゼットライザーのトリガーを押して“兄さん達”の超パワーを使わせて、もらいます!!
「デェェヤッ!!」
赤く逞しい巨人が天に向かって吼えた。
「───デヤッ!」
開幕ダッシュで距離を潰してザキラに組み付く。
(おらぁ!
ザキラの首に腕を回し、体重を掛けて引き倒す。
続け様に怪獣のザキラに馬乗りになり右腕で顎下を押さえつけ、左腕を振り上げて叩き付ける。
「デェア!ジィィッヤ!」
「イギィーー!?!?」
ザキラの背から降りると飛び上がりエルボー・ドロップを決める。背中に突き刺さる肘にザキラが絶叫する。
オマケにと尻尾を脇に掴んでフルスイングで反転してぽいっ!
(シャオラァァ!!どんなもんじゃ!)
『ベータスマッシュに成るとゼツト、ウルトラ喧しくなるな』
(五月蝿いですよ!)
「ギィィ!!」
『!!ゼツト、レーザーくるぞ!』
うおっと!?緊急回避ー!!
ザキラのレーザーを飛び込む様に前転して躱すと、全身から力を引き出す。するとボディやプロテクターが光り、その光を両手に集結させてから合わせ、振り向き様な『ベータクレッセントスラッシャー』を放った。
三日月状の切断光線がザキラのレーザー第二射を打ち消して突き進むとザキラに直撃し、ザキラの身体に大きな袈裟の傷痕を刻み付ける。
「ギィィ…ッ」
「ダアアァッ!!」
ベータクレッセントスラッシュを受けてザキラはシルバゴンの様にふらふら状態になる。其処に突進し肩から体当たりをかまし懐に入る。よっしゃ!じゃあ熱い一発をぶちかましてやるよ!!
俺の全身から赤いエネルギーが放たれ、右腕にはより強く激しく熱い炎の様な光を帯び、思いっきり振り被る。
『ゼスティウムアッパー!!』
振り上げた拳がザキラの顎を捉え、爆炎を広げて打ち上げる。
宙に浮かぶザキラが打ち上げる力を失うと、重力に従って地面に落ちる。
「ギ、ギィィ……」
ゼスティウムアッパーが決めてとなったのか満身創痍の様子のザキラ。
前回のシルバゴンに放ったのと同威力の一撃だったのにまだ生きてやがる。相当タフだな、コイツ。ホントに生物か?
(まぁいいか、
「ジェェア!」
再度身体が光を放ち、先程よりも更に強力なその光は両腕へと集中して迸る。大きく広げた手から手へ稲妻状のエネルギーが繋ぎ、十字に組めば全形態共通のゼットさんの従来の必殺光線が放たれる。
『ゼスティウム光線!!』
青白い閃光が奔り、ザキラを狙い撃つ。光が爆ぜ、絶叫すら光に灼かれる。残ったのは黒く焦げた怪獣の残骸だけだった。
いや寧ろ、他の怪獣と違いまだ原型を残しているだけこの怪獣の並外れた丈夫さが浮き彫りとなるだろう。
(ふぅ、終わった……かな)
(このまま放っておく訳にもいかないしな)
『でしたら、私に任せてください』
『私がこの怪獣を弔います。肉体を亡くし、魂が無事に怪獣墓場に渡れる様に』
(………?怪獣墓場って何ですか?)
『え?……知らないの、ですか?』
すいません、と謝る
『でしたら私がお教えします。ですが今は先にこの怪獣を弔わせてください』
(あ、わかりました。すみません、無知で)
『…………カワイイ』
(え?)
『…?どうかなされました?』
(い、いえ。何でもありません。…気のせいだったのかな?)
気のせいではありません。聖女は
聖女はザキラの遺体の前へと歩み寄ると片膝を突き、両手を組んで祈る姿と為った。彼女の胸には「戦うしかなかった事による罪悪感」と「死後の魂の安らかな眠りを祈る気持ち」の二つが満たし、その想いが慈愛の光となって怪獣を優しく包み込む。怪獣の遺体は端々から聖女の光と同化していく。
(ーーー)
なんて神秘的な光景だろう。怪獣相手であろうと慈しみの心を失わずに魂の安泰を祈る聖女の姿。ふと、何か光の粒が落ちた。一粒、二粒、三粒と落ちる光は聖女の涙であった。
『ごめんなさい、貴方は巻き込まれただけ。
それは聖歌だった、優しい光の冥福。聖女の名に恥じない姿が其処にあった。怪獣相手に何を───と思う輩は居ない。
少なくともゼツトはそうは思わなかった。
(光の国の…涙の聖女、か)
今も光の粒の涙を溢しながら言葉を紡ぐ聖女の姿に、ゼツトは暫し見惚れていた。
───暗躍する者の魔の手が及ぶ迄は。
少し離れたビルの屋上に一人の若者が立っていた。GIRLS職員の制服に身を包んだ霞んだ黒髪に、顔色の悪い顔の青年は首を二度、不気味な動きで傾けると、ナニカを取り出した。
「
それは黒と紫のウルトラゼットライザー、謎の存在『シャドウ』によって複製された『シャドウゼットライザー』だ。
青年───正体はババルウ星人に寄生し支配したセレブロという生命体は、ライザーを突き出すとトリガーを押した。ライザーの発光部から紫色の
『ーーーッ!?』
───その時だった。聖女が怪獣墓場へ還そうとしていた怪獣が何処からとも無く現れた
(!!失礼します!)
「ジェヤァ!」
『え?キャッ』
一早く危機感を抱いたウルトラマンZは、聖女の手を取って引き寄せるとその女性的で、か弱い体軀を腕の中に納めると即座に距離を取る。
(何が起きてる?)
『はわ、はわわ!』
突然現れた影に訝しみながら右腕の中の聖女を庇う様に自身を前に出して抱き留める。
肝心の聖女様は“はわわはわわ”と言って、ほっぺ真っ赤っか、お目目ぐるぐるにしているのだが。さっきまでの神秘的な姿は何処か銀河の彼方へと旅立ってしまったらしい。
怪獣を覆う影はモゴモゴと蠢き、まるで繭の様な姿から変化していく。呑み込んだ怪獣の
特に目なんか完全に無くなり、代わりに両眼を覆う黄色のバイザーの様な器官が出来ていた。
そしてシャドウにより変異したザキラは、名称するなら『シャドウザキラ』と呼ぶべきだろう。
『■■■■ッッッ!!!』
シャドウザキラが悍ましい怨念の様な咆哮を上げる。
これが、蘇った怪獣の産声となった。
(復活、した?)
『………っ』
俺は倒した筈のザキラがさっき襲ってきた影みたいな奴らに呑まれて変異した姿に困惑し、背後からは聖女様が戦慄している気配がする。
(何かわからないが、もう1ラウンドやるしかないみたいですね…!聖女様は下がってくださ)
『許さない!!』
「ヘェア!?」
び、ビックリした。
背後に居た聖女様が、いきなり大きな声を出して俺の前に出る。その様子は、間違いない、
心の底から彼女は憤慨している。拳を強く握り締め、さっきまでの彼女と同じ
『決して、決して!許される事ではありません!死した者の身体を利用するなど!ましてや
(お、落ち着いてください!)
『離して、ください!一体誰が!誰がこの様な非道な行いを!!』
『■■■■ッーー!!!』
(!?危ない!!)
『キャァ!?』
影に取り憑かれ変異したザキラが吼え、身を翻す。すると黒紫色に染まった尻尾が
俺は聖女の肩を掴むと後方に投げ、両腕を防護壁として尻尾を受けた。
(
「ディェア!?」
パワー特化のベータスマッシュでも受け切れずに弾かれ、蹈鞴を踏む。
くそ!
『■■■ーーッ!』
再び咆哮。そしてとてつもないイヤな予感が全身を駆け巡った。
影ザキラに目を向ければ目部分のバイザー、その中央の奥に強い紫色の光が灯っていた。それはまるでエネルギーが溜められている───あるいは通常形態の時も使っていたレーザーを発射準備している様で。
(ッ!?!マズ───)
だが、気付いた時には遅く。影ザキラのバイザーから拡散式のレーザーが放たれた。(イメージはバックル光線)
『■■■■ッ!!』
(づぐっ、うぐぐぐぐッ。ッうぐあっ!?)
「デェェアッ!?」
両腕を壁の様に並べ、頭部と胸部を防御。影ザキラの拡散レーザーをこの身で受け、踏ん張ったが耐え切れず吹っ飛ばされてしまう。
このカラチェン野郎、良くもやりやがったな!!俺は反撃にと即席だが『ゼスティウム光線』を放った。
『■■■■!!』
(よっし!ざまみろ!)
俺が放った『ゼスティウム光線』が影ザキラの頭を捉え、光に影が消し飛ばされ、影ザキラの頭部が焼失する。
けれどその直後に、
『ーーー■■ッ!!!』
(!!マジかよっ!?)
失くなった頭部が、胴体から蠢く影が広がり復元された。しかもすぐさま拡散レーザーの二射目を放つなんて事をしでかしやがった!?
(そんなのアリかよ!?)
迫り来る拡散レーザーをベータスマッシュの俊敏性じゃ避けられないと判断した俺は直撃を覚悟し、少しでもダメージを和らげる為にガードの姿勢に成る。……ってあれ?身体を襲う熱と衝撃が来ない?
腕をどかしてみれば、目の前にオーロラの様な光のバリアが変異ザキラの拡散レーザーを防いでくれていた。
『大丈夫ですか』
後ろから声がして振り返れば、聖女様が片腕を俺に向け、俺に向けられた掌に淡い光を宿していた。どうやら彼女がバリアを遠隔展開して俺を守ってくれたらしい。
『今、傷を治します!』
聖女様は拡散レーザーを防ぎ切ると今度は両手を前に出し、俺に優しい光を放ってくれる。
聖女様の放ってくれた光が俺の身体を包み込み、心地良さとエネルギーが補充されていくのがわかる。
『攻撃は私が防ぎます。傷やエネルギーの消費も私が回復します。ですので貴方は攻撃に専念してください!……あの怪獣を、少しでも早く解放してあげてください…ッ』
(………)
なんてこった。本来戦う人じゃない筈の聖女様に攻撃を防いでもらい、それどころか回復までしてもらうだなんて。情けない限りだ。
だけど、同時に頼もしくもある。それにこれで憂いは無くなった。だったら俺のすべき事は一つ、彼女の望み通りあの怪獣を倒す事だけだ!!
「ディィヤッ!」
俺は影ザキラに向けて走り出す。
先程、生物の弱点である頭部を必殺光線で破壊したが奴は倒れなかった。理由は恐らく、奴が
だとしたら切断技の『ベータクレッセントスラッシュ』は効果が無いだろう。効果的だと思えるのは胴体に必殺光線を当てるか、『ゼスティウムアッパー』で粉々に打ち砕くか、のどちらかしかない!
(いッ!くぅっ!ぞォぉ!オラァァア!!!)
「ディェア!」
『ッッ■■■■!!!』
『させません!』
接近する俺に影ザキラはバイザーにエネルギーを溜めて拡散レーザーを撃ち出す。けれど、聖女様の遠隔バリアによって完全に遮られる、
俺は展開されたバリアをジャンプで飛び越え、空中で前転。そして、
『アルファバーンキック!!』
アルファエッジへと
『■■■■■ッ!?!?』
ばきり、とガラスを踏んで割った様な音が聞こえ、影ザキラのバイザー全体に罅が広がり絶叫する。
お前の弱点、というより失敗を教えてやるよ!それは死んだ怪獣に取り憑いた事だ!必殺光線を受け、更には聖女様によって消え掛かっていた怪獣の肉体。そんなもの、
俺は影ザキラを踏み台に飛び上がる。影ザキラは苦しみ悶えながらも俺を狙撃しようと拡散レーザーを溜めるが罅からエネルギーが漏れて一向に溜まりやしない。
(よっしゃ!拡散レーザーは封じたぞ!という訳で必殺光線ぶっ放す!!)
『ゼスティウム光線!!』
『援護します!』
俺の放った必殺光線が影ザキラに直撃すると同時に、聖女様がバリアを影ザキラを囲う様に展開する。凄まじい熱量の光エネルギーが散る事なくバリア内で暴れ回り、影ザキラの身体から影を引き剥がし、端々から分解して、その悉くを消滅させる。
『───お眠りなさい。今度こそ、誰にも邪魔される事なく』
聖女様の言葉がザキラの最期を告げる。
光線とバリアが対象を失って対消滅する。そして残ったのは儚い光の残滓だけだった。
「ジィッヤ!」
地面に着地して、ザキラが居た場所に目を向ける。隣では聖女様が祈りを捧げていた。数秒、或いは十数秒程が経ち、聖女様が祈りを終えて俺に向き直ると深く礼をする。
『ありがとうございます、貴方のお陰で助かりました』
(……いえ、此方こそ聖女様が援護してくださらなかったら危なかったです)
『…ふふ、そうですか』
クスクスと可憐な仕草で微笑まれる聖女様。だが、すぐにその表情を引き締める。
『すみません、詳しくお話したいのですがこの星では時間が限られています。そこで、お願いがあるのですが……いいでしょうか?』
(はい、任せてください!!出来る限りの事は致します!)
『それは良かった!では、私も
(はい!わかりまし───……ゑ?)
『それでは、失礼します!』
(え、ちょ、待って)
聖女様は俺の制止を聞いてくれず、その身体を光へと変換すると小さく等身大まで縮小すると、胸のカラータイマーに向かって飛び込んできた。
聖女様がインナースペース内に現れた。
『それでは暫しの間、宜しくお願いします』
『なー!?』
「えー!!」
インナースペース内に俺とゼットさんの声が響き渡った。
こ、この聖女様、意外と行動力がある様ですね。
『………フフ』
『大丈夫、ですか?』
「はい。問題無しです!」
『……よかった』
ウルトラマンZの変身を解いて本来の姿に戻った俺は未だ、インナースペース内に居た。目の前には俺と近い身長の聖女様が、ウルトラマン時にフィードバックした俺の身体に付いた傷を治癒してくれていた。
『それでは改めて自己紹介させて戴きます。私の名前は【涙を語り継ぐ者】』
「……えっと?」
『……何か、おかしな事がございましたでしょうか?』
「あ、いえ!その、ちょっと文化の違いと言いますか…過去に現れたウルトラマンは皆“ウルトラマン”や“ウルトラ”の後に個別の名前が着く、って感じだったので少し困惑してしまいまして」
『なる、ほど』
聖女様の顔が一変して不安そうな表情に変わり、慌ててフォローを入れた。聖女様は一応納得してくれたみたいだが、何処か落胆した様子が窺える。
『…………』
それにしてもゼットさんは何故聖女様───涙を語り継ぐ者さんから距離を取っているのだろう。なんだか、警戒してる様にも見える。
「そう言えば最初ゼットさん、涙を語り継ぐ者さんの助けを求めた時出てきてくれませんでしたけど、何故だったんですか?」
『………』
『え?あー、いや、それは、その……』
あ、あれ?なんだか場の空気が重くなった。もしかして、地雷踏んだ?
涙を語り継ぐ者さんが顔を伏せ、ゼットさんが言い淀む。
「あっと、えっと!」
『彼女は…』
俺が右往左往しているとゼットさんが話し出してくれた。
『彼女は光の国の『聖職者』という、
『……っ』
特別な、チカラが在るのに使わない?
ゼットさんは何処かトゲのある言い方をし、それを聞いて顔を伏せる涙を語り継ぐ者さん───やっぱり、申し訳ないんだけど長くて言い難いな。……そうだ!
「ゼットさん、そんな言い方したら
『……へ?』
『……?ティア、とは私の事、ですか?』
「はい、申し訳ありませんが涙を語り継ぐ者って少し言い難かったので渾名を考えてみました。涙を語り継ぐ者って名前と、怪獣を想って
『ーーー』
あれ?もしかして気に入らなかったかな?
ティアさ……涙を語り継ぐ者さんは言葉が出ないと言った様子で口元を両手で覆っている。表情、がわからないから判断が難しい。
「あーと、すいません。もしかして勝手に渾名を付けたりして失礼、でしたか?でしたら、その今のは無かった事に──」
『そんな事ありません!ティア…と、これからはそうお呼びください』
「あ、わかりましたティア様」
『呼び捨てで構いません。そこの戦士の方の様に、もっと友好的な関係でありたいのです』
「えっと、じゃあゼットさんと同じ感じでティアさん、と呼びますね』
『はい、【デュアル】様』
「……デュアル?」
ティアさんが俺の事をデュアルと呼ぶ。確かデュアルって二つ……みたいな感じの意味、だったよな?何かの間違え、かな?いや、だとしても何をどう間違えたらデュアルになるのだろう。何か意味があるのだろうか?
俺が困惑していたら、ティアさんが慌てた様子で説明してくれた。
『す、すみません!デュアルというのは光の国で“二つの国籍のある者”を表す言葉です。先程の様なウルトラマンとしての姿、そして今の貴方本来の姿。ウルトラマンでもあり、地球人でもある貴方にピッタリの呼び名と言えます』
俺がティアさんに地球の言葉で渾名をあげたので、お礼としてティアさんは光の国の言葉で渾名をくれたって事かな?それにしても『デュアル』か。…うん、なんか響きがカッコよくて良いな!
「どうしますゼットさん?これからはウルトラマン
『いや、デュアルゼットってウルトラ言い難いだろう』
「…あー、確かに語呂が悪いですね」
『その、すみません。良いのが思い付かなくて…』
「え!?いや、別にそういう意味じゃなくて』
あー!ティアさんがしょんぼりしてる!?
「俺自身としては気に入りましたよデュアル!なんてったってカッコイイですから!!」
『……本当、ですか?』
「はい!折角付けてもらった渾名なので大切にします!」
『そう、ですか。ふふ、喜んでいただけて何よりです』
よかった。俺の言葉にティアさんが元気を取り戻してくれたみたいだ。
あ、そういえば気になる事が一つ有った。
「一つ、訊いてもいいですか?」
『…?はい、なんでしょう?』
「何故、
『………』
ティアさんは俺の質問に、少しだけ言葉を止めた。だけど、すぐに話してくれた。巻き込んでしまったのだから説明しなければならない、そんな決意の様なものがティアさんの雰囲気から感じ取れた。
『実は───』
この日からだ、俺とティアさんを狙う宇宙人との戦いが幕を開けたのは。
そして、影を操り暗躍する奴との因縁もこの時から始まったのだった。
───地球周辺の宇宙空間にて浮かぶ宇宙船が、其処に在った。
船内にはたった一人、宇宙船の主である宇宙人が居た。金赤黒のアーマーに身を包み、何処か蝙蝠の様な頭をした宇宙人───バット星人が地球の光景をモニタリングした映像を眺めていた。
『あーあ、ザキラ死んじゃったよ。なんてホント役に立たないクズだな』
宇宙船内に居る唯一の宇宙人は、少年の様な声でモニターに映った映像を観ながら話している。聞く相手など居ないというのに。
『それに、あのウルトラマン』
バット星人はモニターの映像を巻き戻して、ウルトラマンZを映す。
『
不機嫌な声だ、その表情を酷く歪めてギリィ…ッと音がする程の歯軋りを起こす。心底不愉快極まりない、そんな感情を含んだ声音と顔だった。
怪獣に襲われる聖女の危機を救う為に現れたウルトラマン。まるで彼女の救世主。まるで正義の味方の様じゃないか!!
『ア゛ア゛ア゛ッ!クソガァ!腹立つ腹立つ腹立つ!!なんだよ空気読めよアイツ!もう少しで彼女が掟を破り後悔する姿が観れたっていうのに!!もう少しで彼女が命を奪う所が観れた筈だっていうのに!!?!』
バット星人が船内で暴れだす。宇宙船の機械を何度も蹴って鬱憤をぶつける。機械が故障すればどうなるかわからない訳でも無いというのに。
『ふぅーふぅー!だったら次の怪獣だ。幸いこの身体の持ち主は沢山怪獣を持っていたしね』
簡単だ。言葉通り今、言葉を放ち身体を動かしているのはバット星人ではなく、彼に
『袂を分かちて朝日を望む者』を自称するヴェンタリスタ星人は、その特徴として精神を七万個に分割する事が出来る。だが稀に分割された精神が本体とは異なる趣旨思想に芽生え、本体とは最早別の個体となる精神がある。このヴェンタリスタ星人はそれに該当し、ティア───涙を語り継ぐ者を視た瞬間に本体の思想とは掛け離れ、光の国の聖女に執着する様になった。
『……フヒ、フヒヒィ、そうだ、そうだよ。これはこれで面白い事になりそうだ。フヒヒヒヒッ、嗚呼、セイジョ様。
ヴェンタリスタ星人は聖女に魅入られた。そして聖女の
ヴェンタリスタ星人はバット星人の宇宙船に搭載されたミクロ化した怪獣が何匹も入った、握り拳程度の大きさのボックスを一つ拾い上げると宇宙船のガラス越しに地球を見て、嗤った。
光の国の聖女様に向けられた悪意は、未だ衰える事は無い。
ボイスドラマを見て一言。
結局メビウスは『兄さん』、それとも『先輩』?
どっちやねんや。
次回予告(CV.ウルトラマンゼット)
『
光の国の聖女、ウルトラセイントティア。ティアを狙うヴェンタリスタ星人。個性豊かな怪獣娘達。そして影で蠢き暗躍する存在。地球を舞台に繰り広げれる怪獣騒動に俺とゼツトで立ち向かう!
次回!!
ウルトラ飛べるぜ!』