東方幼霊夢【二.五次創作】   作:罪袋C

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皆様こんにちは
こちらでほかの小説も書かせていただいております罪袋Cといいます(ダイレクトマーケティング)
今回はニコニコ動画に投稿されている「東方幼霊夢」をSS化させていただきました。
セリフの8割以上を元動画より拝借しております、残り2割は説明や動画のコメで「あ、これ採用しよ」と思い立ったことです。
ちまちまですがこれから頑張らせていただこうと思います。


第一話

「まったく・・・」

 それはまだセミが鳴き止まぬ夏に始まった物語。

「あの巫女こんなとこに呼びだしてなんのようだよ」

 私は今、博麗の巫女に呼ばれて博麗神社へ向かっていた、何もこんな暑い日の昼間じゃなくたっていいじゃないか。

 神社まで続く参道の階段を登りきると神社が見えてくる。

 すると・・・

「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!」

「ん?」

 正面からちっこい人影が走り寄ってくる。

 何かから逃げるように一目散に走ってきたその人影は、何を思ったのか私にタックルを敢行してきた。

 ドサッ

「うおッ!?」

 所詮は子供ゆえに大した威力ではない・・・が、問題はその後ろから追いかけてきている方だった。

「ふっふっふ・・・・・・まてぇ・・・れいむぅ・・・」

 後ろから追いかけていたもの、それは・・・

「おさいせんよこせぇ・・・」

 賽銭箱を頭に装備した巫女服を着た女性・・・つまりは現博麗の巫女というわけだ。

 追いかけられていた霊夢はというと私にしがみついてガタガタと震えている。

 そりゃあこんなのに追いかけられたら必死になって逃げるだろう・・・というかこれトラウマものだろ・・・

「!」

 どうやらその巫女さんは私の存在に気づいたようだ。

「・・・」

「・・・」

「・・・」

 気まずい沈黙が流れる。

「・・・えっと、お賽銭くださいますか?」

「いや続けるのかよッ!」

 

 

  ──これはまだ博麗霊夢が幼くて

 

       人食い妖怪が大きかった頃のおはなし──

 

 

 ところ変わって博麗神社縁側。

 気の利いたことに出された西瓜はいい具合に冷えていた、霊夢は美味しそうにそれをほおばっている。

「はぁ?虫取りだぁ?」

「そう!今日は霊夢と虫取りの約束してたんだけど、そしたら里の方から急に妖怪退治の依頼がきたのよ」

 そう言いながらテキパキと妖怪退治の準備を整えていく。

「ってことで私の代わりにあなたが霊夢と虫取りにいってちょーだい!」

「はぁ?何で私が?」

「なんでって子供ひとりで出歩かせたら人喰い妖怪に襲われるでしょ!」

「・・・私もその人喰い妖怪なんだけどな、この牙が見えないか」

 準備を終えた彼女が立ち上がる。

「ま、てことでよろしくね!」

 賽銭箱を頭に装備したまま。

「ってそのかっこうでいくのッ!?」

「あたりまえでしょ!このかっこうならお賽銭もらえるかもしれないじゃない!」

「・・・あっそう・・・」

「それじゃ、いってきまーす」

「いってらっしゃーい」

 巫女さんはそのまま空へと飛び上がり、里の方へと向かっていった。

「・・・なんていうかおまえのかーちゃんひどいな」

 主にあの自由奔放っぷりが。

「ふんっ」

 満足そうに鼻を鳴らす霊夢。

「いや、ほめてねーから」

 相変わらずブッ飛んだ巫女さんだ・・・この娘まであんなに育たなきゃいいけど・・・

「しかたねぇ、虫取り行くか」

 

 さっきまでで十分にうるさかった蝉の声がより大きく聞こえる博麗神社境内の森、そこに私と霊夢はいた。

「あー、そういうわけで虫取りだ・・・」

「おー」

 私も霊夢も麦わら帽子と虫取りあみで完全装備だ。

「なにとる?なにとる?」

 霊夢は早く虫を取りたいと言わんばかりにウズウズしている。

「セミか?チョウか?」

 ふっ、さすが子供だな、まだまだあの昆虫の王者を取ろうという発想には至らないか。

 そこで霊夢が何かに気づいたようだった。

「うなぎかぁッ!?」

(うなぎ・・・?)

 なぜうなぎなのか、そもそもなぜうなぎを虫に分類しているのか、というかなぜここでうなぎという発想が出てきたのか、謎が深まる一方だ。

 とりあえずここはもとより狙っていたヤツに狙いを定めさせよう。

「ふふっ、霊夢は甘いな!」

「あまいのかッ!?」

「いいか?私たちが捕まえるのはそんなザコじゃない!」

「ザコじゃないのかッ!?」

 私が虫取りと聞いて最初に思い浮かべた標的・・・そう。

「カブトムシだッ!」

 霊夢がほうけたような顔になってしばし考える。

「おおッ、カブトムシかッ!」

「そう!カブトムシだッ!」

「カブトムシってなんだ?むしかッ?」

「うーん、君には一回いろいろ教えないといけなそうだな」

 

「いいか?れいむ、カブトムシってのはな、あま~い木の樹液にさそわれてやってくるんだ」

「あまいじゅえき?」

「そうだ、木の幹とかにある黄色っぽいトロッとしたやつだ」

 あたりをキョロキョロと見回してとりあえず樹液の出ている木を探す。

「だからその樹液を見つければ見つかると思うぞ、ただ甘いって言ってもそのまま舐めてもって・・・・・・れいむ?聞いてるか?」

 後ろを振り返ると・・・

 ペロ ペロ ペロ

 霊夢が虫たちをどけて木にしがみついて樹液を舐めていた。

「こらあああああああああああああッ!?」

 急いで霊夢を捕まえて木から引っぺがす。

「あまくなかったぞッ?」

「話をちゃんと聞きなさいって!まったく、どうして博麗の巫女はこうも食い意地がはってるんだ」

「カブトムシはこんなのたべるのか?」

「いや、これもしっかり煮詰めればあま~いシロップになるんだよ・・・ん?」

 何気なく見た霊夢がしがみついていた木の幹、そこにくっついていたのは・・・

「ほら見ろ!れいむ!」

「ん?」

 美味しくなかったと言いつつもしっかり指についてた樹液を舐め取っていた霊夢が振り向く。

「じゃーん!これがクワガタムシだッ!!」

 私が見つけたのはカブトムシと双璧をなす子供の憧れの的、クワガタムシだった。

「ほおおおおおおおおおおッ!」

 さすがの霊夢もクワガタムシのかっこよさはわかったらしく、これでもかというくらいに目を輝かせていた。

「かっこいい!ほしい!れいむもほしい!」

「おっと、だーめ、これは私が見つけたものだからな」

「ぶー、ルーミアずるいぞッ!」

 とは言っても霊夢が取れないのはいけないのであたりを見渡すと、また別の木にクワガタが止まっていた。

「ほら、れいむ、そこにいるから自分の力でとりなッ」

「お~・・・うんッ!」

 その樹の下まで行くと必死に背伸びをしながら手を伸ばしてクワガタをその手中に収めようとしている霊夢。

「う~ん、とどかないッ」

(れいむよ・・・その手に持つ虫取りあみは何のために持ってきたのだ・・・)

 ひょいっ

 霊夢が必死に背伸びしている横で私があっさり手に取る。

 しかしどうしてこうもこの娘はいじめたくなるのだろうか、妖怪の性なのだろうか。

「あッ!??」

「ぷふっ」

「ルーミアずるいッ!?おとななのにずるいぞッ!」

「残念、大人はみんなずるいのよッ!」

 霊夢が悔しそうな顔をして「う~」と唸っているからそれを真似したりしてしばらくいじり倒してやった。

 すねている霊夢を元気にするために─原因は私なのだが─私は最終手段に出た。

「よーしッ!霊夢にはとっておきの技を伝授してしんぜようぞッ!」

「!とっておきかッ!」

 

「すぅ~・・・」

 大きく息を吸い込み、中国拳法のような構えを取る。

「いいか霊夢ッ!チャンスは一度っきりだッ!」

「おうッ!」

「木を蹴って揺らしてクワガタ達を木から落とすんだ!」

「おおッ!!」

 目標と決めた木から距離を取り、助走を開始する。

「うおおおおおおおおおおおおお!」

「「おうりゃああああああああああ!」」

 ズシンッ!

 ガサ ガサ

 ・・・・・・・・・・・・

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「ルーミア、むしは?」

「・・・」

 や、やばい、まさかカブトムシやクワガタムシはおろか毛虫すら落ちてこないとは・・・

「・・・」

 こうなったら本当の最終手段に出るしかないか・・・

「チェストォォオオオオッ!」

「おわっ!?」

 再び、渾身の蹴りをぶつける、するとついに木の上からクワガタやらカメムシやらリグルやらたくさんの虫が落ちてくる。

「はぁー、さすがルーミアだなッ!」

「ふ、ふふん、当然でしょ」

 霊夢はついに自分の手でクワガタを捕まえてご満足な様子。

「・・・?ルーミアルーミア!」

 どうやら霊夢はクワガタの他にも何かを見つけたようだ。

「どうした?」

「これ・・・いっぽんしかつのがない・・・びょうきか?」

 覗き込むとそこにはクワガタと違って角が縦に二本ついた甲虫、カブトムシがいた。

「おッ!やったな霊夢!それがカブトムシだ!」

「おー・・・・・・」

 せっかくのカブトムシだというのにあまり嬉しそうではない霊夢、なぜだ?クワガタはあんなに喜んだのに。

「う~ん、これはどうかな~?」

「えっ!?なんだその微妙な反応はッ!?カブトムシは子供のあこがれなんだぞッ!」

「でもなぁ。こいつ、つのいっぽんしかない。クワガタのほうがすごい!クワガタはつのあにほんもあるのッ!カブトムシはしょうがないやつだッ!」

「・・・・・・」

 私はその場にどさっと横になる、なんだろう、とても疲れた・・・

「あー、なんだよそれ、カブトムシ意味ねーじゃん」

 蒼く蒼く、どこまでも続く空がよく見え─

「とぉーー!」

「ぐぼっ!?」

 霊夢が追討ちのようにボディープレスを仕掛けてくる。

「あははははッ!でも、楽しかったー!」

 そう笑う霊夢の顔は、太陽のように眩しくて、暖かくて、私の疲れなんて全て吹っ飛ばしてくれる。

 こんな散々な目に遭わされても、まぁいっか、と思わせる不思議な魅力がある。

 私とは対極にあるような霊夢のその笑顔は、私を導く北極星(ポラリス)のようだった。

「楽しかった、か・・・」

 どこか遠くでカラスが「カァーカァー」と鳴いている、もう帰る時間だ。

「なら、良しかな」

 

「あー、どういう状況?」

 どうやらあいつはいつの間にか帰ってきていたようだ。

「ちょうどいいところに来たな!」

「かーちゃん、クワガタがさいきょーだよな?」

 実は神社に帰ってきてからどっちの方が最強なのかでもめていたのだ。

「何を言う、最強は子供の憧れカブトムシだろッ!」

「クワガタっ!」

 ゴゴゴゴゴゴゴ・・・ッ!

 あいつはしばらく黙考した後にこう答えを出した。

「いや、お金でしょ!」

「あ、あー・・・そーなのかー・・・」

 

「で、どう?楽しかったか霊夢?」

「すごい楽しかったぞ!」

「そうかそうか、そりゃよかった」

「あ、そういやお前は賽銭どうだったんだよ?」

「あ"?」

「いや、なんでもねーよ・・・」

「あんたはどうだったのよ、霊夢を襲っちゃったのよ、人喰い妖怪さん?」

「うっせーよ」

 あいつと、霊夢と一緒に夕飯を食べて、夜は一緒に寝る、なんでもないのに、とても幸せな日々。

 こんな日々がいつまでも続けばいいのに、心の底からそう思う日が積み重なっていく。

 また明日、そう言って眠りに落ちる。




ここまでお付き合い頂きありがとうございます。
質問等はジョイフル様ではないので正しく返すことはできないと思いますが、出来る限りは答えさせていただこうと思います。
長い付き合いになるかと思いますがよろしくお願いいたします。
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