東方幼霊夢【二.五次創作】   作:罪袋C

2 / 5
今回は前回と書き方を変えてみました、正直一話のが書きやすかったような気が・・・
しかしこっちの方が自由度が・・・うごごごご


第二話

 のどかな陽光の降り注ぐ穏やかな午後、僕はここ幻想郷の最東端博麗神社を訪れていた。

 普段ならこんな遠くまで足を運ぶどころか店から出ることもなかなかないのになぜここまで来ているのかというとここに住む先代巫女に用があったのだ。

 階段を登りきると神社の境内が見える、しかしそこに人影はなく、たったひとつ置かれた賽銭箱が存在感を発している。

「・・・・・・」

 本来の用事はわざわざ賽銭をしに来ているわけではないのだが、僕は財布から一枚の硬貨を取り出した。

 その時ふと視線を感じた、ここは無人などではなかった。

 ゴゴゴゴゴ・・・

 神社の中から"何か"がこっちを見ている。

 木製だろうか?巨大な三角錐をかぶった巫女服の女性、つまり今日僕が用のある人のひとり、現博麗の巫女だ。

「・・・・・・」

 ゴゴゴゴゴ・・・

 お賽銭を投入するのを渋っていると、彼女からとてつもない威圧感を感じる、もしこのままお賽銭を入れずに後ろを向いたりしたら彼女が直接手をくださずとも罪悪感で殺されそうだ。

「・・・・・・」

 ゴゴゴゴゴ・・・!

 チャリーン

 ぐっ

 僕が仕方なくお賽銭を投げ込むと彼女はガッツポーズを取り、即座に賽銭箱を持っていった。

「君は毎回そんな感じで客におもてなしをしているのかい?」

 もしそうだとしたらここに参拝客が来ないのは遠いのと道中危ないからだけじゃないだろう。

 そう言うと彼女はくるっと振り向いた。

「ていうかなにしにきたのよ霖之助。あ、ていうかもう帰っていいわよ」

 しっしっ、と彼女は手であっち行けと払う

 そうだ、すっかり忘れてたが僕にも用があったんだ。

「ああ、いやそれなんだがじつは紹介したい子がいたんだが・・・」

 この神社の境内に入るのは僕と彼女だけ。

「どうやら逃げられたみたいだ・・・」

「・・・・・・」

 彼女から呆れたような沈黙が返ってくる。

「はあ?」

 

 

──これはまだ博麗霊夢が幼くて

 

          人食い妖怪が大きかった頃のおはなし──

 

 

「・・・・・・」

 昼間の博麗神社、そこには奇妙なものが転がっていた。

 ・・・うん、そのなんだ・・・文字通り転がってるんだ。

 ごろんごろんごろんごろん

「あはははっ!」

 霊夢がダンボールを輪っかにつなげたもの中に入ってぐるぐるぐるぐる神社の庭を回っている。

「なぁ霊夢、あのさ・・・それ楽しいか?」

 わたしはそれが疑問だった。

 わたしにはさっぱりわからないがどうやら霊夢にとってすんごく楽しいことだったらしい。

 霊夢は転がるのをやめてダンボールから出てきた、どうやらご立腹のようだ。

「たのしいのッ!ちょーたのしいのッ!」

「いや一日中それやってんじゃん・・・さすがに飽きるだろ」

 そう、霊夢は今日一日中ずーーーっとダンボールでごろんごろんやってたのだ。

 最初はまぁ楽しそうだしいいかなぁと思ってたがまさかこんな本当に一日中これやってるとは思わなかった。

「うーっ」

 霊夢はあれの楽しさが伝わらないのがもどかしいのかうなり始めてしまった。

「はいッ!!」

 突然霊夢はわたしにダンボールを突きつけてきた、おいおい、まさかやれとか言わないだろうな・・・

「やってッ!」

 やぱりかァー!

「いッ、いやいや、私はいいって!いい大人がする遊びじゃないし何よりはずかし・・・い、し・・・」

 おいおいおい・・・そんな泣きそうな顔でこっち見るなよ・・・

 あーっ、もう!

「わかったわかった、やるから泣くな」

 それを聞いて霊夢は、ぱぁ・・・と笑顔になった。

 

 しかしどうしたものか・・・ちなみにこれは霊夢一人でいっぱいになってたダンボールだ。

 とりあえず無理やり入ってみるか?

 

 ぎちっ

 もうね、入ってるんじゃなくて詰め込まれてるって感じ、身動きひとつ取れない。

 ばたん

 転がるとか無理、倒れることしかできない。

 ・・・・・・

「どうだぁ!霊夢!これで満足かぁぁ!」

 

「アハハハ、待て~」

 霊夢はわたしに微塵の興味もなく蝶々を追いかけていた。

 わたしは・・・わたしは蝶々以下なのか・・・

「ルーミアルーミア、あれ・・・」

 わたしが『ZUーN』と落ち込んでいると霊夢がわたしを呼んだ。

「なんだよ・・・」

 霊夢が指差していた方向は神社周辺の森だ、そこにある生垣に、大きな白黒の帽子が乗っていた。

 わたしが知る限り霊夢も霊夢のかーちゃんもあんな帽子持ってなかったと思うんだが・・・

「あははッ、へんなぼうし!」

「誰かの落し物か?」

 いや、ここまで来る人自体滅多にないからそれはありえんか?

 ガサッ

「「!」」

 突然その帽子が動いた。

 まさかあの帽子は忘れ物じゃなくて・・・

 ガサガサガサ!

 突然その帽子が生垣の上を走り出す、いや、多分あの帽子をかぶってる奴が、か。

「何だあれ?」

「あははッ、まてーッ」

 とにかく私と霊夢はそれを追いかけた。

「まてまて~」

 帽子を追いかける霊夢、そしてその霊夢から逃げるためにさらに帽子が加速する。

「あっはっははははは!」

 霊夢が楽しそうなのはいいんだが・・・

「おい!ちゃんと前見ろよ!そのまま行くと─」

 ガンッ

 私の忠告も聞かずにまっすぐ走り続けたバカは正面から木に衝突してやっと動きを止めた。

「ルーミア、止まっちゃった・・・・」

 霊夢は私が追いつくと私によじ登ってきた。

「ルーミア、とってとって!」

「あー、はいはい」

 さてさて、いったいどんな奴がこの帽子をかぶっていたのかな・・・っと

 帽子を持ち上げると帽子をかぶっていたであろう子供が釣れた。

 金髪で、たぶん霊夢と同じくらいの歳の女の子だった。

「・・・だっ」

「だ?」

 

 

「だじぇぇえええええええええええええええええええ!」

 

 

 突然その子供が泣き出した・・・いやそれ泣き声なのか?

「あー、ルーミア泣かしたー!」

「え?わたしのせいなのッ?」

「だ~じぇだじぇだじぇだじぇ~~」

 とりあえずその奇妙な鳴き声どうにかならないのかね、この娘は・・・

 

 

 

「あー、紹介するよ」

 霖之助というらしい男の人の背後にさっきの子供が隠れている。

「僕が昔お世話になった霧雨店のとこの子の霧雨魔理沙だ」

 霖之助が体を動かして魔理沙を前に出した。

 また今にも泣き出しそうな顔をしていやいやしている。

「今日来たのは他でもないこの子のことなんだが」

 霊夢がじぃっと魔理沙を見つめている、霊夢はずっとここにいたから同年代の子供が少し珍しいんだろうな。

 対して魔理沙はその霊夢の視線にビクビクしっぱなしで、また涙が溜まり始めている。

「この子極度の人見知りで「だじぇぇ~~~~~~~!」・・・あっ!コラッ魔理沙!」

 魔理沙は話してる途中でまた走って逃げ出してしまった。

「あははッ、また逃げたー!」

 そしてそれを追いかけるように霊夢も走り出した。

「て、おいッ!?泣かせた本人ッ!?」

「あー、まぁ今見てもらってわかたと思うが、人里でもあんな感じでね、全く友達がいないんだ」

 友達がいない・・・ね。

 それはとても悲しいことだ、心を通わせられる友人がいるということがどれだけ幸せか、わたしが身をもって知っている。

「もしかしたらきみのとこの子だったら友達になれるんじゃないかと思ったんだが・・・」

 それでさっきの調子ってわけか・・・

 しかたねーな、大人の私が一肌脱ぎますか。

 

 

 

「あー、ところで博麗の巫女君」

「何よ」

「僕の話を聞いてるかい?」

「はいはい聞いてるわよ・・・ちっ、これだけか」

 賽銭箱に入ってたのは小銭が一枚だけだった、全く霖之助もシケてるわね。

「で、ちゃんと聞いてたわよ、あの子もお賽銭くれるんでしょ?」

「うん、君が失礼で何も聞いていないことがよく分かった」

 まったく・・・霖之助は一々頭が硬すぎるのよ。

「ほっときなさい」

「はぁ?」

「よっこいしょ・・・だからほっとけばいいのよ」

 頭がいいことはいいことよ、でも、なんでもかんでも考えてどうにかすることばっかりじゃないってのを教えてあげないといけないわね。

「霖之助、ちょっとこっち来なさい、そしてそこで立ち止まって」

「?こうでいいのかい」

 霖之助の背後から右手を左脇から通し、霖之助の後頭部で左手と連結。

 そして右足を霖之助の右足に絡めて最後に締め上げれば・・・

「え?ちょっ・・・あだだだッ!なぜにコブラツイスト!?」

「いい?ひとつ教えてあげるわ、友達ってのはね、作るもんじゃないのよ」

 

 

「できるものなのよ」

 

 

「だから私達大人が首を突っ込む必要なんてないのよ・・・って聞いてるの?」

 って、コイツ気絶してるじゃない。

 まったく、この程度で落ちるなんてだらしないわね。

「まぁ、アンタ以外にもおせっかいな大人がもう一人いるみたいだけどね」

 気づけばこの部屋には私と霖之助しかいなかった。

 

 

 

 遠くで「カァーカァー」と烏が鳴いている、もうすっかり日も沈みかけて夕暮れだ。

 わたしはあれからずっと森の中を歩き回っていた。

 もちろん魔理沙を見つけるためだ。

「ぐすっ、ぐすっ」

「ったく・・・・・・」

 ついに木の下で泣いている小さな影を見つけた。

「やっとみつけたぞ」

 もう逃がさないためにも魔理沙を抱っこする。

「・・・だぁぁじぇだじぇだじぇ~~」

 またすぐに泣き出した、何回聞いても奇妙な泣き声だ。

「なぁ・・・お前さ」

 

 

「霊夢といっしょに遊びたかったんだろ?」

 

 

 わたしがそう言ってにっと笑うと魔理沙はやっと泣き止んでくれた。

「お前、霊夢が遊んでるとき、ずっと草むらから見てたんだろ?」

 魔理沙が小さく頷く。

「だったらさ、いつまでも泣いてないで・・・ほら・・・」

 後ろから小さな足音が近づいてくる。

「お前と遊びたいやつが来てるぜ」

「あっー!」

 振り返ればやっぱり霊夢だった、あの時のダンボールを持って魔理沙を探していたみたいだ。

「ずるいぞルーミア!ふたりだけであそんだりしてッ!」

「ほら!あとは・・・わかるだろ?」

「~~~~~~~~~」

 魔理沙は照れてるのか帽子を深くかぶってしまった。

 わずかに見える魔理沙の顔が少しずつ赤くなっていく。

 がんばれ、魔理沙!

「ぁ・・・・・あそぼっ」

 よしっ!よく頑張ったな、魔理沙!

 魔理沙はまた直ぐに顔を真っ赤にして俯いてしまった。

 でもいいんだ、よく頑張った、最初は驚いてた霊夢もまたすぐに笑顔に戻った、これで一件落着。

 

 

「やだっ!」

 

 

 っておいー!?

「おいおい、どうしてそうなるんだッ!?」

「えー、だって~」

 だってじゃありません!魔理沙がまた泣きそうじゃないか!

「これはひとりようでいっぱいなの!」

「いっぱいなのって・・・そんなの交互に使えば──」

「だからッ」

 霊夢は魔理沙に駆け寄って魔理沙の手を握った。

 

 

「いっしょに作ろうッ!まりさッ!!」

 

 

「うんっ!」

 

 

 はぁ・・・一度はどうなるかと思ったけど、これで一件落着・・・かな?




活動報告にて今回と前回どっちの方がいいのかアンケートをとりたいと思います。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。