東方幼霊夢【二.五次創作】   作:罪袋C

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長らくお待たせしてしまい申し訳ございません。
これからも頑張らせていただきマス・・・


第四話

 初夏の晩、博麗神社では3人の女性が布団に入り横になっていた。

 一人はまだ幼く、5つか6つくらいだろうか、言うまでもなく博麗霊夢である、現在絶賛読書中である。

 その隣にいるのは長い金髪に黒を基調とした服に赤のリボン、宵闇の妖怪ルーミアがその様子を見守ている。

 そしてその横で本来ならお前が付き合うべきだろと言われそうではあるが、オレンジ色で渦巻き模様の施された謎の仮面をかぶっている女性、当代博麗の巫女が豪快なイビキと共に寝ている。

 さて、話を戻すと今霊夢が読んでいるのは花の図鑑だ、可愛らしいイラストと花の名前だけが書かれている、そこで私はそれより少しだけ詳しく解説してみようと思う。

 

 向日葵(日回り) 読み:ひまわり

 キク科の一年草 別名:日輪草 花言葉:私はあなただけを見つめる

 高さ3m程まで成長し、大きな黄色い花を咲かせる。

 一日中太陽の方向を向いていることから日回りと表記されることもある。

 その種はやや脂質が多いものの食すことができる。

 

 ちなみに霊夢はひまわりを見てヨダレを垂らしている

「おいしそう!」

「・・・・・・」

 ぱらりとページをめくる。

 

 アサガオ ヒルガオ科

 一年草 花言葉:愛情 明日もさわやかに 儚い恋

 毎朝早くに美しい色とりどりの花を咲かせては散ってゆく儚い花

 しかし種子などに毒性を持ち、食用には適さない。

 種子は下剤などに利用できる。

 

 霊夢のよだれは引っ込んだ。

「まずそう・・・」

「・・・・・・」

 ついにルーミアの肩がわなわなと震えだす

 再びページをめくる

 

 菜の花 読み:なのはな アブラナ科

 別名:アブラナ 花言葉:

 菜の花の[菜]とは食用の意味、元より食用として育てられることが多い。

 辛子漬けは結構美味しい。

 なお、油菜は種子より油を作るものである。

 

 再び霊夢のヨダレが垂れる。

「おいしそう!」

「ちっがーう!!」

 ついに我慢の限界に達したルーミアは布団をはねのけた。

「?」

 ルーミアがなぜこうも声を荒げているのか分かっていないように首をかしげる霊夢。

「いやいや、もっとお花見て言うことあるでしょっ!」

 となりのページに書かれた花に視線を落として霊夢は考え始める。

 

 ユーチャリス ヒガンバナ科

 別名:アマゾンリリー 花言葉:清らかな心 気品

 アンデス山地に生える植物。

 スイレンのように真っ白な花を咲かせる美しい植物。

 ブーケやブライダルフラワーに選ばれることが多い。

 結構お高い。

 

 それを見てしばらく悩んだ霊夢がついに答えを出した。

「・・・たかそう?」

 その答えを聞いたルーミアはその場で悶えてしまう、違う・・・・・・そうじゃない、食べられるとか食べられないとか、高い高くないの話をしてるんじゃないんだと・・・・・・

「ちっがーう!!」

 

 

 

       ──これはまだ博麗霊夢が幼くて

 

                   人食い妖怪が大きかった頃のおはなし──

 

 

 

「あー、というわけで」

 現在いつもの三人は幻想郷の端っこの夢の国、ゆうかのお花畑、別名ゆうかりんランドに来ていた、もちろん食事のためじゃない。

「今日はみんなで遠足です!」

「おーっ!」

「あのー、なんで私もついて来ないといけないの?」

 霊夢が元気いっぱいに返事をしたのとは正反対に、その母はなぜ来なくてはならないのかと質問をした、だいたいコイツのせいである。

 故にルーミアは母をきつく睨めつけた。

「うるさいわねッ!もとはと言えばあんたの教育のせいなのよっ!」

「はぁ!?」

「あ~、このままだと霊夢はお金と食べ物にいじきたない大人になっちゃうかも・・・・・・」

 読者は知ってると思うが、すでに手遅れである。

「だから今日はあなたと霊夢にはお花を見て乙女力を上げてもらいますッ!」

「乙女力ッ!?」

「さぁ霊夢~、今日はいっぱいお花を見て女の娘になるのよっ!」

 などとルーミアが夢想している頃、霊夢の姿はすでにそこにはなかった。

 ふたりは気づかなかったが、霊夢は一匹の蝶々を追いかけて花畑の奥へと踏み込んでしまったのだ。

「あれ・・・霊夢?」

 繰り返すようだがここはゆうかりんランドである。

 ここに住む妖怪は人間との友好度は"最悪"だ。

 もし霊夢がうっかり花を折ってしまったりした日には食べられてしまいかねない。

 もちろん、霊夢はそんなこと知らない。

 

「おーい、れいむ~。でてきなさ~い」

 母とルーミアは花畑の比較的安全なところを霊夢を呼びながら歩いていた。

「う~ん、見つからないわね~」

「・・・・・・」

 それにもかかわらず霊夢は一向に姿を見せない。

 子供らしくかくれんぼなんかは得意だが、ここまで来ると二人─特にルーミア─は危機感を覚えていた。

「う~ん、まずいわね~。ここのお花畑は怖~い妖怪が管理してるから、霊夢のやつ余計なことしてなければいいけど・・・」

 

 ~その頃の霊夢~

 

 ずっと続いていたひまわりを通り抜けるとそこは開けたお花畑であった。

 さっきまでとは違い、背の低い色とりどりの花が視界一面に咲き誇っている。

 いくら食欲と物欲の塊でも女の子は女の子、霊夢もこの光景は美しく感じた。

 まあ何をしてしまったのかといえば。

 

 ぶちっ

 

 綺麗なものは持ち帰って宝物にしたいのが子どもの心理である。

 

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ー!」

 どこからか子供の、より言えば霊夢の悲鳴が聞こえてくる。

「今、霊夢の声よね。なにかあったのか・・・」

「れいむぅぅぅぅ!」

「ってはやッ!?」

 のんびりしている母と違い、ルーミアはそこが幽香の花畑であることも忘れ、全力で悲鳴の元へと駆け出していた。

(わたしがこんなところに連れてきたから・・・ッ!間に合って・・・ッ!)

 背丈ほどもあるひまわりをかき分けて駆け抜けた先の開けた花畑。

 そこにここの支配者、幽香の姿が見えた。

 

「霊夢ッ!!」

 幽香の足元に転がっている霊夢は・・・・・・

 

「あははははっ!」

 幽香にくすぐられて大爆笑していた。

 

 あまりに気の抜ける光景にルーミアは足をもつれさせて派手に転んでいた。

「あら・・・これはめずらしいお客様ね」

 幽香はルーミアを一瞥するとそう言った。

「・・・・・・どうも」

 

 

 

 ~それから少し経って~

 

「それにしてもどういう風の吹き回しかしら。いつも一人ぼっちのあなたがあんな連中と遠足だなんて」

 ルーミアと幽香は並んで座り、霊夢と母が花を摘む姿を眺めていた。

「・・・・・・・べっ・・・別に私が誰と付き合ってもあんたには関係ないでしょ!それより・・・」

 そう言ってルーミアは花畑を指差した。

 わかりやすく顔を赤くしているルーミアにニヤニヤしながら幽香はそれとは別に霊夢たちの方を向いて微笑んだ。

「いいのかよ、花摘んでるけど」

「なにが?」

「いやいやいやいや!あんた一応『花の妖怪』だろ!?あんたの花がちぎられててもいいのかッ!?」

 幽香はそう言われても微笑んだ表情を変えることはなかった。

「怒る必要があるのかしら?」

「いやいやいやいやいや」

 どうやら本当に怒るつもりのない幽香にルーミアは頭を抱えて唸った。

「あ~なんだよ~これじゃあ私が馬鹿みたいじゃないか…」

 そんな様子を見た幽香の表情がより柔らかいものへと変わる。

「いいのよ、あれで・・・」

「はぁ?」

「生きているものは、たとえ植物であろうと生きている意味を求めるものなのよ・・・」

 幽香はゆっくりと立ち上がり、日傘をさす。

「大なり小なりそれぞれ違ってもね・・・何よりも」

 幽香はもう一度霊夢たちに向き直り、まるで自身のことであるように嬉しそうな、幸せそうな笑顔になった。

「あれが、あの子達の望んでいる生き方よ」

 ルーミアも霊夢たちへ向き直る。

 霊夢がより綺麗な花を探し、集め、母がそれで何か─おそらく花冠─を作っている。

 とても眩しく、美しい光景。

「そして、あの子達の生き方を尊重するのが私の生き方よ」

 そこまで言い、幽香はくるりと方向を変え、歩き去っていく。

 その途中、一度だけ振り返り、口を開いた。

「あなたも見つかるといいわね、あなたの生き方」

 そして次こそ3人から離れていった。

「・・・・・・勝手にしゃべって帰っちゃったよ・・・ったく、紫といい幽香といい年長組は回りくどいのかね・・・」

「ルーミアっルーミアっ!」

 ひとりごちっていたルーミアのもとへ霊夢が駆けてくる。

 体の後ろに何かを隠すようにして立って、満面の笑みを浮かべている。

「なんだよ、にやにやして」

「目をつぶってくださいッ!」

「はぁ?」

「いいからッ!」

「わかったわかった・・・・こう?」

 ルーミアは言われるままに目を閉じ、声がかかるのを待った。

「・・・・・・まだ?」

「まだ~」

 さらに沈黙が続く。

「・・・・・・」

「うんッ!もういいよッ!」

 声をかけられて目を開くと、さっきまでと変わらない光景がそこにはあった。

「・・・? なんだよ、別に何も・・・」

 そう言うと霊夢はルーミアの頭を指差した。

「頭・・・?」

 ルーミアは、自分の頭へと手を伸ばした。

 

 かさっ

 

 ルーミアの手に触れたのは、色とりどりの花をふんだんに使った花冠だった。

「あ・・・」

 自分でもびっくりするほど細い声が喉から漏れる。

 あの時作っていた花冠は、わたしの・・・

「あははっ!ルーミア!」

 そう言って霊夢がもう一度破顔する。

「きれいッ!」

 ルーミアの表情が、柔らかく笑顔へと変化する。

 そして、今、もう一度強く感じた。

 できることならば、ずっと。

 この笑顔を守っていきたいと。

 それをわたしの生き方にできれば、と。

「ありがとう・・・・・・」

 それは本当に、心の底から出てきた言葉だった。

 

 

「ふふっ」

 優雅にひまわり達の間を歩きながら、幽香は再び微笑んだ。

「よかったわね」

 

 

 カァーカァー

 朱く染まった夕空を2羽のカラスが飛んでいく。

 その下を3人が手をつなぎ歩いて家を目指していた。

 それぞれの頭にはみんな花冠をのせて、まるで本当の家族のように。

「今日は楽しかったわね」

「なーッ!」

 霊夢と母の会話を微笑ましく眺めるルーミア。

 

 

 もし願いが叶うのならば・・・

 

 

 ずっとこのままでいられますように・・・・・・




今回は今までよりも改変された部分が多くなり、2.5次創作っぽくなりました。
ネタバレになってしまうかもしれませんが。
途中から霊夢視点、巫女視点、ルーミア視点でそれぞれ書くので、そこのレベルは期待しないでもらえると嬉しいです。
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