東方幼霊夢【二.五次創作】   作:罪袋C

5 / 5
どうにか間に合った・・・・・・のかな?
第五話ッ!東方幼霊夢完ッ!(殴


第五話

 人里の大広場、今日はそこに里の人口のほぼ全てが集まっていた。

 いくつもともった提灯に、櫓の上で叩かれる太鼓、そして色とりどりの屋台。

 今日は夏の納涼まつりの日で、いつになく活気にあふれた人里を二人の女性が歩いていた。

 片方は5歳か6歳ほどのまだ幼い少女、言わずもがな博麗霊夢と。

 もうひとりは仮面ライダー一号のお面を先程買ってきてかぶっている女性、いわゆる現博麗の巫女だった。

 今は霊夢がごねて金魚すくいに挑戦しているところであった。

 霊夢は金魚たちの動きを見定めようとじぃ~っと水槽の中を覗き込み・・・・・・

 

 ばしゃぁ

 

 と水槽へと顔を突っ込んだ。

「なんでッ!?」

 これにはさすがの母も困惑して急いで水槽から霊夢を引き上げた。

 結局1匹も取れなかったものの、屋台のおじさんが1匹くれた金魚を片手にご機嫌に笑う霊夢と、その頭をタオルで拭う母。

「まったく・・・・」

「あははッ」

 どこにでもあるような幸せな光景。

 

「・・・・博麗の・・・・」

「いったい・・・・・・」

 

 そんなヒソヒソと抑えたような声が母の耳に届く。

 そちらを向けば何人かの男女がこっちを向いて何事かをしゃべっている。

 自分たちの方を向いたと分かると男女は三々五々分かれていった。

 それ自体はいつものことだった。

「・・・・・・」

 ただ、今日は霊夢も一緒にいる。

 霊夢には知られたくなかった。

「さて、そろそろ帰ろうかね」

「!!」

 ぽん、と頭に手を置くと、霊夢は残念そうな顔をして駄々をこね始めた。

「やだやだ~まだあそぶ~」

「まったく・・・ルーミアが待ってるわよ」

「!」

 ルーミアの名前を出すと、霊夢は直ぐにぐずるのをやめた。

 人里に下りるわけにはいかないからと神社で待っている宵闇の妖怪ルーミア。 

 霊夢はルーミアのことをいたく気に入っていた。

 実際霊夢の母も、彼女はもう家族同然のように日々一緒に暮らしていた。

「帰るッ!!」

 

 

 

       ──これはまだ博麗霊夢が幼くて

 

                   人食い妖怪が大きかった頃のおはなし──

 

 

 

 カァーカァー

 遠くでカラスの鳴き声がする博麗神社表参道の階段の上。

 そこにルーミアは腰掛けていた。

「あー・・・」

 今日ばかりは霊夢達に付いていくに行けなかったのだ。

 ぐ~~~・・・

「腹減ったなー・・・」

 今日は里で夏祭り、きっと霊夢達は焼き鳥とかヤツメウナギとか食べている頃だろう。

 そう思うと余計に腹がすいてくる。

「るぅぅぅぅぅぅ」

「ん?」

 階段の下から声が聞こえてくる。

 その声は足音ともにだんだん大きくなっていき、やがて。

「みぃあぁぁッ!!」

「ぐほッ!?」

 下から駆け上がってきた霊夢がルーミアの腹へと突き上げるように華麗な頭突きを決めていた。

「あははッただいまッ!」

 

 

 戻ってきた霊夢たちはいくつかの屋台の食べ物を買ってきていて、神社の境内で軽い宴会状態だった。

「よかったのか?人間達の祭りに参加しなくて」

「いいのいいのッ!ここが一番花火が見えるのよ」

「・・・ふーん、そうなのか?」

 3人は鳥居の前に座り、それぞれ思い思いのものを食べていた。

 ルーミアがたこ焼きを、霊夢は焼きそばをパクパクと頬張っていた。

 その様子を微笑ましく見ていたルーミアだったが、とある違和感に気づいた。

「ていうか霊夢・・・お前リボンどうしたんだ?」

 霊夢の頭にはトレードマークのひとつであるあの大きなリボンがついていなかったのだ。

「・・・」

 霊夢は頭をぺたぺたと触り、普段頭にあるリボンの感覚がないことに気づくと、途端に立ち上がって周りを見回し始めた。

「あ゛あ゛~!!」

 どうやら霊夢自身リボンがなくなっていることに気づいていなかったようで、かなり慌てふためいている。

「ないッないッ!?」

「あー、きっとお祭りのどこかで落としたのね」

 霊夢はお気に入りのリボンをなくしてしまいわんわんと泣いていた。

「ほら泣かないの。リボンならまた買ってあげるから」

「やだやだ~あれがいいのッ!!」

「うーん、困ったわね」

 さすがの母もあの人ごみの中から落としたリボンを見つけるのは至難であり、どうするか迷っていると。

「はぁ~~仕方ないな」

 ルーミアはしゅるりと自分の髪をまとめていたリボンを解き、霊夢にそのリボンを差し出した。

 

「あげる」

 

 そのリボンと、ルーミアを見て霊夢はぴたっと泣き止んだ。

「その・・・私のでいいなら・・・いやなら、いいんだけどさ・・・」

「・・・・・・」

 霊夢はニッと笑顔に変わると、そのままいてもたってもいられないというようにルーミアに飛びついた。

「ルーミアだいすきッ!」

 

 

「ったく・・・・・・」

 日も沈み、すっかり暗くなった境内に霊夢の規則正しい呼吸の音と、虫の音だけが響いている。

「散々騒いどいて寝ちゃったよ」

 霊夢はルーミアの足の上ですやすやと眠ってしまっていた。

 やれやれとは言いながらもルーミアもまんざらではないように先程から霊夢の頭を撫でていた。

 そして、その様子を見ながらニヤニヤとする母。

「なんだよ?」

「ふふっ。いやね、なんというか」

 

「あなた、いい表情(かお)するようになったわね」

 

「・・・・・・はぁ?」

 あまりに意外な言葉をかけられたルーミアの反応は少し遅れて、しかも間の抜けたものだった。

「昔はぶすーっとずっと不機嫌そうな顔してたのにね」

「なっ、何いってんのよッ!?」

「お仕置きがよっぽど効いたのかしら?」

「べ、別にいでしょ!」

「あらー?感謝してもくれてもいいのよ?」

「だ、誰が・・・・・・て、それよりも」

「ん?」

「あんたは見せないよな、顔・・・・・・」

 そう、ルーミアは初めて出会ったその時から一度も仮面の奥の彼女の素顔を見たことがなかった。

「前々から気になっていたけどずーっと仮面で隠して」

 何か理由があるのかもしれない。

 顔に酷い疵があるとか、もしかすると逆に恐ろしい程整っているからかもしれない。

「まぁ、私はべつにいいんだけどさ、その・・・・・・」

 それでも、どうしても秘密にして欲しくないこと・・・・・・いや、相手がいた。

「霊夢はあんたの顔見たいんじゃないか?」

「・・・・・・」

「だからさ──」

「いいのよ」

「・・・・・・」

 ルーミアの言葉に被せるようにして言葉を放つ彼女の姿に、ルーミアは思わず言葉に詰まってしまった。

 

「・・・・・・私はこのままでいいのよ・・・・・・・・・・・・そう、このままでいいの・・・・・・・・・」

 

 重苦しい沈黙が二人にのしかかる。

(うっ・・・・・・きまずい・・・・・・)

「・・・・・・ねぇ、私がみんなにどう見られてるか知ってる?」

「えっ・・・・・・?」

 先に沈黙を破ったのは意外にもルーミアではなく巫女の方だった。

「博麗の巫女はね、代々異変解決を生業としているからね──」

 

 

 

  ◇◆ 博麗の巫女 ◆◇

 

 いまからどれくらい前だっただろうか。

 巨大な妖獣が人里の近くで暴れているという話を聞いて退治に向かった。

 確かに強く、強大な敵ではあった。

 でも、決して博麗の巫女が負ける相手ではなかった。

 程なくして私とそいつの死闘は幕を下ろし、異変は無事に解決された。

 妖獣の血で真っ赤に染まった両の手を見下ろして、里の人間達を振り返る。

 そこにあるのは、子供たちの純粋な感謝の瞳と。

 大人たちの畏怖の瞳だった。

 

 

 

  ◇◆ 共通 ◆◇

 

「──だから、嫌でも妖怪には恨まれて、挙げ句の果てには同じ人間にさえ恐れられる始末さ・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

 返す言葉を見つけることが出来ない。

 なんと言えばいいのだろうか、つらかったね?よく頑張った?

 結局ルーミアは、自分からかける言葉を見つけることができなかった。

「・・・・・・・・・・・・つらかった」

 ぽつりと漏らす弱音。

 ルーミアが初めて聞いた、きっと霊夢も、村の人たちも聞いたことがない博麗の巫女が漏らした初めての弱音。

「・・・・・・結局、私はそんな周りの目線に耐えられなくて、仮面をかぶることでしか逃げれなかったのさ」

「・・・・・・」

「霊夢は今はそんな周りの視線に気づいてないけど・・・・・・そのうち大きくなったらきっと気づいてしまう・・・・・・私と同じ苦しみを背負う時が来てしまう・・・・・・」

「・・・・・・」

「そしたらきっとれいむも私のことを・・・・・・」

「・・・・・・」

 そして二人して口を紡ぐ。

 唐突に巫女が勢いをつけて立ち上がり、階段を数段降りる。

「あははッ、湿っぽい話になっちゃったわね!」

 誰の耳に聞いてもわかる明らかなから元気。

「今の話は忘れてッ!」

「・・・・・・・・・あのさ」

「ん?なんか言った?」

 巫女の後ろで光が蛇のように夜空へゆらゆらと登っていく。

 そして、夜空に大輪の光の花を咲かせ火薬の炸裂する轟音を神社まで届ける。

 その音で眠っていた霊夢も目を覚まし、ルーミアの腕の中ではしゃいだ。

「おお!はじまったはじまった!」

「わぁー!!すげー!!」

 霊夢はルーミアの腕の中から出ると、神社の境内のほうへと駆け出した。

「かーちゃん、れいむもドーンするッドーン!」

「ああ、さっき買った花火ね、はいはい」

 当代巫女も霊夢に続き、境内へと向かって歩いて行った。

 階段に取り残されたのは、宵闇の妖怪だけだった。

 

 

 

  ◇◆ ルーミア ◆◇

 

 悔しかった。

 彼女にかける言葉を見つけることができなかったことが、悔しかった。

 どうにか、彼女にもっと近づきたかった。

 博麗の巫女にではなく、仮面の奥で震えている、ひとりの女性に。

 

「あのさッ!!」

 

「なによ?いきなり大声なんか出して・・・・・・」

 アイツは声に反応して振り返る。

「・・・・・・霊夢は・・・・・・あんたのことを恨んだりしない・・・・・・霊夢は、そんな子じゃない・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・根拠なんてないけど、私には分かる」

 

 どうしようもなかった私を変えてくれた人が・・・・・・

 

「それに他のやつらがあんたのことをどう思ってるか私には分からないけど・・・・・・」

 

 こうやって満たされなかったものを満たしてくれた人が・・・・・・

 

「けど・・・・・・けど・・・・・・」

 

 もしひとりぼっちでいるのだったら・・・・・・

 

「・・・・・・少なくとも」

 

 せめて私が・・・・・・

 

「私は・・・・・・感謝しているから」

 

 彼女の傍にいてあげたい・・・・・・

 

「だからそんな悲しいこと・・・・・・言うなよ・・・・・・」

 どんなに堪えようとしても、目からあふれる涙を止められなかった。

 

 

 

 ◇◆ 共通 ◆◇

 

「・・・・・・・・・・・・」

「言いたいことは、それだけ・・・・・・」

 ルーミアは当代巫女横を通り抜けて、神社へ向かって歩き出す。

 神社の前では霊夢が花火を持って待っている。

「ルーミアおそーい!」

「あー、はいはい」

「・・・・・・」

 何をするでも、何を言うわけでもなく、ルーミアと霊夢を見つめる当代巫女。

「れいむこれにするー」

「それは大人用だ、こっちにしとけ」

 その瞳に映る二人の姿はとても眩しくて。

 

『私は感謝してるから』

 

「・・・・・・なによそれ」

「かーちゃん!はやくはやくー!!」

 急かす霊夢の声が聞こえる。

 

『霊夢は、そんな子じゃない』

 

「・・・・・・そんなこと、私が一番わかってるわよ」

 とても、大切なものだった。

 

 

 

「コラぁぁ!ルーミア!」

 どごッ!

 当代巫女から投げられた何かがルーミアの頭にクリーンヒットする。

「ってーな!なにするのよッこらぁ!」

 ルーミアは巫女の方を振り返る、そして、初めて目撃することになる。

「・・・・・・って」

「おせっかい妖怪が言ってくれるじゃないの」

 巫女が投げたもの、それは──

「かーちゃん・・・・・・」

「でも・・・・・・まあ・・・・・・」

 バッタをモチーフにした改造人間のお面で──

「そういう妖怪が幻想郷に一人ぐらいいたっていいかもね・・・・・・」

「きれー!」

 霊夢も、もちろんルーミアも初めて見る彼女の素顔だった。

「あったりまえでしょ!かーちゃんなんだからッ!」

 霊夢は母親に抱っこしてもらい、頬ずりをしてはしゃいでいる、それに対してルーミアはその場にへたりこんだまま、ただ巫女を見ていた。

「あら・・・・・・」

 初めて見た彼女の顔は、とても綺麗で、活力に満ちた顔だった。

「どうしたのよ、ぼーっとして」

 不覚にも、見とれていたのだ。

「え?」

「あははっルーミアかおまっかっか!」

「へんなやつねー」

「なななッなんでもないわよッ!」

 

 上がり続ける花火が照らす神社の境内で、3人は、祭りの終わりまで笑い続けた。

 今度こそ、全員が素直なままに。

 

 

 

「あはははッ」

 打ち上げ花火も手持ち花火も全て終わった境内で霊夢はお祭りでもらってきたかざぐるまを片手に走り回っていた。

「こらー、そんなに走ると転ぶぞー!」

 その母とルーミアは腰掛けてその様子を眺めていた。

「まったく・・・・・・」

 注意を全く聞く気のない霊夢にちょっとうんざりというような仕草を見せるルーミアに、それを見て微笑む当代巫女。

「ふふっ」

「なんだよ?」

「いやね、きっとこういう何気ない日常ってやつが『幸せ』ってやつなんだろうなって、そう思っただけよ」

「そーなのかー・・・・・・」

 

【HAPPY END・・・・・・?】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あいたッ!」

 その声に二人が目を向けると、ズベシャァっと霊夢が転んで倒れていた。

「あ゛あ゛あ゛あ゛~~~」

「あちゃー、また派手に転んだわね」

「あぁもう言わんこっちゃない」

 二人とも立ち上がって霊夢に歩み寄る。

「あ゛あ゛~~いたぁぁい」

「ほら、見せてみろ」

「うっ、うん・・・・・・」

 しゃがみこんだルーミアに、霊夢がすりむいた手を見せる。

 幸いにも長いスカートが幸いして足は怪我していなかったが、手はところどころ浅く擦りむいていた。

「うん、これぐらいだったらだいじょう・・・・・・」

 

 ドクン

 

「っ」

 どこからか鼓動が聞こえる。

 私のもの?

 違う、私ではない。

 じゃあ、誰の?

 

 ドクン ドクン

 

 霊夢の手を見る目が、霞む。

 浅く擦りむいた肌から、血がにじみだし、球を作っている。

 

 ドクン ドクン

 

 その血は、とてもとても紅く。

 

 ドクンドクンドクン

 

 

 

 

 

 

                  オイシソウダ

 

 

 

 

 

「ルーミア?」

「!!」

 霊夢の声でふと我に返る。

「どうしたの?」

「あ・・・・・・・・・・・ごめん私、用事思い出しちゃった、帰るわね」

 それだけ言い残して、ルーミアは急いで神社を離れた。

「?」

「えっ、ちょっとルーミア?」

 

 

 

 

「ハァ・・・・・・ハァ・・・・・・ハァ・・・・・・何考えてんのよ私・・・・・・」

 私は、何を考えていた?

 美味しそうだ・・・・・・だと?

 そんなこと・・・・・・

 

「言ったでしょ」

 

「ッ!!」

 声に振り返るとそこに立っていたのは八雲紫だった。

「『幸せ』なんてあっという間だって・・・・・・」

「紫・・・・・・」

 紫はスッと目を細めてルーミアを見ると、たった一言だけ言った。

 

 

「もうあの二人には合わない方がいいわ」




というわけで、鬱パートに入りマース。
次回投稿は遅くなる予定
理由?察して・・・・・・
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。