とあるオタク女の嶮難。   作:SUN'S

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第1話

○月%日

 

今朝、なぜか私は「月を落とす」なんて馬鹿みたいなことを言い放った女友達との他愛ない話で盛り上がっていると長方形のアタッシュケースを投げるように渡された。

 

私の誕生日は二ヶ月ほど先なんだが?等と思いながらもプレゼントを受け取ると「お前にも働いてもらうから覚悟しておけ」と言われた。

 

いや、どうして?私みたいなクリーニング店が科学者の仕事を手伝うってどういうことだよ。ちょっと体力がある程度の普通の女だよ?

 

そんなことを考えながらアタッシュケースの中身を確認するために施錠を外すと悪鬼転身"インクルシオ"の待機形態として出番の多かった両刃剣を模した玩具が入っていた。

 

うん、アイツって私の趣味を良く理解してるね。まあ、どっちかと言えば修羅化身"グランシャリオ"のフォルムの方が好きなんだけど。

 

ただ、最近は二つのコスプレを作るために3Dプリンター買おうかと考えてたし、このプレゼントのおかけで決心することが出来た。

 

あとでケーキでも渡しに行くとしよう。

 

○月℃日

 

昨晩、我が家の前に銀髪の豊満な女の子が立っていた。どこかで知り合った覚えはないが、向こうは「あたしのだからな!」等と訳の分からないことを言ってきた。

 

そういうのは恋敵や好敵手に言うべき言葉だと思うんだが?なんて言えば「船はあたしのだ!」と話が噛み合わない。

 

とりあえず、営業妨害するのはやめてくれないか?等と思いながら襟を掴んで店の前から遠ざける。だいたい、私は船なんて持っていないんだけど。

 

そんなことを溜め息を吐き出しながら伝えると「うるせぇっ!ぜったい、お前のせいで船が可笑しくなったんだ!」と私の話を聞く耳は持ち合わせていないようだ。

 

ちょっと痛いと思うが、悪い子にはお仕置きするのが大人の仕事だ。しっかりと反省するように強めに拳骨を落とすから避こるなよ?

 

そう言いながらパキッと左手の指を鳴らし、威嚇するように睨み付けるとダッシュで逃げた。なんか警戒心の強いウサギみたいな女の子だな。

 

しかし、女の子が逆ギレするような船を買えるほど私の店は儲かってるとは思えないんだが…。

 

そんなことを考えながら頼まれていた友人のシワとコーヒーの汚れを取り除いた新品のように仕立て直した白衣をケースに収納する。

 

この白衣を受け取りに来るのは明日って言ってたけど、余計な仕事を増やすのは止めるように伝えておくとか訳の分からないことを電話越しに言われた。

 

いったい、どういうことなのだろうか。

 

○月∴日

 

最近、仕事していると視線を感じることが増えたような気がする。自意識過剰なのかと最初は思っていたが、明らかに私のことを覗き見ている者が潜んでいるのは確かだ。

 

どこから見ているのかは分からないけど。

 

そろそろ鬱陶しくなってきたので警察にでも訴えてやろうか?なんて考えながら気だるそうな表情を治さず、スーツを受け取りにきた藤尭朔也に愚痴ると「あはは、そうなんですか?」と困ったように笑われた。

 

藤尭くんはストーカーとか関わり無さそうなタイプなのは分かるけどさ…。

 

仮にも知り合いの女が困ってたら助けようとか思わないの?と聞けば「いや、ほら、俺はデスクワークしか出来ないから…」とスーツを受け取るなり逃げやがった。

 

私は藤尭くんが意気地無しだとは思わなかったよ。まあ、他人の厄介事に関わろうとするのはお人好しかバカのどっちかなのは確かだけど。

 

とりあえず、警察に頼るのは最終手段だ。今後は必要な時しか独りで行動するのは控えつつ、正体を現したら思いっきりボコってやる。

 

 

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