*月∴日
早朝、風鳴さんが「手合わせをお願いしたい」と言ってきた。どうして、武器を使わない私が風鳴さんと対等に戦えると思ったのだろうか?
そんなことを考えながらシンフォギアを装着して本気の勝負を仕掛けてくる風鳴さんにドン引きしていると櫻井さんが「翼ちゃんの剣なら折っても問題ないわよぉ~っ」と教えてくれた。
ああ、そういえばアームドギアはシンフォギアの一部を変形させてるんだよね。じゃあ、手加減する必要もないし、風鳴さんの剣を折っても問題はないわけだ。
櫻井さんの言葉に納得しながら剣を振り下ろし、私を斬ろうとする風鳴さんの剣を右手で掴んで握り潰す。どんな刃物でも速度が足りないとものが斬れないのは当たり前なんだよねぇ…。
私を見ながら唖然としている風鳴さんに教えつつ、左拳を風鳴さんの腹部に叩き込んで吹き飛ばす。あんまり人間を殴ったことはないし、上手く力加減とか出来ないけど。
風鳴くんは受け止めてたから問題ないよね?そんなことを聞けば「叔父様と私を一緒にしないでください!?」と叫ばれた。
むう、なにがダメなのかな?
*月▲日
今朝、私と風鳴さんの訓練の話を聞き付けた立花さんが「宜しくお願いします!」と言ってきた。ひょっとして、シンフォギア装者と戦わないとダメなのだろうか?
ゴクリと口の中に溜まっていた唾液を飲みながら立花さんは両の手を虎の爪に見立てた形意拳で攻め立ててくるけど、明らかに踏み込みが弱い。
風鳴くんが鍛えてるのは知ってるけど。
まだ、立花さんは技の段階へ進むのは早すぎるんじゃないかな?なんて思いながらも立花さんの猛打を受け流し、身体を密着させて踏み込みと重心の移動のみで放つボディブローを叩き付ける。
ちょっとだけ強くしすぎたのだろうか、立花さんがピクピクとお腹を押さえて蹲っている。もう少しだけ優しく打てば良かった。
風鳴くんはボディを叩いても怯まないし、むしろ腹筋が硬すぎて拳が壊れそうだった。
そんなことを鼻水を垂らす立花さんに話しながらお腹を擦ってあげる。今後は利き手を使わずに組み手すら安心してね?
しかし、これは風鳴くんの肉体が異常なまでに強すぎるのだろうか?それとも立花さん達が弱すぎるのだろうか?等と考えながら立花さんのモフモフした髪の毛を撫でる。
なぜか小学校で飼育していた犬を思い出した。
*月±日
やはり、天羽さんも来ると思っていた。
それにしても櫻井さんがシンフォギア装者との訓練を仕組んでいるのは知らなかったけど、手加減を覚えるには持ってこいかもしれない。
ただ、天羽さんと戦うのは嫌だな。突撃槍みたいなモノを持ってるし、あんなので叩かれたら死んじゃうかもしれない。
いや、あれに当たったら必ず死ぬな。
そんな嫌な確信を振り払うために鶴王の構えにて天羽さんを威嚇する。こういう何を考えているのか分からない相手と戦うのは初めてだ。
そこまで実戦経験はないんだけど、風鳴くんが毎日のように訓練しようと誘ってくるせいで合コンも飲み会も行けなくなってきた。
この前の合コンは藤尭くんも行ってたらしいけど、惨敗だったらしい。そりゃあ、仕事内容が秘密だったら同性でも怪しくて近寄りたくないよ。
そんなことを考えながら私は「アタシを殴ってくれ!アンタの拳で痛め付けてくれ!」等と叫ぶ天羽さんから逃げるのに必死だ。
やっぱり、この子は可笑しい。