┬月у日
早朝、何気なくテレビを見ていると若ママさんが出演していた。なにやら来月の歌姫のイベントに参加するとか話しているが、私は仕事なので行けない。
それにしても若ママさんはアイドルで子持ちとかスゴい壮絶なストーリーを抱えてそうな設定を注ぎ込んでるわね。まあ、若ママさんのことはテレビ越しに応援すれば良いかな?
しかし、あの胸部装甲は凄まじい。もう育つことのないオバサンは悲しいよ、それに風鳴さんが同じステージで歌うと考えただけで涙が…。
これは言い過ぎかな?なんて考えていると天羽さんが居間に入ってくるなり、特等席のチケットを買ったから見に来てほしいと言ってきた。
私も応援には行きたいんだけど、ずっと溜め込んでたクリーニングの仕事があるんだよね。ごめんね、あとチケットなら立花さんに渡せば喜んでくれると思うよ?
そんな嫌そうな顔しないで、かわいい後輩のためにチケットをプレゼントしてあげなさいな。天羽さんの休みの日に一緒に遊んであげるから…。
うん、欲望に素直なのは良いことだね。
┬月√日
なぜかデュランダルの柄を蹴り砕いて持ちやすい長さに変えることに櫻井さん達に反対された。半分は冗談なんだが、私の考えた渾身のジョークは通じていないようだ。
しかし、無限の再生能力を持つ究極の生命体である私と無尽蔵のエネルギーを内包する剣を持てば最強の戦士となるはずなんだが、それのどこがダメなのだろうか?
そんなことを考えながらクリーニング店に来たばかりの藤尭くんに相談すると「そういう冗談は控えた方がいい」と真顔で言われた。
そこまで変なことを言った覚えはないんだが、藤尭くんも危ない冗談は止めるように言ってきたし、今後は出来るだけ控えるとしよう。
まあ、藤尭くんと話すのも久しぶりだ。
この前は櫻井さんと同室のベッドで口論してるところに来たかと思えば直ぐに帰ったし、べつにオバサンは着替えを見られても何も思わないんだけど。
やっぱり、彼も男の人ということだ。それにしても私の装備はいつになったら完成するのだろうか?なんて考えながら藤尭くんにスーツを手渡す。
┬月℃日
漸く完成したという装備を受け取るために二課の指定した場所へ向かっていると若ママさんがパンフレットを見ながらキョロキョロしていた。
まあ、日本のパンフレットって面倒なことが書かれてることが多いから仕方ないけど。風鳴くんに指定された時間まで結構あるし、オバサンが道案内してあげようか?
そんなことを問い掛けながら若ママさんに近寄ると九死に一生を得たみたいな表情を浮かべて何度も頷いていた。ただ、若ママさんの話を聞けば聞くほど子供の健やかな成長を願う聖母のような人としか例えようがない。
若ママさんの行きたいと言っている日本の料理本のコーナーへ連れていけば「…日本だけで…こんなに…」と棚に並んでいる本を見て唖然としていた。
いやいや、他の国の料理もアレンジしてるから日本だけの料理って訳じゃないんだよ?等と話していると歯軋りする音が聴こえてきた。
一応、どうやって私の居場所を見付けたのかを聞いておきたいんだけど。
天羽さんは素直に話してくれるだろうか?と考えていると若ママさんが「あれ、ツヴァイウィングの…」と聞いてきたけど、他人の空似など強引に押し通しておいた。
日本の誇る歌姫が嫉妬で爪を噛みながら歯軋りするところなんて他国のアイドルに見せたら勘違いされる。しかし、マジで盗聴器とか発信器とか付けられてないよね。