とあるオタク女の嶮難。   作:SUN'S

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第7話

┬月Ψ日

 

早朝、私は櫻井さんと一緒にピッチリとしたコンバットスーツを脱却するために意見を交換していると天羽さん達が訓練を終えて帰ってきた。

 

先ずはシンフォギア・システムのスーツの完全な甲冑型へと変更したい。三十路間近なオバサンのピッチリとしたスーツ姿に需要はない。

 

まあ、そうなると「歌」によって増幅する肉体強化機能を貶める可能性も否めない。だいたい、私が音痴なのは櫻井さんも知ってるでしょうが…。

 

天羽さん達も加えて話しながらシンフォギア装者の心象を具現化するアームドギアと呼ばれる副兵装の展開のみ出来ないか?

 

そんなことを櫻井さんに言えば「貴女って突拍子もないことを言い出すわよね」と呆れたように溜め息を吐かれた。

 

そこまで変なことを言ったつもりはないんだが、理論を造り出した人からすれば呆れてしまうのは仕方無いのかもしれない。

 

ただ、どうしてもピッチリしたスーツ姿だけにはなりたくない。もしも近所の人に見られたら出歩けなくなるし、なによりオバサンの贅肉の詰まった身体なんて晒したくない。

 

┬月⌒日

 

結局、私の趣味を押し付ける形で櫻井さんに任せることになったけど。私は歌わずにノイズを殴り倒せることは判明している。

 

これは闘争本能による一時的なシンフォギア・システムの発動状態だって櫻井さんも危険視していた。もし戦いの最中に戦意を喪失すれば炭化するのは私だ。

 

そんなことを思いながら櫻井さんの開発中に預かることを約束した雪音さんと一緒に朝食を食べているのだが、彼女は食べ方が少しだけ汚ない。

 

どういう育て方だったのかは聞かないけど、私の使うアイテムが完成する頃には淑やかな食べ方を教えられているはずだ。

 

そう言えば雪音さんって同じような服しか持っていないのだろうか?等と考えながら彼女に問えば「…洗えば同じ服でもいいだろ?」と年頃の女の子として駄目な言葉が返ってきた。

 

とりあえず、今日の予定は雪音さんに似合いそうな服を見繕うことで決定した。しかし、そうなると下着も使い回しているということに…。

 

深く追求するのはやめておこう。

 

それにしても雪音さんは大食い女子としてテレビ出演するのも簡単なのではないだろうか?なんて思いながらご飯粒の付いた雪音さんの頬をハンカチで拭い、口元のケチャップを拭き取る。

 

┬月$日

 

今朝、二課の開発室にてメディカルチェックを受けながらアームドギア展開で必要となるエネルギー質量の安定化を行うために試作段階のアイテムの実験を行うそうだ。

 

私の要望通りの形状なのだが、明らかに胸部のフォルムが私の知っているクローズチャージと違うような気がする。

 

そのことを問えば「ああ、これは本家との区別のためよ?貴女の趣味を否定してる訳じゃないわ」と言ってくれた。

 

しかし、ドラゴンの顔を正面から見ることになるとは思いもしなかった。役得と言えば役得なんだろうけど、私みたいなオバサンが仮面ライダーに変身して良いのだろうか?

 

そんなことを考えていると櫻井さんが「貴女の思ってることは多少なりと分かってるつもりよ。それでも人類存亡のための戦いに理想を持ち込むのはやめなさい」と諭すように言われた。

 

それは分かってるんだけど。どうしても私は子供の頃から知ってる仮面ライダーを兵器として扱いたくないって思ちゃうんだよね。

 

それに私が万丈龍我なら櫻井さんは桐生戦兎な訳だし、このドライバーを使ってる状態の私を危険だと思ったら躊躇せず、私を殺してでも止めてほしい。

 

まあ、私も愛と平和のために戦ってみるよ。

 

 


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