とあるオタク女の嶮難。   作:SUN'S

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第9話

≫月※日

 

立花さんは我流の拳法使いだそうだ。

 

私も似たような感じだけど、中国拳法のような多彩な動きを取り入れたことは一度もない。使うとすればボクシングや空手など拳や手のひらによる打突をメインとするモノばかりだ。

 

私も女なので手の傷なんかは気にしてるけど、昔は青竹を束ねたものを突いたり、沸騰している油の中に沈めた石を掬い取るとか正気の沙汰とは思えない修行を繰り返していたよ。

 

あの時は己の未熟さを嘆いてばかりで友達や家族のことも気にしてなかったけど、他の人が離れていっても櫻井さんだけは真剣にトレーニング方法の改善を手伝ってくれたんだよね。

 

そんなことを立花さん達に話していると顔を真っ赤にした櫻井さんが私たちの前を素通りしようとしたが、風鳴さんに引き留められていた。

 

ちょっとだけ悪戯心を擽る相手がいるのは険しい人生の休息には持ってこいだよね?

 

そんなことを考えながらコーヒーを飲んでいると櫻井さんが「貴女だって私の実験に付き合ってくれるでしょうが!?」とキレた。

 

そりゃあ、私と櫻井さんは友達だからね。

 

≫月^日

 

早朝、私は櫻井さんの作ってくれたパワーちゃん第4号を使って筋力増強のために五十メートル先に立つサンドバックへと駆け寄り、左右の拳で点滅する箇所を殴り潰す。

 

元ネタは鉄拳高校タフって漫画に登場する主人公のトレーニング方法なんだけど、女人ゆえに男の人より密度の違う筋肉繊維の強化を図るために櫻井さんが用意してくれたモノだ。

 

まあ、この前は風鳴弦十郎が私より頑丈なバネを引っ張ってサンドバックを殴り続けるという悲惨な光景を見て自尊心がズタズタになりそうだったけど。

 

私が知らないだけで人外の領域に片足を突っ込んでる人は大勢いるのではないだろうか?等と思いながらもスクラッシュドライバーを装着する。

 

ただ、私の腰にあるスクラッシュドライバーをチラチラと風鳴くんが見てくるのは怖いんだよね。櫻井さんに頼んで作って貰えばいいのに…。

 

そんなことを考えながら私の血液と結合している聖遺物の欠片を加工したパウチ容器ことドラゴンゼリーをスロットに装填して変身する。

 

やっぱり、風鳴くんの視線が怖い。

 

≫月◎日

 

早朝、立花さんの初陣を応援するために私も同行することになったけど、風鳴さんと並行するように走るバイクで変身するのは疲れた。

 

中途半端を嫌ってる櫻井さんのクセと言えば良いのか。どんなものだろうと完全再現しようとするクセは治さないと大変なことになりそうだ。

 

そんなことを考えながらクリーニング店の扉を開けて天羽さんが入ってきた。最近はコインランドリーなんてところへ行く子の方が多いって聞いたんだけど。

 

天羽さんはクリーニング店の方が良いのだろうか?なんて思いながらも手渡された紙袋を開けると私が無くしたと思っていたタンクトップが入っていた。

 

深く追求するのは怖いのでやめるけど、そんな鼻息を荒くしながら帰っていくのはやめてくれないかな?マジで営業妨害で訴えるべきなのでは?等と考えてしまう。

 

だいたい、どうやって二階の寝室へ入ったのだろうか?あの部屋には雪音さんだって住んでるはずなのに、そう考えると私も雪音さんも寝ている時に侵入したとしか考えられない。

 

今後は戸締まりを厳重にしよう。

 

しかし、この返された服は洗って渡した方が良いのだろうか?それとも私が着れば良いのだろうか?なんて思っていることを櫻井さんに問えば「直ぐに捨てなさい」と言われた。

 

やはり、これは捨てるべきだな。

 

 

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