アクマで妹! 作:あぐろむいしき
今回は前と比べてかなり短いです。繋ぎみたいな感じです。
あとタイトルには妹! って書いてるからその妹キャラがメインなんじゃないかと思っていたんですけど、なかなかうまくいきませんね。色んなキャラクターを書いてみたいです。
つまりはこのコンテンツに魅力的なキャラが多いのが悪いってことでボクは悪くな(殴
一応今回はちょっと出てきます。
あの後も喫茶店で紗夜と一緒にいたが特に有益な情報は得られなかった。
いろいろとぶっとんだ我が妹を制御すべく同じ妹がいる身の意見を色々と参考にしようと思ったけれど、そういえば彼女の妹もかなりぶっとんでいることを失念していた。
案の定紗夜自身も完璧と言える対応はしかねているらしい。
そんな妹に手を焼かれている2人が集まったところで、対抗できるような良いアイデアなど出るはずも無く……後半はほぼ被害者の会みたいなっていた。
結局は普段見れないちょっと可愛らしい氷川紗夜が見れただけだった。
ため息つきまくりの彼女をもう少し見ていたかったけれどいつまでも生産性のない愚痴ばかりを言っていても仕方が無い。
そんなこんなで、つい先程お開きとなって喫茶店から出たのだが……。
「あっつ……」
出たら出たでまたうんざりしてしまう。今度は外の環境に。
夏はまだ遠いはずなのに今日の東京は異様な気温の高さを観測していた。
見上げると空には雲ひとつない、トルコ石を思わせるような晴天が。それは見事な群青ではあるが今ほど忌々しいと思うことは無い。
降り注ぐ陽光によって人も建物も大規模建造物も等しく焼かれ地面にはゆらゆらと陽炎が立ち込めている。
それはまるで大きなフライパンの中にでもいるようだった。コンリートジャングルと呼ばれるビル群に囲まれて行き場を失った熱達がその中にいる自分たちを焦がしている。
「都会のイヤなとこ出てる……」
大人しく帰宅して冷房をキメてもいいが……それだと家にいる妹に色んな意味で食いものにされるだけだ。特にこれといって予定もないけれど、辺りをぶらつくことにする。
周りも下も全て堅苦しい金属かコンクリート。
現代の人類が生み出した文明と上からの強力無比な熱光が共にジリジリと我が身を苛めてくる。……自分たちが生み出したものに苛められてはまったくもって世話がない。
しかしそれも今まで自分たちが地球を苛めて来たツケみたいなものだろう。皆がちゃんとエコしないから。ちょっと男子〜地球ちゃん泣いてるじゃ〜んとか、他の惑星から怒られたりはしないだろうか。
「あれ? クロさん!」
「んあ?」
そんな学級委員長みたいな惑星がいるかどうかはさておいて。
だらけながら歩いていていると、突如に前方から溌剌とした弾むような声音が聞こえてきた。
「……ああ、あこちゃんか」
「お久しぶりです! 何やってるんですかー?」
「相変わらず元気だなぁ……いや特に何もやってないですけどね。ぶらぶらしてようかと」
「そうなんですか? あ! なら、あこたちと一緒にラーメン食べに行きませんか!」
ああ眩しい。目の前にもうひとつ太陽が出現したみたいだ。
目の前でぴょんぴょんと跳ねながら近づいてくる。うさぎさんみたいだ。てかラーメンて。こんな暑いのに?
上げた視線の前にいたのは紫色のふわふわとしたふたつのおさげを揺らす女の子、“宇田川あこ”。
彼女はカットソーTシャツにホットパンツのような短いデニムを合わせたスタイルで、健康的な太ももを晒し、そこからアングルを下げるとラインソックスに黒のスニーカーといった全体的にカジュアルスタイルを纏っていた。
布面積が少し控えめな、もう夏本番のような服装に身を包んだ少女は快活な笑顔で提案してきた。
「ラーメンねぇ……てかあこたちってまさか」
「はい! おねーちゃんと、あこで」
「げ、巴いるのか」
「いちゃ悪いか?」
今度はあこちゃんとは別の、芯の通った凛とした声が聞こえてきた。
「うわっ」
「うわって……なんだよクロ」
「いや……」
再び視線を上げるとムスッとした顔でワインレッドの髪をたなびかせる少女がいた。宇田川あこの姉、宇田川巴だ。
妹で小さめなあこちゃんとは対象的に身長に恵まれ、女子高生の中ではかなり背が高い。
その身体的なメリットを生かした濃い色のデニムジャケットにシンプルな黒のジーンズを合わせたコーディネートはワイルドな印象と彼女の長い脚をより魅力的に惹きたてていた。
「いやそれは警戒するでしょ。いきなりツームストンパイルドライバーとかいう暴挙にでるんですし」
「あれは暴挙ではなく防御だ。……うちの妹に変なことするなよな」
してないんだよなぁ……冤罪というのはかくも恐ろしい。
しかし姉妹揃って似たようなファッションセンスをしている。仲が良いようで何よりだ。だからそのあこちゃんに注いでる優しさを1ミリでも此方に分けてくれないだろうか。
「ていうか、その喋り方どうにかなんないのかよ」
「やめましょうか?」
「ぜひ頼む。違和感しかないからな」
「分かった……すっかりこっちの方に慣れるとねぇ、切り替えづらいんだよ」
「まずなんで切り替える必要があるんだよ」
「女の子のウケがいいからかな」
「…………」
巴はあこちゃんをスっと自身の身体の陰に隠す。
おっと何か不名誉な勘違いをされている気がするぞ?
「何か紗夜も似たような反応してた気がする」
「だろうと思う」
「……巴、確かにゲス発言してるかもしれないけど、これには理由があるって言ったよね?」
「それは知ってるけどさぁ……」
心外だと……言外に伝えると巴も複雑な表情を見せた。
「仕方ないじゃない? さっさと彼女つくんないといつまで経ってもアレが兄離れしないんだから」
「だからってなぁ」
「言っても埒が明かないなら仕方ないじゃん」
「……彼女つくったからって、あいつは兄離れしないと思うぞ」
「そ、それ困るんだけど……」
確かになんなら嬉々として引き裂いて来そうだ。
それは詰んでるのでは? フィニッシュオブライフってやつなのでは?
「も、もうおねーちゃん、あこだってもうおとなだよ! 子供扱いしないでよっ」
するとここで巴の後ろに隠れていた(隠されていた)あこちゃんが声をあげた。
どうやらずっと自分を置いて話す姉と俺に痺れを切らしたらしい。頬を丸く膨らませて抗議の視線を俺たちふたりにぶつける。
巴はまた複雑な、というか少し困ったような顔で怒った彼女を宥める。
「さっきから何の話してるの?」
「いやこれは……あ、あこは知らなくていいんだ」
「おいおいそれはないんじゃないか巴。ひとりだけ仲間はずれなんt」
「るせぇ殆どお前のせいだろうが、いいから座ってろ」
ひでぇ言い草だ。
「服も……ほら、いい感じでかっこいいしっ」
「そんな短いショートパンツ履くのはちょっと早いんじゃないか?」
「おねーちゃんや蘭ちゃんだって履いてるじゃん」
「いやそれは……というかそんなの持ってたのか?」
「ああそれ俺が買ってあげたやつだよ」
「おまえかよ」
趣味という訳では無い。あこちゃんの誕生日にせがまれたから買ってあげただけだ。
「あこはもうおとなだもん! ……どうせクロさんが女の人にだらしないって話でしょ?」
どうせってなに?
「大人でも知らなくてもいいことってのはあるもんなんだ」
「でもあこもう知ってるよ!」
「な、何を?」
「クロさんが蘭ちゃんやつぐちゃんに逆らえないってこと!」
思わず吹き出しそうになった。
違うよ。そんな事実ないんだよあこちゃん。
「それはあながち間違ってない」
否定しろや巴コラ。
事実誤認はいけないでしょーが。
「それにひーちゃんも!」
「!」
「かわいそうだよ……」
「それは……そう、だな……」
「…………」
「…………」
「……え? 話終わったの?」
急に静かになったふたり。あまりの急転な変容に思わず困惑してしまう。
「……クロ」
「なに?」
「やっぱおまえ……もう1回ツームストンパイルドライバーだよ」
「なんで?」
え、なんでなん? わけわからんやんそれ。
ポン、と肩に手を置いたと思うと真顔でそんなことを言ってくる巴。
話は一部始終聞いてたけどどういう紆余曲折あったらそうなるんだよ。それもはやツームストンパイルドライバー言いたいだけじゃねぇかよ。
「クロさん、やっぱり女の人にだらしないのはいけないと思います」
「あこちゃんまで……だからだらしないとかじゃなくてちゃんとした理由が」
「でもそれだけじゃあないよな?」
「……まあそれだけって訳でもないけど」
「よーし歯を食いしばれ」
「ちょっ、ストップストップ」
「自分の身の軽さを恨むんだな。ダブルの意味で」
「上手くねぇんだよ」
体重が軽くて技をかけやすいってことと、ナンパしがちなことを掛けたナイスギャグとかいいから。
だいたいあこちゃんを宥めてたのに矛先がこっちに変わってるのおかしくないか?
「クロ、おまえさっきあこに『特にやること無くてぶらぶらしてる』って言ってたよな?」
「言ったけど。それが?」
「ならこの後あたしらとラーメン食ったらすぐひまりの家行って勉強みてやってやれ」
「…………。……はあ?」
「それで勘弁してやるから」
「いやわからんわからん」
よし、決まりだ! と、その後の巴の行動は速かった。
スマホを取り出してチャットアプリを起動させ、彼女は何かしらの文面を素早く作成する。誰に何のメッセージを打ったのかは分からないけれど、さっき名前が出ていたひまりだろうか。
しかし何故に勉強を? 生憎俺は紗夜と違って勉強を人様に教えれる程頭は良くはない。それは巴も知っている筈だが。
にも関わらずということは、正直、あまりいい予感はしない。
こうなったら隙を見て逃げてやろうか……。
経験上こういったことは後々ロクなことにならない。
長距離走はかなり苦手だが短距離ならそこそこ自信がある。いくら巴とはいえ女子に追いつかれる走力では無い筈だ。
「……三十六計逃げるに如か」
「クロさん、何処のラーメンが食べたいですかぁ?」
「ず!?」
足の母指球に力を入れ僅かに身を屈めた。が、その時。
「おねーちゃんラーメン屋にはとっても詳しいから、何処でもいいですよぉ?」
あこちゃんがひしりと自分の左腕を自身の掴み、引き寄せていた。
「……逃がしませんからね?」
「……ひぇっ」
そして彼女は少し背伸びし、身を寄せる。そして此方の耳元でぼそりと呟いた。
速い、速すぎる。逃げようと咄嗟に考えてから刹那的な時間しか経ってないはずなのに。
なるほど、確かに子供ではないようだ。やりおるわこいつ。あと怖い。それはなに? 紗夜譲り?
「クロってラーメン嫌いだっけ」
「いや好きだけど……聞きたいのはその後の」
「いよっしなら問題ないな。いくぞあこ、しっかりクロを連れて来てくれよ?」
「はーい!」
「……話聞いてもらえる?」
「ああいいぞ。あたしの金でラーメンを食った後でな」
「やり口がきたねぇ!」
こいつラーメン代で言うこと聞かせる気だ! ずっこい!
あこちゃんに引っ張られながら前を歩く巴に抗議する。しかし当の巴は振り返りながらはにかみ、ウインクをひとつキメてまた歩き出す。
相変わらずカッコイイなぁあれなら女の子にモテるのも頷けるわ。
ぜひ見習いたいところであるけれど、今はそんなことを言っている場合ではない。
説明は出来ないし、具体的なことは言えないけれど……何故か嫌な予感がして堪らない。
しかし隣の小さな魔王様の拘束と、その姉の制裁のせいでろくに抵抗も許されない。
俺はそのまま巴とあこちゃんの案内に連れられて、ラーメン屋へと向かいざるえなかった。
「……ママ、お兄ちゃんは?」
「九郎なら朝早くにお友達に会うって出かけて行ったわよ」
「……ふーん、そっか。誰かってのは聞いた?」
「それは聞いてないけど……なに? あんたも出掛けるの?」
「うん。ちょっと散歩に」
「……それは別にいいけど、ふたりともあんまり遅くならないうちに帰ってくるのよ」
「ふふっ。は〜い」
宇田川 巴
羽丘学園高等部1年生。
九郎やバンドメンバーの少女たちとは幼なじみ。昔は6人で遊んでいたが、中学から九郎だけ別の学校へ行ってしまったために疎遠になる。
この春自由度がより高い高校生になり会える機会は増えたのだが、彼の以前にも増した軽薄さに頭を抱えている。
あたしじゃもう手に負えないからあとは蘭たちに任せるか……と、一応彼を思っての行動しているが、九郎本人からすれば死刑宣告のようなものである。やめちくり。
宇田川 あこ
羽丘学園中等部3年生。
いちにんまえの れでぃをめざして ひびがんばっているぞ。
ろぜりあの みなさんをみならって おとなになるもん! といきごんでいる。 ひじょうにかわいい。
?? 九郎。
そこまで偏差値は高くない都内普通科高校2年生。
あこちゃんに冗談でよーしお小遣いを上げようげへへと近づいたところを姉に見つかり、8時間にも渡る逃走を行った経歴がある。もう2度とするまいと誓った。しかしその後『青葉の蓮華は2度咲く』などの訳の分からない供述を行い、またやらかして巴に追いかけられることになる。
もう妹誰なのか分かっちゃったんじゃないですかね。九郎くんの苗字を伏せる必要ももうすぐなくなりそうです。
次も明日の同じ時間に上げたいと思います。よければ読んでみて下さいね。
コメディチックに書くのが好きなんですけどよね
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これくらいでいい
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いやもっとイチャコラさせろ