ダンジョンで学問を究めるのは間違っているだろうか   作:白糸

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さてさて、ノリと勢いで第二話を書きましたよっと


【プロメテウス・ファミリア】 2

 リージア・ヴァラブレーカの朝は早い。

 

 まだ日も昇っていないような朝の四時頃には目が覚め、自室で筋トレをする。

オラリオは今冬なので、五時頃になればバベルの向こうに朱色の空が見えるようになる。それを合図に、汗を流し一日の始まりを爽やかに始められるように朝風呂に入る。

お風呂でさっぱりした後には、今流行りの音楽を蓄音機で流しながら様々な本を読む。最近のマイブームは、プロメテウスが個人的趣味で世界各国から集めている文学小説だ。少し官能的な本が混ざっているところを除けば、どれも良作ばかりでとても楽しめる。

 

 いつものように本を読みふけっていたが、コンコンとドアをノックする音に思考を遮られる。時計を見るとまだ六時半、プロメテウスはまだだらしない顔でよだれを垂らしながら寝ているはずだ。

 

「リージアさん、おはようございます。入ってもよろしいでしょうか。」

「キールくんか、どうぞ。」

 

 ダウリチェスカはお邪魔します、と言って部屋に入ると、周りをキョロキョロと見回した。

今の彼は、ヴァラブレーカの予備のワイシャツと白衣を着ている。ズボンはテーパードパンツ。しかしながらはまだ14歳、16歳のヴァラブレーカの服はかなり大きかったようでぶかぶかだ。美しいブロンド色の髪は湿っており、先程まで風呂に入っていたことが伺える。

 

「少し早く起きすぎてしまって………」

「いや気にすることはない。プロメテウス様が遅すぎるだけだ。」

「あははは………」

「そうだ、お腹がすいただろう、今朝食を作る。」

「あ、ありがとうございます!」

 

 ヴァラブレーカは蓄音機を止めて本を机の棚にしまい、台所に移動した。

 

 

 

「キールくん、紅茶は飲むかい?」

「はい、飲みます。」

「ご飯はどれくらい食べる?」

「人並みには。」

 

 それを聞いて朝食の準備に取りかかる。清水の湧く大きめのケトルに水を1Lほど溜め、コンロで湯を沸かす。湯が沸くまでの間、四つほど卵を溶いてその中に食パンを数枚浸し、ベーコンを数枚用意する。

湯が沸けばすぐに紅茶の茶葉を適量入れ、砂時計をひっくり返して3分測る。その間に空いたコンロでベーコンと食パンを焼く。

そして茶葉を濾しながら三つのティーカップに質・量共に公平になるように配分する。

最後に余った卵で卵焼きを作れば、朝食の完成である。

フレンチトーストもどきと卵焼き、そして果物。いつも通りの朝食だ。

 

「よし、キールくんは配膳しておいてくれ。私はプロメテウス様を起こしにいこう。」

 

 ヴァラブレーカはそう言って、2階への階段を登っていった。しばらくすると思わず耳を塞いでしまうような怒声がダウリチェスカの所まで響き、さらにしばらくの後に服に涎の跡が残っているプロメテウスがヴァラブレーカに引き摺られながら居間に現れた。

 

「まったく、いつになったら朝ちゃんと起きられるようになるんですか!」

「べ、別に早起きできなくてもいいじゃないか!わざわざ起こされなくても自分で起きるよ!」

「ほっといたら昼まで寝てるじゃないですか!」

「プロメテウス様………?」

「おっと、キールくんおはよう。ほら、彼も待ってくれてるんだから早くご飯食べようよ!」

 

 オラリオに来て早々に神という存在のイメージをぶち壊され困惑するキールをよそに、プロメテウスはそう言って身だしなみを整えてヴァラブレーカの拘束からスルリと逃れ、さっさと着席してしまう。ヴァラブレーカもブツブツと文句を言いながらも着席した。全員揃ったので、朝食を食べ始める。新しい仲間が入って初めての食事は、たわいもない話で大いに盛り上がった。

 

 

 

「さて、みんな食べ終わったかな?」

「まずあなたが食べ物を飲み込んでから話して下さい。」

 

いろいろ混ざった唾を飛び散らせながら喋っていたプロメテウスは、すまんすまんと咀嚼していたパンを紅茶で流し込む。ダウリチェスカは思わず汚ぇ………と本音を零し、ヴァラブレーカは冷たい目線を向けるが、神はその程度のことは気にしない。

 

「じゃ、今日の予定を確認しよう!まずこの後二人ともに恩恵を刻んであげまーす。それが終わったら、私は一日中店番をしてます。

キールくんにはリーくんの案内で建物の設備を一通り見てもらった後に店番体験をしてもらいます!昼ご飯を食べた後は郊外にある施設を見てきて、一日の予定は終了です!分かりましたか?」

「分かりました~」

「了解です。」

「じゃ、さっそく恩恵を刻もう!二人とも、着いてきて~」

 

 

 

 

 

「ふむ………」

 

 プロメテウスは【ステイタス】の書かれた紙を見つめながら戦慄していた。

 

リージア・ヴァラブレーカ Lv.1

 力 I 0

耐久 I 0

器用 I 0

敏捷 I 0

魔力 I 0

魔法

【】

スキル

敵見必殺(オマエハカナラズココデコロス)

・殺意に応じて攻撃力上昇

・殺意に応じて経験値上昇

 

キール・ダウリチェスカ Lv.1

 力 I 0

耐久 I 0

器用 I 0

敏捷 I 0

魔力 I 0

魔法

【】

スキル

【】

 

(なんじゃこりゃ………)

 

 キールのステイタスは一般的な初期ステイタス、特筆するべきことはない。問題はヴァラブレーカのスキルである。最初からスキルがあるというのも、それがレアスキルであるというのも十二分に驚くべき事実だが、それ以上に刮目すべきはそのスキルの内容である。

 

「リ、リーくん?リーくんってオラリオに来るまでに何してたの?」

「急にどうなさったのですか?」

「これ見てよこれ」

「どれですか………」

 

ヴァラブレーカはプロメテウスにスキルを見せられて納得する。

 

「あぁ、これは………」

「心当たりがあるのかい?」

「私の出身地はケンカする度に殺し合いが起きるような地域でしたからね………私が日頃から体を鍛えていたのも護身・反撃のための訓練の名残です。」

「そ、そういえばきみは北の………ナントカ連邦の出身だったよね。殺人が多いことで有名な。はえぇ………さすがに引くよ………」

「か、神様!僕はどうでしたか?」

「キールくんはこれ。リーくんがおかしいだけだから、落ち込まないで頑張ってね!」

 

ダウリチェスカもヴァラブレーカがおかしいだけなのは理解していたので落ち込むことはなかったが、ヴァラブレーカの殺意マシマシのスキルに些か戦慄を覚えるのだった。




あとがき

 そういえばメンバーの要旨書いてなかったなぁと後悔してます。あっ、ちなみに二人をガチチートにする気はないです。多分ベルくんより上は無理なんじゃないですかね。でもベルくんと共に死地に赴いていただきます。
次回は「縛り」の解説です。ファミリアの持つ研究設備だけで研究し、問題を解決したり兵器を製造しなければなりません


用語解説 スキル:敵見必殺

ロシア風のヤバい環境で育まれた殺意が・・・
ヴァラブレーカと同じ地域出身の冒険者はなぜか強いとかどうとか・・・

ズバリ書き手にはこれが足りない

  • 語彙力
  • 文章力
  • ストーリー構成力
  • 全部足りてる
  • 全部足りてない

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