ただの一般市民によってアイサガが汚された、あの日の屈辱を……
今から数ヶ月前……
西暦202X年3月13日
ホワイトデーを明日に控えたその日……
機動戦隊アイアンサーガで更新が行われた。
今思えば……それはアイサガ史上、最悪の更新だった。
その更新で実装された新パイロット(仮名)
コードネーム:『ハゲメガネ』(グラサン)
またの名を……『ヤクザ・ダオ』
また、それに伴い新パイロットお披露目の為に外伝のストーリーが追加されたのだが、それを見て本作の作者であるムジナは……
「は?」
思わず、台パンしそうになった。(台パンした)
ホワイトデーを明日に控えているにも関わらず、なぜか追加されたのはバレンタインデーイベント。
いや、それだけならまだいい
季節外れとはいえ、バレンタインデーイベントで普段は見られないキャラ同士のてえてえ(ベカス×グニ子やスロカイ×マティルダなど)を見ることができれば、ムジナはそれでよかった……
しかし、問題だったのは
その主役が、クソハゲメガネだったということ
「なんなのです!? このクソイベはァ!?」
ストーリーを読み進めて行くたびに、ムジナは心の底から込み上げてくる怒りを抑えられず、ついに大声を上げてしまった。
要約すると、ギャングクソーとかいう無駄に強い機体を与えられたハゲが、なろう系の如く無双するというもの
しかし、果たしてそれに意味はあったのだろうか?
ハッキリ言って、あんなむさ苦しいチンピラ風情に与える機体をあそこまで強くする必要はなかったのではないだろうか?
そもそも、別にハゲが主役である必要はない
活躍を与える必要もない
当然、無双要素を入れる必要もない
ハゲに与える役割など……
せいぜい、散々使われた挙句捨てられる役で十分だ
(そう、ボロ雑巾のように!)
そして、ハゲのよく分からない強キャラ設定
クッソしょうもないスキル一覧
聞いていて不快になる(吐き気を催す)ハゲのボイス……キャラ個別のボイスミュート機能が欲しいと思ったのはこれが初めてだった。
そもそも、アイサガキャラ同士のてえてえ絡みを期待していたムジナにしてみては、ハゲの活躍などまッッッッッッッたく興味はなかったのだ。にもかかわらず、キモいおっさんの活躍を淡々と見させられた気持ちをどうかお察し頂きたい
この、明らかなクソイベに対し……
しかし、世間からは肯定的な声が多く上がった。
コメントは今回のイベントを絶賛するようなコメントで溢れた。「ハゲとベカスの絡みが良かった」などといった正当な評価コメントから「ダオ! 杉田ァ! 中村ァ!」という意味の分からないコメントを叫ぶヤク中同然の者、そして「ダッチー神!」「ダッチー最高!」とまで呼ぶスーパーイエスマンまで現れる始末。
(スーパーイエスマンニキよ、それは褒めすぎだ)
これだけのイエスマンを仕入れるために、あのヤクザはいったいいくら支払ったのだろうか?
そのイエスマンの群れに浸食されたコメント欄を前に、ムジナの批判コメントは低評価の嵐を喰らい、言論弾圧のごとく批判コメントは自然消滅してしまうのだった。(実話)
だが、敢えて言わせてもらうおう
ハゲメガネよ、お前はダッチーではない
貴様は歪んでいる(それは言い過ぎ)
お前はアイサガには要らない
貴様の存在が、アイサガを狂わせる
貴様はアイサガにいてはならない
ここから居なくなれ!
だからこそ、ムジナは決意した。
「そうだ!クソザコハゲメガネを暗殺するのです!」
(京都に行くノリで)
ハゲの存在そのものを抹消することで、ダッチーにハゲが登場できない状況を作り出そう! ……そう決意したムジナは、意気揚々と準備に取り掛かるのだった。
しかし、リアルでハゲを暗殺するとなると、それは犯罪になってしまう。いくらムジナが人間ではないといっても捕まれば保健所行きで、殺処分は免れないだろう。
しかし、ムジナにはとある秘策があった。
犯罪にならず、かつハゲをアイサガから抹消する方法が
これは、某ヤクザの実装が死ぬほど嫌だった……とある1匹のタヌキのお話
ーーーーー
機動戦隊・リアル・アイアンサーガ
外伝:『ハゲメガネ暗殺計画』
注.
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体とは一切関係ありません。
ーーーーー
中国ー杭州市ー
(ダッチー本社前)
まるで天を貫くかの如くそびえ立つ巨大な建築物。この場所こそ、ダッチーが居を構える宮殿であり、大陸に名を馳せる巨大要塞『ダッチー聖殿』
……通称、株式会社ゲームダッチー
外周は最大口径の水鉄砲(市販)すら弾き返す『コンクリート』製の高さ300mmの城壁(ただの段差)で囲まれており、陸上からの突破を困難なものにしている。(←草)
空の守りに関しても、上空には無数の『ドローン機雷』(蚊取り線香)が吊り下げられ、精鋭揃いの空軍(ヤブ蚊)も恐れをなす、ダッチー本社の上空はまさに死の領域だった。(ある意味で)
また、城壁の内側には壮麗な主城が存在していた。黒い外壁、禍々しさと神聖さを兼ね備えた外観(イメージ)そして主城の周りには拠点防衛用の大口径水鉄砲(市販)を配備した巨大な塔が、ハリネズミの背中を守るハリの如く乱立している(イメージです)。
ダッチーが誕生してから6年(?)足らずの間に、聖殿は幾度となく外敵からの攻撃(シロアリ被害)に晒されてたものの、その都度高い城壁が攻撃を跳ね返してきた。(多分)
西暦202X年3月12日……
バチバチ……バチバチ……
その日、ダッチー本社前は騒然としていた。
大雨が降りしきる中、なんの前触れもなく地面に一筋の電流が走ったかと思うと、次の瞬間には電流は倍々に増殖を始め、眩い光があたりを覆い尽くすと、激しい轟音とともに衝撃波が走った。
電流は地面を削り、白煙を上げた。
そして、電流が収まり風になびく白煙が消えた時……先ほどまで何もなかった空間に、1つの影が浮かび上がった。
それは、30cmほどの小さな影だった。
大きな丸い顔
くりくりとした丸い耳
つぶらな瞳
フサフサとした茶色の体毛
非常に柔らかい大きな丸い尻尾
それはタヌキだった。
1匹のタヌキが地面に膝をついてその場に佇んでいる。
そして、タヌキはあろうことか全裸だった。
(あたりまえです)
「こちらムジナ。ダッチー本社前に到着……なのです」
そう、それは本作の作者『ムジナ(略)』だった。
タヌキをデフォルメした愛くるしいその姿
ムジナはこう見えてBMである。
しかし、ムジナは武装を一切持たず、フレーム効果及び専属能力すら何もない、戦闘では全く役に立たないクソ機体だった。
ちなみに、C級機体に見えて実はA級機体であるのは生産数の少なさからくるプレミア的なもので、ランク自体に意味はない。
しかし、これらはあくまでも表向きの情報
ムジナには隠蔽された真のフレーム効果があったのだ。
そう、それこそがタイムスリップ能力である。
ムジナのご都合主義的な創作力で付与された……いや、ここで理由や具体的なメカニズムを説明する必要ないのです。ただ、ムジナがそういうことができたということさえ理解してくれていればそれでいいのです。
そうして、3月12日へとタイムスリップしたムジナはゆっくりと立ち上がり、目の前にそびえ立つダッチー本社を見上げた。
「これが……ダッチー……」
禍々しいダッチー本社、ただでさえ低い視線から見上げたそれは、無数の魑魅魍魎共が巣くう悪魔城のようだった。
「今から、ハゲメガネ暗殺作戦を開始するのです!」
ムジナの秘策
……それは、アイアンサーガの更新作業が行われる前日のダッチー本社へと潜入し、そこで実装の時を待つハゲの画像データと音声データ、そしてハゲ主役のシナリオを抹消するというものだった。
(元ネタ:ターミネーター)
デデンデンデデン、デデンデンデデン……
チャチャーチャー、チャーチャー(例のBGM)
目には目を、歯には歯を
フィクション(アイサガ)にはフィクション(二次創作)を
リアル(ハゲ)にはリアル(ムジナ)を
そうして、ダッチー聖殿(笑)の恐ろしさに臆しつつも、ムジナは自らに課した任務を遂行するために、ダッチーへの単独潜入を開始するのだった。
しかし、高さ300mmの城壁を中々乗り越えることができず、ムジナの心は早々に折れかけるのだった。(身長30cm)
ーーーーー
3時間後……
ダッチー本社
ー通路ー
警備員「そこにいるのは誰だ!」
ムジナ「ニャーニャー」(⌒▽⌒)
警備員「なんだ、ただの猫か……」
ムジナ「タヌキじゃい!」( *`ω´)
ドカッッッ
警備員「ぐはっ……」
警備員のおじさんは呻き声をあげて昏倒した。
「ふぅ……危なかったのです」
尻尾を鈍器のように扱って警備員を倒したムジナは、額を流れる汗を拭った後、重い警備員の体を苦労しながらゴミ箱の中に隠した。
「はぁ……はぁ……ようやく辿り着いたのです」
(貧弱むーじな)
ダッチーの中は迷宮だった(タヌキ視点)
複雑に入り組み、果てしなく続く長い廊下を迷いに迷いながら、ムジナはようやくその場所へ辿り着くことができた。
ー開発室ー
中国語でそう書かれたドアの取っ手を、掃除用具入れから持ち出してきた箒を使って何とか開けて、ムジナは開発室の中へと侵入する。
開発室の中には誰もいなかった。
いや、今はダッチーそのものが活動を休止していた。先程倒した警備員のおじさんはいいとして、ここまで来るに当たって、受付や会議室、偶然通りがかった社長室にすらダッチーの社員は誰もいなかった。
無理もない、3月といえば例の新型クソコロナで世界中が荒れ始めた時期なのだ。世間は自粛ムードに包まれ、外へ遊びに行くどころか仕事をすることですら控える始末。
仕事をしたくても仕事ができないのはダッチーも同じことなのだろう。密になるのを防ぐために、ダッチーの開発スタッフたちは在宅ワークにて汗水流して頑張っているに違いない。
しかし……
ダッチーに悪いが、ムジナにとっては好機だった。
(ムジナはとことん不謹慎で出来ています)
「思えば……長い道のりだったのです」
薄暗い部屋の中をぴこぴこと歩きつつ、ムジナは1人物思いに耽り始めた。
始まりは、バレンタインイベントが公開された翌日……
その、ダッチーを讃えるイエスマンで溢れたコメント欄に、ムジナは『もっと面白いバレンタインイベを書いてやる!』……と書き記した。先にも述べたように、そのコメはイエスマン共によって低評価の嵐に見舞われるのだが……
その低評価が逆にムジナの心に火をつけた。
いわば、ムジナの戦いはここから始まったのだ。
それから、ムジナは長い時間をかけつつも、かねてからの宣言通り非公式バレンタインイベントを作り上げて小説投稿サイトハーメルンへ投稿した。
(見てない方はそちらも見て頂けると有難いです)
そして、クソコロナで外出自粛を余儀なくされた指揮官様たちのために、非公式お花見イベントを作り上げて投稿した。(あざとい宣伝)
これら2つのイベントを書き上げることにより、ムジナの語彙力は格段に向上(当社比)、さらに鍛えられた語彙力は想像力へと変換され……そして、並外れた想像力はムジナにタイムスリップという能力をクリエイトした!
(ツッコミ不要)
「長かった……本当に、長かった……」
開発主任らしき人のデスクを見つけたムジナは、荒い息を吐きながらも、椅子を伝ってデスクの上によじ登り、パソコンの前へ辿り着いた。
「はぁ……はぁ……ここに……ハゲのデータが?」
パソコンを起動させたムジナだったが……
「うっ……パスワード……」
画面に表示されたそれを見て、ムジナは青ざめた。
そんなもの分かるはずがない
しかも、パスワードは6桁……しらみつぶしの打ち込みを試してみるのもいいが、それでは時間がかかり過ぎる。
パスワード解析なんてできないよ
(ムジナはデジタルデバイドなのです)
しかし、こんなところで諦めるムジナではなかった。こういう時、ドラマや小説なんかではデスク周りによくヒントが隠されているものだ。
そうして、パスワードのヒントを探し始めたムジナだったが、意外なことにヒントはすぐに見つかった。……というか、パスワードらしき数字の羅列が、パソコンの端っこに貼り付けられていた黄色い付箋紙に書かれていた。
付箋紙を手に取り、書かれた数字をよく見てみると……
「い……114514……? このネタ、中国でも流行っているのです……?」
まさかとは思いつつも、入力してみたムジナだったが……画面にはよく見るグルグルが表示され、なんとログイン処理が開始されたではないか
「うわぁ……」
これには流石のムジナもドン引きを隠せない
しかしながら、ダッチーの複雑なセキュリティを突破することに成功したムジナ。後は、クソヤクザに関するデータを全てゴミ箱にポイするだけで任務完了である。
……と、言いたいところなのだが
「読めねぇ……」
デスクトップに表示されたのは英語と中国語だけで、ムジナの母国語である日本語はほとんど存在しなかった。
仕方なく、G●●gle翻訳を使って地道な解読作業を続けること1時間……そうしてムジナはようやく、ダサメガネのデータが保存されているファイルを見つけ出すことができた。
「よし、後はこれを……」
ファイルを一つ一つ、放射線廃棄物を取り扱うかのごとく丁寧に、ゴミ箱の中へ落とし込んでいたムジナだったが……そこで操作を誤って、音声データの一つを再生してしまった。
『◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️!』
(あまりにもグロテスクな音声なので伏せさせて頂きました)
「うえぇ……吐くッッ、これはキモォ……なのです」
しかも、開いたのはよりにもよって、クソハゲが指揮官様を口説く時のセリフだった。非常に●●●●とした、●●●が●●しているような●●●で●●、●●●な誰得ボイス……(お察しください)慌ててスピーカーをミュートにして、それから音声データをゴミ箱の中に入れた。
「よし、これなら……明日の更新を妨害できるのです!」
ゴミ箱に落としたファイルをざっと見直してから、ムジナはニヤリと笑ってマウスを操作し、カーソルをゴミ箱の削除ボタンへと移動させた。
「ハゲは要らない……ハゲヤクザの装填バグといい、ロージェイムのクソドリルといい、ブラドレイの育毛剤といい(とばっちり)、ハゲはアイサガに混乱しかもたらさない害悪なのです」(←偏見)
小さく息を吐いて、ムジナはマウスを握った。
「ハゲ共よ! 己の不幸を呪うがいいッッッ!」
そして、削除ボタンが押されようとした……その時だった
(待って!)
「……えっ?!」
突如として聞こえてきたその声に反応し、削除ボタンを押しかけていたムジナの手が、すんでのところで止まる。
「だ……誰なのです!?」
まさか、始末(生きてます)したはずの警備員のおじさんが蘇ったのだろうか? そう思ったムジナは、思わず声のした方向へ勢いよく振り向いた。
「あ……あなたは、いえ、あなた様は!」
開発室の入り口付近に佇むその人物を見て、ムジナは驚愕した。それは、この場にいるはずがない人物だった……
「な、なぜここに……!? いえ、なぜ止めるのですッッッ!?…………指揮官様!」
ムジナの前に姿を現したのは、アイアンサーガにおける伝説であり、本当の英雄、そして真の主人公である……指揮官だった。
(こんなことは、もうやめなよ)
「いやなのです! 例えあなた様の命令であっても!」
(なんでこんなことを……?)
「それは……」
ムジナはマウスを握ったまま、理由を語り始めた。
「単純に、ハゲが気に入らなかっただけなのです。ムジナにとってアイサガっていうのは、もっとクールで内面ブラック、そしてリアリティーに富んだ近未来SFって感じなのです」
ムジナは大きな尻尾を振り回しながら続ける
「それにも関わらず、そこへリアルの人間をそっくりそのままぶち込むなんて……それはまさしく0と1だけで構成された美しいバーチャル碁盤の中に、突如として現実世界の将棋の駒が攻めてくるようなものなのですよ!」
(どんな例え……?)
「それは日本において2年もの歳月をかけて培われてきたアイサガのブランド力を落とすようなものなのです! いや、クソライマーとかハゲンラガンなんかとコラボしておいて今更ではありますが……とにかく、ハゲの実装は美しく最適化されたアイサガにとっての汚点、いわばシミやガン細胞と同義なのです」
(ゼオライマーとグレンラガンね……そんなに嫌?)
「ええ、嫌なのです! だってあんなチンピラ、アイサガの世界観に合わないでしょ!」
(それはそうかもしれないけど、でもさ……)
「でも?」
(言うて本当は、羨ましいだけなんじゃ……?)
「そ、そんな事はないのです! 確かに、たかがライターの癖してそっくりそのままプレイアブル化されてるというのは『なんでこんな奴が!』ってムカつきましたが、けっして羨ましいというわけではないのです!」
ムジナはブンブンと顔を振って否定した。
「とにかく、ライターはライターらしく文を書いてればそれで良かったのです! なのにッッッ、あんなに出しゃばってくるからッッッ!」
(でも、あの人がアイアンサーガの宣伝をしてくれることで、少なからず興味を持った人が入ってきてくれていると思うよ? ほら、何だかんだ言って有名人だし……)
「それは……そ、そうかもしれませんが……だからこそ、許せないこともあるんですよ!」
(それって?)
「だって、あのハゲ……アイサガの公式生放送に出てるくせして、その後アズレン……アズールレーンの公式生放送にも出てたんですよ!?」
(それが……?)
「何を言ってるんですか! 指揮官様! アズレンといえば、中国産ゲームアプリのシェア1位であり(多分)、アイサガ最大のライバル的なゲームなのです!」
ムジナの語る口調が強くなる。
「それで……アイサガの公式生放送でダッチーのことあんなに褒めちぎってた癖して、ダッチーの見てないところでライバル的存在のアズレンの方にもいい顔してるんですよ!? あのハゲ!」
(まあ、フリーライターだから……)
「甘いのです! それはダッチーに対する裏切り行為なのです! 浮気なのです! 破廉恥なのです!(?)いいですか、考えても見てください……あのハゲがダッチーのことを宣伝して、アイサガに人が増えたとします。でも、その後アズレンの宣伝をしてしまったらアズレンにも人が流れて……あら不思議、結局アイサガは一生アズレンに追いつけなくなってしまうのです!」
(どんな理論……?)
「これはダッチーがあのクソハゲの掌で踊らされているようなものではないでしょうか? ハゲは敵です! アイサガに不幸をもたらす寄生虫……それも、アイサガにとって負担にしかならない害虫! だからこそ粛清するのです! この私、ムジナ・イシュメールがクソハゲを粛清するのです!(大事なことなので2回言いました)」
(それは考えすぎだから……っていうか、別にアズレンに敵わないだとかシェアがどうとか、プレイヤー側の人間がゲームの評価なんて気にしなくてもいいんじゃないの?)
「そ、それは……」
(大切なのは、シェアやレビューでの点数の高さ、ランキングなんかじゃなくて……結局は中身でしょ? そこまで人気のないゲームでも、自分が良いと思ったらそれでいい。わざわざ他のゲームと比べなくてもいいんじゃない?)
「それは……そうですが」
(アイサガにリアルの人物をそのまま登場させたのは暴挙だったのかもしれないけど、どっちにしろ、あの人が何か悪いことをしたわけじゃないし……そんなに嫌わなくてもいいんじゃない?)
「悪いことは、あるのです!」
ムジナはそう言って、控えめに視線を落とした。
(それってどの辺り?)
指揮官がそう尋ねると……
「イベントで、あのハゲがウッドを倒したんです」
ムジナはポツリと、そう呟いた。
(それだけ?)
「それだけとは言いますが! でも、ウッドって合衆国のエースなんですよ! エリカさんのセリフにもヒーロー的な存在っていう記述があるのです」
ムジナは尻尾をバンバン机に叩きつけた。
怒りに流され、感情が昂ぶっているのだろう。
「言うまでもなく、合衆国は広い国です。広い国だからこそ、ウッドの周りには競い合うライバルの兵士も数え切れないほど居たはずです。中には、ウッド以上に戦闘の才能があった者もいたことでしょう」
「そんな中でウッドが合衆国のエースでありヒーローと呼ばれるまでに至ったのは、才能だけではない別の何かがあったからではないでしょうか? それは運や勇気、実戦経験はもちろんのこと……BM操縦の技術、そして戦場における様々な知識、そしてそれを養うための苦労……即ち『努力』を必要としていたのは想像に難くないのです!」
「そんなウッドが兵役もロクに受けていない一般市民のハゲに簡単に倒されるって何ですかッッッ!? 何がバーチャロンで鍛えただァ? 戦争は遊びでやってんじゃないんだよ! しかも気持ち悪い女装をさせられて、挙げ句の果てにいいように使われているのを見ていると、なんかウッドが積み重ねてきた努力を馬鹿にされているような気がして……ぅぅ」
ムジナの瞳に涙が浮かんできた。
「ムジナは努力がなによりも好きな生き物なんです。年寄り臭いだとか、めんどくさいと思われるかもしれませんが、でもこれがムジナの性分なんです……曲げられないのです!」
そして、ムジナは涙で濡れたつぶらな瞳をキッと見開き、小さな手を力強く握りしめ、誰に語りかけるでもなく天を見上げた。
「ハゲ! お前はライターなのだろう? アンタの役割は、アイアンサーガという世界を紹介し、その魅力を広め伝える……その役割の中には、アイサガの世界を生きる者たち一人一人の魅力や生き様を伝えることも含まれているはずだ! なのに、なんだ! これは……ッッッ!」
そう言ってムジナはパソコンの画面を指差した。
そこには、ハゲとの勝負に負けて気持ちの悪い女装をさせられたウッドの姿が映し出されていた。
「貴様のやっていることはキャラクターに対する侮辱だ! 魅力を伝えることが仕事であるライターのやっていいことでない! 中の人ネタ? ムジナに言わせれば、1ミリも面白くなかったんだが? ハッ……たかが現実世界でのクソつまらん個人的な付き合いをアイサガに持ち込むんじゃねぇ! 」
ムジナの怒りは頂点に達した。
最早、いつものキャラすらまともに保てない
「しゃあしゃあと出しゃばりやがって! ああ不快だ……実に不愉快だ。アイサガはてめぇの欲求不満を解消するためのオモチャじゃねぇからな! おとといきやがれなのです!」
開発主任のデスクを尻尾で粉々に粉砕しながらも……最終的にかろうじて自我を取り戻したムジナは、そこで荒い息を吐きながら指揮官に目をやった。
「ムジナの気持ち、分かっていただきましたか?」
(えーっと……)
「はい。あなたに言ってるんですよ? 指揮官様……」
(うん、なんとなく……伝わった)
それを聞いて、ムジナは満足気な表情を浮かべた。
(……けど)
「けど?」
(あのイベントを作ったのは、ダッチーだよね?)
「は?」
指揮官の言葉にムジナは疑問符を浮かべた。
(いや、あの人も監修くらいはしていたと思うけど……実際にネタとか考えて、それでバレンタインイベントを作ろうって決めたのはダッチーなんじゃないかなって……そもそも実装することを決めたのも、ダッチーだろうし)
「へ? それってつまり……?」
(いや、だから……)
「あ……」
指揮官の言葉に、ムジナは全てを察した。
「じゃあ、悪いのはダッチーなのですね」
ムジナはそういうや否や、懐から小型のEMP爆弾を取り出した。それは指揮官の基地から勝手に持ち出してきたものだった。
EMP爆弾はただの爆弾ではない。爆発すると電磁パルスが放出され、人に一切の傷を負わせることなく、効果範囲内にある全ての電子機器に対してダメージを与えるというものだった。
「内部でこれを爆発させ、明日の更新作業を妨害します」
ムジナは血走った目つきで爆弾を高く掲げた。
(待って)
指揮官は、落ち着いた様子でそれを止めようとする。
「止めても無駄なのです! 今の私は阿修羅すら恐れる……」
(あのさ……アイサガできなくなるけど、いいの?)
「あ……」
指揮官の言葉にハッとした表情になったムジナは、
「そうでした。危ない危ない……」
……そう言って、パルス爆弾を体毛の中に戻した。
「はぁ……もういいのです」
ムジナは大きなため息を吐いた。
「今まで溜め込んできたことを全部吐き出したら、なんか興ざめしてしまったのです。だから今回はこのくらいにしておくのです……」
(賢明な判断だね、それじゃあ帰ろうか)
「いえ、ムジナは……」
ピー、ピー
その時、指揮官の持っていた通信機が鳴った。
『指揮官ー、今どこ?』
指揮官が通信機を取ると、スピーカーから女性の声が聞こえてきた。指揮官は少しだけ言葉を選んだ後、返事をするべく通信機を通話状態にした。
(シェロン? どうしたの?)
『今日の約束……覚えてるよね?』
(勿論、覚えてる)
『じゃあ、遅れないでよ? せっかくの映画鑑賞会なんだから……指揮官がいないと始められないんだからね?』
(先に始めててもいいのに?)
『指揮官がいないとつまんない……それに、せっかくこの私がポップコーンなりジュースなり用意してあげたんだからね! みんなはもう来てるから遅れないでよ! 絶対に、絶対にだからね!』
(分かった……それじゃあ)
指揮官は小さく笑って通信を終えた。
それを見て、ムジナはブンブンと尻尾を振った。
「映画なのです? いいですね!」
(一緒に来る?)
「是非! ……と、言いたいところですが……」
そう言って、ムジナは後ろを振り返った。
そこには、怒りに駆られたムジナが尻尾を振り回したことによって、ボロボロになってしまった開発主任のデスクがあった。
「ムジナは明日の朝、ダッチーの社員が出社して来るまでにこれを直さなくちゃならないので遠慮しておくのです。お誘い、ありがとうなのです」
(手伝おうか?)
「いえ、大丈夫なのです。それよりも約束があるのでしょう? ムジナなんかに構わず、行ってください」
(分かった)
そうして、指揮官は開発室から姿を消した。一方、ムジナは暗い開発室の中で1人、黙々とプラモデル用の接着剤を使ってデスクの修復作業を始めるのだった。
こうして、ハゲメガネ暗殺計画は失敗に終わった。
しかし、ムジナにはまだ秘策があった。
そう……それこそが……
【アリーナ防衛単騎編成】(接待)
・機体:『ラーテル』(Cランク、星1)
・パイロット:『ヤクザ・ダオ』(レベル1、ランク1)
・パーツ:『X爆弾』(ヤクザ炎上用)
……以上
「あっははははははははは……ざぁーこ!!!」
所謂、マフィ虐である(リンチ)。
立て続けに送られて来る防衛失敗の通知を見ながら、ムジナは奇妙な笑みを浮かべた。(防衛失敗で喜ぶのは、恐らくこのタヌキぐらいしかいないだろう)
「相変わらず、ハゲ散らかしてんねーーーーwwwww」
おわり
注.
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体とは一切関係ありません。
我ながら、よくこんなしょーもない話を書いたなって思うのです。
でも、実を言うとムジナはそんなにハゲのこと嫌いじゃないです(←は?)
……というのも、ムジナ的にはネタでいじってる風もあったので、そこまで本格的なアンチヘイトではないのです。(一応、ハゲをハゲって言うのは身体的特徴に対するヘイトになるかなって考えて控えてはいたのですが、みんなハゲハゲ言ってるから別にいいかなって)ギャングスターのコメントのところに証拠がありますので、それの内容と書いた日付を見ていただければ納得できるかと(消されてなければ)
まあ、ハゲは嫌いですけど(エビオ構文)
注.
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体とは一切関係ありません。
(大事なことなので2回言いました)
一応、何か意見等がございましたらコメントを(読んでいて不快な気分になられた方がいるのであればご報告を、確認次第、直ちに本作を削除致します)……それでは、またどこかで