ソードアート・オンライン 蒼月の剣聖   作:あこ姫

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お久しぶりでございます。
今回のお話から《アインクラッド編》が始動します。

それではどーぞ。


Episode001 剣のセカイ

 2022年11月6日(日曜日)

 今日は以前より様々なメディアで取り上げられ続けてきたVRMMOゲーム『ソードアート・オンライン』の正式サービス開始日だ。

 今日の13時から開始となる為か『リリースカウントダウンイベント』等周囲は大いに盛り上がっていた。

 そしてソフトとナーブギアを入手した者達は正式サービス開始を今か今かと待ち望んでいた。

 それは、昨日、学校で喧嘩をして制裁までの寸劇を繰り広げた3人組も同様であった。

 

 

 

Side_Kanaho

 

 埼玉県川越市天宮家。

 奏茄鳳と颯樹はカップルと認識出来る程仲睦まじく昼食中であった。メニューはベーグルサンド。

 この二人の昼食がこれの理由は

 

「ゲームをする際に手が汚れないし、食べやすいから」

 

 ……何ともゲーマーらしい理由である。

 

「正式リリースは13時だけど、さーくんはそれまでどうするの?」

「うーん……課題しよっかな。後々に残してたら意味無いし。なーちゃんは?」

「私も課題しようかしら。時間になったら、はじまりの街で合流しましょ。和人もログインするだろうし」

「OK」

 

 そして二人は昼食を食べ終えて片付けをし、13時まで課題へと集中していた。

 

 ……そして、時間が12時55分になる。

 丁度課題を終えたところなので、レポートと筆記用具を鞄に仕舞った。

 その後、私はベッドにダイブしナーヴギアを頭に装着した。

 

 ……このタイミングでインすればちょうどいいだろうね。

 混線によるログインラグも回避できるだろう。

 

 私は正式サービス開始のその時刻を待っていた。開始まで残り3分といったところだが、その時間がとても長く感じられた。

 ナーヴギアの液晶と卓上の電波時計が13:00を表示させた瞬間に

 

「……リンク・スタート」

 

 私は仮想世界へと旅立った。その証拠に周囲の景色がその言葉と共に一変した。

 

 

 鋼鉄城アインクラッド。第1層はじまりの街。

 そこに降り立った私は先ず手を動かしてみる。

 

 ぐー、ぱー、ぐー、ぱー、ぐー、ぱー、ちょき。

 

 ラグは無くきっちり動いている。もしもラグが発生したら戦闘では致命傷だからね。

 後はメニューを開いてステータスにバグとか無いかも確認っと。……特に異常はないから大丈夫か。

 えっと……武器は、βテストの時に使ってたのは削除されてる。つまりは買い直しか……。

 幸い、Colはキッチリ引き継がれているようだ。

 だったら……武器と回復用のアイテムを買っておこうか。

 そう思った私は露店が並ぶ『商店通り』へと向かったのであった。

 

 えっと、買う武器は曲刀に片手直剣……それと細剣かな。

 私は武器の性能を見つつも自分の武器を見繕っていった。

 

 私は『グレートシミター』『ロングソード』『シャープレイピア』を購入し、次は回復のポーション系統の調達へ向かった。

 おっと、そうだ。アレも買っとくか『転移の楔』も念の為に。

 

 ある程度の調達を終えたところで私はサツキとキリト(幼馴染)と合流しようと思ってメッセージを飛ばすためにウィンドウを開いたところで思い出した。

 

「あ、そういえばフレンド登録しなおさないとだっけ。うーん、態々探すのも面倒だしフィールドに出ようかな……」

 

 そう思った私は草原フィールドに繰り出すのだった。

 

 

 草原フィールドに繰り出した私はソードスキルとかの確認を行った。それに伴ってボアを狩って、狩って、狩りまくってた。

 そろそろ帰るか……。そう思った時だ。誰かがこっちに気付いたようで手招きしている。

 つか、アイツ見覚えある顔だな、オイ。

 

「それじゃあ……同じ曲刀使いのソラ先生にお手本を見せて貰おうか」

「オイ、待て。キリト、人をいきなり呼んどいてどういう事?」

「え、そのまんまの意味だが? ほら、実演」

「釈然としねぇ……」

「コレが終わったらスイーツ奢るから! ソラ!」

「うん! 超頑張る! だから見ててよね! サツキ!」

「「(コイツ……チョロインかよ)」」

 

 キリトとあの武士っぽい初心者……えっとクラインさんだっけか。

 うん。思ってる事は大体解ってるからテメェら後で処すから! 

 私がサムズアップすると2人揃って青ざめていた。m9(^Д^)9mザマァ

 サツキは苦笑いしていた。

 その直後にボアが奇襲をかけてきやがったので私は片手曲刀基本スキル『リーパー』を発動させ、ボアをガラス片に変えた。

 

「流石。鮮やかだね。ソラ」

「ありがとね。サツキ。さて、ソードスキルは初動モーションが肝心だよ。クラインさん」

「お、おう。やってみんぜ、ソラちゃん」

「うん。頑張って!」

 

 私はクラインさんの励ましを送る。その時、クラインさんのテンションが明らかに上がってたのは気のせいであろう。

 

「おりゃあっ!」

 

 野太いイケボと共にクラインさんの曲刀が炎の色の弧を宙に描き、片手曲刀基本スキル『リーパー』が突進しかけていた青ボアの頸に命中した。

 既にボアのHPは半減していたのでクラインさんの一撃が止めとなってボアのHPバーは消滅し、その躰が青色のポリゴン片と化して消滅した。

 

「おめでとう。クラインさん。初勝利だね」

「おぅ。あんがとな、ソラちゃん」

「まぁ、その猪は他のゲームだと『スライム』相当だけどな」

「えっ……マジかよ! おりゃてっきり中ボスか何かだと……」

「「「それはない」」」

 

 苦笑しつつも私、サツキ、キリトはクラインさんの言葉を否定した。

 口では茶化してしまったけどもクラインさんの気持ちは良く解る。私もβテストの時の初戦闘後はそうだったから。

 

「それはそうとさぁ……二人共覚悟はいいかな♪」

「「えっ……」」

「二人共……私のこと、『チョロイン』呼ばわりしたでしょ?」

「「(ギクゥ…………)」」

「図星か。……処す」

「逃げるぞ、クライン」

「おう、キリの字。命は惜しいもんな」

 

 逃亡を図るキリトとクライン。

 

「逃がさん」

 

 それを私は何故かアイテムストレージにあった般若面を装備して追いかける。

 

「あ、アハハ……」

 

 サツキは苦笑しつつもそれを追いかける。

 無論、周囲のプレイヤーの注目を集めたのは言うまでもない。

 

 

 

「「酷い目にあった……」」

「自業自得」

「ソラの言うとおりだよ。これはキリトとクラインが悪いよ」

 

 第1層はじまりの街の主街区をゲンナリとした表情で歩くキリトとクラインを私がバッサリ切り捨ててサツキもそれに賛同する。

 

「……でどうするんだ? 此処で休息してもう一度狩りにでも出かけるか?」

「ったりめぇよ! ……と、言いてぇとこだけど、そろそろ一度落ちてメシ食わねぇとなんだよな」

「あー……確かにそんな時間よね。私も一度落ちないと」

「おっ……そうだ。キリの字、ソラちゃん、サツキも俺とフレンド登録してくれねぇか? 何時でもメッセージを飛ばせて便利だしよ。それに、おめぇらにも他のゲームで知り合いだった奴らも紹介してぇからよ」

「私は良いよ」

「僕も大丈夫だよ」

「俺もだよ」

 クラインさんの提案に了承し、私達は御互いにフレンド登録を行う。その後、ログアウトを行おうとした。

「なんだこりゃ……()()()()()()()()()()()()

 クラインさんが素っ頓狂な声を上げる。

 私はそれを聞いてステータス画面のメニューウィンドゥを展開し確認する。

 

 ……確かにログアウトボタンが消滅してる。確か、私はログインした時にはまだ存在していた筈だ。

 

 その時だ。

 街一帯に鐘の音が鳴り響いた。私達はその鐘の音に困惑していると光に包まれた。

 いきなりの閃光に目を瞑ってしまう。

 目を開けた私は何時の間にか転移門広場に居た。

 さっきの光はどうやら転移の物だったようで私達の他にも転移されたプレイヤーが居た。

 直後、【Warnning】【System Announcement】と表示されて何か赤ローブが現れた。

「なぞの赤ローブがあらわれた!」

 とかいう表示が昔のゲームならばあっただろう。まぁ、この状況でこんな事を考えてるのは私だけだろうが。

 

「プレイヤーの諸君、私の世界にようこそ」

 

 赤ローブがそう告げた。()()()()……アイツが晶彦さんなのか? 

「私の名前は茅場晶彦。今やこの世界をコントロール出来る唯一の人間だ。プレイヤー諸君は既にメインメニューからログアウトボタンが消滅していると思う。しかしこれはゲームの不具合などではない。繰り返す。これは不具合などではな《ソードアート・オンライン》本来の仕様である」

 その言葉の後にプレイヤーの困惑の声が上がる。それを無視するかのようにアナウンスは続く。

「諸君はこの城の頂……第100層の紅玉宮に到達しラスボスを倒さぬ限り自発的にログアウトを行うことは出来ない」

 

 その言葉に私は戦慄した。100層……遥か遠いな。βテストの時も未到達だったしな。

「また、外部の人間によるナーヴギアの停止もありえない。それが実行された際。ナーヴギアの信号素子が発する高出力マイクロウェーブが諸君の脳を破壊し、生命活動を停止させる」

「……!」

 

 私はその言葉を聞いて絶句した。

 

「ソラちゃん……どうしたんだ? あんなの、嘘っぱちだろ?」

「そうだぞ、ソラ。そんな事がナーヴギアで出来る訳が……」

「いや……出来るんだよ。あのナーヴギアは。本気でレンチン殺害が可能なの」

「それは……ホントなの? ソラ」

「ええ。紛れもない事実よ」

「じゃあ、あの赤ローブが言ってる事は……」

「認めたくはないけどマジでしょうね。まぁ……その条件は幾つかあるのでしょうけど」

「その通りだ。具体的には10分間の外部電源切断、2時間のネットワーク回線切断、ナーヴギアのロック解除或いは分解、破壊の試み──以上の何れかの条件が達成された時に脳破壊の実行シークエンスが開始される。この条件は外部世界にはマスコミを通じて既に周知済みだ。最も、既にこの警告を無視した213名がこの世界ならびに現実世界から永久退場している」

 

 その言葉に周囲の者は放心状態だったり、この現実を受け入れまいとする者等様々だ。

 キリトもクラインさんもそしてサツキも同様だった……。

 私は何故か冷静だった。もう驚愕が一周したのかもしれない。

 その私の考察をさておいてアナウンスは続く。

 

「また、先程の説明で解るとおり諸君の肉体に影響は無い。安心してゲーム攻略に打ち込んでくれたまえ。しかし、十分に留意して欲しい。この《ソードアート・オンライン》は最早唯のゲームではない」

「もう一つの現実……そうでしょう?」

「ああ。その通りだ。()()()()()()よ。この世界……《ソードアート・オンライン》は諸君達にとってもう一つの現実だという存在だ。……今後、凡ゆる蘇生手段は機能しない。ヒットポイントがゼロになり、諸君の身体がポリゴン片となりアバターが永久に消滅したその瞬間に諸君らの脳はナーヴギアによって破壊される。それでは最後にこの世界が諸君たちの唯一の現実だという事を証拠を見せよう。諸君達のアイテムストレージに私からのささやかなプレゼントが用意されている。確認してくれたまえ」

 

 私は赤ローブ……晶彦さんの言葉に従い、アイテムストレージを確認する。

 そこには《手鏡》の文字が有り、私はそれをオブジェクト化した。

 その直後、本日2度目の光に包まれる。

 光が消える。

 

「お前……ソラなのか?」

「そういうアンタはキリト……?」

「ソラ、キリト……その顔……」

「サツキ!? アンタもその顔……」

「おい、嘘だろ!?」

「「「どうして現実(リアル)の顔になってるんだ!?」」」

 

 私達の声がハモった。

 ついさっきまでβテストの時に作ったアバター顔だったのに今は現実の私……天宮奏茄鳳の顔になっている。

 

「ねぇ……ソラ」

「どうしたの? サツキ」

「さっきの赤ローブが言ってたことって……」

「多分そうでしょうね」

 私の納得に被さるように晶彦さんの声が鳴り響く。

 

「これで『ソードアート・オンライン』の正式チュートリアルを終了する。諸君達の健闘を祈る。追伸だが、般若面の少女に般若面を送ったのはこの私でその理由はなんとなく君に似合うかと思った私の趣味だ」

 

 その言葉の後、私は絶句した。

 その絶句した私にサツキ、キリト、そしてクラインさんの視線が集まる。

 

「てめぇの趣味かよ!!」

 

 と、叫ぶにも叫べずに私はふかーい溜息をつくのだった。




如何だったでしょうか。

ソラちゃんに茅場が送った般若面を一発ネタで終わらさずに以降にもだそうかなと考案中。
まぁ……「青の修羅」とか異名付きそうなフラグ立ってるけど。


それはそれで次回予告。

次回のお話はぶっ飛ばして第1層のお話。
次回のお話でヒロインズが勢揃い予定。
原作では登場してないキャラも出すのでお楽しみに。


最後に謝辞をば。
拙い文章ですけど読了ありがとうございます。
自分のモチベに左右されるから次の投稿時期は未定なのです。
ですが、次のお話を楽しみにお待ちくださいませ。

この作品を読んでの評価・感想をお待ちしております。また、ソラちゃんのイラストもお待ちしております。もしも来れば自分のモチベが上がって投稿間隔が短くなるかもですんでね。

それではまた次回のお話でお会いしましょう。
ばいばいっ(#゚Д゚)/~~

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