曰く、俺は美女三人に殺されるらしい。   作:ジェスタ

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第1話

『ごめんな、さぁ・・・・い! ごめんなさい、ごめんなさい!ウチが、ウチが!もっとちゃんとしてたら、こんなことにならへんかったぁ・・・・!』

 

 

『葵ちゃんのせいじゃないわ。私が、私があなたをわかっていなかったから!わかろうとしなかったからぁ!だからぁ・・・・・!』

 

 

『葵も紫穂も悪くない。悪いのはあたし。ずっと一緒にいたのに気付けなかった。助けてくれたのに、助けられなかった・・・・・』

 

見知らぬ女の人達が泣いている。それも美人。

 

見たことないけどなんか似ているような人たちを知っている気がする。

 

『だから恨むなら、あたしを恨んで。そうすれば、あたしたちはずっと一緒にいられる。あなたはあたしたちのものになる』

 

『今までありがとう。さようなら。あたしたちみんな、大好きだったよ、愛してる』

 

そして、赤髪の人は俺を殺した。

 

 

 

わたくし、北条 徹は齢8歳にして自分の未来を知った。

 

将来、見知らぬ美女三人に殺される未来だ。

 

毎晩見るその夢は、ただの夢から予知であることがわかった。

 

 

予知能力/プレコグ

未来を予知する力。俺にはそれがあった。

世の中には普通の人間いわゆるノーマルと超常的な力を持つエスパーの二種類がいる。

エスパーにも様々な能力者がいて複数の能力を持つエスパーもいる。

予知能力であるプレコグは未来を見ることができる超能力だ。

とは言ったものの、この能力は比較的超能力者が多く、命中率も低いらしい。なら、この悪夢も実現しないのでは?と思ったが、

 

 

「た、頼む!命だけは・・・・・!」

 

「うん?」

 

現在深夜1時。俺はといえば、不良のたまり場とされる近くの廃工場の中で倒れた男たちの中心に立っていた。

服装も黒い帽子に黒いジャンパーに黒いズボン。マスクと伊達メガネもして出来る限りばれないようにした。

 

で、俺がフルボッコにしたこの不良グループ。実はみんなエスパー。それもレベル4から5。

こいつらは超能力を使って強盗やら詐欺やら集団暴行やらとやってきたマジゲスクズども。証拠を残さないため警察も捕まえられないらしい。

不良じゃなくて犯罪グループだった。

で、今ボコボコにされて命乞いをしているのはこのグループのリーダー。

レベル5の複合能力者らしい。

大型トラックを超高速でぶん投げたり、雷や炎を出したりとなかなかいい能力だったが結局ボコった。

 

「ああ、そうだね。あんたたちを殺しはしないよ」

 

「そ、そうか。なら「でも!」・・・フグッ!?」

 

男が言い終わる前に、俺は右手で男の顔を掴む。力強く、逃げられないように。

 

()()()()()()()()

 

「ヒッ! や、やめろぉー!やめてくれ!俺の力だ!俺の!」

 

そんな泣き言を無視して俺は本当の力を使う。

相手の体の中にある力の源というべきもの。それを掴むイメージ。

 

そして、引き抜き、奪う。

 

「やめっ・・・・て・・・・」

 

男は崩れ去る。力を引き抜かれた者はみんなそうなる。

 

俺の本当の能力。それは他者の超能力を奪い自分のものにし、また他者に持っている超能力を渡すことが出来る。奪った超能力は強化される。ストックされた別の超能力と掛け合わせ、新しい能力を創り出すことも出来る。

 

エスパーとノーマルが不安定に存在する世界で異端な力。

 

これを知っている俺のおばあちゃんはAFO。

オール・フォー・ワンと呼んでいる。

 

うん、どこぞの魔王に憧れたボスだよって話。

 

はっきり言って強力な能力だが、俺は死ぬ。

あの予知は俺が複数の低レベルプレコグエスパーから予知能力を得て出てきたかなり高確率のものらしい。

おばあちゃんも起こりうる未来だといっていた。

 

俺は、死にたくない。

だから強くなることにした。

悪人から力を奪い、自分の超能力を嫌う能力開花者から貰う。

そうやって、少しづつ強くなれば殺されずにすむはず。

 

目指せ!安心・安全・安泰・平穏ライフ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、またナイトウォッチが出たんだって」

「今度はあの工場だろ?」

「あそこ、怖いエスパーがいるから近づくなって母さんが言ってだけどナイトウォッチが倒したんだって」

「噂じゃ、また、超能力を奪われたらしいよ。もう、悪さできないからいいけど、奪うなんてちょっと、怖いね」

「何言ってんだよ!アイツは悪いやつを倒してくれたじゃん!?俺の友だちも悪いやつから助けてくれたって言ってたぜ!」

「でも、本当にいい人ならまずは話し合うじゃない?いきなり暴力なんてそれは違うんじゃない?」

 

俺もそう思います。暴力反対!横暴反対!理不尽反対!

でも、ごめんなさい。全ては生き延びるためなんです。俺は死にたくないので。

俺が通っている小学校の教室。表向きはノーマルの小学生である俺は平日の日中は学校に通っている。

 

みんな昨晩のことで持ちきりらしい。

 

話は変わるけど、先程からみんなが言ってるナイトウォッチっていうのは俺のこと。

夜な夜な、エスパー狩り。なんて言うと物騒だから社会貢献活動に勤しんでいたらそんな名前が付いた。

 

 

 

「北条はどう思うよ?」

 

「ほえ?」

いきなり話を振られ、気の無い返事をしてしまう。

 

 

「えーっと、何だっけ?」

 

「だーかーらー、ナイトウォッチだよ!アイツいいやつだよな?悪いやつを倒してくれるヒーローだよな?」

 

「いい人かわからないでしょ?超能力を奪いたいだけかも?もしかしたら、スッゴい悪い人かも。北条くんはどう思う?」

 

ごめんなさい、花井さん。悪い人ではないだろうけど大体合ってます。能力目当てです。死にたくないので。

 

 

「お前はエスパーだから能力を奪われるのが怖いだけだろ!?」

「ち、ちがう!私はそんなんじゃ・・・・」

「まあまあ、落ち着いて・・・・」

 

あー、出たよ。この二人めんどくさいんだよな~。

特に東野くん。エスパー嫌いのはずなのに何故かナイトウォッチの話になると熱いんだよな~。

 

なんかしたっけ?

 

 

「で、北条はどう思うんだよ?」

「えーと、そうだねー・・・・」

 

自分を持ち上げるのは恥ずかしいからなんか適当な感じの事を言えば。

 

「い、いい人だったらいいなーって思う」

 

「だったらじゃなくていいやつなんだよ!」

 

 

何故怒られた?解せぬ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁー。疲れたなー。学校だるいなー」

 

あの後、ナイトウォッチ議論は過熱?を極め最後は先生に注意を受けた。

俺は何もしてないのに・・・・。

 

放課後を俺はそのまま自宅に帰ってきた。

俺の家は近くのマンション。唯一血の繋がりがあるおばあちゃんは一ヶ月に一回電話をしてくれる位で俺は小学生だが一人暮らし。

 

とはいっても、見守りという名の監視状態で防犯カメラや盗聴器、時々目に見えないスーツを着ためちゃめちゃゴツいおじさんが不法侵入?してるしはっきりいってプライバシーもくそもない。

 

早く平穏な生活がしたい。将来は田舎でのんびり生活したいな~。

 

「ただいまぁ~」

気の無い声で帰宅の言葉を言う。別に家にいる人間なんていない。一応、独り暮らしの小学生なんて防犯上よろしくない。社会的にも。

だから、「行ってきます」「ただいま」は言うようにしている。初めは寂しいというか虚しいけど慣れると何も感じなくなるし、逆に一人は楽でいい。

時々、ゴツイおじさんの声で「いってらっしゃい」と「おかえり」が聞こえるのは多分、気のせいだ。

 

ご飯も自分で作れるしお金も毎月貰える。それもなかなか高額。出前を頼んだらお金も代わりにおばあちゃんが払ってくれる。

困るようなことはない。

今日もご飯を作って宿題やって風呂入って洗濯機を回して寝よう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おかえり、あ・な・た!ご飯にする?お風呂にする?それとも、ウ・チ?」

 

 

 

 

拝啓 地下深くでいつも寝ているおばあちゃんへ

 

最近、夢に出てくる女性に似ている関西弁メガネ女子が、帰ってきたらいつもピンクのエプロン着けて毎日同じセリフを言ってくるのですが、何とかしてください。

 

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