ロリ艦隊と異世界転生司令官   作:Red_stone

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第25話 夕食は?

 

 そして、2時間後。

 ”遊び”疲れたユニコーンは指揮官と一緒にビーチベッドで眠った。

 他のメンバーはビーチバレーで遊んだ。

 そして、夜。

 

「どうぞ、魔を統べる者からの貢物よ」

 

 最近中二具合が薄れて来たエレバスが仰々しくも出してきたそれは豪勢だが……明らかにアレだった。

 

「鰻に牡蠣はいいいとして、これは……スッポン鍋か? 何を頼んでいるんだ。というか、魔王にどう依頼したんだ」

 

 指揮官としては少し頭が痛い。

 何を期待しているかなんて、言うまでもないラインナップだろう。

 

「え? エレバスちゃんから精の付く食べ物がいいって言われたから、ヴァーシュレイト様からお勧めされたお店のを空間転移で運んだだけですけど」

 

 そして、羊娘は隠さない。というより、言葉の意味を分かってはいても理解できていない。

 

「なるほど、エレバスの犯行だったか。……くだらないことを頼んですまんな、メア」

 

「いえいえ。私の空間転移なんて、それこそ食事を持ってくることくらいしかできませんから……」

 

 そういう彼女は心なしか頭の横の羊の角が垂れ下がっているような錯覚を覚えた。ちなみに、長門やユニコーンが触ったところ硬いという感想だけだった。

 ちなみに指揮官も触りたがったが、もちろんインターセプトされた。代わりに長門の狐耳を心行くまで触っていたが。

 

「すごい力だと思うよ」

 

「確かに重量や大きさに限界があろうが兵站の常識を破壊できる能力だと思うがな」

 

 この能力は艦船たちには好評だ。

 

「……でも、戦うのは怖いし、皆強くて人間の住むところに行ってもごはんは自分で取ってこれるから」

 

「おいしいもの食べる。それだけでも大違い」

 

 ラフィー。軍事という意味においては艦船たちは一家言持っている。 

 人間が人付き合いを学ぶように、艦船は軍事を学ぶ。否、艦船の場合は生まれた時から知っている。

 

「まあ、おいしいものを食べられるだけでも君の能力は役に立っているよ」

 

 指揮官がまとめた。

 彼としては核爆弾さえあれば十二神将に通用する能力だろうと考えたし、実際にそれさえあれば冥府門番の前には無力でも、死氷降世にはダメージを与えられるはずだ。

 とはいえ、気弱な彼女としてはそういうことを言われても困るだろう。そう考えた指揮官の言だったのだが。

 

「あら? 私の料理の味は口に合わなかったかしら」

 

 エレバスが睨んできた。

 そして、他の子にも睨みつけられる。どうやら他人にナンパみたいな言葉をかけたのが気に入らなかったらしい。

 

 指揮官としては基本的に味方は褒めるスタンス、教育方針といってはおこがましいが”ほめて伸ばす”スタイルだった。

 例えば自分に厳しく他人にも厳しいなどと勘違いしている人間などは、褒めることなど論外で絶対に叱りつけなければいけないと信じているテンプレートもあるが……指揮官はそうは思わない。

 そして、今の言葉はそんな意味しかない。とにもかくにも適当に褒めて話を終わらせただけだったのだ。だが。

 

「……」

 

 少し、天を仰ぐ。

 嫉妬は多少心地よいが、しかし雰囲気が悪くなるのは勘弁だというのが指揮官の本音。

 

「別に、好きにしてくれてかまわない。望むならいくらでも料理を頼めばいいし、作りたいなら作ればいい。……俺は、朝食くらいは皆が作ってくれたほうが嬉しいけど」

 

 指揮官は恥を捨てているところがある。

 まあ、ロリを囲っている時点で今更だ。それが負担になるかもしれないから何も言わなかったけども、この子たちの料理を食べたいというのは本心だ。

 この言葉を吐いた時点で、明日から料理することを強制することになったのは心苦しいけども。

 そう、強制だ。あくまでそっちのほうが好きという形で言ったけど、彼女たちが指揮官の言葉に逆らうはずがない。

 

「……もう。私、別に料理が得意なわけでもないのだけど」

 

 刺したと思ったら、刺されていたという具合だ。顔を真っ赤にしてそっぽを向いている。

 エレバスとしてはちゃんとした料理を前に、少し失敗してしまう自分の料理は恥ずかしい。そして、他の子はそもそも包丁を握った経験すらもない。

 

「別に、俺は豪勢な料理を好んでいるわけでもないからな。……実際、時間がなければこれじゃなくてレーションでもかまわん。正直、食にそれほど興味があるわけでもないのだよ」

 

 これは指揮官となった男の言葉。

 飽食の日本に生まれ、富裕層でなくとも貧乏でもなく、そして男の一人暮らしだった彼の食生活は料理屋かコンビニ中心で、食べることに飽きてしまった。

 高級のは違う? そんなものは興味ないし、そして興味のない人間が食べるならコンビニも高級料亭も50歩100歩だろう。言い換えれば舌が貧しいことになるのだろうが。

 だからこそ、作り手が別なら話も別だ。

 指揮官の興味は食事の雰囲気、そして誰が作ったかにしかない。

 

「……卑怯」

 

 エレバスは顔を赤くしてそっぽを向いた。

 

 もちろん、指揮官が本気で言っていることは艦船たちには分かる。どれだけ見ていると思っているのだ。

 指揮官は嘘は吐かない。

 少なくとも、ただの6人しかいない艦船たちには誠実であろうと心がけている。

 

「……」

 

「……」

 

 一方、他の子たちはどう料理をしようかと相談していたが。

 

「まあ、別に最初はサラダとサンドイッチだけでいいんじゃないか? 俺も手伝うさ。あとは、凝ったものは作りたくなったら作ればいい」

 

 指揮官は適当に鍋から具を取って口に入れる。

 

「ほら、これも味は悪くないぞ。珍しいものだから、味わって食べるといいいさ」

 

 他の子も食べ始める。

 

「……うまい。うまい」

 

 エルドリッジが鰻を一本丸かじりしはじめる。

 きちんと調理されたかば焼きだ。ちゃんと高級店のものだから、質は指揮官が地球で食べていたものとは比べ物にならない。

 

「これも食べるか?」

 

 すぐに食べ終わってしまって悲しい顔をしていたエルドリッジに指揮官が自分の分を差し出す。

 

「ありがと、指揮官」

 

 躊躇なく食べた。

 目を白黒させている子もいるが、やったのが指揮官だから何も言えない。

 

「……で、エレバス。これはなんだ?」

 

 ちゃぽちゃぽ、と瓶を揺らす。

 透明な液体には蛇が入っていた。

 

「なにか、有名な品らしいわ」

 

 彼女は目をそらした。

 

「ハブ酒かなにかか。いや、まあ……そういう品であることは予想がつくか」

 

「お酌するわ」

 

 さらりと奪われ、注がれていく酒。

 

「……」

 

 ちらりと全員を見るけど、目をそらされた。

 どうやら、これを飲みたい子はいないらしい。

 メアはすこし好奇心がありそうだけど。さすがに彼女には飲ませられない。小学生みたいな背格好のくせに、いつのまにか酒を口にしているラフィーとは違うのだ。

 

「はあ。まあ、毒でもあるまい」

 

 杯を干した。

 

 食後、まったりとした時間が流れる。

 皿は全てメアが送り返したから皿洗いの仕事はない。 

 指揮官が廊下で月を眺めていると皆が集まっていた。

 

「……そろそろお風呂に入ったほうがいいわね。私は少し後片付けするわ」

 

 エレバスがキッチンに引っ込んだ。

 

「指揮官、お風呂はいろ」

 

 エルドリッジが抱き着いてきた。

 

「悪いが、皆で行ってくれるか? 後でエレバスと入るから」

 

 台所からガシャンとコップの割れる音が響いてきた。

 

「ん、分かった」

 

 そして、皆は行ってしまう。

 

「し、指揮官……?」

 

 扉の向こうから、こちらを伺うように顔を半分だけ出している。もちろん、顔は真っ赤だ。今日はずっと顔を真っ赤にしている気がする。

 

「あんなものを飲ませてくれたんだ。期待しているんだろう?」

 

「う……それは……だって、みんな望んでいることよ?」

 

「なんだ、エレバスは嫌か? それなら我慢するが」

 

「そんなことはないけれど……」

 

「エレバス。こっちにおいで?」

 

「うう……はい……」

 

 消え入りそうな恥ずかしそうな声で、それでも指揮官の隣に座る。

 

「今日の夜は長くなりそうだ」

 

「……ッ!」

 

 指揮官は横におとなしく座っているエレバスを抱きしめた。

 

 

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