ロリ艦隊と異世界転生司令官   作:Red_stone

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第33話 人間たちの戦い

 

 人類の領域で起こった魔物の大量発生、それに伴い発生した帝国。ゴブリンどもと言えど、上位種であれば人間種には脅威だ。

 文字通りに山ほどいるゴブリングラップラーですら、中級の冒険者にとってはボス当然だ。

 騎士たちはそんな凡俗の冒険者とは訳が違うが、しかしならば脅威でないと言えば嘘になる。その拳は十分に鎧ごと心臓を打ち砕く膂力を持っている。

 

「どう見る、魔王?」

 

「どうと言われてもな。じり貧であろ? 『星』が全ての魔物を殺し切る前に、奴の部隊が全滅する」

 

 少し言葉を切る。

 

「まあ、『塔』が動かなければ、という話じゃがな」

 

 そいつを見る。

 大剣を二つに割ったような形をしている武器を二振り持っている。アニメであれば真ん中からビームでも撃ちそうだが、普通に考えれば非効率極まりない。

 そもそもあんなバカでかい武器を二つも持つことからすでに間違っている。ノーマルなゴブリンなどの柔らかい相手ならまだしも、上位種相手では一本を両手で持った方が良いに決まっている。

 

「……あれは、刺して使うのか?」

 

「いいや。見ていればわかるよ」

 

 魔王はそれの使い方を知っているようだ。

 それもそうだろう、人類と戦い続けてきたのだ。そして、あの男はメアの知り合いを殺している。

 きっと、戦争とはそういうものなのだろう。

 どっちが正しいとか、間違っているとか。そういうものとは無関係に憎しみが連鎖していく。

 

「何を言っているのか分かるか」

 

「……いや。衛星からの監視では音までは拾えない。トレトニアン?」

 

 変な名前だが、管理者の男の名前だ。

 

「いえ、無理ですね。上を向いてしゃべってくれれば解析できますけど」

 

「なら、こちらで拾うぞユニコーン」

 

「ん、わかったよ。お兄ちゃん」

 

 両手を掲げる。手の中に艦載機が現れる。

 一瞬魔族の二人が警戒するが、ユニコーンは気にしない。そのままスピーカーをONにする。

 もちろん、魔族3人目のメアは友達のやることだからと気にしていない。まあ、そのあとで魔王の焦り具合を見ておろおろしだしたが。

 

 彼の声が響く。『塔』の男の声が。

 

「ーー汚らわしき魔物ども。魔族の先兵が、我ら人の領域に土足で踏み込むことは許されないと知るがいい」

 

 荘厳な声。

 莫大な決意と熱量に支えられたその声は、部下を勇気づけるのに十分だろう。そして、彼本人もただの弱者ではないという証明だ。

 もっとも、魔物は魔族とは何の関係もないし、活性化だって十二神将の影響でしかないのだが。まあ、そこは人類にとっては知らないことだ。

 

「祝福の鐘の音を聞け」

 

 身長よりもでかい剣、それを頭の上で打ち鳴らす。

 響き渡るは透き通った祝福の音。魔物の存在を許さない神の御声だ。

 ……つまり。

 

「音叉か、アレは」

 

「既存の概念に当てはめる必要性があるかは微妙だが、まあその通りだろうよ。アレの前には雑魚がいくら群れようとも関係がない」

 

 その通り、なみいる雑魚は音色によって粉砕される。

 震え、共鳴し爆砕して血の花が咲く。

 浸透した魔力が敵に侵入し、敵自身の持つ魔力を利用して強制的に暴発させている。音色を聞けば体の内側から爆発する魔技。

 超広範囲の攻撃と考えれば、すさまじい魔力効率だ。

 なにしろ、敵自身の力を利用して引き裂いているから圧倒的な殺戮に対して消費する魔力は少ない。

 

「……けど、アレでは魔術師すらも倒せない。発散する魔力波を障壁で防げばいいだけ。それに、アレじゃまともに当ててもメアちゃんも倒せないよ。アレで魔族を倒せるの?」

 

「いい着眼点だな、ラフィー殿。だが、『塔』はあくまで一発屋などではない。魔族を殺してきた憎き敵で、認めたくないが実力者だ。見ろ」

 

 『星』が高速で疾走して敵の中心部に突っ込む。

 連続する星の光が敵陣の守りを切り崩そうとひらめくが、障壁に阻まれて止められる。そして、そこは中心部だ。ゆえに最も守りが厚い。

 簡単を志すならば末端から攻撃するべきだった。それなら彼の力でも強引に突破できた。誘いこまれた状態、前後左右から敵が迫る。

 

「よくやった! どけ!」

 

 そして、その後ろから『塔』が飛んでくる。

 『星』がやったのは要するに牽制だ。彼の突撃をサポートするために、あえて突っ込んでみせた。

 

「ええ! お願いします!」

 

「任せろォ!」

 

 大剣を振りかぶり、突き刺した。

 剣が振動し、障壁そのものを破砕する。

 

 つまりがこれが真の使用法。

 共鳴はあれで偽物でもないが、雑魚専用の技だ。

 突き刺し、中から破砕する。どれだけの再生能力を持ってようが身体の全てを一気に破壊するこの技には意味がない。

 

「……破!」

 

 そのままもう一方の大剣を薙ぎ払ってゴブリンメイジどもの頭を吹き飛ばす。

 これでも神器だ、強度は申し分ない。

 そして本人の腕力も。

 

「……奴を殺せェ!」

 

 ゴブリンキングの声が響く。

 数百に及ぶ光弾が彼らを襲う。

 メイジの数だけでも数十はいるのだ。

 

「は! 魔物に俺の命が取れるかよ!」

 

「ああ、人間の力を舐めるなよ」

 

 だが、その程度で殺られるなら隊長など名乗れない。

 背中合わせに全ての攻撃を撃墜する。

 そして、敵は彼らだけではない。

 

「さあ、行ってください隊長!」

 

「こいつらの相手は俺たちが!」

 

 『星』と『塔』の騎士たちが剣と盾でもって押し返す。

 人類の守り手である彼らに恐れも迷いもありはしない。

 命を糧に戦い続ける。ゴブリングラップラーは鋼を素手でへこませる程度の力は持っている。

 訓練した人間でも不可能なことだ。けれど、技術で差を覆す。殺すなら、腕力など首を両断できるくらいのものを持っていればいい。

 

 そして。

 

「さあ、俺が来たぞ魔物ども。泣き、震え、喚いて砕けるがいい。命なき人形どもは塵へ帰れ」

 

 『戦車』が到着する。

 その名の通り歩みの遅い彼は、しかし通り道のすべてを轢殺する。

 まさに戦車。拳の一撃が敵を粉砕し、しかして魔物の攻撃は何一つとして通じない。

 

「もはや後方に憂いはない!」

 

「駆け抜けるぞ!」

 

 星剣が振られるたびに星の輝きが一つの命を奪う。

 音叉剣が振られるたびにゴブリンが10はまとめて爆砕する。

 血と肉の死山血河を築きながら、疾走する。

 

「ーー貴様が王か!」

 

「その命、極彩と散れ」

 

 そして『星』と『塔』はゴブリンキングの元へ到達する。

 

「なるほど。部下共では相手にならんか。ならば、我が相手せねばなるまい」

 

 王が参戦する。 

 指揮官が撲殺した奴でも、一瞬で頭でも腕でも再生力に加え、それこそ戦艦だろうと持ち上げるだけの膂力もあった。

 こいつも同様だ。大体、腕だの胸だの殴りもがれようが構わず攻撃し続ける魔物のどこが弱いのか。

 そして、こいつは帝国を率いるのにふさわしく蛮人スタイルですらない。魔法の鎧を身に着ける強者だった。

 

 

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