ロリ艦隊と異世界転生司令官   作:Red_stone

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第45話 終戦

 

 そして、舞台は指揮官へと戻る。

 

「このまま潰れちゃえばいいのよ」

 

「何もできず、朽ち果てろ。貴様も、そして貴様の仲間も全て黄泉へと打ち捨ててくれる。世界を汚す生命体よ、もの皆すべて消え果てよ。清浄なる世界が」

 

 二体の十二神将が、眼下の指揮官を嘲笑う。

 徒手空拳で、遥か地下の貴様に何ができると。嫌がらせのように岩を投げてもまったくもって意味がない。その程度では焼け石に水ですらない苦し紛れだ。

 

「……いいや。それはどうかな?」

 

 だが、指揮官は勝ちを確信しているかのように不敵な笑みを浮かべる。

 ここからの逆転などどう考えたところで不可能だ。ここから挽回できるくらいなら、最初からピンチに陥ってなどいない。

 

「その強がり、いつまで持つかな」

 

 そう、影法師が呟いた瞬間。

 爆音が連続した。指揮官が持ち得るはずのない攻撃、砲火の音。

 

「我々の勝利だ、十二神将」

 

 厳かに指揮官が宣言した。

 その刹那に爆発する砲撃音。雪の結界を削り取っていく。

 

「……馬鹿な、皆負けたのか」

 

「そんな……ガングニルが負けた!? オルフェウスも……もういないの……?」

 

 彼らの目に映るのは艦船の影。

 陸の上に艦船を鎮座させ、砲撃している。その馬鹿げた火力に彼らが対抗するすべはない。

 消耗した二人には援軍を相手するだけの余力はない。

 

「……がふっ!」

 

 妖精が吹き飛んだ。

 あちらからの砲撃ではない。砕けたダイヤモンドがキラリと光る。

 

「……貴様。どこまでも! 負けたとしても、貴様だけは! ……いない!?」

 

 ダイヤモンドはその辺の土を握りしめてできたもの、目ざとい指揮官が投げた。大したダメージではないけど、ここでこれは精神的ダメージの方が深刻だ。

 指揮官が居た方向を見るけど誰もいない。

 仲間の死を悟った瞬間、諦めてしまった。それを惰弱とは呼べないかもしれないけれど。

 

「死ぬがいい、十二神将。屍を晒せ、無様な最期を見せるがいい」

 

 影法師の胸から手が生える。

 その手は彼の心臓を掴んでいた。

 

「せめて、貴様だけでも道連れに……!」

 

 手を伸ばす。

 頭だけマグマにでも沈めれば倒せるはず、そう考えた。

 

「負けることを考えて、勝てるものかよ」

 

 心臓を握りつぶし、もう片方で頭蓋を砕いた。

 そこまで徹底的に殺されたら反撃も何もない。

 

「……いや。……アルケミスト!」

 

 妖精は顔を覆って叫ぶ。

 

「十二神将、最後の生き残りがそれでは味気ないな」

 

 その小さな身体を握りつぶした。

 勝負は仲間が加勢に来た時点で付いていた。最期を悟って、絶望に身を任せた。自爆してでも傷跡を残すと誓っていたら何かがどうなっていたかもしれないが。

 

「……それでも、仲間は帰ってこないのには変わらないな」

 

 指揮官がぽつりと呟いた。

 最後の生き残りになった時点で諦めるのは指揮官にとっても分からない気持ちではない。もしかしたら、その時には最期の一瞬まで嫌がらせに全力を尽くすかもしれないが……すっぱりと諦めてしまうのもあり得る。

 

「俺たちの勝利だ。皆、母港へ帰還しよう」

 

 そして、外洋へ。

 ほとんど無傷なものも居れば、長門のように重症な者もいる。というか、指揮官も腕が取れている。

 綾波も、外傷こそないが中身はかなりダメージを受けている。

 

 まあ、この満身創痍でも人類に負けるほど弱くはないが……それでも母港が一番手硬い選択肢だ。

 そこは完全に戦術的な判断をする指揮官であった。

 戦略的な判断では、ここを機に一気に人類を掌握する手も有効だったが、あくまで指揮官が興味があるのは6人の艦船だけだった。

 

 

 人類未踏の海域にて母港を係留した。

 艦船もドックに止めてフルメンテだ。その前に全面修理が必要なのもあるが。

 

「……さて、これで我々は安住の地を手に入れた。まあ、先などわからないが危険な害獣は排除した。とりあえずは、警戒態勢を解くことにする。皆、お疲れ」

 

 場所は人類と魔族が不戦条約を交わした畳の間。

 きれいに掃除された畳の上で、指揮官と6名の艦船は酒杯を掲げる。あの時とは違い、上座下座などない。

 というか、全員が指揮官のすぐそばにいるから部屋自体は広いのにそこだけ狭い。

 

「ユニコーン、お兄ちゃんの役に立てた?」

 

「ああ、立てたとも。お前がいなければとても困る。唯一の航空戦力だしな」

 

 頭をなでてやると、ユニコーンは顔を赤らめてうつむいた。

 

「悲しい戦争、これで終わったのかの?」

 

「終わったさ。十二神将との戦争は終結した。もはや魔物王国も発生しない、ガングニルがそう話していた」

 

 長門は力が抜けたようにふわりと微笑んだ。

 

「ラフィーは指揮官に褒めて褒めてポーズしていない……うん、していない」

 

「ああ、ラフィーも偉いな」

 

 彼女の頭をなでてやると、むふーと嬉しそうにする。

 

「敵の魂は私が刈り取った」

 

「エレバスは優秀な狩人だな。助かった」

 

 頭をなでてやると、恥ずかしいのかそっぽを向くが振り払おうとはしない。

 

「V(ブイ)~」

 

 エルドリッジがドヤ顔でピースをしている。

 

「エルドリッジも、よく頑張ってくれたよ」

 

 頭をなでてやると、もっともっとと自分から手をつかんでこすりつけてくる。

 

「指揮官、綾波はあなたに貢献できましたか? 鬼神の力、役に立ちましたか」

 

「ああ、立ったとも」

 

 くしゃりと頭をなでてやる。

 

「ーーまあ、外せなかったハメを外すのもいいだろうな」

 

 割とハメは外しているのだが、戦術的に見ればそうでもなかった。

 まあ、翌日までダメージが残るようなヤり方をしていたが、それでも戦闘行為に支障がないレベルだ。

 どうにもならないレベルまではやっていない。もちろん、外とか昼とかそういう意味では外しまくっていたのだが。

 

「……余は、まだ全身が痛いのじゃがな」

 

 長門が遠い目をする。

 本体をハンマーにして打撃、からの0距離砲撃しての高空からのダイビングはさすがに竜骨を折りかけた。

 

「別に、寝ててもいいんだよ? 俺は特に強制する気はないし」

 

「うぐ……! さ、さみしいじゃろうが……!」

 

 恨みがましい目で見る。

 

「なら、思い切り優しくしてあげる」

 

 そっと抱き寄せる。

 さすがに、全員まとめてなどできなかった。敵がいる状況ではそこまで好き勝手ができなかった。

 けれど、今は違う。

 好き勝手に楽しめる。

 

「じゃあ、ユニコーンが手伝ってあげる!」

 

「綾波も、手伝うです」

 

 淫猥な夜が幕を上げる。

 ここならば邪魔は入らない。誰にも止めることはできないし、艦船の子も止まる気なんてない。

 長門なんて重傷の身で参加している。

 

「……ラフィーはねむい……ラフィーの番が来たら起こして……」

 

 まあ、マイペースな子もいるが。

 ゆえにここが楽園だ。

 冒険は終わりを告げた。後にはめくるめく閉じた愛欲の宴が開かれ、閉じることはない。

 

 

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