敵対勢力は滅ぼした。今や指揮官が具現化した艦船――母港を脅かすものは何もない。それは一つの島ほどにでかく、鈍重なため浮かべておけなかったのだ。そこを狙われては指揮官がひとたまりもなかったから。実際、12神将はその8割が母港を焼き尽くすだけの火力を所持していた。
魔族は半分とはいえ、艦船に従属する立ち位置だ。より正確に言えば不平等条約を結ばされた友好国と言ったところか。そもそも彼らに戦争を継続できるだけの余裕はない。人口が少なすぎて滅亡一直線なのだ。よほどのことでもない限り、ハイハイと頷いておいた方が賢い。
そして、人類。こちらはアズールレーンを魔族勢力と同一視して敵視しているが、まあ戦闘能力はお察しだ。魔族ですら始めから戦うことを諦める戦力差は、人類にとっては絶望的だ。手出ししてきても艦船たちは何ら困らない。……まあ、ハエと同じように潰すのは不満が出るだろうが。
つまり”ここ”母港の中は楽園と言えた。
指揮官とただ6人の艦船だけ……幼い妻たちは欲望のままに、享楽の宴にふけっていた。
「お兄ちゃん。次はユニコーンがいいな」
一糸まとわず、だが妙にべたつく何かを全身に浴びた状態でユニコーンが指揮官に身を摺り寄せる。
完全に分かっている仕草だ。娼婦もここまではしないほどに甲斐甲斐しく、そして隙あらば求めてくる。指揮官としては悪い気はしない。というか、言い出したのは指揮官だったりするのだが……
「……いや、一度風呂に入りたいな」
指揮官は遠い目をしている。エルドリッジ、ラフィー、綾波は似たような状態でそこらで寝息を立てているのを考えれば……まあ当然か。
男が1、女が6で――もう一週間になる。合間合間に寝ているし、風呂に入りながらプレイもしているのだが……
「でも、ここに戻ってきたら同じだよ?」
そう、1週間もぶっ続けでやっているのだ。部屋自体がすさまじく汚れて、匂いも酷いことになっている。
そもそも寝ていられるような有様ではない。
「それでも、ね。そういえば長門とエレバスは?」
「お風呂だよ?」
「じゃあ、一緒にやろうかな……」
「そうだね。喜ぶと思うよ。……でも、始めはユニコーンからだよ? お兄ちゃん」
「ああ……」
指揮官がもぞもぞと動き出す。いつものキビキビとした動きからは遠いが、まあ当然だろう。
というか、赤玉が出ていないのが異常だ。それも艦船の特殊能力ゆえかもしれないが、あまりにもあまりな能力があったものだ。まあ、6人の子たちは嬉しいだろうが。
「あ。一緒に行こう? お兄ちゃん」
ユニコーンが寄り添って支える。完全に睡眠不足で体力も枯渇している指揮官と違い、こっちの子たちは暇な時間が十分あるから寝ていた。
まあ、思考が完全にあっちになっているから、寄りそうにもユニコーンはわざと胸が当たるように支えている。
「――指揮官!」
長門が裸で現れた。緊急というよりも、もう完全に慣れてしまった。まあ、他人が来ればちゃんとするだろう。
……長門は礼儀正しい、悪く言えばうるさい子だ。
現に髪はきちんと乾かしている。
「……どうした? 慌てるような事態などないはずだが……」
指揮官はぼうっとしている。
「うむ。いつもは見れないその顔もいいが、しゃんとしてくれ。魔王が来たぞ」
「……まおー。……魔王か」
記憶をひきづり出す。というか、今の指揮官は6人のこと以外を言われてもよくわからない。
「あ、お兄ちゃん。これ、どうしよう?」
「――とりあえず、風呂か。3人を叩き込んでおいてくれ。この部屋はとりあえず封印しておけばいいだろう」
指揮官は頭が痛いとばかりに額を押さえている。多少は調子が戻ってきたが、その分強烈な疲労感を憶えている。
「あの、お兄ちゃん」
「ユニコーン。後で風呂には一緒に入ってあげる。だが、今は駄目だ。執務室のシャワーを浴びてくる」
「……うん」
少し寂しそうに頷いた。
「長門、悪いが少し奴の相手をしていてくれ。エレバス、身支度を手伝ってくれ。……実はものが二重に見えている」
「指揮官、ヤリすぎよ。まったく……」
「呆れたようなため息を吐いてるが、お前も一緒になって襲ってきたからな? 俺は寝ていたのに、無理やり起こしたんだろうに」
「だって、仲間外れは寂しいでしょう? それにちょっと胸を押し付ければ簡単に反応してくれるのだもの。面白くなって」
「ああ、俺も楽しかったよ。知らせを聞くまではな」
エレバスが指揮官の身支度を整える。シャワーを浴びさせて、新しい服を用意して。……そして、二時間。
「待たせてすまないな、魔王」
以前に会ったのとは別の部屋。一緒にいるメアは物珍しそうに部屋を見渡しているが……魔王は事情を察したのか顔を赤くして目を逸らしている。
かわいいな、と思うと隣にべったりとくっついているユニコーンと長門に足をつねられた。
「いや。アポイントを取らずに来たこちらも悪い。……私でないと見つけられなかったのもあるが」
「ああ、そういえば移動していたか。……海流任せで放置していたな。さすがに事前調査くらいは済ませているが。ユニコーン?」
ブン、とモニターに地図が映る。
「ユニコーンたちは今ここにいるよ、お兄ちゃん」
光点が浮かぶ。マスター権限を持っているのは指揮官だが、母港機能は6人全員が使えるようにしてある。
「――まあ、あまり関係もないか」
すぐに視線を逸らす。予定していた航路はないが、この辺を漂っていればいいというルートがある。もっとも指揮官は頭が痛いから思い出すのをやめたが。
「人類の領域に近づきすぎではないか?」
魔王が聞いてくる。
「なら、そちらに寄せるか?」
「……む」
魔王が口をつぐむ。実のところ、魔王にとっては艦船たちは内部に招き入れるのは嫌だが、外に居られても心配の種になる厄介ものだ。
「――そしたら一緒にいられるね? ユニコーンちゃん」
「うん、そうだね。メアちゃん」
まあ、お子様はそういうところはあまち考えていないようだが。とはいえ、魔王は魔王でロリなのだから、あまりの温度差に笑いそうになってしまう。
「……あの、ユニコーンちゃん。一つだけ、聞いてもいい?」
「うん、いいよ。メアちゃん。なんでも聞いて?」
ユニコーンは何やら重要な情報でもぶちまけかねないが、それで指揮官が怒ることはない。基本的に指揮官はこのロリ艦船達に対して甘々だ。
「ユニコーンちゃんは、なんで指揮官さんにお尻を撫でられてるの?」
子供の疑問だった。魔王は最初から顔を背けていて、なぜそれを言ったという顔をしている。
何も理解していないがゆえに、ダメージは大きい。
「――え? ひゃ。……きゃあ!」
羞恥心を思い出したのか、捲れて下着が見えているスカートを押さえた。もちろん、めくれている理由は指揮官が無遠慮に撫で回していたからだ。
そんな姿を見せていたことに今更気付いてしまった。
「――」
指揮官は目を泳がせている。今更やめたところで時間は戻らないのだが、そのまま黙り込む。居ないふりを決め込んだ。
「えっとね。……あの……これは……違うんだよ?」
語るに落ちたとはこのことである。ユニコーンは顔を真っ赤にしてしどろもどろの弁明を続ける。
「……」
魔王は顔を真っ赤にして横を見ている。加勢はない。
「あの、ユニコーンちゃんはそういうの好きなの?」
「え? あう――別にえっちなことが好きなわけじゃないよ?」
「でも、うれしそうだった」
「……ッ!」
指揮官の後ろに隠れてしまう。
「まあ、そこらへんで勘弁してやってくれ。恋人同士のやることだ。メアも、大きくなったら分かるさ」
素知らぬ顔で指揮官がうそぶく。
「でも、ユニコーンちゃんは私と同じくらいだよ?」
指揮官は黙殺する。魔王が咳払いをする。
「話をしていいか?」
「……うむ。まあ、何か目的があるのなら言ってくれ。別になくとも歓迎するがな」
長門が引き継いだ。彼女は今、指揮官の左に座っている。澄ました顔をして、自分は関係ないと言いいたげな顔をしている。
とはいえ、いつもは完璧な衣装がわずかに崩れている。実は語るに落ちる状態と言うことは、幸いにも魔王にしかバレていなかった。
「ああ、人類の領域に近づきすぎたな。乗り込んでくるぞ」
「――なるほど。速いな、帆船程度ではあの速度は出ない」
「鉄の船と、魔法の力だ。原始人と馬鹿にすると足下をすくわれるぞ」
「確かにな。君たちが知らせてくれなかったら一本取られていたかもしれないな」
彼らが到着するまであと数時間。水平線と言うのは意外と近い。何かしらのセンサーを備えている。
「で、どうする?」
「無論、無傷でお帰り願うさ。……綾波」
「了解したのです。少し、相手をしてくるのです」
「その前に、ひと眠りでもしておくといい」
「指揮官ほど寝ていなかったわけじゃないのですよ? でも、そうですね。皆、少しは寝た方がいいと思うのです」
「魔王はどうする?」
「私も寝ていいか? 空気が甘すぎてやっとられん」
「お好きにどうぞ。……おいで、ユニコーン」
「うん、お兄ちゃん」
指揮官はユニコーンを連れて姿を消す。そして、思い思いの場所で休む。長門は魔王を休めるところに案内して傍で寝ている。ラフィーはその場で寝て、エルドリッジはお気に入りの場所にメアを連れて行って、一緒に眠る。
続くかは不明です。
堕落とユニコーンの赤面シーンを書きたかっただけ……