─────妖怪
それは日本古来より信じられ続けた異常な現象、あるいは非日常、非科学的な存在のこと。別称として
「本当の姿?じゃあ今の妖怪たちってなんなんだ?」
当然の疑問を魔理沙は霊夢に聞く。彼女は良くも悪くも
「今の妖怪たちは
「かく言う私も本来の姿とは違うわ、私の場合は……うん、見ない方がいいわね」
八雲紫も妖怪の1人だ、もちろん本来とは全然違う姿をしている。そも、なぜ妖怪たちは人型なのか、ここに住んで、生まれ育っているものたちは疑問を持たないだろう。
ただ、その真実を知るのは博麗大結界の中核をなす博麗神社と博麗の巫女と、幻想郷を管理する八雲紫、そして当人の妖怪たちのみ。
「? なんで人形に押し込める必要があるんだ?アイツらは結構気のいいヤツらだぜ、必要ないだろ」
「その考え方がまずおかしいのよ」
「は?」
妖怪が気の良い奴。それはまず有り得ない。なぜなら彼らは非現実的な存在なのだから。そもそもが存在しては行けないのだ。
「妖怪とは畏れを糧に生きる他者依存型の生命。そもそも人とは違うの、本来の彼らなら人と気が合うなんてありえないわ」
「そこを解消するためにあるのが博麗大結界よ」
博麗大結界は妖怪たちの権勢を保つためのものでもあり、同時にストッパーでもある。
「人という形を与え、人の考えを与え、妖怪を肯定するのと同時に否定する。それが本来の博麗大結界の役目」
妖怪と人間の共存を目指すためには必要なもの。その為ならば昔の妖怪の在り方は否定されなければならない。
なぜなら彼らは人とは相容れないから。
「……てことはアイツらは過去の自分を奪われてるのか?」
「奪ってないわよ、ただ人として過ごせるように在り方を変えただけ」
それが自分から行ったか、他者が行ったか、それだけの差。大して違いはないだろう。
「それをアイツらは了承してるのか?」
「じゃなければここにいない。そもそもここに流れ着く時点で妖怪たちには他の選択肢はないけれど」
既に幻想郷以外の場所では妖怪たちは生存不可能になってきている。一応ある程度は畏れがあるとしてもそれはもはや雀の涙だ。死は免れないだろう。
「てことでね、彼らは人の姿をしているのだけれど……」
「それが最近、
思わずやーねー、と言ってしまう程度には重要だ。
「じゃあ紫だってあぶねぇじゃん」
「一応私だってその傾向はあるのよ?ただ境界を操れるから問題ないだけなのよ」
人と妖怪の境界を操ればどうということは無い。それがスキマ妖怪なのだから。
「後は自由自在に姿を変えれる封獣ぬえなんかもおそらく問題ないわね。彼女は伝承そのものがあやふやだもの」
平家物語を原典として鵺は存在している。しかし、その姿の描写はあまりにもあやふやだから元の姿というものがもはや分からない。故に鵺は今回の騒動では特に問題がない。
「でも、本来の姿になるって言ったってなにか被害があるのか?」
「あるわよ」
本来の姿になるということは本来の思考を取り戻すということ。
「妖怪なんて自身が決めた生き方や伝承以外なんてどうでもいいのよ。人なんてただの食べ物。このまま放置してたらとんでもないことになるわ」
人里が滅ぶ。それが最低限の被害だろう。ただ、それ以上となると幻想郷以外の場所で暴れてしまう。
「人里がなくなってしまったら妖怪は自身を支える畏れが無くなり、それを防ぐために幻想郷を飛び出て新たな伝承を作ろうと人を襲うわね」
「だけど今の人々はそんなものを肯定しない。おそらく新種の生物として駆除するわよ」
つまり妖怪と人との大戦争が始まってしまう。
「てことでどれだけ酷いことになるか理解したわよね、魔理沙?」
「お、おう……そんな大変なことになってたんだな」
冷や汗がたらりと、頬に流れる。想像したのだろう、人々と妖怪が血を血で洗う泥沼の戦争を。ただ、その想像したものが弾幕ごっこなのはご愛嬌ではあるが。
「じゃあまずは元凶から探そうかしら」
【topic:妖怪】
元々は異形の姿をした化け物。人の姿をしているのは幻想郷に来る過程で博麗大結界が人の形に押し込めたから。本来の姿は伝承にある通りである。
しかし、一部の妖怪は複数の伝承が混ざった存在でもあるため、本来の姿に戻ろうとしたら予期せぬ出来事になるだろう。
【topic:博麗大結界】
博麗神社の巫女が代々維持してきた対妖怪用の結界。その要は博麗の巫女と、博麗神社の社と周辺の森である。そのどちらかが欠けても博麗大結界はまともに機能しないだろう。
ただし、世代交代する時のみ八雲紫が博麗の巫女となることが可能だ。
【topic:幻想郷】
消えゆく妖怪達の安寧の地。どこにあるのかは未だに不明。ただ、忘れ去られていくもの達がたどり着く楽園。その姿は非常に曖昧であり、ありもしない夢を見させる、その名前の通り幻想なのだ。
【topic:現代】
科学が発展し、妖怪の存在は完全に否定された世界。ただし、魂の存在は認められているので、幽霊は意外と信じられている。ついでに超能力者も居たりとなかなかファンタジーしている。