ぼっちが仮想世界にログインしてみた(尚ログアウトはできない模様)   作:クズの小説

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決意と関係

 鐘の音が響くと同時に自分の体を青い光が包み、気づけばはじまりの街の広場にいた。

周りをみると自分以外にも、話しかけようとした情報提供者の二人、他にも...おそらく現在ソードアート・オンラインをプレイしている全員がこの広場に集められているのか。

 

 

 

 いったい何が起こるのか、と戦々恐々としているとだんだんとあたりから文句や不満がこぼれ始めているようだ。

これはそろそろまずいぞ、と思ったとき、

 

 

 

—―—―—―—広場の中心に赤いローブが舞い降りた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パニック状態と言っていいだろう。広場には怒号や悲鳴が響きつづけている。

あの赤ローブ...、いや、茅場昌彦が言うには、このソードアート・オンラインにログアウトボタンがないのは本来の仕様であること。

脱出するためにはこの鋼鉄の城(アインクラッド)を百層まで攻略する必要があること。

そして...この世界でHP(ヒットポイント)がゼロになるということはすなわち、現実での死と同義であるということ。

 

 

 

 実感が湧かないとか、信じられないとか言ってる場合じゃないってのは一早く理解した。ふと、近くで動く気配に気づきそちらに視線を向けると情報提供者...赤髪のおっさんと、黒髪の...女の子?さっきまでは高身長のイケメンだったはずだが...、その二人が広場とは反対の方向に

走っていくので、その後をバレないようについていく。

 

 

 

「あいつの言葉は多分、全部本当だと思う。知ってると思うけどMMORPGでは効率のいい狩場や、リソースの奪い合いが起こるの。そして、このはじまりの街の周辺のフィールドはすぐ狩りつくされて、枯渇しちゃうと思う。

だから、今すぐにでも次の村にむかってそこを拠点にしたほうがいい。私は次の村までの安全なルートを知ってるからレベル一のままでもたどり着ける。」

 

 

「でも...でもよ。前に行ったろ。おれは仲間(ダチ)といっしょに徹夜で並んでソフト買ったんだ。そいつらもさっきの広場にいるはずだ。そいつらを置いては...いけねぇ。」

 

 

「...そっ...か。」

 

 

「...んな顔すんじゃねぇよ!おめぇにレクチャーしてもらったんだし、そう簡単には死なねぇよ!だからお前も安心して行ってこい!」

 

 

「クライン...、うん、わかった。私、行くよ。」

 

 

「おう!気ぃつけろよ!」

 

 

 

 そう言って野武士面のおっさんは広場のほうに戻っていった。...このタイミングだな。

 

 

 

「なぁ、あんた。」

 

 

「っ!?」

 

 

 

 声をかけると黒髪はとても驚いた様子でこちらに振り向く。まぁ、確かにいきなり後ろから声をかけられたら驚くわな。俺ならそのまま失神して失禁するかもしれない。...さすがにそれはないか。ないな。ないよな。でも一応これからは背後に気を付けていくとしよう。

 

 

 

「な、なにか用ですか?」

 

 

「...頼みがある。」

 

 

 

 そういうと黒髪は警戒を目に宿しながら

 

 

 

「内容は?」

 

 

 

 と聞いてきたので、俺は意を決して...

 

 

 

 

 

「お願いします!この層だけ俺にご指導ご鞭撻のほどよろしく出来ないでしょうか!!」

 

 

 

—―—―—―—―土下座を決めた

 

 

 

 

 その後に黒髪がこぼした、「え?」という声がやけによく響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん、いいよ。」

 

 

「本当か。すまない、ありがとう、助かる、略してすまりす。」

 

 

「なんで略したの!?」

 

 

「...女子はなんでもかんでも略すのが最近のブームだと聞いたのだが。」

 

 

「それはデマだってことを教えるのが最初のレクチャーだね。」

 

 

 

 どうにか頼みを聞いてもらえてよかった。さっきの会話を聞いてたときも思ったがこの黒髪の女の子...なんか女子を女の子って呼ぶとそれだけで変態感が増すのは気のせいだろうか...、ではなく、この黒髪はかなりのお人好しのようだ。

なんせ初対面の異性の頼みをさらりと了承してしまうほどだ。これが俺みたいなスーパーウルトラドヘタレ思春期系ぼっちだったからよかったものを。もし俺が女の子大好き万年発情期キモキモネチョネチョおじさんだったらどうするんだ。

この小説は中高生男子の性癖を歪めて犯罪者予備軍を育てたいわけじゃないんだぞ。

 

 

 

「とりあえず、今から次の村に行くから。...そういえば名前聞いてなかったね。私はキリト、君は?」

 

 

「...あぁ、名前はケイ。趣味はゲーム、読書、アイドルプロデュース。特技は...家事全般。」

 

 

「...名前だけでよかったよ?」

 

 

「すまない。名前を聞かれるとつい趣味と特技もいっしょに言ってしまうんだ。」

 

 

「一体どうして!?」

 

 

「...中学校で自己紹介の時に名前しか言わなかったら周りから「空気読めよ...」と言われたから、反省してイメトレを重ねた結果だな。」

 

 

「そ、そっか...。って、そんなことより早く行くよ!ちゃんと付いてきてね!」

 

 

「...そんなこと...、俺の過去がそんなこと...。」

 

 

「ごめんね!早くいくよ!」

 

 

「すぐ謝れるのは美徳だな。急ぐぞ。」

 

 

「(オッケーしたの間違いだったかな...)」

 

 

 

 そんなやりとりの後、俺と情報ていk...キリトは次の村に向かうため、フィールドに駆け出した。

前を走るキリトがオオカミのようなモンスターを鮮やかに仕留める...いやすごいな!武器は俺と同じみたいだし純粋なプレイヤースキルか。

もしやこいつ主人公か?(名推理)

 

 

 

「ねぇ、ケイ。私は生きるよ。生き抜いてみせる。絶対に。」

 

 

 

 キリトが走りながら喋る。...返答は必要なのだろうか。でもこれで返事をせずにいた場合に無視されたとか思われてしまったらこれからの会話に支障をきたしそうなので、足を動かしながら頭も回す。

 

 

 

「...俺も生きるぞ。そのために土下座までしたんだ。」

 

 

 

 そう、なぜ俺が見知らぬ女子に土下座までして同行を頼み込んだのか、と言えば、理由はこれだ。

俺のような初心者(ニュービー)がこのデスゲームで生き残るためにはこの世界のいろはを教えてくれる師匠が必要不可欠だと考えたからである。

自分の生死がかかってるのならば、恥やプライドを捨てるぐらいのことは余裕でやって見せよう。

 

 

 

「そっか...。ふふ、そうだね。」

 

 

 

 なにワロとんねん。「ふふ」なんて笑い方して許されるのは美少女だけ...、いやこの人黒髪ロングの美少女だったわ。許す。

 

 

 

「これから、頑張って生きようね。」

 

 

 

 ...なんだろう。なんか変なフラグが立ってしまった気がする。死亡フラグとかじゃなく、なんというか、こう...俺のSAN値をけずるたぐいのフラグ。

いや、気のせいだろう。キリトに頼んだのはこの層だけでのレクチャーだ。次の層への道が開ければその瞬間霧散するような関係なのだから、気にする必要などないのだ(フラグ強化)。

 

 

 

 けど、そう言ったキリトの声が少し楽しそうに聞こえたのは、気のせいではない...と思う。

 

 

 

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