ぼっちが仮想世界にログインしてみた(尚ログアウトはできない模様)   作:クズの小説

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花付きと旗持ち

 

 

 

 仮想世界での睡眠とはどういう原理なのだろうか。そんな考えても意味がないことを考えてた。目を開いて入ってきた情報はいつも通りの自分の部屋...、ではなく、簡素な部屋。パソコンもスマホもない代わりに右手を振ればメニューが出てくる世界。

昨日は考える暇も気力もなかったが、これから、本当にこの世界で生きていくことなどできるのだろうか。キリトにはあぁ言ったが、正直自信なんてもんは全くない。死にたくないってのは本当だけど、それならはじまりの街にずっと引きこもっておけばよかったのだ。

それなのに、なぜ俺はこんなとこにきてしまったのだろう。キリトは主人公だ。そんな奴に迷惑をかけながらここまで付いてきてしまったのはいったい何故だ?

 

 

 

「(...自問自答して自分の納得のいく答えが出たことなんてないし、考えるだけ無駄か。後悔も反省も今することじゃない。今すべきなのは...)」

 

 

「ねぇ、今何時だと思ってるの?ケイ?ねぇ?」

 

 

「...お昼の12時です。」

 

 

 

 目の前の修羅を鎮めることだ...。ここでゲームオーバーになることはないと信じたい。

...いやまて、そうだ、俺は知っているではないか!怒れる女子の静め方を。思い出すんだ。小学校のころ、後ろにいた女子に気づかずぶつかってしまったときに近くにいた別の女子が「なんでぶつかってんのよ!可哀想じゃん!」と言ってきたときを。

確かにぶつかった俺が悪いよ?でもね、ちゃんとぶつかったあとすぐに謝ったんだよ。ぶつかっちゃった女子も小声でだけど「...大丈夫。」って言ってたんだよ。それで平和的に終わったはずなのになんで状況を悪化させてくんだよ。

絶対俺のこと責めたかっただけだろあの女子。しかもその後ずっと「謝りなさいよ!」って言ってくるのがイラつきを加速させるんだよ。もう謝ったんやが?なんならお前がそう言ってくるからその後二、三回また謝ったんやが?

それなのに耳が聞こえないのか、同じことを永遠と繰り返すし。お前が庇った気になってる女子の顔見てみろよ。可哀想だろうが。

 

 

 

「——―聞いてる?ケイ。」

 

 

「...最近のマイブームは飲み物飲むとき氷を入れたコップに入れることだ。」

 

 

「そんな話はしてないよ!?確かにわたしもサイダー飲むときはそうするけどね!」

 

 

「そんなことより今日はアニールブレードとやらをゲットしに行くんだろう。早く行かないか?」

 

 

「一体誰のせいでこうなってると思ってるのかな...!?」

 

 

「ごめんなさい。」

 

 

 

 キリトの顔がそろそろ般若と化しそうだったので真面目に謝る。美少女でも怒ったら怖いんやな...。

 

 

 

「もう...。今からアニールブレードを手に入れるためのクエスト行くから、ちゃんと聞いててよ?」

 

 

「了解。...どんな内容のクエストなんだ?」

 

 

 

 今まで散々ふざけていたが、この世界...ソードアート・オンラインはデスゲームと化してしまったのだ。慢心などもってのほか。死にたくないならレベル上げやいい装備を手に入れるより先に情報を得なければ。

 

 

 

「(いきなり真面目な顔しないでよ...もう。)えーっと...設定としては村人の娘が病気にかかっちゃてて、それを治すためにリトルペネントってモンスターがドロップする『リトルペネントの胚珠』を取ってくる...ていう感じかな。」

 

 

「ふむ...、それで、そのリトルペネントの胚珠とやらはどんくらいのドロップ率なんだ?ポコポコ落ちるわけじゃないんだろう?」

 

 

「(ポコポコって言った、かわいい。)うん、それが...胚珠をドロップする花付きのリトルペネントがいるんだけど、それのポップ率がかなり低いんだよね...。1%ぐらい。」

 

 

「...けっこうな長期戦になりそうだな...。花付き、と言ったが他にも種類があるのか?」

 

 

「うん。ほかには実付きのリトルペネントがいるんだけど、そいつの実を割っちゃうと周りのリトルペネントがたくさん集まってくるから、絶対に割っちゃだめだからね。もし割っちゃたらすぐに撤退ね。」

 

 

「それは怖いな...。やっぱりクエスト行くの明日からにしないか?」

 

 

「だめだよ。明日もそう言って逃げるつもりでしょ。」

 

 

「...もしかしてソードアート・オンラインには読心術なんてスキルもあるのか?」

 

 

「そんなスキルなくてもさすがにそのくらいわかるよ。...それに、安心してほしいんだけど、実付きのリトルペネントが現れること自体確立低いし、出たとしてもわざと割りでもしないかぎりそうそう割れないよ。」

 

 

「(...もしかして今フラグ立った?)」

 

 

 

 俺はキリトのことを主人公と評したが、どうやらフラグ建築能力も主人公級のようだ。俺も武器のメンテやアイテムの購入・整理は済ませてあるが、それで死ぬ可能性がゼロになるわけでもない。

要は...

 

 

 

「(運次第か...、帰りたい。)」

 

 

 

 そんな儚い願いは通じるはずもなく、前を歩くキリトに黙ってついていく俺であった(まる)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば、ちょっと聞きたいんだけど...、ケイってこういうMMORPGとかって普段からやってたりするの?」

 

 

「いや、基本的にはやらないな。」

 

 

「そうなの?...じゃあ、スイッチとか、そういう用語とかは知らない?」

 

 

「そこらへんはこのゲームを買うにあたり予習したから大丈夫だ。」

 

 

「あ、そうなんだ。けっこう真面目なんだね、意外。」

 

 

「意外とはなんだ、それにそういった用語を知らずにこういうタイプのゲームをやるやつなんているのか?」

 

 

「えぇー?まぁ、いるにはいるんじゃない?よっぽどの初心者さんとかでさ。」

 

 

「ははっ、いるとしたらそいつはよっぽどの世間知らずだな。花付きのリトルペネントよりもレアじゃないか?」

 

 

「それは言いすぎじゃない?まぁ、確かに珍しいとは思うけどね。ふふふっ。」

 

 

「「あははははっ」」

 

 

 

 主人公の周りにいるやつも大抵フラグたてたりするよね、って話。






 キリトちゃんの幼馴染になっていっしょに登校したいだけの人生だった...。
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