不死身の提督の見た地平線   作:消えずの金剛石

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この勢いで行くで?


参日目 いざ、出撃。

 先程金剛達から資材が取れるであろう場所を聞いた僕はその情報を頼りに鎮守府から東に飲み物とポンプ片手に担いでその真偽を確かめたところ。

 そこにあったのは直径五メートル、深さの推定は16メートルの大きな油田であった、でかいね。

 

「これが金剛が言っていた油田かぁ……これだけあれば当分は燃料に困らなさそうだね」

 そう言ってメモ帳に簡易的な地図を書き込んでおく。それにしても……どうしてこの鎮守府には()()()()()()()いないのだろうか? 資料にはここには最盛期に60もの艦娘にがこの鎮守府に所属していたと記載されていたが。

 何故なのだろうか、と鎮守府に戻る道中前任が消えた理由を考える中。

 自分が予想できる理由の一つに最悪の場合が浮かんだ。それは『前任者が非人道的な行為をしていた』可能性だが、正直あまり考えたくないものである。

 だけれど、それを否定できない自分がいる。昨日の金剛の反応と言い天龍の仕打ちと言い判断材料が揃い過ぎていてむしろ不気味なレベルだ。

 それにまだ調べれていない箇所もあるのだ、未だ見つからない営倉もあって不思議ではない。

 ……最悪営倉が拷問部屋と化してる可能性も十分あり得る、そのぬぐい切れない悪寒を感じながら僕は母港に戻ると天龍が正門にもたれかかって待って居るのを発見。昨日はあんなに殺意マシマシで斬りかかって来たのになぁ。

 いや待て。逆に話す必要がある事態が起きたのか、僕はそれを確かめるべく天龍に問いかけた。

「天龍、何が起きたんだ? ()()()()()()()?」

「あぁ、お前が思ってる通りだぜ、提督」

 と天龍はニヒルな微笑を浮かべながら答えた。

「そうか、解った、天龍。金剛を連れて出撃準備を頼む」

 その指示を受けて待ってましたと言わんばかりに獰猛な笑みを浮かべた天龍は任せとけ、と一言僕に告げて去って行った。

 ___さぁ、始めようじゃないか、この不毛な闘いを終わらせるために。

 柄でもなく。けれどそれが当たり前だったかの様に僕は陣形確認と()()の為に駆けるように出撃ゲートに向かうのだった。

 

 

 

 

 出撃ゲートには数分で着いた僕は準備の為に右腕に力を込めて上にかざし、祝詞を告げる。

「我、偉大なる英霊に告げる。今一度、この肉体に加護を授け給へ」

 自身の身体に眠る霊力をフル稼働させ、()()()の名にふさわしい英霊(艦娘)の能力を憑依させる。

 自分の瞳が今回は橙色に変わり髪もセミロングに伸びて、身体が()()に適合するために一時的に作り替わり、巨大な41㎝三連装砲が顔を出す。そして、()()()()()()()()()()

 その直後に天龍と金剛が出撃ゲートにやって来るなり私の姿に驚いていた。

「お前は……提督か? それにその艤装は……アンタ何者何だ?」

 疑念の目を私に向ける天龍とは対象的に金剛は私が纏っている艤装に()()()()()()のか、()()()()調()では無く、確認するかのように問いかける。

「貴女は……まさか……()()()()なの……?」

 彼女の隣にいた天龍は〝まさか”と息を呑んだ。

「ええ、私はかつてこの鎮守府に建造された『戦艦 大和』です。今は彼の身体を借りて一時的に蘇って来ました」

 その言葉で金剛の瞳に移る私があの大和であると認めたのか、彼女の涙袋が僅かながらに湿っていた。

 そう。私は先代の提督、蘇我悪鹿によって捨て艦戦法によって海の底に消えた筈なのだ。だから私もこの状況に少し驚いていた、何故死んだはずの私が再びこれ(艤装)を纏えているのか、呼ばれた直後は内心焦っていたけれど私を呼び出した彼が頭の中で説明してくれた。

(どうして貴女が呼ばれたかですが、それは僕が藤原の一族の末裔で憑依の秘術を使ったからです。出来ればあまり使いたくはないですがね……)

 成程、事情は解りましたが、私を呼んだという事は深海棲艦が出たという事。

ならなすべき事は唯一つ。

「……金剛、今回出現したのは何級かしら?」

「ッ! ええ、そうネ、今回はイ級が二体とホ級が一体ネ」

 その数なら天龍と金剛だけでも対処は出来るけど、彼と繋がっている今なら解る。

 

 ________必ずナニカが起きる、と。

 だからこそ、私はこの予感を確かめる事を選んだ。

「そう……分かったわ、彼が私を現界できるのはそんなに長くないらしいからその海域に行くわよ」

 そう言って私は焦燥に似たなにかを抱きつつ、出撃カタパルトに乗ると金剛達もカタパルトに乗り込んだ。

 深呼吸をして息を整え、合図をかける。

「第一艦隊、出撃するわ!!」

 それを聞いたカタパルトが私達を高速で射出し海域に踊り出る。

 目標海域には五分で着く。

 だが、彼が言うにはこの状態を維持できるのは30分が限度なのでまともに戦えるのは多く見積もって15分。

 敵は駆逐二隻と軽巡一隻、対して私達は軽巡と戦艦二隻。データで見れば勝敗は明らかだけど、慢心をすれば簡単に沈むから油断は禁物であると心に深く刻んでいると天龍が私に問いかけてきた。

「なぁ、大和さん。ちょっといいか?」

「なにかしら?」と応える。

「どうしてかは解らない、けど今しか言えないのなら言わせてくれ。『あの時助けてくれてありがとう』な大和さん」

 私はその言葉に思わず息が止まった。ああ、あの行動は決して間違っていなかったのですね…

沈むまでの苦しみ続けた日々がが不思議に、けれど確かに報われた気がした。

「そう…あなた達だけでも助けられて良かったわ」

私は微笑しながら天龍のお礼に答えた。

さて、そうこうしているうちにそろそろ作戦海域に到着する頃ね。

私は思考のスイッチを戦闘用に切り替える。

「そろそろ作戦海域よ、各員、戦闘用意!!」

そして戦闘体制に移行した直後、深海棲艦が姿を現した。

 

 

 

 

 

 

 

 




如何でしょうか?実は前任が建造されていた大和を憑依させた優斗。しかし、その憑依にもどうにもある制約がある様子。果たして大和たち第一艦隊は無事に帰還できるのか?
それでは、次回、『不死身の初陣』

お楽しみに。
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