不死身の提督の見た地平線   作:消えずの金剛石

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長らくお待たせしました。リアル事情やネット事情でモチベがなくなっていたためここまで遅れてしまいました。


陸日目 やってきた初期艦が思ったより大人な件について

 僕と金剛が事務仕事を終えると、同時。

 盛大にドアを蹴り飛ばす轟音が響き、その中から現れる影が一つ。

「……誰だい?」

 僕はすっと席を立ち、接近しているがまだ見えぬ影に問う。

 そして、その誰かに夕日が刺さってその風貌が明らかになる。

 

 見るからに高身長だと判る肢体、一歩歩くごとに美しく揺れるガラス色のポニーテール。

 しかし、その顔立ちは明らかに不釣り合いに幼く思えた。

 ついに机越しの距離に近づいて来た彼女が口を開く。

「遅れてすまない。……私は響、かつてその活躍から不死鳥と呼ばれている。以後よろしく頼むよ、司令官」

 駆逐艦 響、かつて第六駆逐隊として数々の戦いに参加し、ついた異名は不死鳥。その後ロシアに賠償艦と引き渡されヴェールヌイ(信用出来るという意味)に改名された。

 

「……そうか、よろしく頼む……って外にいた天龍はどうしたんだ響?」

 

「あぁ、天龍さんなら脚力で逃げてきました」

 

あぁ……哀れなり天龍……

 

 そう言って響と名乗る影が姿を現すと、隣にいた金剛がぎょっとした表情で素っ頓狂な声を上げた。

「what!? アナタ本当に響デスカ?」

「うん、()()()()()()()()でこの身体だけどね」

 横で驚いている金剛を余所に思わず、思わず僕は声を出すことを忘れて彼女を見て思案する。

 今姿を現した響は何故か、大人の姿だった。

 士官学校(拷問部屋)の時に駆逐艦は子供の姿で建造されると聞いたが…彼女の言う事情に何かあるのは確かだろう。

 考えても埒が明かないと頭の片隅では考えながら悩んでいると、響が素朴な質問なのだけど、と付け足して机越しに僕を見て言う。

「ところで指揮官。この鎮守府はどれくらいの貯蓄があるの?」

「あはは……」

「デース……」 

 思わず僕と金剛は目をそらす。

「しっかり、『私の目』を見て話そうね指揮官?」

僕の頭を頭をわしづかんで目を向ける響。ややハイライトオフなのが余計に怖いです。

「ええっと……」

 かくかくしかじか、あれあれうまうま。

 

「……なるほどね。つまりははじめっから殆どこの鎮守府には資材がなかったんだね?」

 響は背後のオーラを大きくしながら言った。

「……ハイ。」

 はぁ……と響は頭を抱えた。今すぐこのおんぼろな机が蹴っ飛ばされそうな勢いで。

「つくづく安息地で肥えてる上層部がクソだというのは良く分かったよ。それで、どうするんだい?こんな資材がからっきしな状況で」

 正直、今のこの鎮守府の編成では燃料集めもままならないのが現状である以上、燃料を消費しない人間である僕がこの足で探しに行くほかない。

「それは――」

「まさか自分で取りに行くとか言わないよね?」

 しまった、顔に出ていたのか響が僕の頭をガッチリ掴んでアイアンクローよろしくの万力でギリギリとしてくる。

 とても痛い。

「あ、あはは……ソンナコトハシナイヨ、ウン」

 僕はカタコトでそう言わざるを得なかった、怒らせるとまずいと本能的に感じたから仕方なし。

 一応納得してくれたのか、響はやや不服であるといった表情だが頭をギリギリするのは控えてくれた。

「まったく。君はこの鎮守府の司令官なんでしょ。無駄に身体を張るような真似はやめて」

「はい……」

 返す言葉もございません、これが完膚なきまでの敗北というものなのだろうと僕はやや思考放棄に陥りながら雑な感想が浮かんだ。

 僕が響にアイアンクローされた頭部を労っている間に、響は隣にいた金剛を一瞥し、理解できないといった表情で顔を顰めた。

「それで……君が金剛さんかい?随分派手に問題を起こした挙句ここに捨てられたと聞いていたからどんなものかと気になってはいたけど……なるほどね、色々と()()()()って訳か。どうりで妙な視線を感じるわけだ。」

 響が心底勘弁してほしいと言いたげに頭を抱えて言った瞬間、部屋の温度が下がった感覚がした。

「アナタに、ワタシの可愛い妹たちの何を知ってるというの。劣悪な環境のまま出撃を何度も繰り返して、段々と弱っていき、終いには大破したまま囮として出撃させらてそのまま帰ってこなかったワタシの妹たちのことを……!!」

 一歩、進むごとに空気を重くしていきながら金剛は響に詰め寄る。

 

 それに対して詰められる側の彼女はどこ吹く風で返す。

「そんなの知らないし、知ったところで貴女を助けてあげられることなんてただ祈るだけだよ。」

 それを聞いた金剛が拳を彼女に振りかぶった、が――――

 

 

 簡単にその拳は止められた、赤子をあやす様に。

「温い。だから駄目なんだ、演習場に来て。叩き直してあげる」

 

 

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