少年エルフが前衛で戦いながら支援をするのは間違っているだろうか 作:さすらいの旅人
あらすじに書いてある通り、オリ主のクラスはエトワールです。
今回は以前書いた作品を改編した内容ですが、どうぞ!!
「ただいま戻りました~」
「おお、リヴァン。今日も無事に戻ってきたか」
「ミアハ様は心配しすぎ……それで、収穫は?」
ホームへ戻ると、主神ミアハ様と団長のナァーザさんが俺を快く出迎えた。ミアハ様は笑みを見せながら俺の帰宅を喜ぶも、ナァーザさんはすぐに報酬を渡すよう催促してくる。
「そんなに焦らなくても、今渡しますよ」
対照的な反応だと思いながらも、俺は背負ってるバックパックをドサッと下ろしてナァーザに渡した。その中にはお金――ヴァリスやドロップアイテムが入ってるのを知ってるナァーザさんは、すぐに確認しようとする。
中身を見て満足したのか、ナァーザさんが笑みを浮かべながら言ってくる。
「大収穫。これだけあればポーションも多めに作れる。じゃあ、早速……」
「すまないな、リヴァン。お前一人にダンジョン探索を押し付けてしまって」
ナァーザさんが奥の部屋へ行った後、申し訳なさそうに言うミアハ様に、俺は何でもないように言い返す。
「気にしないで下さい。俺に出来るのはこれくらいなんで」
「単身でダンジョンへ行く度に、数万ヴァリス以上稼いでるそなたが言う台詞ではないぞ」
「本当でしたら、中層へ行けばもっと稼げるんですが……」
「リヴァンは一月前に冒険者になったばかりであろう。いくらお前が並みの冒険者より腕が立つとは言っても、流石にそれはまだ許可は出来ぬ」
「残念です」
窘めるミアハ様からのお言葉に、俺は諦めるように嘆息する。
「それにしても、アークスと言うのは、こうも毎回荒稼ぎする一団であるのか? お前のような年端も行かぬ子供でもアークスになれるとは、恐ろしいものだな」
「まさか。アークスの目的はあくまで惑星の調査であり、モンスターの討伐やクエストはある意味副業みたいなものです」
「……その副業のお陰で私達は助かっているから、何とも言えんな」
複雑そうに言うミアハ様に俺は思わず苦笑する。
もう気付いてるだろうが、俺――リヴァンはオラクルに所属するアークスの一員だ。因みに種族はニューマン……じゃなくてエルフだ。
だがそれとは別に、アークスになる前までの俺は、嘗てウィーシェの森に暮らしていたエルフだった。どう言う理由かは今も分からないが、俺はひょんな事から異世界――オラクル船団へと飛ばされていた。
突然の事に、右も左も分からなかった俺を、とあるニューマンが俺を保護してくれた。その人曰く『君のような存在を、ルーサーに知られたら面倒な事になる』らしい。その結果、俺は孤児のニューマンとなって、保護してくれたニューマンが後見人となって引き取られる事になった。俺の外見がニューマンと一緒だから、その方が好都合だと言われたので。
しかし、ニューマンとエルフの外見が一緒でも、風習や考え方が全く違っていた。だから後見人のニューマンと衝突や反発などしたが、オラクル船団で教育された事で認識を改め、エルフについての風習は全く気にしないでいる。今思えば『エルフ』と言う種族は自尊心が高過ぎる故に、他種族との交流を積極的に行わなかったのがよく分かる。
と、少し脱線しかけたが、後見人のお陰でオラクル船団に馴染んだ俺が次に行った事は、アークスとしての戦闘教育だった。いくら異世界からやってきたエルフでも、自分の身を守る術は持って欲しいとの理由で。言われるがままに様々な学習と戦闘教育を受けた結果、俺は晴れてアークスとなった。そして多くの実戦経験を得て、今は後継クラス――エトワールとなっている。
そんな中、アークスのクエストを終えてオラクル船団へ帰還中に異常事態が発生し、未知の惑星……ではなく、自分が生まれ育った世界へ戻って来た。けれどそこは嘗て自分が生まれ育ったウィーシェの森ではなく、幼少時から聞かされたオラリオと言う迷宮都市だった。しかも探索船がなく、着の身着のままで。
生まれ育った森じゃないとはいえ、元の世界に戻れた事に俺は戸惑いつつも情報収集を行った。しかし情報収集は出来ても、この都市のお金を持ってない為、俺は路頭に迷う事となった。そんな中、目の前にいるミアハ様が身も知らぬ私を拾ってくれたから、恩返しをしようと今は冒険者活動している。
けれど、最初は快く冒険者になろうとは思わなかった。どうやら冒険者になる為には
この世界の住人とは言え、現在アークスに所属してる俺が眷族になる訳にはいかないが、今の状況ではどうにもならないので、敢えてミアハ様の眷族となった。
因みに俺は『Lv.1』だが、それでもアークスの力が使える。その理由としてはスキルと言うものがあるお陰らしい。ミアハ様曰く、他の神々に知られたら絶対面倒な事になる超が付くほどのレアスキルらしい。なのでレアスキルの他に、俺が異世界へ行った事は決して誰にも口外してはならないとキツく言われた。俺としても口外する気は微塵もないので、当然了解済みだ。
ミアハ様の眷族となってから、俺はダンジョン探索やモンスター討伐、更には採取などのクエストをやっている。俺がお金を稼いでいる事もあって、今までまともに借金を返済する事が出来てなかった破産寸前の【ミアハ・ファミリア】は救われる形となったそうだ。
聞いた話によると、【ミアハ・ファミリア】は数年前までは中堅クラスだったみたいで、ある事件によって莫大な借金を負って没落したらしい。その理由は……ここで言うべき内容じゃないから、今は割愛させてもらう。
まぁとにかく、俺がミアハ様の【ファミリア】に所属する事によって、借金は少しずつ返済出来てるようだ。事情はどうあれ、俺を拾ってくれたミアハ様に恩返し出来るなら、これ位はお安い御用だからな。
「ああ、そう言えば今日も彼女が来てたぞ。今日も無茶をしていないか、とな」
「またですか」
思い出したように言うミアハ様の台詞に俺はゲンナリと嘆息する。心配そうな顔をするあの人の顔を思い出しながら。
誰の事だと思うだろうが、その人は俺の従姉だ。森に住んでいた頃は俺を実の弟みたいに接していたが、俺が行方不明になった事で大泣きしたそうだ。
そして年月が経ち、俺がオラリオで冒険者として活動をしようとダンジョンに入ろうとする直前、【ロキ・ファミリア】の冒険者――レフィーヤ・ウィリディスこと、レフィ姉さんと再会した。俺の事を憶えていたのか、レフィ姉さんは人目も憚らず号泣しながら、そのまま俺に抱き付いてきた。俺も俺でレフィ姉さんに会えたのは内心嬉しかったよ。
感動の再会と言う事で、ダンジョン探索は急遽取り止めとなり、店の個室でレフィ姉さんに俺が森で突然行方不明になった後の事を説明した。流石に異世界に行ってアークスになったとは言えないので、当たり障りのない説明をした。森を出た際に事故が起きて、見知らぬ場所で彷徨ってた所を、とあるエルフに保護してもらっていたと。
本当だったら、嘘偽りなく話したかった。だけどレフィ姉さんは【ロキ・ファミリア】と言う都市最大派閥のファミリアに所属しているから、ミアハ様の約束もあって誤魔化す事にした。聞いた話によると、レフィ姉さんが所属してる主神は凄く厄介な神物だそうだ。万が一にレフィ姉さんが喋ってしまったら、その主神は根掘り葉掘り聞き出そうとするだろうとも言っていた。
流石にそれは勘弁して欲しいと思った俺は、申し訳なく思いつつも隠す事にした。いつか話せる日が訪れるといいなと思いながら。
その後、俺が新米冒険者である事を知ったレフィ姉さんは、自分と一緒に行こうと誘ってきた。『ここは冒険者の先輩として、私が見てあげます』と言う理由で。
俺としてもそれは好都合だったので了承し、ここで自分の実力を見せるいい機会だと思って披露したんだが――
『ちょ、ちょっと待って、リヴァン! ぼ、冒険者になったばかりなのに、どうして上層のモンスターを簡単に倒せてるの!? というか、その武器どこから出したの!? 詳しく説明しなさい!』
雑魚モンスターを瞬殺した不味かったのか、レフィ姉さんが信じられないと言わんばかりに詰問された。取り敢えずは、後見人のエルフに鍛えて貰ったからと言ってやり過ごしたが。
それからと言うものの、レフィ姉さんは何度も何度も俺と一緒にダンジョンへ行く事となった。身内でも他所の【ファミリア】の俺と一緒にいて問題無いのかと訊いてみたが、当の本人が『自分の事は気にしないでいい』だそうだ。
しかし、【ロキ・ファミリア】の遠征が近いのか、ここ最近は俺一人で探索している。それでもレフィ姉さんから『いくらモンスターが弱くても、決して中層には行かないように』と言うお言葉を貰っている。ミアハ様と同じ事を言ってたので思わず苦笑した。
「そう嫌な顔をするでない。お前を心配して来たのだからな」
「分かってはいますが……」
あの人はまだ昔の事を引き摺ってるのか、姉として弟を見守る義務みたいな感じが強い。
まぁ、今まで行方不明だった従弟の俺と急な再会をしたから、それは当然と割り切るしかないか。
さてと、少し早いけど夕飯の支度をするか。
「そうだリヴァン、忘れるところであった」
リビングへ行って夕飯の支度をしてる最中、一緒に手伝ってるミアハ様が思い出したように言ってきた。
「何をですか?」
「最近、私の神友ヘスティアが初めて
「へぇ」
ミアハ様と同じ神であるヘスティア様の事は知っていた。その女神は現在ジャガ丸くん販売のバイトをしてるとか。色々と突っ込みどころはあるが、敢えて触れないでおく。
やっと出来た眷族が俺と同じ少年、ねぇ。そいつと仲良く出来るかな?
「問題無い。ベルは礼儀正しく、誰とでも仲良くなれる少年だ」
「さり気無く人の考えを読まないで下さいよ、ミアハ様」
「ははは。それはすまなかったな」
俺の突っ込みにミアハ様は笑いながら謝ってきた。
「それでだ、ベルはお前と同じくオラリオに来たばかりの新参者でな。リヴァン、もしお前が良ければ、今度ベルと一緒にダンジョンへ行ってもらえぬか?」
「ええ、良いですよ」
種族は違っても、同い年の男と友達になるのは全然問題無い。寧ろ、最近口煩くなっているレフィ姉さんより遥かに良い。
ベルって奴と会うのが楽しみになってきたと思いながら、俺はミアハ様、そして後から来たナァーザさんと一緒に夕飯を食べ始めた。
次回は何とかエトワールの戦闘話に持って行くつもりです。