少年エルフが前衛で戦いながら支援をするのは間違っているだろうか   作:さすらいの旅人

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今回は幕間的な内容です。


少年エルフ、リヴェリアと談笑する(+エルフから睨まれる)

 別行動を終えベル達と合流した後、神ヘルメスの奢りとして昼食を頂く事となった。

 

 18階層名物『ダンジョンサンド』と言うパン料理なのだが、この階層にある果物を惜しみなく使った甘い物だった。当然、あの激甘な雲菓子(ハニークラウド)も使われている。思わずベルの方へ視線を向けると、予想通り誰にも気付かれないようにこっそりと逃げていた。甘い物が苦手なベルにとっては、拷問も同然だから食べたくない気持ちは理解してるので、俺は敢えて気付かない振りをして見過ごした。少ししてからベルがいなくなった事に気付いたみたいで、アイズやヘスティア様もいつの間にか後を追うようにいなくなったのは言うまでもない。

 

 リヴィラの街で観光を終えた俺達が野営地に戻ると、丁度良く『昼』の時間が訪れた。

 

 天井に咲く白水晶と青水晶の光の強さが増してる事により、『朝』と違って階層内の明るさがガラリと変わっている。その瞬間、北の遠方からモンスターの遠吠えが鳴り響いていた。この18階層では当たり前の出来事らしい。

 

 そんな中、ティオナさんが水浴びをしに行こうと提案していた。体を洗いたい事もあってか、殆どの女性陣が行く事となり、男性陣は当然居残り組となる。因みにレフィ姉さんは何故か分からないが、生ける彫像みたいな状態だったが、彼女達に付いて行った。

 

 ベル達と一旦別れた俺はフィン・ディムナ達に戻って来た事を報告しに行った。『そこまでしなくてもいいのに』と三人から苦笑されたが、世話になっている以上は最低限の事をしなければならないと言い返す。

 

 そして今は――

 

「ほほう、ベルはそんな勇敢に戦っていたんですか」

 

「ああ。あの戦いは第一級冒険者(わたしたち)にとって、少々眩しかった」

 

 王族(ハイエルフ)のリヴェリアと仲良く談笑していた。

 

 昨日の夕食時にヘスティア様が来る前、ベルがミノタウロスと戦った内容を聞かせてもらうよう約束していた。リヴェリアも当然了承済みだ。

 

 勿論、忙しいなら後日でも構わないと確認は取っている。『解毒薬を調達している団員が戻って来るまで、何もやる事はないから付き合おう』と言われたので、野営地で和気藹々と談笑している。

 

 自身を王族(ハイエルフ)としてでなく、一人の冒険者として接する事が嬉しいのか、リヴェリアはとても気分が良さそうに語ってくれた。俺が時折疑うように茶化すも、『私が嘘を吐いていると思っているのか?』と睨まれたので、『冗談ですよ、リヴェリア』と言い返す。

 

「あの同胞の少年、先程からリヴェリア様に度重なる不敬な態度を……!」

 

「しかも呼び捨てにするなんて……!」

 

 そんな俺達の会話に、水浴びに行っていない女性エルフ数名が此方を睨んでいた。リヴェリアが此処に居る事もあって残っているんだろう。

 

 俺が馴れ馴れしい態度を取っている他、リヴェリアを呼び捨てにしている事に我慢ならないと既に猛抗議された。特に一番怒っていたのはアリシアさんと言う同胞(エルフ)の女性だ。その後にリヴェリアから睨まれて一喝された事により、今はああして少し離れた所から睨むだけに留まっている。

 

 どうでもいいけど、アリシアさんの声って何だかウチの団長(ナァーザさん)と似ている気がする。具体的に言うと、ナァーザさんより声が少し高めな感じだ。

 

「はぁっ、全く……。レフィーヤだけでなく、アリシア達にも困ったものだ」

 

「まぁそれだけ、貴女を尊敬しているって証拠ですよ」

 

「私としては、あれほど過剰に尊敬されると逆に困るのだがな」

 

 心底困っていると嘆息するリヴェリアに、俺は思わず苦笑してしまった。

 

 もし俺がオラクル船団に飛ばされると言う事態が起きなければ、レフィ姉さんやアリシアさん達と同様にリヴェリアを崇拝していただろう。

 

「因みに俺みたく普通に話せる同胞(エルフ)は他にいますか?」

 

「いるにはいるが、生憎とその者はオラリオにいない。今は偶に手紙でやり取りするだけだ」

 

「そうですか……」 

 

 その人とは一度会ってみたかったが、それは叶わないようだ。

 

 すると、リヴェリアがふと思い出したような表情となって俺に尋ねようとする。

 

「ところで、リヴァンに聞きたかった事がある」

 

「何でしょう?」

 

「以前にアイズから報告があってな。何でも、お前が全身に浴びたミノタウロスの返り血を一瞬で消す魔法を使っていたそうだが」

 

「………ああ」

 

 他所の【ファミリア】に見せた記憶があったか思い出していると、確かにアイズに見せた事があった。

 

 あの時は嫌な臭いや返り血を早く消したかったから、アイズやベート・ローガの目の前で長杖(ロッド)――ビーチシェードを出して、アンティを使ったんだった。

 

 我ながら迂闊な事をしてしまったと後悔した。しかも相手は【ロキ・ファミリア】だから、下手に情報を公開すると色々面倒な事になってしまう。

 

 今は毒などの異常状態を治す事は知らないみたいなので、此処は一先ず消臭用の魔法として誤魔化すか。

 

「アレは一応治療系統に属する魔法なのですが、単に返り血や体臭などを消すだけなんですよ。冒険者からしたら役立たずな魔法でして……」

 

「いや、そんな事は無い。女性からすれば非常に羨ましい魔法だ。特に女性冒険者ほど喉から手が出るほど欲しがる筈だ。ダンジョン探索を行う際、常に臭いで悩まされるからな。因みに私もその一人だ」

 

 確かに。ダンジョン探索すればモンスター臭などの嫌な臭いが身体に染みついてしまうから、大抵の女性は嫌がるだろうな。俺としても嫌だから、臭いが気になる時はアンティを使って消している。

 

 アンティは本来毒などの異常状態を治すテクニックだが、対象者を健康状態にさせる便利なものでもある為に日常でも重宝する。それに故に俺はテクニック搭載武器のビーチシェードを所持して、いつでも使える状態だ。

 

「もし良ければ、一度その魔法を私に見せてくれないか?」

 

「喜んで披露しましょう。……と言いたいところですが、生憎と俺は【ミアハ・ファミリア】の眷族です。いくら【ロキ・ファミリア(あなたがた)】に一宿一飯の御恩があるとは言え、流石に無理ですね。その代わりと言っては何ですが、現在我が【ミアハ・ファミリア】は新商品の回復アイテムを――」

 

「貴方と言う人はぁ!」

 

 リヴェリアからのお願いを丁重に断りながら別の提案をしていると、途端にこちらの様子を伺っているアリシアさんが我慢出来ないと言わんばかりに割って入って来た。

 

 その声に思わず振り向くと、彼女だけでなく、他の女性エルフも殺気立ったような目をして睨んでいる。

 

「先程から黙って聞いていれば、王族(ハイエルフ)であるリヴェリア様に対する度重なる無礼な態度を取るだけでは飽き足らず、頼みまで無下にするとは何事ですかぁ!?」

 

 おお怖っ。流石はリヴェリアを尊敬している同胞(エルフ)だけあって、凄まじい怒りを感じる。アリシアさん以外の女性エルフ達も含めて。

 

「アリシア、私とリヴァンの会話に口出しをするなと言った筈だぞ」

 

「申し訳ありません、リヴェリア様。お叱りは後ほど甘んじてお受けいたします。ですが、もうこれ以上黙って見過ごす事は到底――」

 

 お咎め覚悟の上で抗議しに来たアリシアさんに、先程まで気分良く会話をしていたリヴェリアの機嫌が一気に悪くなっていく中、野営地全体が突然騒がしくなってきた。

 

 

『白髪野郎がアイズさんの水浴びを覗いたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』

 

『あ・の・クソガキィイイイイイイイイイイイイイイイイイイィッ!!』

 

 

 叫びの内容を聞いた俺は思わず固まってしまった。

 

 ……え? 何? 白髪野郎って……もしかしてベルの事か?

 

 ベルがアイズの水浴びを覗いたって……嘘!? アイツ何やってんだ!?

 

 男女問わずに騒ぎだす【ロキ・ファミリア】冒険者達の叫びに、俺だけでなくリヴェリアやアリシアさん達も戸惑いの表情となっている。

 

「おいおいリヴェリア、何なのだこれは……一体何が起こっているのだ?」

 

「そんなの私が聞きたいぐらいだ……」

 

 すると、さっきまで出掛けていたと思われる女性がリヴェリアに聞いていた。確か彼女は昨日ヴェルフに絡んでいた女性()()()だったな。

 

 そんな中、物凄い形相となって殺気立っている団員達が武器を持って動き出そうとする。

 

 あの連中が万が一に本気でベルを殺す気で襲い掛かるなら、俺が全力を持って阻止するとしよう。

 

 それと、何でこんな事態になったのかを確認しようと、一旦リヴェリア達と別れて事情を知っている人に聞きに行く事にした。




 普通のエルフでしたらリヴェリアを崇拝しますが、この作品のオリ主リヴァンはオラクル船団で暮らした事で考え方や価値眼が大きく変わっています。

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