少年エルフが前衛で戦いながら支援をするのは間違っているだろうか   作:さすらいの旅人

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今回もダンメモ編です。


ダンメモ編 少年エルフ、従姉と一緒にダンジョンで王族妖精と商売敵に出会う①

「そう言えば、この前のアレは一体――」

 

「お願いだから聞かないで!」

 

 レフィ姉さんのアイドル活動を目撃して数日後。俺はいつも通りダンジョン探索をしていた。

 

 今回は単独(ソロ)で中層へ行くつもりだったが、偶然にもレフィ姉さんと鉢合わせてしまい上層に留まっている。

 

 もし言ったら、『一人で中層に行くのは危険過ぎる!』と言われるのが目に見えてた。なので今回は中層を諦めざるを得なかったから、上層で鍛錬をしてると誤魔化した。

 

 因みにレフィ姉さんは誤魔化した俺と違い、上層で基礎訓練をしている。この前の遠征で色々と思うところがあったみたいで、一度基本に戻って見つめ直そうと言ってたので。

 

 お互い上層にいると言う事もあって、久しぶりの従姉弟コンビで探索となった。

 

 その途中でさり気なくアイドル活動について聞くも、本人は思い出したくないと言わんばかりに拒否されて今に至る。

 

「じゃあ質問を変えましょう。そもそも何であんな事をする破目になったんですか? 俺の予想では、そちらの主神から強制的に指示されたと見てますが」

 

「うぅ……更に加えて、他の神様からも言われたの」

 

「あぁ~、それはまた……」

 

 予想は当たっていたみたいだが、どうやら神ロキ以外の主神も噛んでいたみたいだ。大変気の毒としか言いようがない。

 

 拒否しても強制的にやらせるって……この世界の神々は本当御構い無しだな。俺の主神がミアハ様で良かったとつくづく思う。

 

「レフィ姉さん、もし神ロキが嫌になったら……俺がいる派閥(ファミリア)改宗(コンバージョン)しますか? ウチは零細だけど、ミアハ様はとてもいい御方だから」

 

「……ありがとう。考えておく」

 

 断り文句を言ってるけど、少しばかり間があった。案外、本当にやろうと思っていたかもしれない。

 

 そんなこんなで上層にいるモンスターを倒して進んでいる中、予想外の人物と出会う。

 

「リ、リヴェリア様!?」

 

「レフィーヤか? こんな上層で訓練をしていたのか?」

 

「あれ、テアサナーレさん?」

 

「お久しぶりです、ウィリディスさん」

 

 出会ったのは【ロキ・ファミリア】の王族妖精(ハイエルフ)――リヴェリアと、その隣に【ディアンケヒト・ファミリア】のヒューマン――アミッドさんがいた。

 

 上層で出会う事の無い大物二人に、レフィ姉さんと俺は驚きの表情になっている。

 

「リヴァンは18階層以来だな。元気そうで何よりだ」

 

「その節はお世話になりました、リヴェリア」

 

 リヴェリアが此方へ視線を向けたので、俺は以前の事を思い出しながら礼を言って頭を下げた。

 

「ちょ、ちょっとリヴァン! リヴェリア様を呼び捨てにするのは――!」

 

「レフィーヤ、私は構わないと前から言ってる筈だ」

 

「これは驚きました。まさかウィリディスさんが、ハイエルフのリヴェリア様をそう呼ぶとは意外です」

 

 慌てながらも窘めようとするレフィ姉さんをリヴェリアが窘めてると、一緒にいるアミッドさんも少し目を見開いて言った。

 

 エルフの諸事情を知ってるアミッドさんからすれば、ハイエルフを呼び捨てにした俺は完全に予想外だろう。

 

「そ、それで、リヴェリア様達は、どうしてこんな所に……?」

 

 レフィ姉さんは話題を変えようと、二人が何故この上層にいるのかを尋ねた。それに合わせようと、リヴェリアが答えようとする。

 

「ああ、アミッドの護衛だ。これから20階層まで向かう」

 

 え? リヴェリアがアミッドさんの護衛? それはちょっと不味いんじゃ……。

 

「ご、護衛って……リヴェリア様だけでですか!?」

 

 俺が意外そうに思ってると、レフィ姉さんが信じられないように目を見開いていた。

 

「ええ、リヴェリア様は、それで問題無いと……」

 

「問題大有りじゃないですか!? 魔導士と治療師(ヒーラー)だけでダンジョンなんて!?」

 

 うん。それは俺も思ってた。

 

 後衛の魔導士が後衛の治療師(ヒーラー)を護衛してダンジョン探索するのは、色々と問題があり過ぎる。

 

 いくらリヴェリアが『Lv.6』だからと言っても、実力を一切発揮出来ない前衛をやるのは無謀もいいところだ。魔導士は魔法を使ってこそなので。

 

 この世界の魔導士は、魔法を発動させる際に詠唱が必要だ。かなりの集中力が必要で足を止めざるを得ない。聞いた話によると、リヴェリアの魔法は強力である為に詠唱も長いから、前衛なんてやれば一切使えないも同然だ。

 

 対して、アークス側の法撃に特化した攻撃テクニックをメインに使う遠距離戦闘向きのクラス――フォースであれば辛うじてセーフだ。そのクラスで使う魔法(テクニック)は詠唱を必要とせず、僅かな溜め(チャージ)で発動する事ができる。リヴェリアみたいな強力な魔法でなくても、四十以上のテクニックをすぐに発動する便利な点は、フォースが優れていると言えるだろう。

 

 まぁそれはともかく、レフィ姉さんの言う通り、リヴェリアだけでアミッドさんを護衛するのは確かに問題だ。

 

「20階層までだ。どうにでもなる」

 

 しかし、リヴェリアは大して問題無いように言い返した。

 

 深層を経験してる彼女であれば、確かにその階層までなら問題無いだろう。

 

 けれど――

 

「いいえっ! お二人に何かあったら、遠征中の皆さんに合わせる顔がありませんっ! 何より、世界中の同胞達にも! なので私も……付いて行きます!」

 

 ハイエルフのリヴェリアを崇拝してるレフィ姉さんからすれば絶対に見過ごせないどころか、同行すると言い出した。

 

「「…………」」

 

 同行すると聞いたリヴェリアとアミッドさんは揃って無言になるどころか、物凄い微妙な顔をしていた。

 

 けど、レフィ姉さんはそれに気付かず俺を見てこう言ってくる。

 

「リヴァン、急で悪いけど貴方は地上に戻っ……? どうしたの?」

 

「あのですねぇ、レフィ姉さん……」

 

 今日はここまでだから帰るよう促してくるレフィ姉さんだが、呆れている俺は指摘させてもらった。

 

「魔導士と治療師(ヒーラー)のパーティに、魔導士のレフィ姉さんが加わっても、何の解決にもなりません」

 

「リヴァンの言う通りだ、レフィーヤ」

 

「ええ、状況は全く変わらないかと……」

 

「あ………」

 

 指摘をされて漸く気付いたレフィ姉さんは、凄く気まずそうな表情となった。

 

 なので――

 

「よろしければご一緒しますが、どうでしょうか? 俺はレフィ姉さんと違って、前衛向きですし」

 

 俺も行く事にした。

 

「だ、ダメよリヴァン! まだ20階層に行った事もないリヴァンじゃ危険過ぎる!」

 

「中層のモンスターなら【Lv.2】になった俺でも問題無く戦えますし、レフィ姉さんが魔法でサポートしてくれれば大丈夫ですよ」

 

 以前の出来事があって、俺は【Lv.2】になった。冒険者になって僅か三ヶ月未満でランクアップした事で、今も他の冒険者から注目されている。

 

 因みに俺は一ケ月半でランクアップしたベルに続き、第二位の『世界最速妖精(レコードホルダー)』となっていた。そして第三位が一年でランクアップした【ロキ・ファミリア】のアイズだ。

 

 ベルも異常だけど、どうやら俺もギルドや他所の冒険者達からすれば異常みたいだ。その事もあって、俺のランクアップを知ったレフィ姉さんが本拠地(ホーム)へ来た時の顔は今でも憶えている。

 

「た、確かにそうかもしれないけど……」

 

「でしょう? それに俺としても、19階層以降にある『大樹の迷宮』がどんな所か見てみたいと思ってまして」

 

「ほう。そう言う理由で私達を出しにして、自ら同行を願い出るとはな」

 

 話を聞いたリヴェリアが、少しばかり含み笑いをしながら言ってきた。

 

「お気に障りましたか?」

 

「いいや、お前がそこまで考えていた事に少々驚いてな。前衛が出来ると自負するなら、是非とも見せて貰おうではないか」

 

 許可するリヴェリアに、レフィ姉さんが驚きの声をあげた。

 

「ちょ、リヴェリア様!? それは流石に――!」

 

 俺の同行を反対だと言ってくるレフィ姉さんだったが、構わないと言うリヴェリアに説得されるのであった。

 

 二人が話してる間、俺は再びアミッドさんに話しかける。

 

「と言う訳でテアサナーレさん。短い間ですが、どうぞよろしく」

 

「こちらこそ。それと今回は冒険者依頼(クエスト)なので報酬も――」

 

「あ、出来れば来月分の借金で相殺しておいて下さい。ウチの団長が貴女から報酬を受け取ったと知れば、色々と面倒ですので」

 

「そうですね。では配当する報酬は来月分に充てておきます」

 

 ナァーザさんの事をよ~くご存知であるアミッドさんは、借金の一部をチャラにしてくれる約束をしてくれた。




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