少年エルフが前衛で戦いながら支援をするのは間違っているだろうか   作:さすらいの旅人

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ダンメモ編 少年エルフ、従姉と一緒にダンジョンで王族妖精と商売敵に出会う②

 リヴェリアとアミッドさんのパーティに俺とレフィ姉さんの従姉弟コンビが加わり、急造の四人パーティとなった。

 

 魔導士二人と治療師(ヒーラー)の後衛三人に、(エトワールクラスと言う名の)魔法剣士の中衛も兼ねた前衛一人。言うまでもなく前衛は俺で、後衛三人を守らないといけない立場だ。

 

 と言っても、今進んでいる上層はそこまで気を張る必要はない。此処のモンスターに襲われたとしても、リヴェリア達の脅威にはならないどころか、魔法を使わずとも手にしてる武器だけで一掃出来る。

 

「あれがリヴァンの戦い方か……」

 

 俺が前方から出現するモンスターの群れをエールスターライトの短杖(ウォンド)――ハクセンジョウVer2での通常攻撃のみで蹴散らすのを見たリヴェリアが、とても興味深そうに観察していた。

 

 思った通り、やっぱり彼女は俺の戦いを見ようとする為に、冒険者依頼(クエスト)の同行を許可したようだ。今も見逃さないようジッと凝視している。

 

 普通に考えれば、『Lv.2』になったばかりの俺を、20階層までの同行を許可してくれる訳がない。そうでなくても、この前辿り着いた18階層までが精々だ。

 

 敢えて許可した理由は、今回の冒険者依頼(クエスト)を機に探ろうとしているんだろう。先日に17階層で階層主(ゴライアス)を倒したのが俺であるかを確かめる為に。

 

 けれど、こんな上層では無理だ。俺は今も大して本気を出さずにモンスターを倒し続けているので。

 

「……レフィーヤ、交代だ」

 

「え? わ、私ですか!?」

 

「ああ。お前も加わったのだから、少しばかり私が鍛えてやろうと思う。リヴァンにだけ任せるのは忍びないからな」

 

「は、はい、分かりました……」

 

 後方にいるリヴェリアとレフィ姉さんの会話を聞いて、俺は思った通りだと確信した。この上層では探るのは無理だと判断したから、リヴェリアは弟子のレフィ姉さんの修行に回したんだろう。

 

 そう思っている中、俺は残ったモンスターを通常攻撃で仕留める。

 

「リヴァン、すまないが交代だ。弟子のレフィーヤもいるから、この機会に鍛えさせてくれ」

 

「え? 別に構いませんが……」

 

 さっきの会話を聞いてないように振舞う俺は、言われた通り交代した。

 

 リヴェリアとレフィ姉さんが前に出た為、当然俺はアミッドさんの護衛に回る事となる。

 

「普通に考えて、魔導士が前衛に出るのはおかしいんですが……」

 

「リヴェリア様は『Lv.6』で、レフィーヤさんは『Lv.3』なので問題ないかと」

 

「まぁ、そうなんでしょうけど……」

 

 レフィ姉さんがモンスターと戦闘をしてる際、リヴェリアが色々と指摘をしていた。本当に冒険者依頼(クエスト)中で鍛えようとするとは恐れ入る。実戦に勝る修行は無いと見れば良いか。

 

「レフィーヤ、次のモンスターが近づいているぞ。周囲の警戒を怠るな。前衛のリヴァンがいるからといって気を抜くなよ。彼と同じく気を張っておかなければ、生き残れないくらいに思っておけ」

 

「は、はいぃぃっ!」

 

 リヴェリアの厳しい御指導の中、レフィ姉さんは前衛を務めながらもモンスターを倒し続けていった。

 

 

 

 

 上層から中層へと変わったので、俺が交代すると言ったんだが、思っていたよりモンスターの出現が少ない為、もう暫く続く事となる。

 

「う~ん……」

 

「どうしました、リヴァンさん?」

 

 俺が考え事をしていると、隣にいるアミッドさんが俺に声を掛けてきた。

 

 今まで俺に対する呼び方は『ウィリディスさん』だったが、従姉のレフィ姉さんがいて紛らわしい為、名前で呼ぶ事となった。俺も俺で『テアサナーレさん』と呼んでたが、今はもう『アミッドさん』になっている。

 

「いや、なんかモンスターの数が少ないような気がしまして……」

 

 初めて中層へ来た時、モンスターの出現頻度が上層と違って尋常じゃなかった。あれでベル達が精神的に追い詰められていたのはよく憶えてる。

 

 だと言うのに、今は1~2匹程度しか出現していない。その為に今もレフィ姉さんがリヴェリアの指導と言う名の実戦修行をさせられている。それでも万が一、大量に出現した場合は俺が即座に交代する事になってるが。

 

『グオオォォォッ!』

 

「あっ……!?」

 

 すると、複数のヘルハウンドが現れた。突然の強襲にレフィ姉さんは反応が遅れている。

 

 不味いと思った俺は対処しようとするも―― 

 

 

「『ディオ・テュルソス』!」

 

 

 どこからか魔法名が聞こえた瞬間、出現した黄金の雷がヘルハウンドに命中した。言うまでもなくモンスターは魔法で絶命している。

 

 俺が声が聞こえた方へ振り向くと、見慣れない黒髪の女性エルフがレフィ姉さんの元へと駆け寄っていた。

 

「レフィーヤ! 無事か!?」

 

「フィルヴィス、さん……?」

 

 どうやらレフィ姉さんのお知り合いのようだ。

 

「中層とはいえ気を抜き過ぎだ。あれでは命が幾つあっても……」

 

「いや、今のは私の注意不足のせいもあった。礼を言うぞ、フィルヴィス・シャリア」

 

 レフィ姉さんに指摘をしている女性エルフ――フィルヴィスさんに、リヴェリアが代わりに対応した。

 

「……!? リヴェリア様……!?」

 

 フィルヴィスさんがハイエルフのリヴェリアを見た途端、驚愕の表情となった。

 

 すると、彼女はレフィ姉さんに詰め寄って問い質そうとする。

 

「どういうことだ、レフィーヤ!? なぜリヴェリア様が、こんな少人数で、このような所に……!? それに、そこの同胞は何故、リヴェリア様を守ろうとしないのだ!?」

 

 あ、さり気なく俺の事について訊いてきた。エルフの彼女からすれば、リヴェリアを守ろうとする姿勢を一切見せない俺の行動は異常だろう。

 

「えっと……実は冒険者依頼(クエスト)で、このパーティで20階層まで……。あと彼は前に話した私の従弟でして……」

 

「なっ……! それがどう言う事か分かっているのか!? リヴェリア様は王族(ハイエルフ)だぞ! こんなパーティの編成以前に、お前の従弟がやってる事は明らかにエルフとして大問題だろう!」

 

 やっぱり俺が王族(リヴェリア)を守ろうとしなかったが問題のようだ。

 

「えっと、それは……」

 

「ああ、すまないが彼については咎めないで欲しい。私が手を出さないよう指示したのでな」

 

 俺が理由を言おうとするも、リヴェリアが急遽フォローしてくれたお陰で何とか収まる事となる。

 

「あの……そちらは中衛職の魔法剣士とお見受けしました。もし、よろしければ、このパーティにご参加願えませんか? 報酬からの配分も正当に行いますので」 

 

 アミッドさんがフィルヴィスさんも加わってくれるようお願いをした。

 

 エルフの彼女としては、王族(ハイエルフ)のリヴェリアと一緒なら喜んで同行すると――

 

「なっ……ふ、不可能だ! リヴェリア様のお付きなど恐れ多いこと、私などが……!」

 

 踏んでいたのだが、予想外にも拒否されてしまった。

 

 変だな。彼女は俺と違って王族(ハイエルフ)を崇拝してるから、必ず良い返事をすると思っていたんだが……。

 

「無理を言うな、アミッド。我々のパーティの都合で引っ張り回すべきではない。この人員でも、20階層なら充分だ。前衛のリヴァンがいるから猶更な」

 

「さり気なく俺を当てにしていますね、リヴェリア(・・・・・)

 

「!!」

 

 俺がリヴェリアの名前を言った途端、フィルヴィスさんが驚愕しながら俺に詰め寄って来た。

 

「お、お前、確かレフィーヤの従弟だったな! 何故リヴェリア様を呼び捨てに……!」

 

「あ~、その……ご本人からそう呼ぶよう言われましたので」

 

「出鱈目を言うな! そんな不敬極まりない行為が許されるわけがないであろう!」

 

 おいおい、出鱈目じゃないぞ。と言うより、貴女のその発言がリヴェリアに対する不敬だと俺は思うんですけど。

 

「フィ、フィルヴィスさん、落ち着いて下さい!」

 

「落ち着けるかぁ! レフィーヤ、一体何なんだコイツは! 本当にお前の従弟なのか!?」

 

 あ~、やっぱり【ロキ・ファミリア】以外のエルフもこんな感じみたいだ。

 

 改めて思うと、俺は異世界のオラクル船団で得た知識と経験によって、通常のエルフとは違う考えを持った異端児となってしまったようだ。特に王族(ハイエルフ)に関しての見方が。

 

 けど、別の視点から見れる俺からすれば、フィルヴィスさん達の王族(ハイエルフ)に対する接し方が過剰過ぎると思う。それが却ってリヴェリアを困らせている事に気付いていないから。

 

王族(ハイエルフ)と言うのは、本当に色々と大変ですね……」

 

「はぁっ……。私としては、他の同胞(エルフ)達もリヴァンみたいに接してくれれば非常に気が楽なんだが……」




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