少年エルフが前衛で戦いながら支援をするのは間違っているだろうか   作:さすらいの旅人

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少年エルフ、宴会で面倒事に遭遇する

「ええ! ア、アイズさんを誘おうとしてたぁ!?」

 

「ああ。結局は無理だったけど」

 

 乾杯の音頭をした後、ベルに午前中の事を話した。アイズと聞いた途端にベルは仰天したが、結局は来れなかったと知って物凄く複雑そうな表情となる。

 

 話は変わるが、俺が今いるのは南のメインストリートから折れた、路地裏の一角にある酒場にいる。

 

 ここは真っ赤な蜂の看板を飾る酒場『焰蜂亭(ひばちてい)』で、繁華街の裏道に佇んでいるお店だ。聞いた話だとヴェルフ行きつけの酒場で、一部の冒険者や()()()には人気があるそうだ。蜂蜜酒と言う店の名物があるから、連日通う常連客も多いらしい。

 

 俺とベルが以前に行った『豊饒の女主人』より店内は少々狭苦しいが、お洒落なあの店と比べて小汚い内装でも、これぞ冒険者の酒場という雰囲気がある。

 

「ってか、俺としては何でお前が【剣姫】と会ったのかが気になるんだが」

 

「そ、そうだよ! リヴァン、一体どういう事なの!?」

 

 ヴェルフの台詞を聞いてベルが気付いたように問い詰めようとして来た。

 

 あ、そう言えばベルってアイズの事が好きだったんだ。意中の相手が俺と二人で話してた事が気になるのはそりゃ当然か。

 

 取り敢えずベルの不安を払拭させておかないと。

 

「18階層にいた時、彼女に新商品のポーションを宣伝したって前に言ったろ? どうやらソレが気になって買おうとウチの店へ来たんだよ」

 

「……あ、ああ、なるほど。そういうことか……」

 

 理由を話すと、ベルは以前俺が話した内容を思い出しながら安堵した。分かりやすい反応だ。

 

 本当は俺が一人で階層主(ゴライアス)を倒したのを確認しようと会いに来たんだが、別に嘘は吐いていない。訊きだす為に新商品の『二属性回復薬(デュアル・ポーション)』を買ってくれと言ったのは確かなので。

 

 ベルと一緒に聞いていたヴェルフとリリルカも納得の表情をしている。

 

 その直後――

 

「ですがリヴァン様、今後そう言う事はしないで下さいね。予定外の方が参加してしまったら、調整するのが大変ですので」

 

「いや、費用なら俺が出そうと思ってて」

 

「それでも、です。い・い・で・す・ね?」

 

「………はぁっ、分かったよ」

 

 笑顔でありながらも威圧感を放ってくるリリルカに俺は一先ず従う事にした。

 

 今更だけど、彼女は本当にベルの事が好きなんだと改めて知った。

 

 それを言えば、ヘスティア様も含まれるか。あの方はベルを大事な眷族ではなく、一人の異性として大好きみたいな振る舞いをしてる。この前の帰還中に、ずっとベルに引っ付いてたから一目瞭然だった。尤も、アプローチされてたベルは全く気付いていなかったが。

 

 話を聞いていたベルは不可思議そうに見ているが、一先ずはと言った感じでヴェルフの方を見る。

 

「そ、それはそうと、【ランクアップ】おめでとう、ヴェルフ!」

 

「これで晴れて上級鍛冶師(ハイ・スミス)、ですね」

 

「ヴェルフ、おめでとう」

 

「ああ……ありがとうな。つっても、【ランクアップ】ならリヴァンもだろ?」

 

 俺達からの言葉に、はにかんだ仕草をするヴェルフ。本人は抑えているみたいだが、口もとから笑みがこぼれ落ちてる。凄く喜んでいると言う証拠だ。

 

 ヴェルフも俺と同様に『Lv.2』に【ランクアップ】した。同時に『鍛冶』の発展アビリティも習得もしてるようだ。

 

 その後にヴェルフは態々俺達に一報を報せに来たから、祝賀会を開こうと決まったのだ。俺がランクアップした事も併せようと。

 

 因みに俺のランクアップについては、ダンジョンに帰還した翌日に話してある。その時のベル達は当然ビックリしていたのは言うまでもない。

 

 だから今回は念願の上級鍛冶師(ハイ・スミス)の仲間入りを果たしたヴェルフと、『Lv.2』にランクアップした俺のお祝いである。

 

「まぁまぁ、俺はあくまでおまけだから」

 

「何がおまけだ。何年も掛かったより俺より凄ぇじゃねぇか。ベルといいリヴァンといい、今年の冒険者は一体何なんだよ……」

 

「言われてみればそうですねぇ。一ヵ月半のベル様に対し、リヴァン様は三ヵ月未満で『Lv.2』に【ランクアップ】。普通に考えておかしいです」

 

 ヴェルフの言葉にリリルカも同感だと言わんばかりに頷いていた。そう言われた俺とベルは苦笑するだけだ。

 

 だって仕方ないだろ。本当にランクアップしたんだからさ。疑いたくなる気持ちは分かるけど、別に嘘なんか吐いていない。

 

 俺がそうなった原因はヴェルフと同じく、先日の中層での強行軍や18階層の度重なる戦闘によるものだと思ってるのか、深く訊こうとしていない。もしここで俺が階層主(ゴライアス)を一人で倒したからランクアップしたと言えば、周囲の客に迷惑を掛けるほどの絶叫を響かせると思うから敢えて黙っておく。

 

 若干不貞腐れ気味となってるヴェルフをどうにか宥めながらも、俺はある事を訊こうとする。

 

「なぁヴェルフ、確かベルから聞いた話だと『鍛冶』のアビリティを手に入れる為にパーティに入ったんだよな。となると、もうこれでパーティ解消なのか?」

 

「「!」」

 

 俺が質問をすると、ベルとリリルカは思い出したようにハッとした。途端に揃ってどんどんと寂しそうな表情になっていく。

 

 ベルはともかくとして、リリルカも彼を仲間だと認めているようだ。素直じゃないと言うか何と言うか。

 

 二人の表情を見たヴェルフは手で後頭部を搔いている。何だかまるで弟の面倒を見る長兄のように、照れを隠すように苦笑していた。

 

「そんな捨てられた兎みたいな顔するな」

 

 そこは『兎』じゃなくて『子犬』だろ、と思った俺だが敢えて何も突っ込まなかった。

 

「お前達は恩人だ。用が済んで、じゃあサヨナラ、なんて言わないぞ。これからも一緒だ」

 

 それを聞いたベルとリリルカは一安心したかのように破顔する。

 

「ってことだ、リヴァン。これからもよろしくな」

 

「ああ、これからも頼らせてもらうよ」

 

 兄貴分としては認めるけど、ベルの相棒としての立場は譲らないがなと内心付け加えておく。

 

 その後からは運ばれた料理を楽しみながら話を弾ませた。

 

 特に18階層で戦ったゴライアスの件が一番の話題となった。何故17階層を無視して出現したのか、事件の後始末とか色々と。

 

 俺達が遭遇したあの事件に関して、ギルドが真っ先に箝口令を敷いた為、都市や冒険者の間で目立った混乱は起きていない。加えて当事者達に絶対口外するなと徹底されている。もしやったら罰則(ペナルティ)も厭わない感じだった。

 

 罰則(ペナルティ)と言えば、ベルの【ヘスティア・ファミリア】とアスフィさんの【ヘルメス・ファミリア】が対象となった。主神の二柱はギルドに強制召喚され、雷が落ちたようだ。

 

 そして下された罰則(ペナルティ)の内容は罰金で、【ファミリア】の資産の半分を失う事になった。

 

 あんまり言いたくないが、ベルの方はまだマシな方だった。【ヘスティア・ファミリア】は未だに零細だから、例え大金でもそれ程ダメージはない。

 

 対して【ヘルメス・ファミリア】は規模が大きい派閥なので、半分の資産を失ったのは相当響いている筈だ。恐らく神ヘルメスは団員のアスフィさん達から総スカンを喰らってるかもしれない。

 

 本当だったら、神ヘルメスにベルが戦った壮年の上級冒険者の件について問い質そうと思ってたが、さっき言った罰則(ペナルティ)の件により、またしても聞けず仕舞いとなった。ついでに奇妙な兜の魔道具(マジック・アイテム)も含めて。

 

 一応ベルに聞いてみたが、どうやら姿が見えなかった事で最初は一方的にやられていたらしい。不審に思いながらも、俺が本拠地(ホーム)に置かれてる鏡の前で頭に被った瞬間、本当に姿が消えていた。一瞬、クーナさんが使ってる創世器『透刃マイ』みたいな透明(ステルス)機能みたいだと錯覚してしまう程に。

 

 これは色々と使えそうだと思った俺は、制作したと思われる【ヘルメス・ファミリア】に黙っておくことにした。言ったら絶対に有無を言わさず強制的に取られてしまいそうな気がするので。

 

「ベル様、次のランクアップはまだですか?」

 

「うん。18階層から戻って、能力値(アビリティ)はだいぶ上がったけどね」

 

「勘弁してくれ。やっとお前に追い付いたのに、すぐに『Lv.3』になられたら堪らないぜ。だよな、リヴァン?」

 

 苦笑しながら俺に援護を求めようとしてくるヴェルフ。

 

「そうだなぁ。でも、ヴェルフとしては却って好都合じゃないか? ベルの名が上がるほど、専属鍛冶師であるヴェルフも同僚に自慢出来るだろうし」

 

「まぁ確かにそうかもしんないが、それはそれで更に緊張感が高まりそうだ」

 

 俺が持ち上げるように言うと、満更でもなさそうに言い返してきた。

 

「――な~にが『Lv.3』だよ! 世界最速兎(レコードホルダー)だか何だか知らないけど、インチキもほどほどにした方がいいぜ!」

 

 すると、誰かが俺達に向かって大声で叫んだ。

 

 振り向くと、叫んだのは幼い少年のような小人族(パルゥム)と思わしき冒険者で、テーブルに座っている俺達に少し近付いていた。

 

 身に纏ってる服に、金の弓矢に輝く太陽を刻んだエンブレムがあった。それと同じ服と徽章が、彼の後ろのテーブル席に座っている数名の冒険者達もいる。けど、向こうは止めようとせず、ただ面白そうに眺めているだけだ。

 

「逃げ足だけは速い『兎』が、モンスターから逃げまくってランクアップ! 今度は『Lv.3』も近いだぁ! オイラだったら恥ずかしくて本拠地(ホーム)から出られねぇよ!」

 

 聞くだけで挑発してる内容だった。しかも周囲の客にも聞こえるように叫んでる。明らかにベルを怒らせようとしてるのが丸分かりだ。

 

 俺の友達を侮辱するとは随分いい度胸してるじゃないか。このクソったれな冒険者には――

 

「よせ、リヴァン」

 

「ベル様も、無視して下さい」

 

 動こうとする俺にヴェルフが止めて、リリルカはベルを嗜めるように注意した。

 

 二人が止めた理由は分かる。他派閥との揉め事を避けようとしているからだ。

 

 俺とベルは以前、『豊饒の女主人』で宴会をしていた【ロキ・ファミリア】のベート・ローガに侮辱された事がある。もしヴェルフとリリルカがいなかったら、俺は今頃あの時と同じ二の舞になっていただろう。

 

 こちらが何も言い返そうとしないのを見た小人族(パルゥム)の冒険者は、更に拍車をかけようとする。

 

「見ろよ! 仲間は他派閥の寄せ集めだ! 売れないヘボ()()()に、ちっこいガキのサポーター、おまけに『兎』と同じくランクアップしたインチキ妖精(エルフ)! ま、インチキルーキーにはお似合いってとこかぁ!?」

 

『はははははは!』

 

 小人族(パルゥム)の冒険者の仲間と思わしき連中が、一人を除いて大笑いをしていた。

 

 随分と好き勝手言ってくれる。こっちが手を出したらダメとは言え、こうまで言われて黙ってるほど俺は大人じゃないんだが。

 

 酒が入ってるかどうかは分からないが、本当に良い度胸してる。あのクソチビの口を黙らせる為に、エトワールウォンドの『プロテクトリリース』で吹っ飛ばしてやりたい。もしくはエトワールデュアルブレードの『フルコネクト』で真っ二つとか。

 

 どっちもやったら即死確実だろう。けど、今の俺はそれをやりたいのを我慢してるって証拠だ。だからこれ以上、俺を怒らせないで欲しいんだが。

 

「まぁそれも仕方ないか。腰抜け兎の【ファミリア】は弱小も弱小、最下層だ! な~んたって威厳も尊厳もまるでない! あるのは胸だけの落ちこぼれ女神が率いてるんだからなぁ!」

 

「!!」

 

「待て、ベル」

 

 ベルが激昂して立ち上がろうとする寸前、俺が即座に肩を掴んで押し留めた。

 

「リヴァン、どうして……!」

 

「ここは俺に任せろ」

 

 抗議しようとするベルに、俺は宥めさせようとした。

 

 その行動を見ていた小人族(パルゥム)の冒険者は調子に乗ろうとする。

 

「なっ、何だよ! 言い返す度胸もねぇのか!? やっぱりインチキ――」

 

「貴様はいい加減に黙れ」

 

「――は?」

 

 俺の台詞を聞いた小人族(パルゥム)の冒険者が動きを止めた。同時に彼と同じ仲間も含めて。

 

「言いたい事を言ったなら、さっさと俺達の目の前から失せろ。小人族(パルゥム)の恥さらしが」

 

「! て、てめえ! 誰が恥さらしだ! ヘボ集団のインチキ妖精(エルフ)如きに言われる筋合いはねぇ!」

 

「ならば訊くが、貴様だけでヘボ集団の俺達に勝てるのか?」

 

「あ、当たり前だ! オイラ達がお前等如きに――」

 

「何を勘違いしている。俺は貴様だけ(・・)で勝てるのかと訊いたんだぞ」

 

「――へ?」

 

 質問の意味を正すと、小人族(パルゥム)の冒険者は急に素っ頓狂な声を出した。

 

「散々好き放題言ってくれたんだ。あそこまで言うからには、貴様だけでも俺達に勝てる自信があるんだろう? 仲間の力を一切借りないで」

 

「え? え? え?」

 

「そちらにいらっしゃるお仲間さんが全く止めようとしないのを見ると、全然問題無いと判断してるのか、ただずっと静観してる始末。それだけこの小人族(パルゥム)に絶対の信頼があると言う事だ」

 

『!』

 

 突然の事だったのか、小人族(パルゥム)の冒険者の仲間達が反応した。

 

 俺がこんな事を言ってるのには当然理由がある。

 

 ここで俺達が小人族(パルゥム)の冒険者を伸してしまえば最後、奴の後ろにいる仲間達が必ず動こうとするだろう。仲間を傷付けた報いと言う適当な理由を付けて。

 

 だからそれをさせないよう、事前に動きを封じる芝居をする事にした。あのクソチビがヘボ集団の俺達を簡単に倒せる大物に仕立て上げる際、周囲にいる客達を見届け役にさせようと。

 

「え? リヴァン、一体何を……?」

 

「……そう言うことですか」

 

「なるほどな。リヴァンは中々上手い事を考えるじゃねぇか」

 

 ベルは俺のやってる事にまだ気付いていないが、リリルカとヴェルフは漸く気付いたようだ。特にヴェルフは段々と交戦的な笑みを浮かべている。

 

「という訳で、宴会を楽しんでいらっしゃるお客様方! 誠に申し訳ありませんが、この勇敢な小人族(パルゥム)さんが仲間の力を借りず! たった一人で! 俺達に挑発と言う名の決闘状を叩きつけてきました。これに応えなければ俺達は本当にヘボ集団となってしまいますから、それを払拭する為に、どうかここは見守って頂けませんか?」

 

「ちょ、何を勝手に――!」

 

 立ち上がった俺が客達に聞こえるよう大々的な演説をして、小人族(パルゥム)の冒険者が止めようとするが――

 

 

「おう! やれやれ!」

 

小人族(パルゥム)の意地ってやつを見せ付けてやんな!」

 

「あんだけ言っといて逃げんのは無しだぞ!」

 

「兄ちゃんたちも頑張れよ! ここで負けたらヘボ集団って呼ぶからな!」

 

 

 客達はすっかりその気になったようで、俺達にエールを送っていた。

 

 奴の仲間達は非常に不味い展開だと分かったのか、段々と焦り出した表情となっている。

 

 さて、これで連中の動きを封じる事に成功した。もしここで助け出そうと動いてしまえば、見届け役となってる客達の非難が待ち受けている。

 

 加えて此処は酒場だ。後になって、酒場にいた客達が周囲に吹聴する事で世間に知られてしまう。それどころか【ファミリア】の評判も落ちる事態になる可能性だって充分ある。

 

「ま、待て! お、オイラは決闘だなんて一言も……!」

 

「という訳で早速、勝負と行きましょうか。ヴェルフ」

 

「おう!」

 

 小人族(パルゥム)の冒険者を無視するように話を進め、意を汲んでいるヴェルフも俺に応えようと立ち上がった。

 

「ちょ、ちょっと二人とも……!」

 

「はいはい、大将のベル様はリリと一緒に見守りましょうね~」

 

 止めようとするベルに、リリルカがやんわりと宥めていた。ナイスフォローだ、リリルカ。

 

 その二人を気にせず俺とヴェルフは、ゆっくりと小人族(パルゥム)の冒険者へと近づいていく。

 

「先ずは貴様が罵ったインチキ妖精(エルフ)の俺と、売れないヘボ()()()のヴェルフが相手だ。貴様からすれば俺達は単なる前座かもしれないが」

 

「まぁそれなりにやらせてもらうぜ。そんじゃはじめっか、大物小人族(パルゥム)さんよぉ!」

 

「あ、あ……ヒュ、ヒュアキントス……!」

 

 素手で構える俺に、指の骨をポキポキ慣らすヴェルフ。口に出さなくても俺達は頷き合い、どう料理しようかと既に考えている。

 

 小人族(パルゥム)の冒険者は仲間に助けを求めようと団員の名を呼んでいるが、生憎それは無駄だった。呼ばれた団員は無言のまま動こうとしない。まるで耐えるように。

 

 もう俺がコイツを【ファミリア】を抜きにした私闘と言う流れにした為、ここで名を挙げてしまえば奴が所属してる【ファミリア】の名に泥を塗る行為となってしまう。その主神も含めて。

 

「ま、待ってくれ! オイラは――」

 

「「おらぁ!」」

 

「ぶびっ!?」

 

 俺とヴェルフによる渾身のストレートにより、潰れた悲鳴を上げた小人族(パルゥム)の冒険者は、そのまま吹っ飛んだ。

 

 壁に激突した彼は床に落ちて鼻血を流し、白目を剥いて、ぴくぴくと痙攣しながら気絶していた。言うまでもなく俺とヴェルフの圧勝だ。

 

 その結果、小人族(パルゥム)の冒険者は相手の力量も分からない、『大口小人族(パルゥム)』と言う不名誉なレッテルを貼られる事となった。

 

 客達からの歓声を受けてる中、目的を達成した俺達は勘定を済ませて店から退散する。向こうの連中がこの後に何もしないとは限らないので。

 

 それに――

 

「……あのクソエルフ、随分と口が回るみてぇだな」

 

 後になって気付いたが、何故かこの酒場に【ロキ・ファミリア】のベート・ローガがいたから、さっさと店を出たかった。

 

 

 

 

 

 

「くそっ! あのエルフ、余計な事をしなければ……!」

 

「どうして助けてくれなかったんだよぉ、ヒュアキントス。話が違うぞ。オイラ、もう完全に恥さらしじゃないか……!」

 

「すまなかった、ルアン。あの場で私達が動けば、アポロン様の名に傷が付いてしまうのでな」

 

「でもこれからどうすんだよ、団長?」

 

「……不本意だが、取り敢えずはアポロン様に報告だ」




リヴァンがいる事で、原作と違う展開にしました。

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