少年エルフが前衛で戦いながら支援をするのは間違っているだろうか   作:さすらいの旅人

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少年エルフ、神の宴に参加する

 『焰蜂亭(ひばちてい)』で仕立て上げた決闘から、暫く経った後。

 

 俺はベルとリリルカ、ヴェルフと一緒に【ヘスティア・ファミリア】の本拠地(ホーム)、教会の隠し部屋にいた。

 

「ふ~ん、なるほどね、私闘かー」

 

 間延びした声を出すヘスティア様。その反応にベルが申し訳なさそうな表情になっていた。

 

 俺達は今、酒場であった一件をヘスティア様に報告していた。

 

 最初は不安そうな顔になってたが、ベルが無傷である事が分かった為に安堵しながら聞いている。因みに酒場の主人(マスター)には、騒ぎを起こした謝罪も兼ねて、勘定の他に俺の方から迷惑料も支払っておいた。向こうは受け取りながら『もうあんな事はしないでくれ』と警告もされている。

 

「しかしまぁ、リヴァン君は機転が利くねー。挑発されても咄嗟に私闘に持ってこうとするなんて」

 

「向こうが明らかに、ベルの感情を逆撫でするような挑発ばかりしてたので」

 

「でもリヴァン、何もあそこまでしなくても……!」

 

 感心するヘスティア様とは別に、ベルは俺の行動を咎めるように抗議してきた。優しいコイツからすれば、俺の行動は些かやり過ぎに見えたんだろう。

 

「でなきゃベルがやってたろ? 『僕の神様を侮辱したその言葉を取り消せ!』って」

 

「うっ! そ、それは……」

 

 図星だったのか、ベルは恥ずかしそうに顔を赤らめた。それを見たヘスティア様は感動している。

 

「ベル君、ボクの事をそこまで想ってくれて……」

 

「ベル様はあくまで侮辱した事を怒っただけ(・・)ですからね、ヘスティア様!」

 

「何だとー!」

 

 怒っただけと強調して言うリリルカに、ヘスティア様はムキになって彼女と睨み合い、そのまま言い争いに発展した。

 

 この二人はお互いにベルの事が好きだから、謂わば恋敵みたいな関係と言ったところか。

 

 取り敢えず言い争いをしてるリリルカとヘスティア様を男の俺達が宥め、次の話に移ろうとする。

 

「しかし、相手方が次にどう出るかが気になりますね。俺が何とか私闘の展開にさせたとは言え、向こうの【ファミリア】が一体どんな報復をしてくるのやら」

 

「え? あれって【ファミリア】とか一切関係のない私闘じゃないの?」

 

 俺の懸念に反応したベルが疑問を口にする。そこを冷静に戻ったリリルカが説明した。

 

「確かにリヴァン様のおかげでそうなりましたが、正直言ってアレは単なるその場しのぎに過ぎません。どの道、リリ達は冒険者の自尊心(プライド)を傷付けた事に変わりはありませんから」

 

「で、それを知った【ファミリア】の主神が絶対に何かしてくるのは確実だ。ヘスティア様ならお分かりかと思いますが」

 

「うーん、確かになぁ」

 

 リリルカと俺の意見に、ヘスティア様も同調する。

 

 もしも彼女が大事なベルを誰かが傷つける事になれば、真っ先に怒って抗議しに行くだろう。眷族を大事にする主神なら猶更だ。

 

「面倒な事にならないよう、主神同士で話をつけておくか。あと、ミアハにはリヴァン君から伝えておいてくれ。一応、君が私闘をやった張本人だからね」

 

「勿論そのつもりです。報告後にナァーザさんからネチネチと小言をいわれるかもしれませんが」

 

「あの、すいません、神様。リヴァンも……」

 

 いきなり謝ってくるベルに俺とヘスティア様は問題無いと笑う。

 

 その後、ヘスティア様はリリルカにこう尋ねた。

 

「相手の【ファミリア】はどこか分かるかい?」

 

「太陽のエンブレムでしたから、リリの記憶が確かなら――【アポロン・ファミリア】です」

 

「何だって!?」

 

 俺達に仕掛けてきた相手の【ファミリア】が判明した途端、何故かヘスティア様は驚愕していた。

 

 

 

 

 

 

 翌日。

 

「ふむ、今回は【アポロン・ファミリア】との諍いか。前と似たような状況だな」

 

「……やっぱり宴会に行かせるべきじゃなかった。ねぇリヴァン、どうして宴会をやると必ず面倒事を起こすの? 私、言ったよね? 絶対にやるなって。それなのに何でそんな事になったの? ねぇ、教えてくれない?」

 

 祝賀会で起きた事を俺が一通り報告すると、それぞれの反応を見せるミアハ様とナァーザさん。

 

 ミアハ様は怒ってはいないが、ナァーザさんは前回の件があって物凄いジト目となっていた。ネチネチの小言も一緒に。

 

「言っておきますが、先に仕掛けたのは向こうです」

 

「だとしても、穏便に済ませる方法はあった筈だよね?」

 

「では逆に問いますよ、ナァーザさん。もし他所の冒険者がミアハ様に『威厳も尊厳もない。あるのは顔だけの落ちぶれた男神』と言われたらどうします?」

 

「ぶち殺す。地獄の底から後悔させる……!」

 

 小人族(パルゥム)の冒険者が言った内容を少々変えて言うと、ナァーザさんが思った通りの返答をした。どんよりとした殺意も加えて。

 

「これこれナァーザ、女子がそのような言葉をいうでない。それに私が落ちぶれているのは事実なのだからな」

 

「ミアハ様は優し過ぎます。そんなだから、他の連中に舐められるんです」

 

主神(わたし)を馬鹿にされたからといって、そなたが腹を立てる必要は無い。子が息災である事が嬉しいのだ」

 

「ミアハ様……」

 

 う~ん、なんか急に甘ったるい空気になったような気が。

 

 ナァーザさんはミアハ様の事を異性として好きなのは既に知っている。逆にミアハ様はナァーザさんの想いに全く気付いていない。

 

 何と言うか、これはぶっちゃけベルとヘスティア様の逆バージョンみたいなものだ。男性側のベルとミアハ様が鈍感であると共通しているが。

 

「はいはい、イチャ付くのは俺がいない時にやって下さいね」

 

「! そんな事してない……!」

 

「そうだぞ、リヴァン。私達はそのような関係でない。寧ろ彼女に失礼……待てナァーザ、何故睨んでおるのだ?」

 

「どうして貴方は、いつもそう言って……!」

 

 茶化された事でナァーザさんが顔を赤らめながら俺を睨むが、ミアハ様の台詞を聞いて標的を変更した。

 

 やれやれ。どうやら今度はイチャイチャから夫婦喧嘩になりそうだ。

 

 取り敢えず報告は終えたから一旦本拠地(ホーム)から出よう。此処にいたら、ナァーザさんの小言が再開されるのがオチだ。

 

「さ~てと、今日は久しぶりに散策でもするか」

 

 そう言いながら俺は街へ向かおうとする。

 

 ベル達は既に万全でいつでもダンジョンには行けるが、二日後に探索する予定だ。

 

 先日にあった18階層の戦闘で、俺を除くベル達の装備品が殆ど失っていた。そこをヴェルフが武具を新調すると息巻いており、今も工房で張り切りながら制作しているだろう。

 

 ヴェルフがさり気なく俺の武具も作ると言ってくれたが、そこは丁重に断っている。俺自身の装備は未だに破損してないし、態々新しい物を用意してもらう必要は無い。

 

 俺が扱っているオラクル製の武具は、この世界と違ってフォトンエネルギーで自然に修復してくれる。と言っても、全壊してしまえば流石に無理だが、今までの戦闘で俺自身大した被害を被ってないから、武具も至って問題無い。武器や防具のメンテをしたが、どれも異常がないのは確認済みだ。

 

(あ、そう言えばアイズと戦う約束があった……)

 

 昨日は予定があるからまた今度と言ったが、ほったらかしにする訳にはいかない。

 

 けど、だからと言って俺が【ロキ・ファミリア】の本拠地(ホーム)に行ったら面倒な事になる。アイズと約束があると言っても、向こうは簡単に信じてくれそうにないし。

 

 レフィ姉さんに頼めば何とかしてくれるかもしれないが、それはそれで凄く面倒だ。俺がアイズと手合わせすると聞いた瞬間、即行で問い詰めてくるのが目に見えてる。

 

 だから……アイズが再び本拠地(ホーム)へ来てくれることを祈ろう。もしそうなったら、向こうの本拠地(ホーム)に話を通してくれと頼めば良い。

 

 そう結論した俺は、オラリオの散策を行う事にした。

 

 しかし、散策を終えて本拠地(ホーム)に戻って来た際、予想外な出来事が起きた。【アポロン・ファミリア】が主催する『神の宴』の招待状が送られたと。

 

 

 

 

 

 

 宴当日。

 

 【ミアハ・ファミリア】はヘスティア様が用意してもらった服や馬車で、会場施設へ向かった。

 

 俺とミアハ様は燕尾服で、ナァーザさんは(右腕の義手を隠す長袖付きの)赤いドレスを纏っている。

 

 最初は自分達で用意すると断ったんだが、ヘスティア様が遠慮しなくていいと言うからお言葉に甘える事にした。

 

「本当にすまんな、ヘスティア、ベル。私たち三人の為に服も馬車も、何もかも手配してもらって」

 

「な~に、ナァーザ君達のためさ。偶には贅沢も必要だよ。特にリヴァン君には、色々と助けてもらったお礼もあるからね」

 

「ありがとうございます、ヘスティア様」

 

「あはは。改めて言われると、なんか照れますね」

 

 蒼海色(マリンブルー)のドレスを身に纏ったヘスティア様に、俺たち【ミアハ・ファミリア】は感謝するばかりだった。

 

 彼女の後ろにいるベルは俺とミアハ様と同じく燕尾服を身に纏ってるが、どうも服に着られてる印象がある。初めて着る服だから仕方ないだろう。

 

 そう考えると俺も該当するが、オラクル船団にいた頃はカスラから一通りの教養を受けて、宴関連にも参加した経験がある。尤も、主に相手先の御機嫌取りで全然楽しくなかったが。

 

 まぁそれは良いとしてだ。今回【アポロン・ファミリア】が開催する『神の宴』は、眷族一名もしくは二名引き連れて良いと、神と子を織り交ぜた異例のパーティらしい。

 

 余り詳しくないが、本来の『神の宴』は眷族の参加は認められてない。けれど、主催側が条件を出せば問題無さそうだ。俺からすれば理解出来ない行動だ。理解しようとも思わない。

 

 そう思いながら【ヘスティア・ファミリア】と一緒に絢爛豪華な会場へ入ると、既に多くの主神や眷族達が集まっていた。眷族達の方は同胞(エルフ)にドワーフ、獣人やアマゾネス、主に亜人(デミ・ヒューマン)が多くいた。俺もその一人だけど。

 

 俺達の入場に気付いた神ヘファイストスに神タケミカヅチ、そして神ヘルメスが近づいてくる。

 

 自身の知り合いにヘスティア様とミアハ様は笑みを浮かべながら声を掛けるも、神ヘルメスだけは余り歓迎の雰囲気はなかった。勝手に絡んできてると言えば正しい。

 

 三柱の神々も当然眷族を連れているが、神ヘファイストスだけはこの場にいない。今回は一人だけ連れて来てるみたいだが、今は辺りを散策してるらしい。

 

 神タケミカヅチも一人だけで、以前の件で色々な意味で世話になった(ミコト)だった。本当だったら団長の桜花も連れてくるみたいだったが、千草が桜花と急な予定があるからと言って遠慮したそうだ。

 

 ついでに神ヘルメスも同様に一人のみで、やっぱりと言うべきかアスフィさんだ。何かもう完全に神ヘルメスの付き人みたいに思える。

 

 そんな中、お決まりのパターンみたく神ヘルメスがまるでナンパするように、女性眷族の衣装を褒め称えている。命に可愛いと言いながら手を取って、その指に唇を落とす行為をした瞬間、神タケミカヅチとアスフィさんによる強烈な制裁を受けて吹っ飛んでいた。自業自得なので、同情なんか一切しない。

 

 

『――諸君、今日はよく足を運んでくれた!』

 

 

 すると、高らかな声が響き渡った。

 

 それに反応した全ての参加者たちが目が向かう先、大広間の奥に、人柱の男神が姿を現している。

 

 外見は容姿端麗な男神で、頭の上には緑葉を備える月桂樹の冠がある。

 

『今日は私の一存で趣向を変えてみたが、気に入ってもらえただろうか? 日々可愛がっている子供達を着飾り、こうして宴に連れ出すと言うのもまた一興だろう!』

 

 主催者らしく盛装する神アポロンの声はよく通っていたが、俺は気にせず別の方へ視線を向けている。

 

 男神の左右には男女の団員が控えており、その中には以前に『焰蜂亭(ひばちてい)』で見た男がいた。

 

 あの男が神アポロンの隣にいるのは、間違いなく【アポロン・ファミリア】の眷族だ。もしくは団長かもしれない。

 

 そう考えると、前の祝賀会でやらかしたアレは間違いなく何かしらの目的があったと見て間違いないだろう。同時に、この『神の宴』で何か仕掛けてくる筈だと。

 

『多くの同族、そして子供達の顔を見れて喜ばしい限りだ。今宵は、新しき出会いに恵まれる、そんな気さえする』

 

 ん? 神アポロンが此方に視線を向けたような気が……。

 

 思わず振り返すと、向こうは気にしてないように見向きもせずに挨拶を続けていた。

 

 ……俺の気のせいだと思いたいが、これは何かあると思って警戒した方が良さそうだ。出来れば俺の取り越し苦労であって欲しいが。

 

 

 

 

「どうしたのだ、リヴァン? 余り楽しそうではないみたいだが」

 

「……やっぱり神アポロンが気になるの?」

 

「ええ、まぁ……。どうも酒場の件が気になって」

 

 神アポロンが挨拶を終えた後、沢山の参加者が宴を楽しみ始めた事で大広間が騒がしくなっていた。

 

 皆から少し離れている俺は、ジュース入りのグラスを持ったまま佇んでいる。ベルもベルで同じ考えなのか、ヘスティア様の近くにいながらも、何度か神アポロンをチラチラと見ていた。

 

 そんな俺にミアハ様とナァーザさんが声を掛けたので、俺は思ったままの返答をした。

 

「つかぬ事を聞きますが、お二人は神アポロンについて何かご存知ですか?」

 

「知らない。あそこの団長――ヒュアキントス・クリオが『Lv.3』で、【太陽の光寵童(ボエプス・アポロ)】って言う二つ名で呼ばれているぐらいしか」

 

「ふむ。私もアポロンと大して関わりはないが、聞いた話によると――執念深い(・・・・)そうだ」

 

「? それは一体どう言う――」

 

 ミアハ様が妙に気になる単語を言ったので、どう言う意味なのか尋ねようとした直後。

 

 突然周囲がざわっ、と広間の入り口から起こった大きなどよめきによって、俺の声は遮られてしまった。

 

 気になって視線を飛ばすと、騒ぎの原因がすぐに理解した。

 

 衆目を根こそぎ集めているのは、以前に遭遇した猪人(ボアズ)――【猛者(おうじゃ)】オッタルと猫人(キャットピープル)――【女神の戦車(ヴァナ・フレイア)】のアレン・フローメル。そしてその二人を従えてる銀髪のクソ女神――フレイヤだ。

 

 あの出来事から既に二ヵ月以上経ってるが、勝手な理由で俺を『魅了』したフレイヤと、勝手な理由で殺そうとしたアレンを思い出しただけで(はらわた)が煮えくり返ってくる。尤も、フレイヤが俺に頭を下げて謝罪した為、今更それについて追及できなくなってるが。

 

 美の女神だからか、各派閥の団員達は口を開いてフレイヤに見入っている様子だ。しかも性別関係無く、まるで魂が抜けたかのように立ち尽くす人もいる。

 

 近くにいるナァーザさんも、いかんいかん、と首を振って明後日の方向へ視線を向けている。ベル達の方を見てみると、命は赤くなって呻いており、アスフィさんは初めから視線を明後日の方向に飛ばしている。ベルに至ってはヘスティア様が危険だと叫んで、フレイヤを見せないように遮られていた。

 

 どうやら俺みたいに異能(フォトン)を持ってないと、あの女神の『魅了』を抵抗(レジスト)出来ないようだ。それだけ美の女神が凄いって事か。

 

 すると、フレイヤは突然動きを止めたどころか、俺の方へと見つめ……そのまま微笑んだ。

 

 コツ、コツ、と靴を鳴らして歩み出していく。あの女神がいく先には多くの人がいるが、まるで見えない壁があるかのように人混みが散っていき、どんどん道が開けていく。獣人二人の従者を引き連れる女神は、間もなく俺達の前で足を止めた。

 

「来ていたのね、ミアハ。お元気かしら?」

 

「うむ。今宵もそなたは美しいな」

 

 フレイヤの挨拶にミアハ様が普通に褒めた直後、ナァーザさんが目を尖らせながら背中を抓っていた。「うっ!?」と悲鳴が飛ぶミアハ様に、俺は内心気の毒にと留めている。

 

 向こうは気にしてないのか、挨拶を終えると今度は俺の方を向いて笑みを深めた。

 

「久しぶりね、リヴァン。あの時会って以来だけど、元気そうで何よりだわ」

 

「……その節はどうも」

 

 挨拶してくるフレイヤに素っ気なく返す俺。それが気に入らないのか、オッタルとアレンが顔を顰めていた。オッタルはほんの少しだが、アレンは凄く分かりやすい程に怒りを露わにしている。

 

 俺とフレイヤのやり取りを見た神々や団員達が驚くように見ている。特にフレイヤ相手に素っ気ない返事をした俺に。

 

「聞いたわ。『Lv.2』にランクアップしたみたいね。私からご褒美をあげようと思っているのだけど」

 

「遠慮しとく。そう言うのは俺みたいな余所者じゃなく、自分の眷族だけにしてくれ」

 

「連れないわね……まぁいいわ。今回は(・・・)ここまでしておきましょう」

 

 今回は、か。また俺に絡んできそうな発言だ。

 

 用が済んだフレイヤは次にベルの方へと視線を向けて、そこへ向かおうと足を運ぶ。従者の二人も一緒に。

 

 けど、まだ俺の用は済んでいない。

 

「アレン・フローメル」

 

「その口で俺の名を気安く呼ぶんじゃねぇ、クソガキ」

 

 突然の名指しに従者の一人であるアレンが足を止め、振り向きながら俺を睨んできた。移動していたフレイヤとオッタルも気になったのか、同時に足を止めている。

 

「そんなクソガキからのアドバイスだ。アンタは今後宴に参加しない方が良い。そうやって誰彼構わず睨んでいたら、神フレイヤの品性を疑われる」

 

「どうやら今此処で俺に殺されたいようだな。鬱陶しい羽虫風情がいい気に――」

 

「アレン、止めなさい。私との約束を忘れたとは言わせないわよ?」

 

「…………………」

 

 今にも襲い掛かりそうに殺気を醸し出すアレンだったが、フレイヤの言葉で押し留まった。

 

 何の約束をしたのかは知らないが、直後に無表情のままオッタルの隣に立って無言となり、そのままフレイヤの後を追っていく。その後にはフレイヤがヘスティア様とベルの絡みがあっても終始無言だった。

 

 久しぶりに会っても、あの男は相変わらずのようだ。口の悪さはベート・ローガに匹敵している。もしもアレンとベート・ローガが鉢合わせたら、即行で罵り合戦をしそうだ。

 

 すると、突如ナァーザさんが険しい顔をしながら問い詰めてくる。

 

「何やってるの、リヴァン……! 相手は【フレイヤ・ファミリア】なのに、死にたいの……!?」

 

「すいません。以前の件があって、どうも口が勝手に動いてしまいました」

 

「だからってあんな喧嘩を売る行為は――」

 

「これこれ、ナァーザ。そうやってリヴァンを責めるのは良くないぞ」

 

「ミアハ様はリヴァンに甘すぎです。もう少し主神らしく諫めてくれればこんな事には……!」

 

 宥めようとするミアハ様だったが火に油みたいで、ナァーザさんは説教するように詰め寄る。

 

 ナァーザさんには悪いけど、俺としては絶対に譲れないところはある。いくら零細【ファミリア】だからって、俺はきっちりとケジメを付けないと気が済まないので。まぁどうしようもなくなった時は、責任を取る為に【ミアハ・ファミリア】を脱退する事を考えている。

 

「驚いたな。まさか神フレイヤだけでなく、【女神の戦車(ヴァナ・フレイア)】を相手にあそこまで言い切るとは」

 

「ん?」

 

 聞き覚えのある声に俺が振り向くと――

 

「18階層以来だな、リヴァン」

 

「これはこれは、まさか貴女も参加していたとは驚きです」

 

 深緑のドレスを身に纏った【ロキ・ファミリア】の副団長――リヴェリア・リヨス・アールヴが俺の前に姿を現していた。

 

 因みにベル達の方では、神ロキとアイズもいる。今はヘスティア様と神ロキの言い争いをしている最中だが。




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