少年エルフが前衛で戦いながら支援をするのは間違っているだろうか 作:さすらいの旅人
俺がもう一人の相手――ベート・ローガを指名した事に誰もが驚いていた。
『Lv.2』の
当然これにはフィン・ディムナ達が止めるよう言ってきた。向こうは要求を断れる立場でないから、遠回しな言い方で説得するも、何があっても自己責任で済ませると俺の方で言った事で何とか収まっている。
因みにレフィ姉さんだけは最後まで反対していたが、
『今の俺は他派閥の一人として【ロキ・ファミリア】に要求しているんです。ご理解頂けましたか?』
他人行儀な態度で突き放す俺の発言に何も言えなくなった。
本当だったらレフィ姉さんにそんな言い方はしたくなかったが、
向こうも俺の決意が固いと分かり、フィン・ディムナはベートに頼むよう言ってきた。
だが――
『誰がやるか。テメェみてぇな調子に乗ったザコに付き合うほど、俺は暇じゃねぇんだ』
と言ってすぐに応接間から出て行ってしまった。
先程の謝罪した件を全く無視するような対応にフィン・ディムナ達は俺に謝罪しようとするが、その必要はありませんと言っておいた。
あの
他の第一級冒険者を指名すれば良いと思われるだろうが、指名した理由は一応ある。自分が調べた限りベート・ローガは【ロキ・ファミリア】最速と呼ばれている男だから、都市最速の称号を有している【フレイヤ・ファミリア】の副団長――アレン・フローメルと戦う機会があるかもしれないと考え、どれほど速いのかを事前に知っておきたかった。結局は叶わず仕舞いとなってしまったが。
あとベルとアイズの修行については、【ロキ・ファミリア】の目が届かない場所でやって欲しいと頼んだ。
これには流石にフィン・ディムナも難色を示したが、俺が理由を明かした事で折れる事となった。それでも誰か一人だけでも(監視と言う名の)見守りが必要だと言われたので、そこはティオネさんが付く事となった。因みにベルとアイズが二人っきりで修行と知ったレフィ姉さんが見守ると立候補していたが、どう考えても嫉妬に狂って妨害するのが目に見えてたから、即座に却下したのは言うまでもない。
俺に関しては【ロキ・ファミリア】の
ベルを別の場所へ行かせるのは他にもあった。知っての通りベルはかなりのお人好しだから、そこにつけ込むように【ロキ・ファミリア】が巧みな話術で俺達に関する情報を収集するかもしれないと危惧し、敢えて遠ざけさせた。恐らくフィン・ディムナはそれに気付いている筈だ。口にしなかったのは、謝罪の件もあるから敢えて見逃したと思う。そうでなかったら、ベルを遠ざけさせる事に最後まで反対していた筈なので。
という訳で、俺とベルはそれぞれ違うところで修行を始める事となった。
☆
「それじゃあ、始めよっか!」
「どうぞお手柔らかに」
場所は変わって『黄昏の館』にある広場。訓練場としても兼ねている為、リヴァンは此処でティオナと相手をする事となった。
互いに得物を用意する二人。二つの剣の柄が繋がった超重量の大型武器――
主要幹部のガレスに次いで『力』に特化した
「あの子、本気でティオナ相手に挑むつもりなの?」
「みたいっすね」
信じられないように見ている女性
この広場にはリヴァンとティオナ以外の者達もいる。言うまでもなく【ロキ・ファミリア】の団員達だ。
応接間で話を終えた後、
最初はベル・クラネルがいない事に疑問を抱いたが、アイズとティオネと一緒にどこかへ行ってしまったと聞いて表情を歪めていた。何故幹部――特にアイズ――を連れているのかと最初は憤っていたが、
彼等は知っている。
それは別として、これから始まる修行を見守る団員達の中に、物凄く心配そうに見ている一人のエルフがいた。
「リヴァン……」
そのエルフはリヴァン・ウィリディスの従姉であるレフィーヤ・ウィリディス。
ベルが別の場所でアイズと修行すると聞いて若干暴走気味だったが、大事な従弟であるリヴァンがティオナと修行すると改めて聞いて一気に冷静に戻った。それどころか青褪めている。
彼女はリヴァンが前衛でも充分に戦える事を知っている。しかし、それはダンジョン上層のモンスターを相手にしていただけ。彼が目の前に対峙してる相手はそんなのと比べ物にならないほど強い、遥か格上の第一級冒険者。力の差は歴然としている。
以前に18階層で見せた魔法を使って戦うなら、ティオナに相応の傷を負わせる事が出来るかもしれない。しかしレフィーヤの見解では、それを使わないと何となく分かった。食人花に使っていたあの魔法はどれも強力で殺傷力が高いものだから、下手をすればティオナを殺してしまうかもしれないと。
それ以外を挙げれば、攻撃魔法以外に使った二つの治癒魔法がある。既に三種類以上の魔法を使っておかしいが、そこは敢えて気にしないでおく事にした。本当なら何故かと問い質したいのだが、彼が【ミアハ・ファミリア】という他派閥にいる為に詳細を聞く事が出来ない。
本当なら彼女は立場上【ロキ・ファミリア】として団長のフィン、もしくは副団長並びに師匠であるリヴェリアに報告しなければならない。どちらも知れば速攻で食いつく内容だろう。特に魔法に関しての探求心が強いリヴェリアなら知りたがる筈だ。しかし、従弟から口外しないよう約束をされたので、レフィーヤは今もそれを律儀に守っている。
もしリヴァンが修行中に危険な状態となれば、例え何を言われても絶対に止めようとレフィーヤは決意する。いくら
そう決意をしている最中、武器を構えていたティオナが突然リヴァンに話しかけた。
「ねぇ、アイズから聞いたんだけど、君ってあたしと似たような武器を持ってるって本当?」
「貴女と似た武器? ………………ああ、これの事ですか」
何の事かと不可解に思うリヴァンだったが、ティオナの武器を見て途端に構えを解いた。
すると、二つに重ね合わせている片手剣を分離させる。その光景にティオナだけでなく、レフィーヤも含めた団員達も目を見開く。
特にレフィーヤは信じられないように見ていた。今まで持っていた片手剣を、ああ言う風にした分離してはいない筈だと思いながら。
そんな疑問を余所に、リヴァンは分離させた二つの片手剣の柄同士を連結させた事で、ティオナと同じ
「おお~、なんか凄いねその武器! あっと言う間にあたしと同じ
「っ………はぁっ。そんな事より、始めてもいいですか?」
自分と似た武器になった事で目を輝かせるティオナが予想外の質問をした事で、リヴァンは一瞬眉を顰めた。だが、数秒後には諦めるように嘆息し、すぐ話題を戻そうとする。
先程の質問は当然レフィーヤ達も聞こえていた。それによってザワザワと少し騒ぎ立てている。
(え? え? リヴァンが……あの武器でトロールを、倒した?)
全くの初耳であるレフィーヤは呆けている。
彼女の記憶が正しければ、
だと言うのに、ダンジョン20階層以降に出現するトロールをリヴァンが倒したと言うのは寝耳に水だった。一体それはどう言う事なのだと問い詰めたい衝動に駆られている。
当の本人は全く否定せず、早く戦おうと催促してる事から、それは本当の事なんだとレフィーヤは何となく察している。
だが――
(ねぇリヴァン、一体どういうことなの? 何でそんな大事なことを相談しなかったの? まさかそれ以外にも
既に頭の中が
昔は自分に懐いていた筈の従弟がオラリオで再会した際、非常に大人っぽくなった。いつの間にか自分の身長を追い越した上に凛々しい表情となっている。
そんな自慢の従弟が、まるで急に遠い存在のように見え始めている。再会するまでに一体何があったのかと思い詰めるほどに。
「いいよ~。どんと来~い!」
「では……行きます!」
レフィーヤの心情とは別に、漸くリヴァンの修行が開始となった。武器を構えながら突進していくリヴァンに対し、ティオナは待ち構えている。
そして数分後、この場にいる団員達は信じられないと言わんばかりに驚愕する。『Lv.2』である筈のリヴァンが、何故か『Lv.6』のティオナとまともに戦えているどころか、互角に近い手合わせをしている事に。遠くから眺めている某
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