少年エルフが前衛で戦いながら支援をするのは間違っているだろうか 作:さすらいの旅人
残った二日も鍛錬に費やすも、色々と凄く面倒な事になった。ベート・ローガも急遽加わったから。
これには当然ティオナさんが『邪魔しないで!』と抗議するも、あの狼は『うるせぇ、俺はあのクソエルフに喧嘩売られたんだ!』と言い返してくる始末。二人の口論に俺は勿論の事、レフィ姉さんや団員達も揃って唖然となったのは言うまでもない。
結局のところ、リヴェリアが間に入って仲裁したお陰でどうにか収まってくれた。見ていた俺はまるで母親みたいだと思ったのは内緒だ。口にしたら彼女からギロリと睨まれるのが容易に想像出来たので。
俺も一応、昨日の続きをしたいと言う理由で午前中はベート・ローガと相手をする事にした。文句を言ってくるティオナさんに申し訳ないが、午後から相手をしてもらおうと言って。
レフィ姉さんの隣でものすっごく不満そうに見てくる彼女を余所に、俺は即座に本気で激突する。向こうも昨夜の事もあってか、俺と同じく本気のスピードを出していた。
二振りとなってる
因みに戦闘スタイルを変えてる事に、レフィ姉さん達はそれに全く気付いていなかった。ティオナさんだけでなく、ベート・ローガとも
「クソがっ! さっきから当たる寸前に妙な
「当たりたくないから防いでるんだよ! 俺はマゾじゃないんでね!」
パリィで攻撃を防がれてる事に悪態を吐くベート・ローガに対し、思った事をそのまま言う俺。
いくらエトワールクラスが防御に優れていると言っても、あの蹴りを顔に当たったら絶対に軽傷では済まされない。余りに酷かったらアクティブスキル――『オーバードライブ』を使って瞬時に全回復すればいいが。
体力や体内フォトンを全回復させるだけでなく、体内フォトンを一定時間
けど、俺は此処に来て一度も使ってない。理由は簡単。『ロキ・ファミリア』にこれ以上の情報を公開させたくないから。
既に
まぁ俺も俺で、ティオナさんとベート・ローガに関する情報は得ている。主に戦闘スタイルに関して。全てを知った訳ではないが、敵対して戦う事になれば、それ相応に戦う事が出来る。情報の有無で戦況が左右されるから、【ロキ・ファミリア】幹部の情報は非常に有難い。尤も、俺も向こうに自身の戦闘スタイルの情報を与えてしまってる為、ある意味等価交換みたいになってしまっているが。まぁ俺の場合、同時にちょっとした弱味を握る事が出来たから、向こうからすれば大損だろう。
そう考えながらも、残りの二日間は今までと違うも、俺にとっては非常に有意義なものとなったのであった。
☆
「――と、リヴァン・ウィリディスはそう考えているだろうね」
執務室にて、会議をしているフィンはリヴェリア達にそう説明していた。
リヴァンの推察した通り、相手をしていた
その弱味とは、リヴァンとベルが手合わせ前に団員達がやらかした失態の件だった。既にフィン達が謝罪して何とか事無きを得たと言っても、万が一に団員達が時間が経って忘れ気味になった際、どこかで前回みたいな失態をまたやらかしたら再発する恐れがある。そうなったら最後、リヴァンは一切の謝罪を受け付けずに【ロキ・ファミリア】を訴えるだろう。
団員達がちゃんと徹底すればいい話なのだが、知っての通り【ロキ・ファミリア】は都市最大派閥であり、そこに入団するのは大変な名誉に等しい。そう思った団員が増長し、他所の【ファミリア】に無礼な振る舞いを行う可能性がある。そしてそれが万が一リヴァンにやってしまえば、もう後がない状態となってしまう。故にフィンは少しばかり懸念している。
「確かにあり得る話だろうが、いくらリヴァンでもそこまではしないんじゃないか?」
フィンの考えを聞いた副団長のリヴェリアが指摘した。
リヴァンは従姉のレフィーヤに対して恋心を抱いているのをリヴェリアは気付いている。彼女が【ロキ・ファミリア】にいる限り、そこまでの事はしないだろうと思っていた。
「随分とあの小僧を信用しているではないか」
「まぁ、リヴェリアが積極的に話しかけておったからなぁ。もしかしてリヴェリア、あのエルフの子を若いツバメに――」
「どうやらロキは氷漬けにされたいようだな」
「堪忍やぁ! ウチ調子こいてましたぁ! すんません!」
本気で魔力を迸らせているリヴェリアを見たロキが土下座する勢いで頭を下げて謝った。それを見たフィンとガレスは何も言わず苦笑するだけだ。
リヴァンの事でからかうのは命懸けになりそうだが、それは絶対にやらないようにしようと二人は改めて認識する。
取り敢えず話を変えようと、フィンは再度口を開こうとする。
「それにしても、彼は本当に『Lv.2』なのかと疑いたくなってしまうね」
「一応ウチのほうで確認してみたが、あれは間違いなく『Lv.2』や」
この期間中、ロキはリヴァンにさり気なく話しかけてレベルの確認をしていた。
『Lv.2』が『Lv.6』と真っ向に戦えるなんて、普通に考えればあり得ない。だが、リヴァンはそれを覆すように実行していた。もう明らかに異常な光景だと【ロキ・ファミリア】は困惑する日々を送っていた。
「確かにあれほど戦えるエルフは初めて見たわい。見ていたワシも思わず混ざりたくなったからのう」
ティオナやベートを相手にあそこまで戦ったエルフに、ガレスは昂りそうになるも我慢していた。
「あの小僧が【ロキ・ファミリア】に入団しようとしてたら大歓迎だったのではないか?」
「否定はしない。だけどその分大きな秘密があるだろうね」
「せやな」
フィンとロキは大体察していた。リヴァンがあそこまで戦えるのには、何かしらの理由がある筈だと。同時にそれを知っているであろう彼の主神であるミアハは、ギルドに一切公表しないでいる事も含めて。
「まぁ取り敢えず、リヴァン・ウィリディスが今度の
「案外、あの小僧が【ヘスティア・ファミリア】を勝利へ導くやもしれんな」
ガレスの予測にフィン達は誰も否定しなかった。ティオナとベート相手にあそこまで戦ったリヴァンが、【アポロン・ファミリア】との
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