少年エルフが前衛で戦いながら支援をするのは間違っているだろうか 作:さすらいの旅人
待ちに待った
大イベントによって、朝早くから『豊饒の女主人』を含めたすべての酒場が店を開き、街の至る所で多くの出店が路上に展開している。
オラリオから遥かに離れた場所で
都市中が熱気と興奮に包まれている中、【ロキ・ファミリア】一同はバベルで観戦してる
「アイズ、そろそろ始まるよー!」
団長のフィンや主要メンバーの幹部勢は一室に集まっており、出現した『鏡』を見て観戦している。
窓越しから外を眺めていたアイズにティオナが声を掛けてきたので、すぐに振り返って映し出されてる『鏡』を見ながら幹部達の方へ近寄った。
「リヴァン……」
リヴェリアの隣に座っているレフィーヤは相も変わらず心配そうに見つめていた。
リヴァンの強さは先日の修行で理解している。しかし、『Lv.6』のティオナやベート相手に互角の戦いを繰り広げたのは今でも信じられなかった。これまで何度も問い詰めたが、他所の【ファミリア】だからという理由で教えられなかった。それとは別にやっぱり止めようと説得をするも、当の従弟は全く聞く耳持たず状態。挙句の果てには、『あんまりしつこいと金輪際、縁を切りますよ?』と脅すように言われてしまった為に引き下がらざるを得なかった。
彼女がそうまでして止めようとする理由は、ベル・クラネルが原因であった。と言っても、それはレフィーヤが一方的にベルを敵対視しているだけに過ぎない。自身が憧憬するアイズと仲が良いという個人的な嫉妬で。
もしもベル以外の為に頑張ろうとするなら、執拗に止めようとはしなかった。だが相手がベルの事となると、どうしても引き留めてでも説得してしまう。
嘗てウィーシェの森でいた頃、レフィーヤはリヴァンを実の弟のように仲良く接していた。そんな中、その弟が突然行方不明となって数年後にオラリオで再会し、いつの間にか自分より大人っぽくなっている。それでも自分を姉さんと呼んでくれる事で、レフィーヤは姉として、冒険者の先達として接している。
そんな大事な従弟が、いつの間にかベルの為に頑張ろうとしている。リヴェリアから
段々と自己嫌悪しているレフィーヤに、ティオナが元気よく声を掛けようとする。
「大丈夫だよ、レフィーヤ! 従弟のリヴァン君を信じなって! あの子、すっごく強いんだからさ!」
「ティオナさん……」
まるで自分の考えを読んでいたかのような台詞だったが、レフィーヤはそれでも心が少し軽くなった。彼女の言う通り、ここまで来た以上は従弟を信じるしかないと考えを改め見守ろうとする。
(漸く覚悟を決めたか)
隣にいるリヴェリアは内心安堵した。師である自分が声を掛けるべきなのだが、そうしたところで空元気に振舞うだけだと思い敢えて何も言わなかった。しかし、ティオナがフォローしてくれたお陰でちゃんと向き合おうとしてるから、取り敢えず一安心した。
すると、ある事を思い出したティオナは突然膨れっ面になる。
「そう言えばロキってば、結局
「そんなの
「だってあの子、すっごく強かったから、もしかしたら上がってるかもって思ったんだよ~」
「……団長、ティオナの言ってる事は本当なんですか? リヴァン・ウィリディスがティオナやベートと互角に戦っていたのは」
監視役としてベルの修行をティオネはリヴァンの修行内容を知らなかった。
「ああ、本当だよ。あれには僕も本当に驚かされたよ」
「そう、ですか……」
愛する団長の言う事なら間違いないと結論するティオネだが、珍しくも歯切れが悪かった。
(今度会ったら絶対手合わせする……!)
因みにアイズも聞いており、ティオネと違ってあっさりと信じていた。前々からリヴァンが只者じゃないと知っていた事もあって、一層興味を抱いている。
「けど、僕としてはそちらの修行が気になるね。確か彼は見慣れない武器を使って、不可思議な事が起きていたそうだね」
「あ、はい。ベル・クラネルに訊いても、リヴァン・ウィリディスから借りただけとしか……」
ティオネは情報収集をしようと、アイズとの修行中の合間にベルが使用していた武器について調べるも全く得る事が出来なかった。『Lv.6』のアイズが繰り出す攻撃を受けても異常に打たれ強くなってる他、
当然、これはアイズも疑問視していた。以前内緒で訓練した時とは全くの別人ではないかと錯覚するほどの強さになっていたので、思わず何度も本気でやろうとするほどだ。
加えて修行期間中に一度も破損せずに最後まで使っていた。
唯一分かったのは、ベルが使っていた武器はリヴァンの所有物であるだけ。それ以上は全く分からない。
しかし、フィンからすれば充分な収穫だった。リヴァンが明らかに普通の冒険者とは違うという状況証拠を得られたので。
そもそも彼がティオナやベートと戦える時点でおかしいだけでなく、ベルに貸した武器は明らかに普通じゃない。
(まぁ何にせよ、暫くは様子見だね)
かと言って、フィンはたったそれだけでリヴァンを問い質す気は一切ない。今の【ロキ・ファミリア】は弱味を握られてる状態なので、下手に藪蛇を突いてしまえば手痛い竹箆返しを受けてしまう恐れがあるから、一先ずほとぼりが冷めるまで静観するつもりでいる。
「ベート、お主はどう見る?」
それとは他所に、ガレスは後ろで壁に寄りかかりながら佇んでいるベートへ顔を向ける。ティオナより短い期間とは言え、ベートもリヴァンと修行相手になっていたから多少気になっていた。
「知るか」
たったの一言でベートは話をぶった切る。
ガレスはそこまで期待してなかったのか、一言を聞いた後に若干呆れながらも再び『鏡』の方へと視線を移した。
(あのクソエルフ、一応は俺とあそこまで戦ったんだ。これでもし無様に負けたらブッ殺してやる……!)
ティオナの邪魔があって満足に手合わせ出来なかったが、それでもリヴァンの事をただの雑魚と見る事は無くなっていた。それと同時に、非常に厄介な相手だと思っている。
攻撃をしても魔力剣みたいな物で何度も防がれるだけでなく、あの細腕とは裏腹に重い攻撃をする他、自身と同じ蹴撃も仕掛けている。ベート本人は決して認めないが、戦闘スタイルが少しばかり自分と似ていた。剣を振るいながらも脚も使って攻撃するから、一瞬パクリではないかと思うほどに。
『それでは
ベートが何れ落とし前を付けると思っていると、『鏡』から実況役の声がした後、大鐘の音と共に戦いの膜は開いた。
今回は【ロキ・ファミリア】側の心情話メインです。
感想お待ちしています。