少年エルフが前衛で戦いながら支援をするのは間違っているだろうか   作:さすらいの旅人

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久しぶりに更新しましたが、今回は短いです。


少年エルフ、戦争遊戯(ウォーゲーム)で暴れる 観戦者の反応

『これはすごーい!? 【ヘスティア・ファミリア】の助っ人として参戦した【ミアハ・ファミリア】が、まさかの蹂躙だぁー!!』

 

 オラリオの住民達が呆然としてる中、実況役である褐色肌の青年――イブリ・アチャーも同じ気持ちであったが、それ以上に興奮する様に叫んでいた。

 

 それが引き金になったかのように、瞬時に驚愕と興奮が混ぜ合って爆発した。

 

 宙に浮かぶ『鏡』では今も大勢の上級冒険者を相手に蹂躙の如く活躍をするエルフの少年――リヴァンが映っている。大通りに出ている観衆の女性達は、端整な顔立ちをしてる美少年に応援の声を送っていた。

 

『それにしてもガネーシャ様、彼が使っている凄まじい「魔剣」は一体何だったんでしょう!?』

 

『あれは――ガネーシャか!?』

 

「解説する気が無いなら帰ってくれませんかねぇガネーシャ様ァ!!」

 

 ギルド前の実況と解説のボルテージも絶好調に達し、拡声された声がオラリオに響き渡る。

 

 そんな中、『鏡』に映っているリヴァンが一通り片付けるも、援軍として駆け付けた多くの上級冒険者達が襲い掛かろうとしていた。ざっと見ただけで三十人近くいる。

 

 いくら実力があるとは言え、先程まで全力に近い蹂躙をしていた彼でも体力がもたないだろう。加えて、先程まで使っていた魔剣もそろそろ限界が来て砕け散ると、観衆たちは予想していた。

 

 リヴァンは援軍として来る【アポロン・ファミリア】の上級冒険者達を目にしても、全く動じた様子を見せていない。それどころか、少々呆れたかのように嘆息していた。すると、両手で持っている二振りの剣を重ね合わせ、再び元の片手剣へと戻っていく。その直後、半透明な魔力と思わしき球体に覆われたと思いきや、そのまま凄まじい勢いで突撃。それに激突した上級冒険者達は、まるで戦車に轢かれたかのように次々と吹っ飛ばされていく。

 

『えええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!????』

 

『な、何と言うことだぁぁぁぁ!? 先程までの戦いから一変し、今度は暴走する戦車みたいに轢いているぞー!』

 

 観衆達が大絶叫を上げており、実況役も負けじと拡声器で叫んでいた。

 

 上級冒険者達を蹂躙するリヴァンの戦いに、観衆の中にいる一部の冒険者達はふと思い出す。あの速度で敵を吹っ飛ばしていく光景は、まるで【フレイヤ・ファミリア】にいる【女神の戦車(ヴァナ・フレイア)】――アレン・フローメルみたいであると。

 

 

 

 

 

「ほう。まさかアレンみたいな戦い方をする同胞がいたとは」

 

 場所は変わって【フレイヤ・ファミリア】の本拠地(ホーム)――『戦いの野(フォールクヴァング)』。此処でも『鏡』が設置されており、フレイヤの眷族達は戦争遊戯(ウォーゲーム)を観戦していた。

 

 彼等は自分達より弱者である【ファミリア】同士の諍いに全く興味は無いのだが、主神(フレイヤ)が今も夢中になっている気に入らない奴(ベル・クラネル)がいる。状況によって命令が下される可能性がある為、殆どが仕方ないと言った感じで『鏡』を見ている。

 

 始まって早々、フレイヤがベル以外にも気にかけているエルフの少年(リヴァン・ウィリディス)の戦いに、【フレイヤ・ファミリア】の幹部――ヘディン・セルランドが感嘆の声を出していた。エルフである彼としては、同胞のリヴァンが多くの上級冒険者を一掃する光景に大変興味を引いているようだ。

 

 因みにリヴァンが魔剣を忌避するエルフ達の考えを否定した際、ヘディンは他の同胞達と違って憎悪を抱いていないどころか、全く同感だと頷いていた。加えて【ヘスティア・ファミリア】側が大変不利な状況であるから、忌まわしい過去を理由に魔剣を使わないなど愚の骨頂だと考えているから。

 

「……ク、クククッ、(ちり)(あくた)の蹂躙……あの剣に備わる闇の魔力が……」

 

「無理に喋ろうとするな、ヘグニ」

 

 一緒に観戦しているもう一人のエルフ――ヘグニ・ラグナールが妙に拗れた発言をしようとするも、そこをヘディンが呆れるように止めた。

 

 白妖精(ホワイトエルフ)のヘディンと黒妖精(ダークエルフ)のヘグニは共に行動しており、白黒の騎士と呼ばれ、オラリオの冒険者達からは【フレイヤ・ファミリア】最凶の魔法剣士と知られている。

 

「おい、あのクソガキと一緒にすんじゃねぇ」

 

 心底気に入らない台詞が耳に入ったかのように、アレンが不愉快そうな表情で言い放った。

 

「それに反応するのは自覚しているんじゃないのか?」

 

「おい止せ、ドヴァリン」

 

「どこかの家畜より、あのエルフの方が戦車に見えるな」

 

「何でお前も乗っかろうとする、ベーリング」

 

「戦車の二つ名を返上した方が良いんじゃないのか、ド淫乱猫」

 

「止せって言ってるだろ、グレールッ」

 

 アレンを挑発する【フレイヤ・ファミリア】の幹部――【炎金の四戦士(ブリンガル)】ことガリバー兄妹。

 

 弟達――ドヴァリン、ベーリング、グレール――の発言に突っ込みを入れる長男(アルフリッグ)だが全然言う事を聞かない。これはある意味、彼等の日常みたいなモノである。

 

(成程、フレイヤ様が興味を抱かれる訳だ)

 

 幹部達の会話を余所に【フレイヤ・ファミリア】の団長――オッタルは観戦に集中していた。

 

 彼は以前、ほんの僅かだったがアレンと()り合ってるところを目にしており、並みの冒険者ではない事も見抜いている。

 

 あの時のリヴァンは当時『Lv.1』であり、『Lv.6』であるアレンとは本来勝負にならず一瞬で倒される筈だった。だがその前に、フレイヤの魅了で傀儡となる筈でもあった。

 

 だと言うのにそれ等を覆していたから、オッタルはリヴァンに少なからず興味を抱く事となった。ベル・クラネルと似たように。

 

 真相は定かでないが、ベルとリヴァンが【ロキ・ファミリア】の本拠地(ホーム)へ行き、戦争遊戯(ウォーゲーム)に備えての特訓をしていたとの噂が耳に入った。それを聞いた時のフレイヤは大層不機嫌そうな表情になっていて、傍に居たオッタルは宥めるのに少しばかり苦労したみたいだが。

 

 だが、ソレとは別に気になる事があった。

 

(あれは本当に『Lv.2』なのか? 俺にはあの妖精が『Lv.5』や『Lv.6』に匹敵してるようにしか思えん)

 

 今繰り広げている光景は同格の上級冒険者同士の戦いの筈だが、まるで格下を相手にしてるようだとオッタルはそう感じていた。

 

 実際、それは正しかった。何しろリヴァンは戦争遊戯(ウォーゲーム)が始まる前、【ロキ・ファミリア】にいる『Lv.6』のティオナやベートに相手をしてもらい、激しい鍛錬を繰り広げていた。もしオッタルが目撃していれば、リヴァンに対する興味が更に高まり、独断で手合わせをしていただろう。

 

(少しばかり、調べてみる必要があるな) 

 

 聞いた情報によると、リヴァン・ウィリディスは【ロキ・ファミリア】にいる団員の身内であり、【九魔姫(ナイン・ヘル)】の弟子である『Lv.3』の後衛魔導士――レフィーヤ・ウィリディスの従弟。戦闘スタイルは真逆である他、同じ身内でありながらも何故こうも違うのかと少しばかり疑問を抱いてしまう。

 

 もっと詳細な情報が欲しいオッタルは密かに決意した。この戦争遊戯(ウォーゲーム)が終わった後、リヴァンや【ミアハ・ファミリア】について調べてみようと。




今回は【フレイヤ・ファミリア】側の視点を書きました。
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