少年エルフが前衛で戦いながら支援をするのは間違っているだろうか   作:さすらいの旅人

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久しぶりの更新です。


少年エルフ、戦争遊戯(ウォーゲーム)で暴れる 奇襲を仕掛ける

 【アポロン・ファミリア】の眷族達を、移動手段として使ってるプリズムサーキュラーで(殺してはいないが)轢き殺すように薙ぎ倒しながら縦横無尽に駆け巡っている。数えてはいないが、恐らくは五十人以上はやられている筈。魔剣を使ってると勘違いしてるとは言え、『Lv.2』の俺一人にここまでやられたとなれば、連中はオラリオに戻ったら笑い者扱いされるだろう。

 

「お二人とも、此処は任せました!」

 

「なっ!?」

 

「ちょ、リヴァン殿!」

 

 移動中にリューさんと命さんを見かけたので、俺が倒し損ねた連中を任せる事にした。そう言う打ち合わせはしてないが、あの二人も俺と同じく城の中に侵入して暴れ回る役割を与えられてるから、そこは然して問題はない。戦争遊戯(ウォーゲーム)が終わった後に何か言われそうになるが、今は気にしないでおくとする。

 

 大声で引き留めようとする二人の声を無視する俺は、北城壁から西城壁へと向かっている。そこにある出入り口の門は既に開かれており、ベルとヴェルフが丁度入ろうとしていた。【アポロン・ファミリア】の小人族(パルゥム)団員――ルアンによって。

 

 戦争遊戯(ウォーゲーム)を観戦しているオラリオの市民達からしたら、ルアンは此方に寝返ったと思ってるだろう。けれど、真実は違う。アイツの正体は『変身魔法』を使ったリリルカ・アーデなのだ。

 

 最初は凄く驚いた。他派閥の俺がそれを知るのは本来御法度だが、【ヘスティア・ファミリア】の為に協力しているという理由で知る事が出来た。リリルカから『他言無用でお願いしますね』と念を押されたが、吹聴する気など一切無い俺は勿論了承してる。

 

 因みに本物のルアンだが、聞いた話によると街外れの倉庫に閉じ込められてるらしい。今もミアハ様に見張られながら、この戦争遊戯(ウォーゲーム)を見ているとか。

 

 俺としては、アイツが今後どうなろうと心底如何でも良い。命令されたとは言え、宴会を楽しんでいた俺やベル達を怒らせようと好き勝手にほざいていたクソったれ小人族(パルゥム)に同情の余地など皆無だから。

 

「手筈通りに開けたようだな」

 

 プリズムサーキュラーを一旦解除して声を掛けると、三人は一斉に此方へ視線を向けてきた。

 

「おいリヴァン、遠くから見てたが一人で城の中に入るなんて随分無茶をしたな」

 

「そうだよ! あんな事するなんて聞いてないよ!」

 

「まぁ、リリとしては大変嬉しい誤算でしたが」

 

 本当なら俺とリューさんが魔剣で城壁に穴を開けてから敵の大半を場外に引きつけ、残った相手の更に半数を命さんが本丸から遠ざけて束縛する予定だった。

 

 それを全く違う事を仕出かした俺に、ヴェルフとベルは苦言を呈しているのだ。ルアンに変装中のリリルカは二人と違って、想像以上に敵を倒してくれたことに感謝しているようだが。

 

「悪かった。だけど、それは後にしよう」

 

 文句を言いたい二人をどうにか抑えた俺は、リリルカからある事を聞こうとする。

 

敵大将(ヒュアキントス)がいるのはあの塔か?」

 

「ああ。だけどあそこは塔の三階から伸びる長い空中(わたり)廊下を通らないといけない」

 

 ルアンの口調で語るリリルカはそう答えた。

 

 余り詳しく知らないが、この古城跡地は王国軍によって後付けで王城のような白い塔を建てられたらしい。外からは入る為の入り口はなく、綺麗な外見とは裏腹に結構硬いとか。

 

「となれば、そこには魔導士を含めた敵もいるか?」

 

 再度問う俺にリリルカはすぐに頷く。

 

「となれば、俺の出番だな。よし! いつまでもこんな所で話してないで、早く行こ――」

 

「待て、ヴェルフ」

 

 脚を動かそうとするヴェルフに俺が待ったを掛けた事で、彼だけでなくベルとリリルカが疑問を抱く。

 

「敵がいるのを分かっていながら突っ込むのは愚の骨頂だから、背後から仕掛けるとしよう」

 

「はぁ? 背後からって……」

 

空中(わたり)廊下を通らないといけないって、さっきリリが……」

 

 意味が分からないと言うヴェルフとベルだが――

 

「とにかく俺に任せろ。ほら二人とも、俺の肩に手を置きな」

 

「リヴァン様、一体何を……」

 

 リリルカも二人と同じく全く不可解な表情になってるのを一切気にせず、俺は気にせず指示を出すのであった。

 

 

 

 

 

 

他派閥(よそ)のエルフ一人に半分以上がやられて、ルアンが手引きして他の敵も入り込まれたって、一体どういう事なの!」

 

 玉座の塔内にある空中(わたり)廊下で待機しているダフネは、戦況を知った途端に声を荒げた。

 

 伝令に来た人物に問い質すも、報告してる本人ですら有り得ないように言ってる為、余計彼女の吊り目を見開く事になっている。

 

 ダフネが言ってるエルフとは、【ミアハ・ファミリア】のリヴァン・ウィリディスを指している。最初は【ヘスティア・ファミリア】と戦争遊戯(ウォーゲーム)を成立させる為に出しゃばり、会場にいる者達を大爆笑させた道化師(おろかもの)としか見ていなかった。

 

 しかし、その道化師(おろかもの)が【アポロン・ファミリア】の眷族達を半分以上倒した為、ダフネだけでなく、彼女と一緒にいる魔導士や|弓使いの迎撃隊も動揺を隠せないでいる。まるで話が違うと言わんばかりに。

 

小隊長(リッソス)達は?」

 

「や、やられたようだ。まだ動ける兵がいても、あのエルフ以外にも足止めしてる敵がいるみたいで」

 

 リューと命も奮戦してる事で、砦の中にいる眷族達は完全に浮足立っている。リヴァンの頑張りによって、中々思うように戦えていないのが現状だった。

 

 完全にやられたとダフネは呪った。戦う前から高みの見物を決め込んだ大将(ヒュアキントス)だけでなく、先日『Lv.2』になった妖精の実力を甘く見過ぎていた自分の愚かさを。

 

「ったく……。とにかく、この空中(わたり)廊下を渡らせないわ」

 

 いつまでも現実逃避する訳にはいかない為、ダフネは指揮官としてやるべき事をやろうと指示を出そうとする。

 

「魔導士は詠唱を準備、弓使い(アーチャー)は前に出なさい。奴等がここへ来たら、ウチの合図で斉射よ!」

 

 大将(ヒュアキントス)を倒す為には、必ず空中(わたり)廊下を通る必要がある。それしか方法がないとダフネは分かっているから迎撃の準備に移ったのだ。

 

 彼女の指示に魔導士と弓使い(アーチャー)は配置に付き、いつでも迎撃出来る状態になっている。

 

 待ち構えてから時間が結構経つも、敵は一向に来る気配を見せていなかった。伝令からの報告が正しければ、【ヘスティア・ファミリア】の敵大将(ベル・クラネル)助っ人(リヴァン・ウィリディス)は必ず此処へ通るはず。

 

「………ちょっと、敵の姿は!?」

 

「ま、まだ見えない!」

 

 ダフネが確認するも、仲間からの報告を聞いて更に疑問を抱いてしまう。

 

 状況から考えて、【ヘスティア・ファミリア】側は破竹の勢いで攻め続けている。だからもうそろそろ大将(ヒュアキントス)の玉座へ向かおうとしてもおかしくない。

 

 だと言うのに、一向に姿を見せないのは明らかにおかしい。ルアンが裏切っているのであれば、この空中(わたり)廊下を通る為の道順も聞いている筈だから、迷っているなど絶対にあり得ないのだ。

 

「ダ、ダフネ、一体これはどう言う事なんだ?」

 

「そんなのウチが知りたい位よ!」

 

 仲間の一人も疑問を抱いて思わず訊いてみるも、ダフネも全く同じ心境である為に全く分からない。

 

 空中(わたり)廊下で待機してる者達が、まさか本当に道に迷っているんじゃないかと少々気が抜けてしまいそうになるも――すぐに異変が起きた。

 

 自分達が守護している背後の塔から、突如大きな爆発が起きた。

 

「え? な、何で……!」

 

 未だに敵は来ていないにも関わらず、まるでそれを許してしまったかのように襲撃された事で、指揮官のダフネは混乱していた。

 

 塔の最上階が爆発によって火や煙が立ち上ってる中、突如何かが飛び出し、人影と思わしき者が落下しようとする。

 

「! すぐに迎撃しろ!」

 

 人影を見たダフネはすぐに敵と判断して、魔導士と弓使い(アーチャー)に指示を出した。

 

「【燃えつきろ、外法(げほう)(わざ)】」

 

 空から聞こえる超短文詠唱。

 

 それを口にした人影――ヴェルフが落下しながらも右腕を突き出していた。

 

 瞬く間に彼の手から放たれた陽炎が音もなく、そのままダフネ達のもとに到達する。

 

 それは魔導士達のもとに吸い込まれ、次の瞬間、彼等が持っている魔道具(ぶき)が突如暴発した。

 

「なっ!?」

 

 ダフネの目の前で咲き乱れる爆発の華の正体は、魔導士達の魔力暴発(イグニス・ファトゥス)によるものだ。

 

 ヴェルフの対魔力魔法(アンチ・マジック・ファイア)【ウィル・オ・ウィスプ】。魔法を封じさせる魔法であり、魔導士にとっては一番の天敵と言っていいだろう。

 

 それを使った事により、迎撃隊として組み込まれた魔導士達の魔法が暴発してしまい、弓使い(アーチャー)も左右に吹き飛ばされて被害が大きくなっている。唯一ダフネだけ咄嗟に身を屈めて衝撃に耐えたが、現状無事なのは彼女だけしかいない。

 

「どうやら無事なのはアンタだけみたいだな」

 

 予想外な奇襲を受けた迎撃隊とは別に、落下しているヴェルフは見事に着地していた。

 

 してやったりと言わんばかりに気持ちのいい笑みを浮かべているヴェルフに対し、ダフネは大変苦々しい表情となりながら睨んでいる。

 

「お前、一体どこから……!?」

 

 素直に教えてくれる訳が無いと分かっていながらも、ダフネは思わずそう叫んだ。

 

「知りたけりゃ武器(これ)でやろうぜ。冒険者だったら、なっ?」

 

 暗に俺に勝てたら教えてやると、担いでいた大刀を床に突き立てながらヴェルフは言った。

 

(全く、本当リヴァンには恐れ入るぜ。まさかあんな方法で(・・・・・・)俺達を運んだ(・・・・・・)だけでなく、妙な形をした魔剣(・・・・・・・・)で見たことねぇ魔法を使うなんてな)

 

 不敵に笑うヴェルフだが、先程まで実行していたリヴァンの奇襲方法に内心驚いているのであった。

 

 そして肝心のリヴァンは現在玉座におり、ベルとヒュアキントスの戦いを見守っている。




原作では正面から空中廊下を渡っているベルとヴェルフですが、リヴァンがある方法を使い、ダフネ達に気付かれる事なく奇襲を仕掛けました。

ヒントは二つです。

①リヴァンがエトワールクラス。

②とあるアークス武器に搭載してるテクニックを使いました。

答えは次回の更新になります。

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