少年エルフが前衛で戦いながら支援をするのは間違っているだろうか   作:さすらいの旅人

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やっと決着となります。


少年エルフ、戦争遊戯(ウォーゲーム)で暴れる 決着

「ヘ、ヘスティア! ミアハは何処にいる!?」

 

 オラリオ中が驚愕の絶叫を響かせている中、バベルの塔の広間で観戦してるアポロンがヘスティアに問い詰めていた。

 

 戦争遊戯(ウォーゲーム)が始まる前から勝利が確定してるように余裕な態度を見せていたが、【アポロン・ファミリア】の眷族達が次々と簡単に倒される光景を目にする事で段々と焦り始めていた。そしてリヴァンが白い塔に向けて魔法による奇襲をした直後、もう完全に余裕を失っている。

 

 リヴァンの実力は明らかに『Lv.2』でないと結論に至ったのか、アポロンはこの場にいないミアハに問い詰めようと、ヘスティアから居場所を聞き出そうとしていた。

 

「生憎僕は知らないよ」

 

「惚けるな! ミアハの神友(しんゆう)である君が知らない筈がないだろう!」

 

 アポロンがそう捲し立てるも、ヘスティアは本当に知らないのだ。正しくは正確な居場所を知らないと言った方が正しい。

 

 戦争遊戯(ウォーゲーム)が始まる四日前、ヘスティアはリリルカと一緒に【アポロン・ファミリア】のルアンを捕らえた後、それが終わるまで閉じ込めておくよう【ミアハ・ファミリア】に頼んだ。街外れの倉庫に閉じ込めてミアハが見張っているのは知っているが、具体的な位置までは掴めていない。オラリオは大変広い為、街外れの倉庫と言ってもヘスティアは全く分からないのだ。例え知っていたとしても、大変下らない理由でベルを狙っていたアポロンに教える気など毛頭無いが。

 

「ミアハがリヴァン・ウィリディスに【神の力(アルカナム)】を使った疑いがある! 今すぐ彼を連れて来るんだ!」

 

「はぁ?」

 

 ヘスティアからすれば、アポロンの言い分は支離滅裂なモノだった。

 

「何を言うかと思えば、そんなわけないじゃないか。仮にリヴァン君の実力が【神の力(アルカナム)】に施されたモノなら、ミアハはもうとっくに送還されてる筈だよ?」

 

「ぐっ……」

 

 全知全能である神が下界へ降臨する際、【神の力(アルカナム)】を殆ど制限されてしまう。それによって普通の人間と大して変わらなくなるも、それで漸く下界の生活を許される。

 

 その条件を無視して【神の力(アルカナム)】を無理に発動してしまえば、ヘスティアが言った通り下界にいられなくなる。能力向上は完全にルール違反だから、もしミアハが実行してれば確実に天界へ送還されてしまい、リヴァンは【神の恩恵(ファルナ)】を失って一般人となっている筈。

 

 だけど、ミアハが違反行為をして天界送還された情報が無い他、リヴァンは今も戦争遊戯(ウォーゲーム)に参加して【アポロン・ファミリア】の眷族達を圧倒していた。故に【神の力(アルカナム)】を使ったと言うアポロンの発言は的外れどころか、単なる見苦しい言い訳に過ぎない。

 

 

 

 

 

 

「何だ、何なんだお前はっ!?」

 

「はぁっ!」

 

 白い塔の最上階にイル・フォイエを撃った後、俺はちょっとした準備(・・・・・・・・)を済ませ、武器を短杖(ウォンド)に切り替えた直後にプリズムサーキュラーを使ってベルとヴェルフを運んだ。

 

 辿り着くと玉座の間だったと思われる周囲一帯は瓦礫の山と化して、敵大将であるヒュアキントスはボロボロな姿だった。尤も、あくまで服装だけで、身体的なダメージはそこまで見当たらない。

 

 【アポロン・ファミリア】の眷族達はヒュアキントスと違い、瓦礫に埋もれて意識を失っている。それを見た俺は少々やり過ぎたかと思うも、今は戦争遊戯(ウォーゲーム)中なので、敢えて気にしない事にした。

 

 相手側が完全に浮足立ってる中、俺はベルとヴェルフを指定の位置へ下ろしていた。ベルはヒュアキントスの元へ、ヴェルフは空中(わたり)廊下へ。

 

 本当なら俺も空中(わたり)廊下で待機してる敵を倒そうかと思ったが、ヴェルフが俺一人で充分だと言ったので任せることにした。現に彼は敵の魔法を暴発させた魔法を使った事で、指揮官以外倒してしまったから。

 

 そして現在、俺はベルとヒュアキントスの戦いを見守っている。余計な邪魔が入らないよう、周囲を警戒しながら。

 

 大将同士の一騎打ちを繰り広げている中、状況が変わろうとする。ベルの手にしてる武器――二振りの(べに)()(いろ)の短刀――が、ヒュアキントスが手にする波状型の長剣を両断した。

 

「そんな! 私は、『Lv.3』だぞ!?」

 

 ベルに武器を両断された事が信じられないのか、ヒュアキントスは現実逃避するような台詞を口にしていた。

 

 一週間もぶっ続けで『Lv.6(アイズ)』と特訓していれば、ベルからしたら『Lv.3』なんて高が知れてるだろう。俺も彼女と同じ『Lv.6』のティオナさんやベート・ローガと特訓した所為か、ヒュアキントスが大したことないように見えてしまう。

 

 俺が一昨日にミアハ様から【ステイタス】した際、あの二人と特訓した事もあって能力値(アビリティ)が急上昇していた。恐らくベルも俺と同じ事象になっていると見るべきだ。そうでなければ、今戦っているヒュアキントスを圧倒するような戦いを見せない筈。

 

(でもそうなればティオナさんやベート・ローガも……いや、流石に無理か)

 

 俺と特訓(あいて)した事であの二人も能力値(アビリティ)が上がったんじゃないかと考えたが、それは無理だと結論した。既に『Lv.6』に至ってる二人が、『Lv.2』の俺と相手したところで急激に上昇する訳がないと思いながら。

 

 そんな中、ベルに押されていたヒュアキントスが突如、全力の跳躍で矢のように後方へ下がっていた。

 

「――【我が名は愛、光の寵児。我が太陽にこの身を捧ぐ】!」

 

 ヒュアキントスが詠唱らしき言葉を紡いでいた。

 

「【我が名は罪、風の悋気。一陣の突風をこの身に呼ぶ】!」

 

 どうやらヒュアキントスは起死回生を図ろうと、自身の切り札である魔法を使うようだ。

 

 しかし――

 

「【ファイアボルト】!」

 

 ベルはそれを阻止しようと、すぐに武器を鞘に戻し、左手を突き出しながら速攻魔法(ファイアボルト)を発動させた。

 

 炎雷(えんらい)が轟くだけでなく、凄まじい爆炎が巻き起こる。

 

 黒いゴライアス戦の時に見せてくれたチャージスキルを使わずとも、今のベルが放つ魔法は相当な威力だった。もし完全にチャージした状態で放てば、ヒュアキントスは確実に死んでいるだろう。

 

 だがそれとは別に、威力が高い理由は他にもあった。この最上階へ来る寸前、俺はベルとヴェルフに能力強化をしようと、導具(タリス)――イクルシオクルテに搭載されてるテクニックのシフタ(+潜在能力によるデバンド)を使ったのだ。それで二人の攻撃力と魔力、そして防御力はそれなりに上がっている。

 

「ぐっ……【――(きた)れ、西方の風】……!!」

 

 ベルから放たれたファイアボルトの威力にヒュアキントスの身体は仰け反り、全身がボロボロになりながらも必死に耐え抜いていた。

 

 同時に『魔力』制御の手綱を離さず、歯を食い縛りながら詠唱を続行していた。

 

「やぁー!?」

 

 ベルが再び速攻魔法の連射を押し切ろうとするも、いきなり瓦礫の中から這い出た長髪の女性が体当たりを仕掛けて阻止しようとする。

 

 この場にいるのがベルだけなら確実に阻害されてるだろうが――

 

「邪魔はさせませんよ」

 

「きゃっ!?」

 

 戦いを見守っている俺が割って入り込むように、プリズムサーキュラーを使って女性の体をはね飛ばした。

 

「【ファイアボルト】!!」

 

 ヒュアキントスの方に集中しているベルが再び速攻魔法を撃ち出した。

 

 さっきと違って今度は連射で放たれた事により――

 

「う、ぐっ………がはっ……!」

 

 先程まで必死に耐え抜いてた筈のヒュアキントスは限界だったのか、魔法名を言う前に意識が途切れ、そのまま倒れてしまう。

 

 うつ伏せとなっている敵大将は、立ち上がる事はなかった。

 

 遠くから観ているオラリオの観戦者達は、【アポロン・ファミリア】が敗北したと言う決定的瞬間を目にした事で、今頃大騒ぎになっているだろう。




リヴァンがいる事でベルはヒュアキントスの魔法を受ける事無く勝利しました。

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