少年エルフが前衛で戦いながら支援をするのは間違っているだろうか 作:さすらいの旅人
敵大将であるヒュアキントスが倒れた事で、
オラリオに戻って来てから知ったが、敗者となった【アポロン・ファミリア】はヘスティア様の要求通りに解散となったそうだ。主神である神アポロンは眷族達との別れと退団の儀式を済ませた後、オラリオを追放されたとか。あの変態は色々な意味で危ないから、ヘスティア様の判断は正しいと断言出来る。
因みに要求の中には賠償金も含まれており、【ミアハ・ファミリア】側も当然含まれている。いくらベルを助ける為だからと言って、流石に
だが、その金額は俺一人が持つには多過ぎた為、半分ほど【ミアハ・ファミリア】の資金にしておいた。ナァーザさんから『自分やミアハ様に対する迷惑料も支払ってもらいたい』と言われたけど――
「酒場でやってた賭けで大勝ちしたんですから、それでチャラにして下さい」
俺がそう言った事で、向こうはもう何も言い返せなくなった。
それについて触れなければ、ナァーザさんは素知らぬ顔で迷惑料を頂くつもりだったんだろう。我が【ミアハ・ファミリア】の団長さんは本当に良い性格してる。
まぁとにかく、
言い忘れてたが、【アポロン・ファミリア】が使っていた巨大な屋敷は、今後【ヘスティア・ファミリア】の
俺が廃教会を利用したい理由は一応ある。今回起きた
最初は俺の提案を聞いて訝るヘスティア様だったけど、俺がベル達の為に戦ってくれた事もあって、喜んで許可してくれた。利用する条件としては、偶にでも良いから掃除して欲しいとの事だ。大して苦でもないから、俺は喜んで受け入れている。
とは言え、そんな異常事態がすぐに起きる訳でもないから、暫くは平穏な時間を――
「リヴァン、私と手合わせして」
「出来れば先ず理由を言って欲しいんですが」
のんびり過ごせるかと思いきや、オラリオに戻った翌日以降、またしても予想外な客が来た。
理由を求める俺に、彼女は語ろうとする。
☆
時間は遡る。
「ティオネ、アイズ!」
騒ぎの元凶はアマゾネスのティオナ・ヒリュテ。都市最大派閥の幹部を務める一人で、先日『Lv.6』にランクアップした第一級冒険者。天真爛漫な性格をしてる事で周囲を明るくさせているムードメーカーなのだが、今回ばかりは流石に騒がしくて、食事をしてる団員達は若干迷惑そうにしている。
「さっきからうるさいわね」
「どうしたの?」
彼女の姉であるティオネは煩わしそうにしながらも、アイズは大して気にせず訊ねていた。
因みにレフィーヤは従弟のリヴァンがオラリオから帰還した件もあって、今も【ミアハ・ファミリア】の
二人が振り向いた事により、ティオナは笑顔のまま手に持ってる用紙を見せる。
「見て見て、コレ!」
「【ステイタス】の
この前のダンジョン遠征に加え、
ランクアップしたばかりだけでなく、『Lv.6』になれば
それは当然ティオナも充分理解してる筈なのに、何故こうも自分達に用紙を見せようとするのかが全く分からないティオネだった。
本人が見ろと言ってきたから、取り敢えずは見ようと、アイズと同じく目を向ける。
「ッ!?」
「はぁ!?」
眼を見開くアイズ、思わず大声を出してしまうティオネ。
ティオナが見せてる用紙に、二人は揃って驚いていた。魔力を除いた
「えへへ~、凄いでしょ? ロキも見た時にはビックリしたんだよね~」
ティオネ達の反応を見たティオナは、【ステイタス】更新を頼んだロキの反応を思い出していた。
いきなり更新して欲しいと頼まれた事にロキは珍しげに見ながらも更新した結果、とんでもない数値を叩き出した事に仰天していた程だ。ティオナの急上昇が余りにも予想外だった事もあって、今も執務室でフィン達と話し合っている。
「ちょっ、アンタ……! 一体どうやってそこまで上げたの!?」
「心当たりがあるとすれば、リヴァン君の特訓かな。って言うか、それしか考えられないよ」
ティオネからの追求に、あっけらかんと教えるティオナ。
「リヴァンって、レフィーヤの従弟よね? でもあの子、【リトル・ルーキー】と同じく『Lv.2』の筈じゃ……」
ティオネの言う通り、リヴァン・ウィリディスはベルと同じ『Lv.2』になったばかりの上級冒険者。だからこの前やった特訓程度で、ティオナの
「でもあの子、本当に
数日前にやった特訓を思い出しながら、ティオナはリヴァンの実力を裏付けるように言っていた。
聞き耳を立てている団員達も最初は信じられないようにザワついていたが、彼等はその時の特訓を直接見ている。それ故にティオナの発言を否定する事が出来ない。
そんなアマゾネス姉妹の会話とは別に、今もティオナの
(私もティオナと同じく更新してみたけど、こんなに上がらなかった……!)
アイズはベルの特訓に付き合った後、確認の意味も含めてロキに【ステイタス】更新をしたが、大して上昇しなかった。
しかし、ティオナは自分と全く違う結果を示している。アイズが気になるのは至極当然だった。
それどころかベルとは違う意味で、リヴァンに対する興味が更に湧くどころか、手合わせしたいという欲求も強まっている。
「これでまだ続けてたら、あたしもしかしたらアイズを追い越してたかもね!」
「そんな都合のいい展開にならないわよ」
「だから明日、またリヴァン君にあって特訓を――」
「ダメに決まってるでしょ!」
いきなりおバカな事を言い出したティオナに、ティオネがすぐに却下した。
他派閥との特訓は本来やってはいけない。それは相手に情報を与えてしまう行為であり、下手をすれば派閥の機密を盗まれる可能性もある。
ベルとリヴァンの特訓相手をするなど極めて異例だが、アレは深い事情があった為にやらざるを得なかった。団長のフィンが許可を出さない限り、他派閥との特訓など以ての外である。
「いいじゃん別に~! もう知らない仲じゃないんだからさー!」
「団長が許す訳がないって言ってんのよ!」
ギャーギャーと騒ぐアマゾネス姉妹に、他の団員達はまたかと言うような表情で聞き流し始めていた。
しかし――
(絶対にリヴァンと会って手合わせする……!)
アイズはティオネの注意を無視するように、フィン達に内緒でリヴァンに会いに行こうと決意するのであった。
☆
「――って、ティオナが言ってたから」
「…………アイズ、そんな話を他派閥の俺に話してどうするんですか……」
ティオナさんの
しかしそれとは別に、まさか本当にそうなっていたとは予想外だった。冒険者でなく、アークスの俺として戦った事で
「一先ず横に置いとくとして……。で、本当に
ジェスチャーをした後に俺が確認の意味を込めて問うと、アイズは迷いなく頷いた。
既に分かってはいるがこの人、本当に自分より年上とは思えない。加えて俺の気のせいなのか分からないが、彼女の近くに幼いアイズが何かを主張してるような気がする。
フィン・ディムナは全く知らないだろう。いくら知り合いになったとは言え、都市最大派閥の団長が簡単に許可を出す訳がない。恐らく彼女の独断で此処へ来たはずだ。
「別に俺は構わないんですけど……今やるのは流石にちょっと」
休める時に休まないと身体がもたないから、今日は
「いつだったら良い?」
「そうですねぇ……」
ベルや【ヘスティア・ファミリア】は引っ越しの準備やその他で忙しくなる為、それが終えるまでの間は俺一人でダンジョン探索する事になる。
本当なら明日からアイズと手合わせしても良いけど、
「では数日後にまた此処――」
「リヴァン! 今夜は祝勝会をやる予定、なん、だけど……」
俺がアイズに予定を話してる最中、いきなり第三者の声がした。
それも凄く聞き覚えのある声だった為に振り向くと、俺の相棒で友達のベルだ。
「あ、ベル」
アイズもベルの声に反応して振り向いた。
「え? え? え? な、何で、アイズさんが、リヴァンと……?」
「ベル、落ち着け。お前は何か盛大な勘違いをしている。だからゆっくり話し合おう」
俺はアイズを差し置いて、混乱してるベルを優先するのであった。
取り敢えず【アポロン・ファミリア】の
次回以降からは何を更新するかは考え中です。
ダンメモ編のストーリー、クノッソス編、イシュタル編など色々迷っています。