お前のような哲学者が居るか   作:神撃のカツウォヌス

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 時系列は前半が第2話、後半が5話と6話の間くらいです


幕間 ~1~

 

「あ”---、何か面白いこと無いかなぁーーー」

 

 機械や衣服などで散らかっている薄暗い部屋。

 その壁に備え付けられている大小様々なモニターの数々を気だるげに見やりながらぼやく、ウサギの耳のような機械を頭に着けた女性。

 彼女の名は篠ノ之束。

 世界中の誰もが知っている自他共に認める天()である。

 

 各国が彼女の所在を調べている最中、かの天災は暇を持て余していた。

 如何に世界最高の頭脳を持つ彼女であろうと四六時中何かの作業をしているわけでもないので、こうして面白いことを探しているのである。

 自信の興味が惹かれるものなど殆ど無いのだが暇つぶし程度にはなる。現に今までも何度かこうしていたが、それも今日ばかりは違う。

 

「ん?何だコレ?」

 

 沢山のモニターの中に一つ、おかしなものを見つけた。

 それは自身が作ったISのコアの状態をモニタリングしていたもの。

 ISの起動反応が出たと思ったらそのISのSEが一瞬で無くなり、次の瞬間には完全に破壊された。

 

「なにやら面白そうな予感がするぞー!」

 

 そして調べられるデータの数々。

 直近の武器開発データから件のISの武装情報まで調べ上げる。

 

「あのISに自爆装置は無いし、完全に破壊できるほど強力な武器の情報もナシ……。あとはコアか」

 

 特にめぼしい情報は無かったので最後にコアの記録を調べる。

 膨大な数の中から一つ、最後の起動から機能停止するまでの映像ファイルを開く。

 

「んー?生身の人間?何をして……ほわぁぁぁぁ!?目がぁぁぁぁぁぁ!耳がぁぁぁぁぁぁ!………ふぅ、ビックリしたぜまったく」

 

 いきなり起きた閃光と爆音が束を襲うがそこは天災クオリティ、数秒でダウンから立ち直る。

 数秒の間で映像は終わってしまったので再び最初から、今度は他のデータファイルも一緒に開きスローで再生する。

 

「多分コイツが何かしたんだろうけど……ふむふむ、この男の指先から超密度のエネルギーの塊が飛んできてボーン!大・爆・発☆……ってどういうことじゃあーーー!直前まで何も反応は無かったよね!?しかも何だよこの束さんでも見たことない密度のエネルギー!そもそもどう見たって完全に手ぶらだろ!?ふざけんなよ!」

 

 天災の自分ですら全く理解できない光景はコレまでの退屈さをキレイに吹き飛ばす。

 過去最高に興奮した様子で苛立ちの言葉を放つ束だが、しかしその表情は言葉とは裏腹に歓喜に満ちている。

 

「はぁはぁ……まさかこの束さんを驚かせるとはね。一体何処の誰なのかなー?まず顔を拡大して明るくしてっと、わぉイケメン☆。そして顔認証して……”シーク・ウェリタス”、シーくんだね!…へー!同い年なんだー!」

「束様、夕食の準備ができました………束様?」

 

 束を呼びに来た少女クロエ・クロニクルが今までに見たことの無い束の様子に目を丸くするが、当の本人はそんなことは露知らず。件の彼の来歴や趣味を調べるのに夢中になり、クロエが来たことに気がつかないし、クロエ本人も楽しそうな自身の主の邪魔をしないようにとその様子を眺めるだけ。

 結局、束がクロエに気づくのは15分後のことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――侵入者だ!

 

 自身の所属とは別の警備部隊(Aチーム)の叫び、このアジトに侵入者が現れたようだ。

 

――――――いつの間に!?

――――――いったいどうや

 

 爆発。

 一体何が起こった?あいつらは無事なのか?

 部隊長が指示を出す。

 

「戦闘準備!人影を見つけたら躊躇わず撃て!」

 

 全員が武器を構えて周囲を、特にAチームがいた方向を警戒しつつ爆発のあったところへ向かう。自分は最後尾なので背後からの奇襲を警戒しながらついて行く。

 敵の人数や武装は不明だが部隊を一瞬で、おそらく全滅させるほどヤバいのは確かだ。

 焦らず、しかし弱腰にならない程度の慎重さをもって―――

 

「いたぞ!撃て!」

 

 先頭から敵を発見を知らせる声と共に銃声が聞こえてくる。

 すぐさま上司に報告をする。

 

「Aチームが全滅!現在Bチームが交戦中!」

 

 手短にかつ的確に必要最低限の情報を伝え、自分も援護しようと一歩踏み出した瞬間。

 

 再び爆発が起こった。

 

 その衝撃により、3回ほど地面にバウンドしながら後方まで吹き飛ばされる。

 痛い……突然の出来事でそう思う暇も無かった。

 転がってるときに小石や枝で切り傷ができ、全身を強打したことによる痛みで体を満足に動かせない。

 頭を強く打ったからか血が垂れてきて、それが目に入り痛みで目を開けていられなくなる。

 意識が朦朧とする中、何故こんなにも冷静に自分の状態がわかるのか不思議だ。

 

 今にして思えば、きっとアドレナリンとかそこらへんの何かが関係してるんだろうけど、俺はそういうのはよくわからない。

 とにかく、気を失いかけている時にせめて相手の姿だけはってことで片方だけの視界で頑張ったんだ。火事場の馬鹿力みたいなのがあったのか、今でも鮮明に憶えてるよ。

 ………内側が夜空みたいになった、風ではためいた時見えた、白いコートの若い男が一人だけいた。凄く不気味だったし驚いたよ。俺はてっきりISか集団だと思っていたからな。

 武器らしい物は何も見当たらなかったし、あれだけの銃撃と爆発があったのに傷どころか全く汚れてすらいなかったんだぜ?あたり一面地獄のような光景の中で、まるでその男だけ別の空間にいるようだったよ。

 

 そこまで見たら急に眠くなってきてな。それで目が覚めたらここに居たってわけだ。

 俺が話せるのはここまでだ。

 助けてくれたことには感謝してるが、あんた達の知りたい情報は話せない。俺は言われたことをこなすだけの下っ端だからな」

 

 口調は軽めだが、この男の意思は固いようだ。

 

「……いや、十分だ。体調はどうだ?」

「少しだるい程度だ。もう少し休めばあの男の顔も思い出せるかもしれねぇ」

「そうか……私はこれで失礼する」

 

 医師に一言告げて病室を後にする。

 残念ながら例の組織、亡国機業(ファントムタスク)の詳細は得られなかったが、それでも十分有益な情報を得ることは出来た。

 聞いた通りなら、その襲撃者はISを倒したということになる。これはつまり生身でISに対抗できる手段が存在するということを意味するし、捕虜の男が嘘を言っていないのはバイタルの変化を観測していたのでわかる。男の勘違いなら話は別だが。

 それに、現場を見てきた隊員の報告と照らし合わせても矛盾は無く、現在でも予め仕込みをしておけばISを倒せる事実がある以上、信憑性の高さは十分である。

 あとは件の襲撃者の正体だが、捕虜が思い出すのを待つしかない。

 

 

 

 

  




 
Q.なぜ亡国機業の名前が出てくるの?
A.そもそもISを所持しているテロリストは亡国機業しか考えられないから
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