お前のような哲学者が居るか   作:神撃のカツウォヌス

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今更ながら哲学要素が申し訳程度しかない件について。

それとお待たせしました、主人公が動き始めます。


第12話

 織斑一夏は世界で唯一の男性IS操縦者である。

 初めて起動してしまった時に大々的に報道された事からわかる通り、ISを動かせる男はどの新種の生物よりも貴重で珍しく、その動向の一つ一つに世界中が興味を惹かれる。言い換えれば、ISに関わる企業にとっては体のいい広告塔になるわけだ。

 

「それなのにこの男子転入生はISが動かせることが一切報じられていない。無論、全てを公にするべきとは思わないが、少なくとも”二人目の男性操縦者が現れた”、程度の騒ぎはあってもいいはずだ。これが意味する事を上は知っているのだろうな?」

 

 シャルル・デュノア。

 フランスから転入してくる男子学生。

 男でありながらISを動かせるにも関わらず、こうして資料が送られてくるまで、その存在どころか噂話すら上がらなかった時点で怪しさしか無い。

 

「言いたいことはわかるが、それを私に言ってどうする」

「貴女ほどの存在が上と全く関わりが無いほうが可笑しいでしょう?」

「…少なくともそれで通すことは決まっている」

「…まぁ、これ以上は何を言っても意味がありませんね。それでもう一人が…」

 

 ラウラ・ボーデヴィッヒ。

 ドイツの代表候補生であり、少佐の階級をもつIS配備特殊部隊「シュヴァルツェ・ハーゼ」の隊長。

 そう、学生の中で唯一の正規軍人である。

 軍のIS部隊の隊長で、織斑千冬から直接指導を受けていたこともほぼ確定しており、一年生の中では一番の実力者だろう。

 たしか現在、欧州では統合防衛計画「イグニッション・プラン」の主力機の選定中だったか。オルコットもそうであったが、そのための実稼動データを取るために来るのだろう。

 

「こちらは書面上では特に不審な点は確認できず。だがどちらも一組に入れるのは何故だ?」

「それは」

「否、ドイツは織斑教諭と縁がある。フランスは男性操縦者の情報収集が主目的だろう」

「…」

「まぁ上が決めたことだ。組織に属する以上従っておこう」

 

 あの学園長の事だ。ドイツはともかく、フランスに関してはぬかりはないはずだ。

 何かあっても国と会社の責任ですませられるし、学園側は被害者として慰謝料なり何なりを受け取る企みでも考えていることだろう。

 

 さて、そろそろHRの時間だな。

 

 

 

 

 

 実際に目にすればこれで男だというのは無理があるほど粗末な装いだな。

 デュノアの自己紹介の途中で早速()声が上がる。

 事前情報が無く中性的な顔だとしても男装した女子というのは明らかで、それに加え、一切男性操縦者の話題が無い状態でいきなり「世界で二人目です」などと言われて信じるのはおかしいだろう。学生という事を加味しても少々の不信感は持ってしかるべきだろう。

 

 次にボーデヴィッヒ。

 織斑教諭が自己紹介をするよう促してようやく始めるがその内容は最低限。いつかの織斑を彷彿とさせる有様だった。

 更にはそれだけに止まらず、織斑へ強力なビンタをくらわせる始末。織斑千冬を崇拝している奴の言う事だ、認めない云々は第2回モンド・グロッソの件だろうが、そもそも誘拐された被害者なのだからボーデヴィッヒの考えは的外れもいいところ。

 しかもその様子を見ておきながら大して咎めるでもなく、あろうことか話を進める担任。

 

 どいつもこいつも、ここにまともな奴はいないのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オルコット、凰とボーデヴィッヒがアリーナで模擬戦。。

 そこに織斑一夏が乱入し、騒ぎを聞きつけた織斑千冬が止めに入り、学年別トーナメントまでの私闘が禁じられる事態となった。

 オルコットと凰が負傷しISのダメージレベルが辛うじてBだったこともあり、この二人は学年別トーナメントの参加を見送ることが決まった。

 騒ぎの発端となったボーデヴィッヒとアリーナのバリアを破壊した織斑は反省文を書かされる。

 

 私の知らぬところとはいえ、よくこれほどの騒ぎを起こしその処罰も随分軽く、ここまでくると一周回って感心させられる。

 代表候補生の三人は自己管理が出来ず、織斑はアリーナのバリアを破ることの重大性を理解しておらず、学園からの処罰は軽い。

 この一件以前にも、許可無くISを部分展開する問題行動や暴力行為がしばしば見受けられ、それに関してもほぼ黙認している状態。

 

 職員室に向かって歩いていると声をかけられる。

 

「シーク先生♪」

「…更識か。相変わらず情報収集か?」

「…何のことでしょう?」

 

 表面上は変わらず笑顔のままだが、必死に取り繕っているのがわかる。

 いい加減、こいつらの動きも鬱陶しく感じてきた。

 …そろそろ潮時だな。

 

「別に探られて痛い事は何も無いが、特に気をやる必要の無い羽虫でも流石に黙らせたくなる」

「……」

「…それで?何か用事でもあったか、更識」

「……いえ。呼び止めてすみません」

 

 少々強引だが、これで幾許かマシになるだろう。

 

 廊下を歩いていると、用務員の轡木十蔵がいた。

 柔和な人柄と親しみやすさから生徒の間では「IS学園の良心」といわれているが、その実態はこの学園を取り仕切る事実上の運営者。

 

「どうも、お疲れ様です」

「そちらこそ、お疲れ様です」

「…」

「…」

「…この学園での数々の問題。どうにかしようとする気はないのですか?」

「さて、私はただの用務員ですから」

「…近いうちにここを去らせてもらいます」

「それは残念ですね。せっかく優秀な人材を引き入れたのですがねぇ」

「各々の意識があまりにも低すぎた。何より織斑千冬が致命的なまでに教師に向いていなかった。カリスマと知名度があってもあの有様ではな」

「彼女のおかげでこの学園に箔がついているのは事実ですから」

「…では私はこれで」

 

 挨拶も程ほどに立ち去る。

 彼にはここへ連れてきてもらった恩がある。一方的な恩だが。

 おかげで計画を完成させられたし、実行に移せるだけの時間も得られた。そういった感謝を示すためにも黙って去るという選択肢は無かった。

 

 ん?

 職員室前にいるのは…

 

「ボーデヴィッヒ。誰に用だ?」

「シーク・ウェリタス先生。少しよろしいでしょうか?」

「問題ない。それと呼びやすいように呼んでくれて構わないぞ」

「はい。ではシーク先生と呼ばせていただきます」

 

 私に用があるとな。

 個人としての関わりは0なので、となるとこの学園の事か間接的な繋がりか。

 

「突然ですがクラリッサ・ハルフォーフ大尉をご存知でしょうか」

「あぁ、私の唯一の親友だ。隊の副隊長を務めているとは聞いていたがそうか、お前の部隊だったのか」

「はい。彼女から先生のことは聞いております。”自分の趣味に付き合ってくれる素敵な方”だと。私としても是非御挨拶をと思いまして」

「それは殊勝な心がけだ。私としても彼女は素敵な女性だと思っている。…このことは他言無用だぞ?」

「はい、わかりました。では失礼します」

 

 こちらに一礼をし去っていくボーデヴィッヒ。

 資料を見たときにまさかと思ったが、やはり同じ部隊だったか。

 弱冠15歳の彼女が部隊長で少佐、クラリッサが大尉で副隊長なのは気になるが、出来て間もない部隊であり、ISの台頭によって軍の平均年齢が下がっている現在では際立って珍しいことではないのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 学年別トーナメント当日

 

「この対戦カードはどう見ても仕組まれたとしか思えませんが」

「私もそう思いますが、ランダムなので偶然としか…」

 

 第一試合 織斑・デュノアペアVS篠ノ之・ボーデヴィッヒペア

 

 奇しくも因縁のある者同士、専用機持ち同士の戦いである。

 

「この戦い、どっちが勝つんでしょうか…。やっぱり実力が抜きん出ているボーデヴィッヒさんと篠ノ之さんのペアですかね」

「シュヴァルツェア・レーゲンのAICは1対1なら強力だが外からは隙だらけだ。その隙をカバーできるのがペアの利点だが、そこに期待はできないだろう。対する織斑・デュノアペアだが、二手に別れてデュノアが篠ノ之を瞬殺し、二人がかりでボーデヴィッヒを相手にすれば勝ち目は十分ある。というより、今のレベルではそれ以外の手段はないだろう」

「毎度のことながら、その慧眼には感服させられるな」

「事前に情報があれば誰にでも考えられる程度の事ですよ」

 

 少なくとも、実力が離れており協調性が無く全く連携が取れないペアと、たとえ付け焼刃程度でも連携が取れる実力にそれほど差が無いペアでは、後者の方が有利になりやすい。複数が相手の戦いでは弱い奴から狙うのが定石。

 この程度のことを考えられないなら話にならない。

 

「本来なら相手の戦術レベルを考慮するなり裏をかくなりするところだが、ボーデヴィッヒは織斑しか眼中に無く生徒を全体的に見下している。織斑・デュノアペアの勝利がほぼ決まっているようなものだ」

「ほぼ、ですか?」

「この短期間で態度と認識を改めていて、ボーデヴィッヒと篠ノ之が事前に作戦を立て尚且つ慢心していなければその限りではない」

「でも、そんな感じはありませんでしたよ?」

「あくまでも可能性の話です」

 

 そんな話をしているうちに始まった試合。

 予想通り、ボーデヴィッヒは織斑しか見ておらず、デュノアは事前の作戦の通り篠ノ之を瞬殺しにかかる。

 篠ノ之も食い下がるが、気持ちで経験の差は埋まるわけもなく、あっけなくやられる。

 

 残されたボーデヴィッヒは流石の軍属だけあって中々の実力だが、一撃必殺の白式、多彩な攻撃手段をもつラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡが相手では分が悪い。加えて未だに慢心、織斑への執着のせいでまともに対処できていない。

 そこで油断したボーデヴィッヒの懐に潜り込んだデュノアが繰り出すは、通称”盾殺し(シールド・ピアース)”と呼ばれるパイルバンカー。

 それに気付いたボーデヴィッヒが目を見開くが、もう遅い。

 

―――ドガンッ!ドガンッ!ドガンッ!

 

 1発、2発、3発と間髪入れずに連発するデュノア。

 あの威力をまともに、それも3発もくらえば無事ではいられない。

 よろいた大きな隙を狙って織斑が零落白夜で斬りかかる。

 これで勝負は決まりかと思われたが…。

 突如叫び声をあげたボーデヴィッヒから、否、そのIS”シュヴァルツェア・レーゲン”から紫電が発せられ、装甲が溶け出す。

 

 

 

 この学園ではまともに行事が行えないのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――

―――――

 

 

 

 私が負ける?

 

 何故あの男が。

 教官を侮辱したあの男が平気なのだ。

 

 何故私がこうして負けそうになっているのだ。

 

 何故だ。

 何故だ何故だ。

 

 一体何故…

 

『力が欲しいか』

 

 そうだ。

 私にもっと力があれば。

 

『力が欲しいか』

 

 欲しい、力が欲しい。

 あの男を、どんな相手も捻じ伏せられる圧倒的な力が…!

 

 その力で、私は……!

 

 

 

VT(ヴァルキリー・トレース)システム起動』

 

 

 

―――――

―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、何ですかアレ…!?」

「非常事態だ!すぐに観客を避難させろ!」

 

 シュヴァルツェア・レーゲンの装甲が解け始めたかと思えば、それは次第に人の形を模っていく。

 その手には見たことのあるブレードが一本。白式の「雪片弐型」によく似ている。

 となるとあれは。

 

「出来の悪い模倣、といった所でしょうか」

 

 どういう原理かどうかは知らないが、あれは織斑千冬(ブリュンヒルデ)の姿、技量を模倣しているようだ。

 何かを叫びながら織斑が突っ込むが、相手はたとえ劣化していても世界最強。その技量は本物(オリジナル)には程遠い真似事であろうと、ただ一直線に迫るだけの隙だらけな突撃ではどうあがいたってとどかない。

 直情型なのはわかるが、あそこまで酷い有様だと最早病気だ。

 

「織斑君!先生たちの部隊が向かっています!皆さんも!すぐ避難してください!」

 

 全く聞く耳を持たない彼ら。

 

「いや、部隊が到着するまでやらせてみてもいいだろう」

「そんな…!?」

 

 あろうことか生徒に任せると言い出す織斑千冬。

 非常事態と言って観客を避難させるよう真っ先に指示を出したのはお前だろ。自分で言っておきながら悠長にしすぎだ。

 トーナメントが終わるまでは、と思っていたが前言撤回、さっさとここを去る……。

 

 

 

 ………。

 ………ふむ、コピーであろうとブリュンヒルデだ。

 アレで研究の成果を軽く確かめてから去るとしようか。

 

「織斑千冬、山田麻耶」

「何だ?」

「何です…?」

 

 普段とは違う呼び方に怪訝に思う二人。

 

「私はここで終わりだ。残り少ない時間を精々楽しんでみろ」

「…何を言っている?」

「…どういう、事ですか…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、何で先生がここに!?」

 

 シーク先生が突然変なこと言っていなくなったと思ったら、アリーナの方からそんな声が聞こえてきました。

 その方向を見ると、そこにはシーク先生が。まるで瞬間移動でもしたみたいです。

 

「模倣といえど世界最強。研究の成果を試させてもらおう」

「何言ってるんですか!?どいてください!そいつは俺が」

「喧しい」

 

 織斑くんが叫びますが、次の瞬間にはみんな吹き飛ばされていました。

 叫んでいた織斑くん、篠ノ之さんとデュノアさん、そして暴走して形が変わったボーデヴィッヒさんの真っ黒なISも。

 

「ど、どうなってるんですかぁ…」

「……」

 

 先輩も目を見開いて驚いているようです。

 

 シーク先生は何かを確かめている感じです。

 普段と全く同じ雰囲気なのに、それがこの場では酷く不気味に感じます。

 黒いISがすぐに立ち直り、シーク先生に斬りかかりますが、その攻撃は全て避けられています。

 後ろに回り込んだり、フェイントをかけたりして攻撃しても一向に当たりそうにありません。

 

 するとシーク先生の姿がブレたと思ったら、黒いISがまた飛ばされて。その先にいつの間にか回りこんでてまたISが…。

 やっぱり、私には何が起きているのか全くわかりませんが、先輩は見えているようです。

 

「信じられん…」

「な、何がどうなってるんですか…?」

「…ISを殴り飛ばしたとほぼ同時に回り込み、今度は蹴り飛ばしたのだ。ギリギリ目で追えたほどの速さでな。最初に周囲を吹き飛ばしたのも同じだ」

 

 あの一瞬の出来事を目で追えたのは流石ですが、その先輩がギリギリ見えるほどの速さのシーク先生は一体…。

 それに…。

 

「あの、私の見間違いでしょうか。ISにかなりダメージが入ってるみたいなんですが…」

「……」

 

 圧倒的な火力を確実に当てられればISの撃破は可能。

 前にシーク先生が言っていたことを嫌でも理解させられる光景。

 

「…検証は十分だな。これ以上は時間の無駄だ」

 

 何故かそう言ってるのがわかりました。

 そして、シーク先生はそのまま消えてしまいました。

 

 

 

 

 




山田先生の口調がわからなくて、後半雑になってしまった。
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