原作通りのところは描写少な目です。
ここ最近、世界各地で異常現象が立て続けに起きている。
ある地域では竜巻が何度も発生し、またある所では地震が多発している。
とある街ではペースメーカー使用者全員が謎の突然死。とある島では気温の急激な上昇による生態系の崩壊が始まっている。
世界中の様々な専門家がその知恵を絞るが、誰一人として原因はわからず。
メディアが勝手な憶測で情報を発信し、それを真に受けた人々が騒ぎを起こし。
それはまるで、世界の終わりが近づいているよう。
「箒ちゃん久しぶり!」
「…お久しぶりです」
「しばらく見ない間に大きくなったね!とくにこのおっぱい!…いてっ」
「殴りますよ」
「殴ってから言ったぁ!箒ちゃんひどーい!」
臨海学校に来ているIS学園一年生。
初日にたっぷりと遊び、2日目はISの各種装備の試験運用とそのデータ取り、特に専用機持ちは種類が多く忙しくなる。
その専用機組に篠ノ之箒が混ざっているのだが、それは彼女の姉、束が妹のためにと専用機を作り持って来たのが理由だ。
箒は感謝こそすれどその態度は好意的ではないが、束は気にも留めていない。
「あれ?シーくんは?」
「…シーク・ウェリタスのことか?」
「そうそう!私のお気に入りなんだけどどこに隠れてるのかなー?」
何気ない束の一言に聞いていた一向は驚く。
あの天災のお気に入り?今そう言ったのか?
「まて。お前、ヤツと知り合いだったのか?」
「いや?知ったのは最近で偶然だったけど、何度も束さんを楽しませてくれるんだ♪」
「何度も、だと?」
シークの異常さを目の当たりにしたのは学年別トーナメントの一件のみ。
だが、束は何度もと言った。
それはつまり、あれ以前にも何かしらしでかしているという事。
「この際に直に会おうと思ってたんだけど居ないの?」
「…ヤツは諸事情でしばらく戻ってこない」
「ふーん、そっかぁ。折角色々と聞こうと思ってたのになぁ」
フリでもなんでもなく残念がる束。
とは言えいつまでもうだうだせず、次に切り替えて箒専用のISの紹介と説明に入る。
「じゃじゃーん!これが箒ちゃんの専用機”紅椿”だよ!現行する全ISのスペックを遥かに凌駕している第4世代機だよ!」
何でもないようにとんでもないことを言い放つ束。
全ISを凌駕するとはつまり世界最強のISということ。
早速箒に装着させ、試運転を開始する。
その圧倒的な性能に、見ていたものは言葉を失い、箒はようやく一夏に並べる力を手に出来たと喜びを隠せない。
「…まぁ、シーくんに敵うかはわからないけどね……」
「……何?」
誰に言うでもなくぼそりと呟かれた独り言。
その一言を耳ざとく聞いていた千冬が聞き返すが、束は何でもないようにデータ取りを続ける。
「これが終わったら次はいっくんの白式だからね!束さんは興味津々なのだ!」
「は、はい…」
そんなやり取りの途中、山田先生が慌てて千冬のもとへやってきて耳打ちする。
「…何?そうか、わかった」
内容を聞いた千冬は即座に作業を中止させる。
「全員作業を中断し、直ちに自分の部屋に戻り指示があるまで待機だ!勝手に出歩くことは何があろうと許さん!それと専用機持ちは私とともに来てもらう」
旅館の大広間。
そこでこの緊急事態の説明をする。
「では現状を説明する」
そういってディスプレイに映像が表示される。
「二時間ほど前、ハワイ沖で試験稼動にあったアメリカ、イスラエル共同開発の第3世代型軍用IS”
想像以上の事態に息を呑む一夏たち。
アラスカ協定により、軍用ISの開発は禁止されているはずだが誰も突っ込まない。
「その後の衛星による追跡の結果、福音はここから2キロ先の空域を通過することが分かった。時間にして約50分後。学園上層部からの通達により、我々が対処することになった」
「俺たちが、ですか…!?」
「そうだ。教職員は学園の訓練機を使い空域及び海域の封鎖を行う。よって、本作戦の要の福音への対処は諸君ら専用機持ちにしてもらうこととなる」
相手は軍用に開発されたISであり、あくまでも競技用に開発されたそれらとは一線を画す性能。
千冬は言う。
強制ではしないので辞退するならば素直に申し出よ、と。
無論、ここにいる者達にそんな考えは無い。
自分たちしかいないのならやるしかない。
それは正義感か使命感か。
「よし、では作戦会議を始める。意見のあるものは挙手しろ」
「はい」
「オルコット」
「目標ISの詳細なスペックデータを要求します」
その後、スペックを見た結果。
零落白夜による一撃必殺による撃破作戦がたてられる。
途中、束の乱入もあり、白式を作戦空域まで運ぶ役割は紅椿が担うことになった。
「残るはこの海域だな。面倒だが他に手段は無い以上そうも言ってられんな」
失踪した哲学者と彼らが再会することになるとは、この時は誰も思っていなかった。
銀の福音が高速で飛行中。
すると前方にISの反応が2機。白式と紅椿だ。
『いいか?今回の作戦の要は一撃必殺だ。短時間での決着を心がけろ』
「了解!」
『篠ノ之。お前はまだ戦闘に不慣れだ。織斑のサポートをしてやれ』
「了解…」
その指示に少々不満げにする箒だが、逆らうことはできない。
その様子を見ていた千冬が一夏に
『織斑。どうも篠ノ之は浮かれている。あんな状態では何かを仕損じる可能性が高い。いざとなればサポートしてやれ』
「了解です」
再び
『では…。戦闘開始…!』
白式と紅椿、そして福音が戦闘態勢に移行する。
激しい戦闘が今にも始まろうとしている最中、誰もが予想だにしない突然の乱入者。
「む…タイミングが悪かったか」
何の予兆もなく突然現れたシーク。
作戦を見守っていた千冬たち、一夏と箒、暴走しているはずの福音ですら戸惑っている。
まさかの出来事というのもあるが、それ以上に混乱しているのが現在いる場所だ。
何の足場もない空中で、何故平然と浮いていられるのだろうか。
「まぁいい。邪魔者は全て排除するだけだ」
学園側、福音、そして哲学者による三つ巴の戦いが始まる。
先制するは哲学者。
狙いは…
「……!」
ギィィンッ!
福音。
一夏、箒と違い、感情に乱されない一番厄介な相手から墜とすつもりだ。
福音は白式と紅椿にも意識を分散していたため予想外の速さに面食らうが、背後からの一撃に辛うじて反応し防御できたところは流石軍用ISといったところか。
加えて、シークの慣れていない空中という事もあってVTシステム事件の時ほどの速度が出ないことも理由の一つ。
だが、攻撃はそれだけで終わらない。
僅かに体勢が崩れたところに追撃する。
殴。蹴。殴殴。蹴殴蹴。
不慣れとはいえ速いことに変わりは無く、一夏や箒がギリギリ追える程だ。
その凄まじい速さの攻撃の数々を何とか防ぐ福音。
このままではマズイと思ったのか、後方まで急加速してさがる。
そしてさがりながら、36の胞をもつ大型ウィングスラスター”
ここでようやく状況を理解した一夏と箒が慌てて回避行動をとる。
「くっ…!」
『二人とも何を呆けている!すでに戦闘は始まっているのだぞ!』
「でも…!」
「戦闘中に随分と余裕だな?それは油断と言う」
何時の間に背後に回りこんでいたのか。
銀の鐘の回避に夢中になっている一夏に強力な一撃を加えながら言うシーク。
その言葉は一夏に言ったそれとは違い、余裕の表れ。
「ぐっ…!先生!何で…!」
「言っただろう、邪魔者は排除すると」
「先生!私たちは福音の撃破作戦中です…!」
だから貴方の邪魔なんて。
箒が弁解するが、そんな単純な話ではない。
「俺はこの海域に用がある。お前たちがさっさとここを立ち去ればいい話だが、あの暴走ISにはそんなつもりはなく、お前たちは撃破しなければならない。ならばどちらも俺の邪魔になる」
『そちらこそ作戦の邪魔だ!いったい、何が目的だとというのだ!』
「話す義理は無い」
ISの通信越しにスピーカーを通して拡大された声で千冬が目的を問うが、その声を一蹴するシーク。
ここで痺れを切らした一夏がシークに斬りかかる。
「邪魔するなら先生でもゆるさねぇ!」
「相変わらず直情的で研鑽の欠片も見られない攻撃」
「くそ!なんで当たらねぇ!」
「一夏!援護する!」
いくら攻撃してもかすりもしない。
そも、ISの攻撃がかすりでもしたら致命的なのだから完璧に防ぐか避けるのは普通の事なのだが。
隙だらけな攻撃を避けながら蹴り飛ばす。
箒が”雨月”の刺突によるレーザーで何度も攻撃するがそのどれもが躱され、”空裂”のエネルギー刃による斬撃もやはり躱される。
突、避。突斬、避避。避、斬突。斬、避。避、突。
当たらない。それどころか先読みして攻撃前に躱してもいる。
「そしてもう一人は、新しい玩具を与えられて自分の力と過信する愚者」
焦り始める箒。
一夏が再び突撃し二人がかりで攻めるが、二人は重要なことを忘れている。
「何時までも俺に構っていられるのか?相手は他にも居るのだが?」
気付いたときには福音が再び攻撃を始めていた。
再び襲い来るエネルギー弾幕。
自身に当たるものだけを最小限に避けるシークと違い、一夏と箒は動き回り避ける。
その最中に、一隻の漁船を一夏が見つけた。
「船だ!漁船がいる!」
『海域は封鎖している。それにもかかわらず入ってきたのだから無視しろ。作戦を優先させるんだ』
「でも…!」
と、福音の攻撃が漁船のほうへ飛んでいった。
それを見た一夏が慌てて庇いに向かう。
結果、撃沈し墜ちてゆき、庇われた密漁船は慌てて海域を離脱していく。
「一夏!?千冬さん一夏が!」
『篠ノ之!すぐに織斑を回収して撤退しろ!』
「…一夏ぁ…」
好きな人が目の前で撃沈され戦意を喪失する箒。
千冬からの指示ですぐに一夏を拾い上げ戦線を離脱し、残されたのは福音とシークのみ。
「ふん、あの程度のリスク管理もできないか。さて…」
福音は相手の出方を疑う。
三つ巴が無くなり。1対1の状況となれば、相手一人に集中できるので、最初のように一方的にやられはしない。
シークから動かないのは余裕の表れか、それとも戯れの気持ちからか。
1分か2分か、もしかしたらもっと経ってるかもしれないし短いかもしれない。
すると福音から動き出した。
銀の鐘による弾幕で遠距離戦に徹する。
だがそれでも、シークは最小限の回避と共に接近し攻撃を入れようとする。
が、今度は完全に防がれ反撃を食らう。
まともに食らっても平然としているシークだが、その表情は僅かに驚きが浮かび上がっている。
「…学習したのかそれとも偶然か。一つ確かめてみるか」
弾幕を張ることで攻撃コースとタイミングを限定させたのだ。
暴走状態とあるが、その実制御下から離れただけで、IS自身の性能はそのままなのだろうか。
再び弾幕を張る福音。
先ほどのは偶然か、それとも本当に学習し狙っていたのか。
それを確かめるため、敢えて同じように攻撃に移るシーク。
すると今度は防御をせずにカウンターを狙ってきたではないか。
予測していたためクリーンヒットはしなかったが。
休ませぬように間髪入れず弾幕を展開する福音だが、シークの攻撃手段は徒手空拳だけではない。
回避しながら手で銃の形を模り、それを相手に向ける。
――― バ ン
※主人公は世界を間違えています。
戦闘描写は上手くできただろうか…。
流石に全速だとどうしようもないので不慣れと言う理由で少し弱体化。
慣れ以外にもちゃんと理由はありますが、それは次回。