お前のような哲学者が居るか   作:神撃のカツウォヌス

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第3話

 哲学とは何か。

 

 そう訊かれたとき、ほとんどの人がこう答えるだろう、

 考える学問だ、と。

 別に間違いではないが断定も出来ない。

 哲学とは英語で〈philosophy(フィロソフィー)〉といい、古代ギリシア語の〈Φιλοσοφία(フィロソフィア)〉に由来する。直訳すると「愛知の学」という意味であるが何を研究する学問であるかは示されておらず、「知を愛する学問」としかいいようがない。

 時代や文脈によって派生的に複数の意味をもつが、古代ギリシアでは学問一般をさすことと語源を考えると、様々な事を考える学問でいいだろう。

 少なくとも私はそう思うし、それに倣って様々な分野において教養を深めている。

 

 尊敬する哲学者はもちろん居る。個人ではないが。

 アリストテレスをはじめとする古代ギリシアの哲学者達だ。

 私の()()も、彼らからヒントを得ているものが多い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 街が騒がしい。否、慌しいというべきか。

 第2回モンド・グロッソにより街中が活気付いているが、それとは違う。

 軍と警察だ。

 あちらこちらで連絡をとっていたり、聞き込みのようなことをしている様子が見受けられる。

 気になったので、悟られないように情報を集めてみたがどうやら誰か誘拐されたようだ。

 ただの一般市民なら態々軍を動かす必要は無い、警察だけで十分なはずだ。

 ならば逆説的に一般市民ではない人物、政府官僚の身内とかそんな感じだろうが。

 そんな事を考えていると、

 

《第2回モンド・グロッソ。”アリーシャ・ジョセフターフ”選手と”織斑千冬”選手による決勝戦ですが、織斑選手が棄権しました。これにより決勝戦は------》

 

 ……成る程な。

 余程のことが無い限り織斑千冬(ブリュンヒルデ)が棄権することはない。

 そして軍が動くほどの誘拐事件。

 誘拐されたのは織斑千冬の弟”織斑一夏”だな。

 案の定、その名前が出てきた。

 織斑千冬に棄権させるのが目的なのかその他かどうかまでは分からないが、これ以上探る必要はない。

 そもそも慌しさが気になっただけ、私には関係のないことだ。

 

 

 

 そう考えを切り捨て、行きつけの喫茶店へ入る。

 

「いらっしゃい。今日はニイチャン1人なんだな」

「まるでいつもは1人じゃないかのような物言いですね」

「最近は、クールなネエチャンと来る事が多いじゃねぇか」

「……たしかにそうですね」

 

 あれから何度も、クラリッサとここへ来ている。

 行動範囲が同じだからだろうか。

 私の居る所へ彼女が現れ、私が行くところに彼女が居る。

 偶然にしては出来すぎであるし、もしかしたら向こうから会いに来ているのではと思ったが、

()()()()()感じだと本当に全くの偶然らしい。

 あまりにも会うのでいっその事、連絡先を交換することにしたのだ。

 現在では、休みのたびに彼女から連絡があり待ち合わせすることになっている。

 

「ほれ、いつものだ」

「すっかり私も常連客ですね」

 

 少ししてからコーヒー2つと菓子を持ってきて、目の前に座る。

 客が私しか居ないときはこうして雑談に興じることとなっている。

 ここの店主は見た目がかなり厳つい。その所為か、元々客が入りにくく常連客は片手で足りる程度だ。

 見た目とは裏腹にかなり気前がいいのだが、それを知る前に他店へ行ってしまう客が殆どで、なかなか客足が増えないらしい。

 よく潰れないものだと思うが、昔からのツテを利用して大幅に原価を抑えているからだとか。

 (ちなみに菓子は自前のものらしい)

 

「それより、さっき警察が来たんだけどよ」

「警察?何かやらかしましたか」

「違ぇよ。なんか怪しい奴みなかったかって」

「怪しい奴?」

 

 事情を知っているが話すわけにもいかず、知らぬふりをする。

 

「怪しい奴ならば目の前に」

「冗談でもやめてくれや。前に通報されたことがあったんだよ……」

「……それはそれはご愁傷様です」

「チクショウ……他人事だと思って……!」

「実際、他人事ですし」

 

 しかしここのコーヒーは美味しい。

 店内の雰囲気もいいし、それだけに客足の伸びない理由が悲惨すぎる。

 ……まぁ、千客万来であったなら、こうしてゆっくり話すこともなかっただろうし、これはこれでいいのだろう。本人も気にしていないようだし。

 

 話題は自然とモンド・グロッソにうつる。

 

「しかし、まさかあのブリュンヒルデが棄権するたぁ驚いたな」

「怪我などがあったというわけではなさそうでしたね」

「人類最強と言われてんだ、そもそも怪我するような奴じゃないだろ」

「確かにそうですね。ブレードだけであの圧倒的な強さ、天災の親友だけあって特別なのでしょう」

「しかも美人ときたもんだ。高嶺の花ってああいうのを言うんだろうな」

「どちらかというと孤高の獅子という方があっている気がします。どちらにせよ私は興味ありませんね」

「まぁお前さんはあのネェチャンがいるからな。そりゃ興味ないだろう」

「そういう意味ではないですよ。中身が重要だということです」

 

 そう、外見的な要素など全く関係が無い。

 

「性格とかか?男女で態度を変えない全うな性格だって聞いたことがあるが…」

「そうではありません。もっと本質的な話です」

「どういう意味だ、そりゃ?」

「……まぁ、感覚のことですよ」

 

 中身と言えば性格の事だと思うのが大半だが、私の言うそれは違う。

 そもそも性格は時間や環境に左右されるものであり、いわば外的要因の影響を受けるものだ。

 外的要因を受ける以上、私にとってそれは外側の話である。

 だが、それをここで言っても仕方ないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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