お前のような哲学者が居るか   作:神撃のカツウォヌス

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第4話

 

 インフィニット・ストラトス。

 

 通称”IS”。

 天災・篠ノ之束が開発した、宇宙空間での活動を想定された”マルチフォーム・スーツ”。

 数年前に起きた「白騎士事件」によって従来の兵器を超える圧倒的な性能が世界中に知れ渡り、”飛行パワード・スーツ”として軍事転用が始まった。

 当時は、開発者が日本人であることもあり日本がIS技術を独占的に有していたが、そのことに危機感を募らせた各国が「IS運用協定(通称”アラスカ条約”)」によって情報開示と共有し、その他に研究のための国家機関の設立や軍事利用、コアの取引等が禁止されることとなった。

 しかしこのISには、原因は不明であるが女性にしか動かせない、という問題があった。

 ISの心臓部たるコアは天災本人にしか製造できず、また自己進化の設定以外は完全なブラックボックスとなっているため、問題の原因がわからなかった。

 これにより「ISが動かせる=女性は偉い」という方式が出来上がり女尊男卑の世の中になり、ただ甘い蜜を吸いたいが為にここぞとばかりに権利を主張してくる女性権利団体なる愚か者達の組織ができあがったり、女性優位の考えによる男性の冤罪件数が大幅に増えたりした。

 この所為で夫が会社をクビにされて自殺した主婦や、自身が何もしていないのに男性から嫌な顔をされる女性がいたりと。

 地味に社会が破綻し始めていると私は思うのだが、はたしてどれほどの者がそう思っているのだろうか。

 

 

 

 

 

 何故、今更こんなことを考えているのか。

 それは、つい先日に報道されたニュースが原因である。

 

《世界初の男性IS適合者が現れた》

 

 まさに青天の霹靂。

 ”ブリュンヒルデ”織斑千冬の弟である”織斑一夏”がISを起動させたというのだ。

 これにより各国で大規模な適合調査が行われることとなり、多くの男性が「もしかしたら自分も」と希望に満ち浮き足立った。

 しかし、その希望は儚く砕け散ることとなった。

 1人目が現れてからそれなりの日数がすぎ、それなりの数の男性が適合検査を行ったが未だに適合者は現れていない。また、何故、織斑一夏だけがISを動かせるのかは分かっておらず、開発者本人でさえ原因が特定できていないというのだ。

 ……正直、特定できていないというのは嘘であると私は思っている。

 篠ノ之束の唯一の親友である織斑千冬、その弟である彼だけがISを動かせるというのは偶然にしては出来すぎている。

 ()()()()()()()()してもいいのだが、分かるのは彼がそういう因果に生きているということだけだ。その因果が人為的かどうかまでは判断できない。

 

 

 

 

 

 あれから数ヶ月、学生から成人までおおよそ全ての男性の適合検査が終わったが、結局、2人目以降の男性適合者は現れなかった。

 一応、強制ではないという事になっていたので、学校単位で調べる学生はともかくとして、既に社会人となっている者は仕事や休日の都合上、検査漏れの可能性はあるだろうが。

 第一、そもそも戸籍に存在しない者は探しようがないので、完全に全ての男性ということはない。

 まぁ、織斑一夏がISを動かせる原因がわかれば、今後、人工的に男性適合者を作り出すことは可能になるかもしれない。

 もしそれが知れ渡ったら人道的な行いではないと世間一般は思うのだろうが、それを言っても今更な話でしかない。

 現在でも、誰よりも優秀なISパイロットを生み出そうと遺伝子組み換えや改造行為などが行われている。その大半が違法な研究所によるものだが、中には国が関与している所だってあるだろう。ただ公にされていないだけで。

 ……もしかしたら織斑姉弟も試験管ベビーの可能性がある。

 あの2人は幼い頃に両親に見捨てられたらしいが、そもそも親が存在せず研究所の類も既にないのかもしれない。

 証拠がないうえ突拍子も無い話だが、ISが無くとも人間離れした動きができるという噂もある。所詮は噂でしかないのだが、火の無い所に煙は立たないというし信憑性はある。

 仮に事実だとしたら、作られた可能性が高くなるし興味もあるが……。

 知ったところでどうこうなるわけでもないからな、この話題は終わりでいいだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夜。

 雲ひとつ無い夜空。

 空気が澄んでいるので、いつもより輝いてみえる、天に瞬く星々の輝き。

 今、こうして見えている輝きは、無数にある恒星のうちの一握り。否、それにすら満たないほんの一つまみでしかない。

 ()()を見上げる。徐に手を伸ばす。

 インフィニット・ストラトス。

 兵器へと成り下がらずに本来の役割を果たせていたのなら、人類は今頃どこまで行けたのだろう。

 月に都市を建設できただろうか。

 火星をくまなく探索できただろうか。

 新たなエネルギー資源を発見できただろうか。

 もしかしたら………。

 と、ここで思考を止める。

 あんなことがあったからだろうか、珍しくISについて考えてしまった。

 あれから何度かISの適合検査を受けるようにと役人が来たが、織斑一夏が特別だっただけで検査など時間の無駄でしかないと断った。

 ダメ元で受けてみれば良かったのでは、と言う人がいるだろうが今更ISなんぞに興味などないのだ。

 別に後悔はない。

 あんなガラクタなど不要だと、早々に見切りをつけたのは私なのだから。

 己の意思で、ガラクタへの可能性を切り捨てて、人の身にすぎた知識・力を求めた。

 そして()()()()()()()()()()()()()()

 そのおかげで、()()()()()を過ごせるようになった。

 故に、

 後悔などない。

 後悔などあるはずがない。

 

 

 己が意思を確かめる。

 己の目的はなんだ?

 己は何故人をやめた?

 

 決まっている。

 

 この宇宙の全てが知りたい。

 

 そのために、”真理へ至る”。

 

 そしてこの宇宙(そら)を手にいれてみせる。

 

 

 

 

 

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