仮面ライダー剣 サンドリオンウォーリアーズ   作:伊勢村誠三

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タロット小アルカナ 剣のA
正位置 勝利、決意
逆位置 犠牲、豪快


スート♠
♠︎A


1

………しずんでいく。

ただ、ただしずかにぼくはしずんでいく。

いくつものオトといっしょに。

 

「ナイトだから『■■■■』だね!」

 

ゲンキのいいオト、きっとこのオトをだしていたヒトはいまもゲンキだろう。

 

「俺がもっと強ければ…」

 

かれは…イッショウケンメイなヒトだった。

ヒカリにむかってガンバッていた。

 

「…私は一人でやる。」

 

「急遽作られた■■■■■■■■のせいで、俺の身体はボドボドだ!」

 

この2たりは、さいごになかよくなれたんだっけ?

おもいだせない。でもだいじなヒトだ。

 

「ありがとう■■■■」

 

「■■■■…お前、お前は…

■■■■■になってしまったというのか?」

 

すごく、かなしそうなオト。

どうしてなんだろう?いまは、わらってるといいな。

 

「音じゃない。声さ。」

 

コエ?……ノドからでるオトをコエっていうの?

 

「……大事なことどころか、

そんな事まで忘れてしまうとはね。■■■。」

 

?……そのオト、聞き覚えが…

 

「じゃあプリンセスナイト、アストルム、ソルの塔。

1つでも聞き覚えのある物は?」

 

……ない。

 

「…仮面ライダー、ラウズカード、ジョーカー。

これには覚えがある?」

 

俺だ。全部俺の事だ。

 

「そうか、残念だ。君はやはり半分以上■■■■■■■になってしまったのか。」

 

その人誰?思い出せないけど僕の知り合い?

 

「知らなくていい。今はまだ、ね。

きっと知った時君は運命に対峙しないといけなくなる。」

 

運命? ああ、やな言葉。やな響き。

けどそれはきっと(ぼく)は打ち勝つ。

 

「言うまでも無いだろうけど仲間を大事にね。

いってらっしゃい。」

 

 

 

 

 

2

「う………あぁ?」

 

身体中が痛い。骨に、身体に響く様な痛みを覚えながら僕はなんとか起き上がった。

 

「……………」

 

見渡す限りの平原。

不思議なまでに高く感じる青い空。

澄んだ空気があまりにも美味しい。

 

「ここは、俺の世界じゃ無い?」

 

呟きは風に乗って消える。

それを聞く者はいない。

 

「うぅ………お腹が、お腹が空いて力が…」

 

正確には聞いてる余裕がある人間はいない。

ちょうど自分の後ろに1人倒れていたが、空腹で起き上がることもままならない様だ。

 

「ふーん……」

 

着ている服は汚れてはいるが上等な布が使われているらしくしっかりしていて、長い明るいオレンジの髪は手入れが行き届いていて素晴らしい触り心地だ。

 

そうなるとかなり違和感を覚える。

彼女のそれ以外の持ち物、上質な鎧に工芸品の様でありながら研ぎ澄まされた刃の細い両刃剣にだ。

 

チグハグ。この気品の中にも可憐さを感じる少女には酷く不似合いに思えた。

まあ、グーグー腹を鳴らしながら原っぱに倒れてる時点で台無しだがまあいい。

 

兎に角どころかに運ぼう。

空腹ゆえか思ったよりは重く無い彼女を背負って彼は取り敢えず遠目に見えた街を目指した。

 

 

 

 

 

3

「こんの!ボスの癖に、往生際が悪いのよ!」

 

どこかの森の奥。複数のモンスターを捌きながら猫の特徴を持つ獣人の少女は杖を高々と掲げる。

 

「私に、従え!」

 

かける紫電を受けたモンスター達はぎこちない動きで固まると次第に獣人の少女に敬意を示す様な姿勢を取る。

 

「フフフッ、良いわ。

さあ、アイツを殺しに行くわよ!」

 

モンスターを引き連れて森を去って行く少女。

その一団がいなくなると木の上から1人の青年が降りて来た。

身長は170cmより少し高いぐらい。

白い長袖の上にベージュのロングコート。

ジーパンにサングラス姿で外に跳ねた耳が隠れるぐらいの茶髪。

 

█▃■■▄▅▅(やーっと行ったか)██████▅(じゃ、続ける)?」

 

奇妙な言葉で背後に語りかける。

ガサガサと茂みの奥から、シマウマの様な頭と白い身体に黒い金属の鎧を貼り付けた様な異形が現れた。

 

■■■(無論だ)。」

 

短くいななくと蹄鉄の様なハサミを構え突っ込んでいく。

青年はふっ、と鼻で笑うと腰に♥を象った奇妙なバックルを出現させると一気に地面を蹴る。

 

「ああああああああ!」

 

一瞬の交差。その瞬間、青年の身体が一瞬光に包まれ消える。

 

<SPIRIT ♥2>

 

そして青年が降り立った瞬間、緑色の鮮血が草木に飛び散る。

倒れたのはシマウマの魔人の方だ。

胸につけられた歪な傷から眩い光が放たれ、

その身体が一枚のカードに封印される。

 

「♦︎のカテゴリー9か、まあいい。」

 

何故か勝手に青年の手元に戻ってきたカードを退屈そうに見ながら青年は停めてあったこの森に不釣り合いなホンダ・ XR250・モタードに跨ると何処かに走り去って行った。

 

 

 

 

 

4

街は結構大きい様で歩いて行くには中々時間がかかる。

それでも自分の体力が無いのだろうか?

 

腹ぺこの少女を背負った少年は滲む汗と息切れを覚えて少し休憩する事にした。

 

「ん?ちょうど先客が。すいませーん!」

 

見ると脇道で2人の少女が腰を下ろしていた。

同じ街を目指してる人かもしれないと思い声をかける。

 

「!? もしや貴方が、私の主様でしょうか?」

 

そう言いながら休んでいた少女のうちの1人、10歳ぐらいの年頃の紫目白髪のエルフの少女が寄って来た。

 

「アルジサマ?僕はそんな名前じゃないよ。

僕の名前は、名前………?」

 

思い、出せない……。

名前だけじゃない。

文字の形や生まれた日にちに場所。

どんな親から生まれてどう過ごして来たのか。

 

それが頭から最初から無いみたいにごっそり抜け落ちている。

 

「主様?顔色がよろしくありません。

少しお休みになって下さい。」

 

ああ、と生返事を返しながら背負っていた少女を下ろす。

エルフの少女は自分の額をこちらの額に当てて熱を測る。

 

「熱はない様ですし…身体が怠いなどといったことはありませんか?」

 

「ああ無い。心配してくれてありがとう。

えっと…」

 

「私はコッコロと申します。

以後お見知り置きを。」

 

「よろしくコッコロ。」

 

もう1人いた桃髪の少女はユイといい、考え事をしながら歩いていた所をコッコロに出会ってお昼に誘われたらしい。

 

「折角主様にはじめて食べて頂くものですから少し多めに作って正解でした。」

 

そう言って弁当を広げるコッコロ。

食卓を囲むついでに聞いてみた。

 

「僕は、君を雇った覚えはないんだけど?」

 

「当然ですね。私は偉大なるアメス様より使わされたガイド役。

おはようからおやすみまで、

揺り籠から墓穴まで、

主様が世界を救ってそれから先まで誠心誠意おつかえさせていただきます。」

 

……うん、どうやらこの歳にしてかーなーり変な電波を受信してしまっているらしい。

正直言って、関わり合いになりたくない。

 

「お、おつかえするなら僕なんかよりいいご主人様いっぱい居ると思うけど?」

 

「そんな事はありません!

あなた様はアメス様に選ばれしただ1人の勇者。

私がおつかえするに相応しいただ1人のお方です!」

 

そう断言する彼女は初対面の筈の彼を尊敬の眼差しで見つめるどころか優しく手を取り

 

「そう自分を卑下なさらないで下さい。」

 

と、なだめる始末だ。

どうも調子が狂う。

この童女、10歳にしてとんでもない奴隷根性の持ち主だ。

 

「さ、それよりお昼にしましょう。」

 

そう言ってコッコロが弁当箱を開けると

 

「すんすん、この匂いはぁ!」

 

「え? きゃあ!」

 

「ウェイ!ナ、ナゼベントウバコガキエルディス!」

 

「ああ、主様の為に作ったお弁当が…。

一瞬でお腹ペコペコのペコリーヌ様に平らげられてしまいました……」

 

コッコロの言う様に本当に瞬きする間もない一瞬だった。

弁当箱が開けられた瞬間、その匂いに反応した腹ぺこ少女は肉食獣の若き俊敏さで弁当箱を奪い取るとペロッと食べ尽くしてしまったのだ。

 

「ぷはー!ごちそうさまでした!

お陰で助かりました!」

 

「い、いやお礼なら私達じゃなくてコッコロちゃんに」

 

「ありがとうございますコッコロちゃん!」

 

「い、いえ。それよりペコリーヌ様は何故空腹で動けなくなっていたのですか?」

 

「ペコリーヌ?もしかして私のことですか?

可愛い渾名をありがとうございます!」

 

会話が進まない。

つくづく変人と縁があるなと思いながら少年はため息を吐いた。

まあ、記憶喪失でコッコロが言うには世界を救う勇者らしい自分も大概だが。

 

「実は私、魔物に狙われやすい体質なんです。

それで連戦連勝したはいいんですけど、エネルギー切れになってしまって…」

 

「それって、丁度あそこに居る感じの魔物の群れに?」

 

「そうです!丁度あんなぐらいの規模のこっちに向かってくる奴らです!やばいですね!」

 

「やばいなんて数じゃないですよ!

早く逃げないと!」

 

叫ぶユイ。しかしどう考えても身の隠す場所の見当たらない場所では戦わざるを得ない。

 

「主様、こちらを。」

 

するとコッコロが銀色の四角い機械を渡してきた。

 

「君、それは?」

 

「………知ってる。」

 

「え?」

 

「俺は、これを知ってる。これを使って俺は!」

 

俺は一度機械、ブレイバックルをコッコロに預けてポケットや服の中を探る。

あった。3枚のカードが見つかった。

 

「チェンジ、キック、サンダー……これだけ?」

 

もっとある筈、だが今は目の前の怪物を優先しないといけない。

 

俺は()()()()()()チェンジのラウズカードをブレイバックルにセットして腰に当てる。

自動で伸びた赤いベルトパーツに固定される。

 

レバーに指をかけて左腕を右斜めに真っ直ぐ伸ばし、手首を掌が見えるようにスナップをきかせて回転させ、

 

変身(ヘシン)!」

 

<TURN UP ♠A>

 

レバーを引いて走り出す。

ターンしたベルトバックル部分から発動した青いパネル型のエネルギー、オリハルコンエレメントを潜り抜ける。

 

彼の姿は青い革製のスーツに銀の♠︎マークを模したブレイドアーマー、そして真っ赤な昆虫の様な複眼のヘラクレスオオカブトムシを模した仮面の戦士に変身した。

 

「すっごい……」

 

「な、何あれ?」

 

「主様、なんと雄々しい……」

 

腰に下げられた醒剣ブレイラウザーを引き抜きファイティングスタイルを取る。

 

「今、思い出した……俺は、俺の名前は仮面ライダーブレイドだ!」




コッコロ「コッコロと!」

ユイ「ユイの!」

2人「アンデッドサーチャー!」

コッコロ「今回紹介するのはこちら!」

<GEMINI ♦︎9>

ユイ「♦︎のカテゴリー9、ゼブラアンデッドです!」

コッコロ「仮面ライダーブレイド8〜10話、劇場版に登場。シマウマのアンデッドです。」

ユイ「分身能力と蹄鉄のようなハサミが武器で、原作では仮面ライダーギャレン、仮面ライダーグレイブに封印されました。」

コッコロ「今作では♥2のカードを持った何者かにブランクのカードを使わずに封印されましたね。」

ユイ「次回もお楽しみに!」
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