仮面ライダー剣 サンドリオンウォーリアーズ   作:伊勢村誠三

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カウント・ザ・ラウズカード
現在ライダーが使えるカードは?

ブレイド ⊕A
カリス  ♥A〜Q
     ♦︎A〜Q
レンゲル ♣︎A〜Q
覇瞳皇帝 ♥K ♠︎A〜K ♦︎K ♣︎K ⊕A


♥J

1

<FLOAT ♥4 DRILL ♥5 TORNADO ♥6>

 

まともな思考など無しにただ目の前の生き物を殺す為に襲い来るアルビノローチに向けてカリスは地面を蹴って飛び上がった。

 

<SPINNING DANCE!>

 

『はぁああああーー!!』

 

7体のアルビノローチを貫きながら着地する。

周囲を見ると他の『動物苑』所属の獣人達もなんとかローチを倒した様だ。

 

「5班と交代!怪我人を最優先で撤退させろ!」

 

マコトの号令に次の波を他の仲間に任せてハジメは傷付いた獣人達を連れてギルドハウスに戻った。

覇瞳皇帝とレンゲルにペコリーヌとブレイバックルを奪われて2日が経った。

元々こういった事態をある程度想定していた『動物苑』だが、流石に相手が人間ではなくとどめを刺さない限り何度でも復活する怪物とは思ってなかっただろう。

 

今や『動物苑』は種族関係なく様々なローチに住処を追われた人々の避難所になっていた。

 

「あ!ししょう!ししょう良かった無事だった!」

 

『ミソギ!この兄ちゃんの手当て頼む!』

 

ハジメは手当てや給仕などを手伝ってる愛弟子リトルリリカルに担いでいた犬の獣人の男をミソギに渡して変身を解除すると休憩に入った。

 

「はぁ…解っちゃいたが、つい先週までたい焼き焼いてる時間のが圧倒的に多かったのにいつの間にかゴキブリ捌く時間の方が多くなっちまった。」

 

溜息をつきながらハジメは休憩所の一つになっているマコトの両親の居酒屋に入った。

そこでは昨日の晩から変わらない席でブレイドが酒を飲んでいた。

きっと眠ってないんだろう。

目の下には深い深い隈が刻まれている。

 

「あ、主様!そろそろお休みになられた方が…」

 

「弟君?良い子だからお酒は辞めましょう?」

 

「お兄ちゃんもう寝なよ。ずっとお酒飲んでるじゃん。」

 

コッコロ、シズル、リノの説得にも全く耳を貸さずブレイドは酒を煽り続けた。

しかし急に立ち上がると

 

「コッコロ、姉さん、リノ。

誰でもいいから僕の心臓を壊してくれ…僕を殺してくれ!」

 

「あ、主様!?」

 

「何言ってるのお兄ちゃん!?いくらなんでも怒るよ!?」

 

「自分が、何言ってるか分かってるの?」

 

「分かってるよ!」

 

左手を握り締めてテーブルに振り下ろす。

派手な音を立てて拳の形に跡が出来た。

 

「酔えないんだよ!夜通し酒を飲んでるはずなのに!

味が無いんだよ!どんな辛い物も甘いものも!

熱いか冷たいかぐらいしか分かんないんだよ!

舌を噛んでも手を切っても黒い血が少し流れたと思ったら簡単に塞がってるんだよ!

歯だって半日で新しいのが生えてくる!

そんなことしたって死ねる保障なんか何処にも無いよ!」

 

その上アンデッドではないから唯一手元に残った自身のケルベロスのカードで自分を封印する事さえできない。

 

「自分が、人間じゃなくなってるのが嫌でもわかる。

この身体になり切って、永遠に生きて行かなきゃいけなくなったら…皆とお別れしてずっと独りぼっちなのかと思ったら……もう何とも戦いたくない。」

 

三人は何も言えなかった。

店内に入ろうとしたハジメもそっと扉を閉めた。

 

「あの調子ではこれを渡すわけにはいかないかな?」

 

背後からしてイマイチ抑揚の感じさせない冷めた子供みたいな声がする。

想像通りの偏屈なマザコン18歳児がいた。

 

「あら以外。象牙の塔のユニ博士の辞書に『空気を読む』って書いてあるんだ。」

 

「ハジメ君、覚えておきたまえ。

僕は極めて文系であり理系の頭硬い連中とは気遣いが違うのだよ。」

 

「そうかい。そりゃ新情報だ。

ところでブレイドの奴に何を渡すつもりだったんだ?」

 

そう尋ねるとユニは黙って修理が完了したギャレンバックルを手渡した。

 

「一日二日でよく治せたな。」

 

「このユニちゃんの辞書には『空気を読む』がある代わりに『不可能』が無いと知り給え。

それから極めて理系的な悪辣なキルプロセスなる玩具は取り除いておいたぞ。」

 

「それはありがたいけどいい加減理系ヘイト辞めないと後で後悔するぞ。」

 

ユニはこの僕に諫言とはいい度胸じゃないかと言って去って行った。

ハジメはバックルをしまうとまた轟音が鳴りだした方を見た。

 

「もう次が来やがったか。」

 

バトルファイトの勝者が望めば現在の生態系など簡単に変えられるはずだ。

それなのになぜこんなにまどろっこしい手段を取るのだろうか?

 

「……今のうちに考えとくか。」

 

ハジメは疲れをいやすよりも優先して王宮に攻め入るプランを考えていた。

 

 

 

 

 

「やあやあ。久しぶり。」

 

目が覚める。大きな噴水の広場の真ん中で紫と緑色の髪の壊れた機械の羽と赤い欠けた輪っかの天使のような幼い少女がフレンドリーに話しかけて来た。

 

「………どっかで会った気がするけど、何処だったっけ?」

 

「アンタとは全然あってなかったとはいえ、

ちょっとショック。アンタがそうなってから真っ先に話しかけたのは私なのに。」

 

「真っ先に……?」

 

ブレイドは一番古い記憶を探った。

それは確か、記憶の断片と思しきノイズ交じりの声と自分に唯一はっきりと話しかけて来た

 

「あの時の……」

 

「思い出した?なら改めて自己紹介を。

私はアメス。コッコロたんを君に遣わしたものだよ。」

 

「じゃあアンタがブレイバックルとカードを用意したのか?」

 

「覇瞳皇帝が倒すより早く三体もアンデッドを見つけれたのは行幸だったね。」

 

「それで、今回は何の用だ?」

 

ブレイドはそっけなく言った。

長話なら付き合うつもりは無かったし、もともと誰かと話す気分じゃない。

 

「つれないなぁ。せっかく嶋さんが残してくれたデータを基作った『夢』で素敵な体験をさせてあげようと思ったのに。」

 

「そんなのよりも今は死ねる方法を教えてくれるとか、

ブレイバックルとカードを持ってきてくれる方が嬉しいな。」

 

それを聞いてアメスはへぇ、と意地悪く嗤い

 

「不死になることを恐れてるわりにはブレイバックルを手元に置きたがるって矛盾してない?」

 

「………。」

 

ブレイドが黙ったのを見るとアメスはより笑みを浮かべて

 

「そんなふうに頭ごちゃごちゃなら一回関係ない事でも考えて気分をリフレッシュさせてみな。

案外思わぬヒントから考えまとまるかもよ?

それじゃ、またね~♪」

 

 

 

 

 

景色が変わった。幻想的、神秘的な場所から一転。

そこは等間隔に並んだ街灯と駅のネオンが世闇を照らす町の一角だった。

 

「ここは、椿ヶ丘?」

 

かつて剣崎一真や模索路晶と出会ったのと同じ場所だった。

 

「あ~!くそっ!最悪!」

 

ひたすら驚いていると背後から聞きなれた声の悪態が聞こえた。

夢ってのはなんでも有らしい。

振り返った先に居たのはつい数日前まで背中を預け合って戦い、消えかけた自分を引き上げてくれた恩人だった。

 

「キャル……。」

 

いつもの衣装ではなくTシャツに暗めのグリーンのパーカーとラフな格好だが。

 

「財布どっかに落とした!?

いや、スリにでも盗まれた?」

 

こういうトラブルや厄介ごとに本人の意思の有無にかかわらず巻き込まれてそうなところも如何にもキャルらしかった。

 

(夢、か。)

 

見れば見るほどキャルらしい。

苦境を嘆きつつもそれをバネにやってやるぞ!と気合に満ちて、

逆境に文句を言いつつもやると決めれば全力で、

そして誰かを大切に思ってくれて……。

 

(そんなすごい君にとって、

なんで僕なんかがヒーローなんだよ。)

 

ますますわからない。

あの時自分がアンデッドの本能から救われたのは間違いなくキャルの言葉が本心からの声だったからだ。

あれは嘘じゃない。

だからこそ分からない。

 

「んん?何よアンタ。何を見てんのよ。」

 

「……キャルを見てる。」

 

「はぁ!?私はキャルなんて名前じゃ…キャル、キヤル?

アンタもしかしてやってるの?『レジェンド・オブ・アストルム』!」

 

やってるという表現に違和感を覚えたがブレイドはうなずいた。

 

「そっちで会った事あったっけ?

私、あんまログイン出来て無いし、

そんな長い時間プレイしたこともないんだけど。」

 

ログイン?プレイ?ますます訳が分からない。

そんな言い方まるでゲーム……ゲーム?

 

「アストルムは、ゲーム?」

 

「その通りだ。」

 

ブロックノイズのようなものが自分以外のあらゆる景色に入り、全てが停止画面の様に固まる。

 

「剣崎一真…。」

 

ノイズを掻き分けて現れた黒ずくめの男をにらむ。

剣崎は冷たい表情を張り付けたまま答えた。

 

「四条ハジメが外から物が入って来やすいと言ったのも理解できるだろ?

元々外から招き入れる前提だった訳だ。」

 

更にまだ敵対していた頃、ハジメを一度倒した時に言われた台詞を思い出す。

 

『俺が人間なら貴様ら全員バケモノだ!

この世にあってはならない者だ!

だが、お前らが居る限り逆だ!』

 

全くその通り。もしハジメだけがあの世界の人間なら、

それ以外は全て侵入者だ。

ゲームの世界で唯一0から生み出された彼にとってそれ以外が全て余所者だと理解した時、どれ程絶望しただろう?

不死身に恐怖を抱けた自分なら分かる気がする。

 

「この世界こそがお前の世界だ。」

 

ノウェムが帰りたがったのも、ユイを憎むのも納得だ。

本来あるべき当たり前の日常を奪われたのだから。

 

「あの世界を去れ。

半ばジョーカーと化したお前なら封印を破り外に出る事も出来る。」

 

どうする?と言う様に返事を待つ剣崎。

ブレイドはゴツゴツと歪な左手と、

まだ辛うじて温もりを感じる右手を見比べて…

 

「僕は…」

 

 

 

 

 

4

「こ、ここは…」

 

空腹を感じてペコリーヌは起き上がった。

薄暗く湿った空気に、立とうとすれば頭が天井に着いてしまう狭い空間。

そこに寝かされていた。

 

「まさか、土牢?」

 

土牢とはその名の通り地を掘る、

くりぬくなどして造った牢の事で、そんな物がある場所など彼女は一つしか知らない。

 

「王宮地下?」

 

「……少しだから、我慢して。」

 

独り言の様に呟いたその声に反応があった。

聞き違える筈もない。ギューッするとフワフワで一緒にいていつまでも楽しい仲間の1人だ。

 

「キャルちゃん!

暗くてよく見えないけど声で分かりますよ!」

 

ペコリーヌはなかなか動けない中、声のする方を探した。

まだ暗闇に目が慣れず分かりづらいが、きっと何処かに入り口があるのだろう。

 

「……アンタはそこにいて。

あのお方が神の力を手にすれば全てが終わる。

皆が神の国の一員になれば全てが丸く収まるわ。」

 

「神の国?何を言ってるんですかキャルちゃん!

ちょっと待ってください!キャルちゃーん!」

 

必死にキャルを呼ぶペコリーヌ。

しかしもう返事は返ってこなかった。




レイ「レイと!」

ヒヨリ「ヒヨリの!」

2人「仮面ライダー図鑑!」

レイ「今回紹介するのはこいつだ!」

<CHANGE ♥A>

ヒヨリ「本作では四条ハジメが変身する♥の仮面ライダーカリスだ!」

レイ「仮面ライダー剣、小説ブレイド、ジオウでは相川始が、仮面ライダーディケイドでは四条ハジメが変身したライダーだ。」

ヒヨリ「武器は醒弓カリスラウザー。専用バイクはシャドーチェイサー。
本作では今の所無断拝借したブラックファングやレッドランバスにブルースペイダーと大体のバイクに乗ってるね。」

レイ「カリスラウザーの仕込み刃での近接戦も射撃も得意とする攻守万能型で、基礎スペックも最強と呼び声高いマンティスアンデッドをベースにしてるだけあり作中トップだ。」

ヒヨリ「次回もお楽しみに!」
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