失踪すると錯覚していた?
あまり私を甘く見ない方が良い。
あと作中一の戦犯が登場(辛辣)
揺れとスピードが収まった頃、
「何やってんスか。マユリさん」
と、パツキンのおにーさんが話しかけてきた。
人一人担いでる変なメイクのやつに平然と声をかけるとかさてはこいつも変なやつだな?(名推理)
するとマユリが
「見て分からないのかネ。そんな愚物が私の上司とは…さっさと消して私が技術開発局のトップの座に座りたいヨ」
と辛辣な一言
「どうせ実験台を拾ったとかなんかでしょう?ほらボク、住んでた地区まで送って上げるから、マユリさん降ろしてあげて下さい。危険視されてた人物がこんなちっちゃい子さらってくるとか大問題になるっスよ」
イラッ…俺のことを…「ボク」…?
「オヤ、じゃあ自由にしようかネ」
そんな俺の感情が通じたのか、マユリがそう言った瞬間体に力が戻った。
いや、そんなことを考える間も無く暫定マッドサイエンティスト2号に殴りかかった。
「だぁれが送り迎えまで親にやってもらう年齢のおこちゃまだぁ!」
「シッシィッ!」
左右のワンツーを繰り出す
「そこ、まで、言ってないっス!」
しゃがみこみ左足で足払いを仕掛ける
「うおっ!?なんなんスかこの子!?」
態勢が崩れるところに追撃…その瞬間煙幕に阻まれる。が、このタイミングで逃れる術は無い。そのまま抑えに掛かった。
「言っとくが俺は子供じゃ…」
「で、この子に何やったんスかマユリさん。携帯用義骸の試作品が無ければ普通に負けてましたよ」
俺の下でのびて居る怪しいお兄さんが後ろにも立っていた。ていうか剣先を向けられている。その事実に驚き、さっきまでの怒りは一瞬で霧散した。
最初から二人居たってことか…?いや、目の前の肉体は生きてない。
ただ肉体がそこにあるというだけだった。
そんな俺の考えを他所に二人は会話を続ける。
「私は何もしてないヨ。面白そうなやつだったから助手にしようかと思ったんだがネ、まさか新隊長様をここまで追い込むとは思ってもなかったヨ。滑稽だネ、武器も持っていない彼に追い詰められるなんて技術開発局長の座を早く私に譲った方が良さそうだネ」
「あなたの助手っスか…君名前は?」
「…エドワー「江戸和 陸だヨ、おい、さっき私が言ったことすら忘れたのかネ?」…」
ッ…、確か俺が西梢局側の人間と思われると面倒…なんだったか?いや、西梢局って何処だよ、なんの単語も理解出来ないんだが。
「あなたに聞いたわけではないんスけどね…、で、マユリさんに唆されて私を襲ったと」
「なんでもかんでも私のせいにしないでくれたまえ。君がこいつの気に食わないことを言ったからだヨ」
「あれ…?私なんか言っちゃいました…?」
「ガキ扱いするとキレるんだヨ」
「え…?そんな理由っスか…?(呆れ)」
犯罪者の上司の顔がポカンとした。
おい、そんな顔すんなよ!まるで俺が低身長気にし過ぎてるみたいじゃねーか!
あれ?そういや何で俺の体縮んでんだ?アルが体取り戻してから俺の身長も伸びて良い具合のイケメンになったんだけど…
「まぁほら、低身長気にしてんなら伸ばせば良いじゃないッスか?私は技術開発局局長、浦原喜助です。歓迎しますよ、ようこそ、技術開発局へ」
そう言われて手が差し出される
今までは家族のためや国のために研究し、技術を研鑽してきた…だけど今度は自分のための、自分が楽しむための研究をしよう
そんなことを考えながら差し出された手を取る
「よろしくお願いします」
まずは自分の身長を伸ばす方法でも見つけるか!
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技術開発局の一員になる…と決まったが自分の能力がどれくらいか図るためのテストみたいなのが行われた。何でも真央霊術院とかいう学校やらの過去問らしい。
結果としては文系駄目の理系が満点といった感じだった。
いや、死後の世界もまさか競争社会だったとは…てか、歴史とか知る由もないんだよな…
「この…入局試験?みたいなのはやっぱ駄目だったか?文系科目全部駄目だったけど…」
「いやいや、重視すべきは理系科目っスからね、全然問題ないっス。しかしまさか…理系の方は自分が作った問題とかもガッツリ混ぜたんすけどね…こうも満点取られるとは…」
どうも問題は無いらしい。その言葉に安堵する
「んじゃ、この紙に名前書いといて下さい」
「分かりました」
しかし、浦原さんと話してみたけど普通にいい人だわ。殴りかかって悪かったな…こんどお詫びでもするか…そんなことを考えながら「江戸和 陸」と記入する。やっぱこの名前安直だよな…
「それで配属なんスけど…」
「私が連れてきたんだ、私の助手にするのは当然だろう?」
マッドサイエンティストからは逃げられない(白目)
「で、マユリは俺に何をさせるつもりなんだ?」
「それを話すためにも私の研究室に連れて行こう。付いて来たまえ」
そう言ってマユリは同行を促す。軽く頷きながら後ろに従う。
いかにもな雰囲気の薄暗い廊下を通り、いかにもな雰囲気の研究室に辿り着く。そこには暗闇の中に浮かぶ薄緑色の液体で満たされた水槽があった。
「これは…?」
「『被造死神計画』それの二代目だヨ」
「色々聞く前に一つ質問しておきたいことがある…
俺の生きてる頃、人体錬成…謂わば人工的に人を造ることは禁忌とされた。何でか分かるか?」
「まさか倫理的な理由なんて言わないだろうネ?…あぁ、そう言えば代償があるのだったのかネ?」
「俺自身、最初はそう思っていた。人体錬成を試みたら、例外無く何かを奪われる。そこに禁忌とされる理由があると思っていた。が、そうじゃない。実際は『個人が軍事力を持たないようにするため』だそうだ。なぁ、マユリは人を作って何がしたいんだ?」
問いかけた時、マユリは顔を伏せた。泣いて自分の正統性でも訴えるのだろうか…
そんなことを一瞬でも考えた俺はマユリという男を分かってなかった。
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」
笑ったのだ。
どこまでも純粋で狂気的なこの男は、涙や耳触りの良い言葉で取り繕ったりはしなかった。
ただ、嗤ったのだ。
「フー…いやはや、禁忌とするのも納得の理由だヨ」
ようやく落ち着いたのか、俺に話し始める。
「こんな問いかけにすら答えられんとは…浦原のことを馬鹿には出来ないネ。言われてみれば簡単な答えじゃないか。全く恥ずかしい限りだヨ」
恥ずかしいとは言いつつもそんな様子を臆面に出さずこっちを向いた。やっぱこの人見た目も中身もオカシイ。
「『何がしたいか』だったネ。まず建前から言っておこうか。虚に対抗する戦力を多くするためだヨ。…あぁ、そう言えば虚を見たことが無いのだったネ。今度見せに連れてってやろう。
それで本音だが…好奇心だヨ。分かってたんじゃないのかネ?」
「おそらくだが、陸の恐れるようなことは起きたりしないヨ。私にはお上に逆らう理由は(今のところ)無いからネ」
「改めて言おうか、私の研究に協力したまえ、代わりに研究の楽しみを思い出させてやろう。陸の言う『等価交換』だヨ」
「分かった、これからよろしく頼む」
「まぁここに契約書があるから逃げるなんてことは出来ないけどネ」
あ!それさっき浦原さんに言われて書いたやつじゃん!何で俺中身確認してなかったんだ…
「恒久的に…」とか「身命を賭して…」とか書いてあってヤバいやつじゃん…
やっぱ浦原さんってマユリの上司なだけあるわ…
そして…
マッドサイエンティストからは逃げられない(二度目)
良ければ感想くれ。評価くれ。低評価の場合はアドバイスもくれ。ついでにOSR値と学力もくれ。