ガンダムブレイカーモバイル 〜テイレシアスの軌跡〜 作:四ノ宮理人
「失明って……えぇ!?何も見えてないって事です──モガッ!」
「わーサナ!声がでかいわ!」
ニシの話を聞いたサナが思わず驚いてしまい、オノがすかさず口を塞ぐ。んー!んー!ともがくサナを置いて、ニシは話を続ける。
「あくまで噂話だからね。あんまりこういう事は大きな声で言わない方がいいよ。でも……。」
「言われてみれば確かに、白杖を持ってる。視覚に障害がある人が使ってるやつだ、アレ。」
イチホが舞台から降りていくシノミヤを見ながら気付く。
「でも、だとしたらなんであんなにスムーズに戦えるんだ……?」
アツヤが先程の試合を思い出しながら疑問を浮かべる。プロファイターであるトウマと、圧倒的な機動性を誇るcodeφを相手にした彼の機体は……的確な配置、精密な偏差射撃、適切な防御体制を難なくこなし、トウマを圧倒していた。あのようなファイトができる人が、盲目だとは到底考えられない。
「……ぷはっ!じ、実はそのシノミヤさんに成りすました別人で、目が見えないフリをして注目を集めてるとか……?」
「アホ。あれほどの実力があるなら、そんな回りくどい事せんでも自分の名前で活躍できるわ。」
サナの意見をオノがピシャリと否定する。
「それより大事なのはこの大会に、トウマに圧勝できるほどのファイターが現れたっちゅう事や。優勝候補ナンバーワンと言うてもおかしない。」
オノの発言に、全員が固唾を飲む。突如現れた、謎の凄腕ファイター。その存在に、皆大きなプレッシャーを感じとっている。
だがここで、オノがアツヤを見てニシシと笑う。
「アツヤお前……、戦いたいって顔しとるやん。」
「はい……!戦ってみたいです!そんな凄い人が出ているなんて思うと、何だかワクワクしてきます……!」
その姿に、サナとニシは笑い、イチホは「訳わかんねぇ……。」と頭をかく。
「でも先輩、そのためにはまず決勝まで勝ち上がらなきゃでしょ。それに、シノミヤって人も多分3回戦でリンドウ先輩と当たるからどうなるか分からねぇし。」
「そのリンドウ先輩の初戦ももうすぐだね!皆で応援しよう!」
サナの元気な声に、みんなが頷いた。
「リヒトくん、復帰後初の実戦でプロファイターを倒すなんて凄いじゃないか!完全復活だね!」
「ほんとほんと!私たち思わず優勝したかのように喜んじゃった!」
控え室に戻った瞬間、賞賛の声が一斉に浴びせられる。何だかそれが照れくさくて、リヒトの頬が少し熱くなった。
「……皆さんのサポートと開発してくれたシステム、そしてこの子が……ガンダムテイレシアスがいなければこの舞台に戻る事は出来ませんでした。……本当に、ありがとうございます!」
深々とリヒトがお辞儀をすると、周りからチラホラとすすり泣く声が聞こえてくる。
「おい!まだ泣くにははえぇよ!」
「だって、だってよぉ……!俺たち5年間リヒトくんと頑張ってきてさ、辛い事も沢山あってさぁ……!でも、ぐずっ……その努力が報われたんだなぁと思うと……!うおぉぉ……!」
「ちょっと男泣きやめてよ!こっちまで泣きたく……!うぅ、化粧崩れちゃう……!」
もうなんだか皆がグチャグチャに泣き始めたのを聞きながら、リヒトは苦笑する。
──あぁ、本当に素晴らしい人達に助けられてきた。
顔は分からないけど、幾度となく聞いてきたこの声の持ち主たちには、感謝してもしきれないほどの大恩がある。
事故で視力を失った時は、好きなガンプラを作る事も、戦わせる事も出来なくなり、一時期は本当に死んでしまおうかと思ってしまったほどだった。
それでも……ある研究開発チームから、とあるシステムのテスターになってほしいとお願いされた時、リヒトは藁にもすがる思いで協力を承諾した。もう一度、ガンプラバトルをするために。
暗闇の中で、自機がどうなっているのかも分からない状態から始まった。思うように移動すらできない。簡単な攻撃すら避けられない。動かない的にすら当たらない。かつての自分の実力との落差に打ちひしがれ、何度も挫けそうになった。
それでも、両親とこのチームの人達が支えてくれて、5年という月日をかけてここまでやってくる事ができた。
きっと自分は、世界一幸せを噛み締めている者なのではないかと思う事がある。だからこそ、支えてくれた皆に恩返しがしたい。今日、この大会で結果を残す事で。シノミヤ・リヒトが戻ってきたと知らしめる事で。
さて、ある意味阿鼻叫喚になったこの控え室にパンパンと手を叩く音が鳴り、続けてチーフである壮年の男性の声が響く。
「喜ばしい気持ちは分かるがまだ戦いは終わっとらん!テイレシアスのボディを換装して今使ったシステムのメンテナンスをするぞ!各部も異常がないか細かくチェックしろ!」
「はい!!!」
そう、あと4戦。何としても負けられない。……勝ち進めば、まだ見ぬ強敵と戦えるから。
試合が行われる度に1人、また1人と敗者が脱落していく。そして3回戦を迎えた今、勝ち進んだ8人の精鋭が鎬を削りあっていた。
──3回戦第1試合。コトモリ・レンvsツキシマ・アツヤ。
B/Dライダーのビーム・ライフルから光が放たれる。その桃色の光芒達は市街地のビル群の間を縫って、着実にガンダムアレウスへと牙を剥く。
だが青い戦神はその狭い空間でも巨大な光の翼を拡げ、ビームをギリギリで回避。または手甲のビームシールドで防ぎ切りつつ、縦横無尽にポジションを変えるB/Dライダーの姿を捉え始める。
お互いのビーム・ライフルが火を噴き続ける。徐々に双方共掠めたビームでダメージをジワジワと負いながらも、怯まず反撃のチャンスを伺い合う。
そして……アツヤのアレウスがついに仕掛けた。弾切れ寸前のビーム・ライフルを捨て、連結されたアロンダイトを構え大通りに出たB/Dライダーに突進。
レンはむしろチャンスと思い引き金を引くが、アレウスはビームシールドで銃撃を受けながら半ば強引に突っ込んでくる。
そして接近しきったアレウスがアロンダイトを振り下ろし……B/Dライダーを袈裟斬りにせんとした瞬間──
「……『HADES』!」
レンが叫ぶと同時にB/Dライダーが紅い残像を残してアレウスの目の前から消える。機体性能を100%引き出すシステムにより、ガンプラの機動性が飛躍的に向上したのだ。
「後ろか!」
アツヤが反射的にアレウスを後方に反転させると同時に連射モードのビームがアレウスに襲いかかり、アロンダイトに被弾。ビーム発振器の辺りからスパークが飛び散る。
紅いB/Dライダーが銃を乱射しながら左手でビームサーベルを抜きアレウスを超えるスピードで迫ってくる。
「まだだ!」
壊れかけの、しかも長大なため今ではお荷物となったアロンダイトを捨て、アレウスは真上に飛翔する。
B/Dライダーも追いつこうと真上を見上げる。
しかし……カメラに映ったのは太陽を背に翼と両手に緑の光を纏わせたアレウスの姿だった。
「これでどうだ!」
掌底のビーム砲、パルマ・フィオキーナから何発もの光弾を放つ。
「くっ……!」
レンの精密な操作でB/Dライダーは光の雨を避けきる事ができた。しかし……再びアレウスに接近を許してしまう。
アレウスが背中のツインフェザーサテライトキャノンの砲身……その基部に搭載された大型ビームソードを抜き放つ。
横一閃。緑の光刃がB/Dライダーの胴を捉える。
大きなダメージが入り、レンの操作するスマホからHPが0になったアラートが鳴り響いた。同時に、試合終了のブザーと結果を伝えるアナウンスが鳴り響く。
「トモリ杯3回戦第1試合!勝者はらツキシマ・アツヤ選手です!」
──3回戦第3試合。シノミヤ・リヒトvsクズノハ・リンドウ
(くっ……どこに行こうと、死角が存在しない……。)
リンドウの操るエンツィアンは、リヒトを相手に攻めあぐねていた。
リヒトの操る赤銅色のガンプラ……ガンダムテイレシアスはグシオンリベイク、グシオンリベイクフルシティのパーツをベースにしている。
劇中でも特徴的な活躍をした背部のサブアームももちろん搭載されており、彼は4本の腕全てに120mmロングライフルを所持させている。
つまり、テイレシアスをどの方向から狙っても、どれかの腕の射角に必ず入ってしまうのだ。
宇宙空間を縦横無尽に飛翔しながら、気を抜けば被弾してしまうほど正確な実弾の軌道を交わし続ける。
(それに加えて……生半可な威力の攻撃が通用しない……!グシオンリベイクの防御性能はやはり侮れませんね……!)
元の防御性能が高いパーツに加え、メインアーム両方にグシオンのシールドを搭載している状態のテイレシアス相手に、通常威力のバスターライフルの射撃や、CIWSでダメージを与える事はほぼほぼ不可能だった。
リンドウには過去にも同じような経験をした事がある。冬のチャリティーイベントでベテランのモチヅキプロと対戦した時だ。
テイレシアスと同じグシオンリベイク主体の機体を操る彼女に、イベント前日の戦いで打ち負かされた時もこちらの攻撃が通用しなかった。……それでも、自分の信念を曲げる事はせず、次の日のリベンジ戦では比較的近距離を保ちながら装甲が薄い部分を狙い撃ちして行くという、自分らしいテクニック重視の戦法で勝つ事が出来たが……。
(シノミヤさんの場合、弱点を的確に突ける位置まで近づく事が難しい……!)
モチヅキの戦闘スタイルは近接寄りのディフェンダー型だったのに対し、リヒトの戦闘スタイルは遠距離からの狙撃を主とするロングシューター。4つの銃口から放たれる弾丸が、エンツィアンの接近を阻む。
(ですが!)
エンツィアンが左腕を大きく振ると、機動防盾がテイレシアスに向けて勢いよく飛翔する。
それを受けたリヒトは難なく回避行動を取るが……リンドウは間髪入れずにバスターライフルの引き金を引く。通常威力のビームが、宙を舞うシールドの表面に当たり、軌道が変わる。
ガンダムSEEDDestinyの劇中で、フリーダムを堕とさんとするシン・アスカがインパルスを操り見せた芸当だ。
反射したビームがテイレシアスの右腕に保持されたライフルを貫く。
破壊されたライフルをテイレシアスが捨て、離れた位置で爆発する。……しかし、これで時間は稼げた。
「近づけないのなら、遠くから必殺の一撃を……!」
エンツィアンはテイレシアスから更に距離を取る。そして、構えたバスターライフルにエネルギーが充填されていく。
フルチャージと同時に、リンドウは引き金を引いた。
バスターライフル最大出力。ガンプラの背丈を軽く超えるエネルギーの柱が、テイレシアスに向かって天翔る。
やがて、バトルフィールドの外縁部まで届いたビームの中途で、大きな爆発が起きる。そしてリンドウのスマホから被ロックのシグナルが消える。
(やりました……!)
撃墜を確信したリンドウは、山吹色の光が霧散した後モニターに映る残骸を確認する。
テイレシアスの持っていたライフル、シールド、シールドに懸架されていたハルバートの残骸が、宇宙空間を漂っていた。
──テイレシアス本体の残骸は、確認されない。
「しまっ──」
リンドウが気付いたと同時に、エンツィアンが大きくバランスを崩す。投擲されたハルバートがウイングスラスターを深々と抉っていた。
体勢を崩しながらも、何とか機体を攻撃を受けた方向に向けさせる。……同時に、再び鳴り響くロックオンのアラート。
両腕のシールドと左腕のライフルを囮にしたテイレシアスが、サブアームに保持したままだった二丁のライフルを放つ。
エンツィアンの胴体に弾丸が直撃し……リンドウの敗北が決まる。
(……わざとロックオンを外して、撃墜されたように見せかけた……!)
試合終了のブザーが鳴る中、リンドウの視線の先にいる男は……ただニコニコと笑っていた。
「トモリ杯3回戦第3試合!勝者は、シノミヤ・リヒト選手です!」
「マジかよ……リンドウ先輩にも勝っちゃったぞあの人。」
観客席で試合を見守っていたイチホが驚く。
「本当に強いんだねあの人……てゆーか、そもそもこの大会のレベルが高いのか。私たちの中で勝ち残ってるの、アツヤだけだし。」
サナがため息をつく。彼女は3回戦第2試合でプロ相手に惜しくも敗北、イチホは2回戦で当たったイチノセ・ユリに一刀両断を決められていた。
「いやほんと意味わかんねぇよアイツ、ガードしてる上から力任せにたたっ斬ってくるとか。」
と、イチホは試合後に語っていた。
「は〜〜〜〜、欲しかったなぁ優勝賞品……。」
ガックリと肩を落とすサナにアツヤが声をかける。
「サナも欲しかったのか。好きなガンプラ10個にミラクルニッパー……俺が優勝したらその内の何個か上げてもいいけど……。」
「それもだけど!副賞の!超有名テーマパークペアチケット!公認ホテルの2泊3日宿泊券付きが欲しかったよー!」
わーんと泣き出すサナ。アツヤがそっちか……と思わず苦笑する。
「華の女子高生ライフもあと1年で終わるし、進路の事でどんどん自由が効かなくなるし!青春を謳歌するラストチャンスだったのにぃ……!」
「仮に手に入ったとしても先輩には一緒に行く相手すらいねぇじゃん。宝の持ち腐れだよ。」
「イチホこらぁ!」
相変わらずの奏海水に油コンビがやいのやいの盛り上がってるのを保護者のように見守った後、アツヤは思考を切り替える。
(……シノミヤさんの機体、ガンダムテイレシアス。胴部がサンダーボルト版フルアーマーの物なのを除けば、他は全てリベイク、リベイクフルシティのパーツ……。防御力が高くて半端な攻撃は効かないし、4丁のライフルが厄介……。)
トウマやリンドウとの試合を含めた、3つのバトルを思い出しつつ、対策を練り始める。
(ハルバートも両腕の盾に1本ずつ、腰の盾に2本、計4本装備してるけど……今までの試合では投擲くらいにしか使われてない。)
テイレシアスがハルバートを手に、格闘戦を行うというシーンは今の所発生していない。インファイトに持ち込まれそうになった時はライフルやミサイルを駆使して徐々に距離を開いていくというスタイルが主であった。グシオンリベイクフルシティをベースにした頭部も、精密射撃モードから変化した様子はない。
(シノミヤさんは格闘戦を苦手としている可能性が高い。なら、アレウスの機動性で回避を続けながら、隙を見てアロンダイトを叩き込めば……!)
勝てる道筋が整い始めた……所でサナから声をかけられる。
「リヒト、ユリちゃんの試合の最中だけど、準決勝の準備そろそろした方がいいんじゃないかな。」
はっ、と我に返る。そうだ。いくらリヒトとの対戦をシミュレートしても、準決勝で敗退しては元の子もない。
「そうだな。ありがとうサナ。」
席を立ち、選手専用の出入口へと向かって歩き出す。その最中で、気を引き締めるためにも己の両頬を2回叩く。
「頑張ろうな、アレウス。」
ケースから取り出した愛機を手にしたアツヤの顔が、一段と凛々しくなった。
「……どうしよう。」
大ホール裏の廊下を、行ったり来たりして落ち着かない様子のレン。冷静沈着、聡明な彼女が珍しく入るか否か迷っていたのは…………『トモリエンタープライズ社特別開発チーム』という貼り紙がされた部屋であった。
何を隠そう、このチームこそシノミヤ・アツヤとそのサポート陣営のメンバー達の事である。
(……復帰後初の公式戦で3回戦突破したのはすごい。でも、大会直前でもう話しかけないでって、負けろと言ってしまった手前……私から話しかけに行くのは気が引ける……。)
あの時の会話を思い出しながら、レンのウロウロが加速する。
(……さっきの事を謝るって形で部屋に入るのが、最適な答え……。)
ピタリと立ち止まり、ドアノブに手をかけようとして……やっぱり辞める。
(いや、私は謝らない。あんな事言ったリヒトが100%悪い。べーだ。)
もうこのまま観客席に行ってしまおうと踵を返した所で──思わぬ刺客が。
「ややや!?その姿は!!!コートモーリさーん!!!」
舞台裏にも構わず大きな声、徐々に大きくなる足音。ギクリとして振り返ると……正直相手にしたくない者の姿が目に入る。イチノセ・ユリだ。
「ここで会ったが100年目!今日こそサインを書いてもらいますよぉ!」
「ちょっと……あまり大きな声出さないで……!運営の人に迷惑がかかる。」
それでも構わずサインサインと止まらないユリをゼロシステムばりに躱す。
「ここにいるって事は……試合終わったの?」
「はい!いやーもう完膚なきまでの敗北です!この大会の参加者全員レベル高いですね!サイン貰っちゃいました!」
「……理解不能、何故負けてそんなに笑ってられるの。」
「負けても収穫が多いので!」
あっはっはと快活に笑うユリを、静かにして……!と再び注意する。
「ところでコトモリさんはどうしてここに?試合はさっき終わってましたよね?あ!お母さんに用があったとか!?」
「違う……別に私は──」
と、その時。2人に挟まれる位置の扉がガチャリと開く。
「おーい、今ここは大事な作業中なんだ。談笑するならロビーとかに行ってくれないか。……てレンちゃんじゃないか。」
壮年の男性が険しい顔で注意を呼びかけるが、そのうちの1人が上司の娘だと分かるや否や、表情を緩める。
「なんだ、リヒトくんの応援にでも来たのかい?」
「ち、ちがっ……。」
「リヒト!?もしかして!アイゼンさんやリンドウさんを倒したシノミヤ・リヒトさんがいるんですか!」
会話を聞いたユリの目がキラキラと輝く。まずい。サインバカエンジンがフルスロットルだ。ユリが行動するよりも早く、レンがその首根っこを掴む。
「リヒトは……!忙しいから……!邪魔しない……!」
「あ──────────!!!!!シノミヤさ────────ん!!!!!……ってもしかしてコトモリさん知り合いなんですか!?ずるいずるい!」
「ずるくない。」
そのままユリを引きずり、レンは言ってしまった。嵐が過ぎ去った後のような静けさが廊下に戻り、男はやれやれと肩をすくめる。
「リヒトくん。」
部屋に戻り、ヘッドホンで音楽を聴いているリヒトの肩を優しく叩く。
「どうかしましたか?テイレシアスに何か問題でも……?」
ヘッドホンを外し質問をなげかけるリヒトにいやそうじゃなくてね、と一声置いてから続ける。
「レンちゃん、話に聞いた通りとても仲のいい友達が出来たみたいだよ。」
「……はぁ。」
男の発言に間抜けな声を上げるリヒトだったが、その後はどこか嬉しそうに頷いていた。
そして大会は進む。ベスト4まで出揃い、若手選手のみにも関わらず、行われる試合はどれも1級品。観客を、ファイターを、テレビの前の少年少女を魅了し、のめり込ませていく。
そしてついに、U-22ガンプラバトルトーナメント『トモリ杯』の集大成……決勝戦のカードが揃った。
「お待たせ致しました。トモリ杯決勝戦、ツキシマ・アツヤ選手対シノミヤ・リヒト選手の試合が、まもなく開始致します。」