キャンペーンシナリオ[トータス旅行記]リハビリ作   作:重言 白

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 ようやく合流しましたね。


幕間
幕間-1


 どうやら目覚めたらしい。

 ミニ=ショゴスに案内されて向かうと、そこには金髪ロリに(性的な意味で)襲われている脱色された南雲ハジメ(仮)の姿があった。

 

「……防音はされてるから。ごゆっくりどうぞ」

「……ん。いただきます」

「ちょっと待てぇ!?」

 

 しばらく経ってから、また来るとしよう。

 そう思って部屋から離れようとすると、扉が荒々しく開け放たれる。

 金髪ロリをぶら下げたまま、脱色されたロリコンの南雲ハジメ(仮)が飛び出してきていた。

 どうやら、話を聞きたいらしい。

 

「それと……古城貴洋……か?」

「久しぶりだな。脱色されたロリコンの南雲ハジメ=サン」

「誰がロリコンだ!?」

 

 誰がどう見てもロリコンだろう。

 ロリコン……だよな? 

 

「まさか所有物だから、人間としてカウントしていない……?」

『最低じゃないですか。大丈夫? 酷いことされてない?』

「……魔物に捕まって人質にされたとき、気にせず撃たれて頭少し削られた」

「まだ根に持ってるのか。撃っていいって言ったじゃねえか」

 

 ……? 

 何か問題があるのだろうか。

 

「撃っていいって言ってるし、生きてるなら問題ないんじゃないか?」

『ですよねー。人質なんて最後は殺すものですし』

「!? さ、最初私が封印された部屋に入ってきたとき、私の助けを無視して扉を閉じようとした!」

「そりゃあ、あからさまに怪しかったからな」

 

 この金髪ロリは封印されていたのか。

 え、なにそれ怖い。

 

「明らかに封印されてるものには普通、近寄らないだろ」

『封印されてるのって大体ロクでもないですもんね』

「常識が……! 常識が通じない……!?」

 

 とりあえず、いきなり暴れだしたりするわけではなさそうだ。

 なら警戒を解いても大丈夫そうだ。

 

「生きてるだろうとは思っていたが、まさか銃を作ってるとは思わなかったよ。外装だけで別の機能の代用品とかじゃなく、旋条を刻んだ完全な銃」

「こちとら一応、探してたんだぞ? 俺のせいで巻き込んだようなもんだったし」

 

 ココに運んだ時に回収しておいた彼の装備を取り出して返却した。

 しかもマスケット銃や火縄銃のような比較的仕組みが簡単な銃ではなく、複雑な機構に組み上げられた一品だった。

 “錬成”で固定されていたので分解は出来なかったが、“変形”させた指を中に流し込んで確認した。

 ついでにメンテナンスとして中に溜まっていた、不完全燃焼した火薬の余りなどの汚れを食べておいた。

 

「元々どこかのタイミングで別れるつもりだったから気にしてない。むしろ大幅なショートカットになったよ」

「そうか。なら聞きたいんだが、何で見た目に変化が無いんだ? あそこからここまで降りてきた以上、魔物の肉を食べたんだろ? それにそっちの人は誰だ?」

 

 私としてはむしろ、なんで脱色しているのかを聞きたいくらいだ。

 ミニ=ショゴスの事を話すとなると……あー。

 まあ、いっか。

 

「落ち着いて聞いて欲しい。クトゥルフ神話TRPGは知ってるよな?」

「知っているが、それがどうかしたのか?」

「コイツはショゴスだ」

「……は?」

「……クトゥルフ神話てぃーあーるぴーじーって、何?」

『私たちと主、それと脱色ロリコンがいた世界における、遊戯のことですね。簡単に言えば、複雑なごっこ遊びでしょうか?』

 

 間違ってはいないが……。

 まあ、それは良いとしよう。

 元いた世界には、クトゥルフ神話TRPGというものがある。

 正直な話、ルールブックが1番啓蒙というかクトゥルフ神話技能を高めている気がする。

 私がクトゥルフ神話TRPGを知ったのは、既に騒動に巻き込まれた後だったが。

 最初本屋で見たとき、取り乱したなぁ……。

 

「いやいや待て待て。アレは架空の存在だろ? 元の世界もファンタジーとか嘘だろ? あんな特殊なダガーと刀を作ったとき、それっぽいからって言ってたじゃないか」

「この世界を作ったのががスクウェア・エニックスなら、元の世界はフロムソフトウェアが作ったんだと思うよ。ちなみに、ニャル様の化身がこの世界にいるのは確定してる。特にデザインに意味はないと言ったな、アレは嘘だ」

 

《門の創造》をベースに帰還のための魔術を構築する以上、精神力はいくらあっても足りないからな。

 清めた刀はともかく、生贄用のダガーは必須だった。

 

「ちなみに私達が召喚されたときから一緒だったから、“言語理解”を習得してる。魔物の技能もだ」

「……うわ」

「ハジメと同じ?」

『あ、やっぱり魔物の肉を食べてきたんですね。でも、アレは相当強い毒だったはずですが……あ! 神結晶でも持ってたんですか?』

 

 ああ、そういえばオスカー・オルクスの作った神結晶が一つ紛失したんだっけ。

 アレはギャグではなく、本当になくしていたのか。

 

「ああ、俺は神水を飲んでなんとか生き残った。だが、その結果見た目がこれだけ変わった」

「私も元々の人間部分は5%しか残ってないよ。他はショゴスの肉体で補っている。脳と一部を除いて、石化したり、食われたり、壊されたり……よく渦巻くらって元の肉体が残ったな」

『仮に脳死したとしても、食べてから再現して蘇らせてあげますから』

「……つまり、どういうこと?」

 

 私の命はミニ=ショゴスに握られているということだ。

 そうだ! 一度ショゴスとしての姿を見てもらえれば、説得力が増すかもしれない。

 

『この部屋に収まるくらいのサイズにしておきますね……えい』

 

 突如、メイド服を着ていたミニ=ショゴスの体が、ドロドロとした黒い粘性のある液体となって溶け始めた。

 しかし溶けているにも関わらず、泡立ちながらなぜか体積は増していく。

 私と同じくらいの大きさだったミニ=ショゴスは肥大化していき、ついには天井ギリギリほどの大きさになった。

 その黒い液体だけで構築されたその体に、無数の目が生成され始める。

 さらに複数の太い触手が生え始め、身体を支えるように床に置かれた。

 今まで歓談していた相手がグズグズになって溶け、そのまま怪物と化す姿はまさしくクトゥルフらしい怪物と言えるのではないだろうか。

 

 正気度判定 1D6/1D20 75 >= 82

 正気度喪失 1D20 >= 3

 正気度判定 1D6/1D20 95 >= 65

 正気度喪失 1D6 >= 5

 狂気表 1D10 >= 7 逃亡

 継続時間 1D10 >= 1

 

「いやぁあああああ!!!」

 

 金髪ロリは逃亡した。

 しかし、外にはミニ=ショゴスの分体が待機している。

 別の姿でいるように伝えておいたので、おそらく上手いこと宥め賺して正気になるまで捕まえてくれるだろう。

 それはそうと……

 

「武器は預かってるし、暴れないで欲しいんだが。見た目はアレかもしれんが、友好的だし」

『見た目がアレだなんて、酷いこと言いますね。まあ人間の価値観からすれば仕方ないですか。じゃあ、戻りますね』

 

 蹴りを繰り出してきた南雲ハジメの脚を“変形”した左腕で受け止め、拘束した。

 せめてヒュドラ肉を食べて出直してくるが良い。

 

「あー……すまん、取り乱した。ユエに手を……触手を出されて少しイラッとした」

「ユエ? 金髪ロリの名前か?」

 

 そういえば名前は聞いていなかったな。

 ユエというのか。

 

「金髪ロリってお前……。ユエは50階層に封印されてた吸血鬼だ。石像が2体設置されてた人工的な場所を見なかったか?」

「あー、あったな。開かなかったところ」

「は? 魔物倒して魔石を押し込むだけだったじゃねえか」

 

 なん……だと……。

 そんな簡単な仕組みだったのか。

 しかし聞く限り、錬成師でなければ開ける意味もなかったようだ。

 

「……ヒッ!」

『そこまで露骨に怖がられると、結構ショックですねー』

 

 そうしている間に、金髪ロリ吸血鬼ことユエが戻ってきた。

 どうやら正気には戻ったようだが、若干の恐怖感情が残ったようだ。

 とりあえず“生成魔法”と習得のための魔法陣について教えて、一旦離れる事にした。

 2人で話すこともあるだろうし、私も書庫で本の続きが読みたかったからな。

 

 


 

 

 元の世界のことを話したり、模擬戦したり、殺し合ったり、《時空門》で帰れないかと聞かれたり、吸血鬼による捕食現場(R-18)な方に協力したり、ミニ=ショゴスに名付けを強請られたり、いつのまにか仲良くなっていた吸血鬼の指導を受けたミニ=ショゴスに襲われたり……。

 色々あって、2ヶ月が経過した。

 ユエには服を作る技術があり、それをミニ=ショゴスと共に勉強させてもらいもした。

 素材は上の階層に行き、魔物を仕留めて使った。

 料理は私が何とか1番上手にできた。

 ただ、やはり米が恋しいという結論に至った。

 桃のような小麦で麺を打ってみたが、なんというかこれじゃない感が酷かった。

 やはり一刻も早く、元の世界に帰りたい。

 風呂で致していたことを知ったときは、2名を床に正座させて共用の湯を汚すなと説教した。

 個別の風呂もあるんだから、そういうプレイはそっちでやって欲しい。

 南雲ハジメは自分が被害者だと主張したが、抵抗しなかったのは目に見えているので正座の上に岩を乗せておいた。

 しかし、何でわざわざ共有スペースで問題を起こしたのか……あ。

 まさか露出狂の気が? 

 拒まなかったということは、南雲ハジメもそうなのだろう。

 彼はこのオルクス大迷宮で、色々変わってしまったようだ。

 なんというか、遠い人物になった気がする。

 正直武器を使うより体を“変形”させて技能で殴った方が強いと思っていたのだが、外に出る以上見せ武器が必要ではないかという事になった。

 そのため、私はドラゴン殺せる剣と命名された大きく、分厚く、重く、ひどく大雑把にすぎるまさに鉄塊とも言える剣を背負う事にした。

 ステータスが異常になった現在、これくらいなら片腕で振れる。

 なんか強そうだし、邪魔になれば“格納”で体内に取り込めば邪魔にもならない。

 

 ドラゴン殺せる剣 ダメージ[2d8+4+DB] 射程[タッチ]

 装備時、DEX判定にペナルティダイスを付与。

 

 それと遠距離攻撃用に、南雲ハジメにライフルを一丁作ってもらった。

 要求したのは有効射程の広さと威力のみ。

 出来上がったのは“纏雷”を利用する事で発射できるレールガン。

 通常威力の火薬が用意されておらず、銃という形すら保っていないそれは、最早個人携行兵器の枠組みから逸脱したものだった。

 2mを優に超えるその銃身は途中から2又に分かれ、電磁加速を行うという単一の機能しか有していない事を明確に示している。

 “生成魔法”により、魔力を流し込むだけで発射できるように製作されたそれに、明確なトリガーはない。

 “遠見”の技能があるため、スコープすら搭載されていない。

 ただ遠くに弾丸を届ける事のみを目的にしたこの銃は、最早製作者である南雲ハジメでもまともに扱う事はできないだろう。

 

 レールガン ダメージ[30D10] 射程[204km] 故障ナンバー[99]

 1D6ラウンドのチャージが必要。

 使用時、半径5mに2D3の電撃ダメージ。

 発射後、30分の自然冷却が必要。

 ノックバックの反動で2D6ラウンド行動不能。

 

 レールガンの対価として、私はクトゥルフ神話についての知識を与えた。

 ただし、魔術を覚えると大迷宮の難易度が向上する可能性があるので教えなかった。

 結局、私はここで魔道書を読まなかった。

 単純に忙しかったのもあるが、正気でいられないという確信があったからだ。

 多分1冊でも読んでしまえば、他のも気になって手をつけるだろう。

 私がそういう人間だと、私は知っている。

 なので厳重に密封し、持ち運ぶ事にした。

 ……置いていくのは、さすがに勿体無い気がして。

 魔道書を除く書庫の本は読み終えたので、そろそろ外に出る時が来た。

 攻略者の証という指輪をとって、外に繋がるらしい魔法陣に乗った。

 

「行くか、時雨」

『……はい!』




 成長判定
・製作(料理) 21 >= 50 01 25 52 98
 成長度 4D5+5 >= 21
 製作(料理) 21+21 = 42
・製作(服) 5 >= 47 09
 成長度 2D5 >= 9
 製作(服) 5+9 = 14

 ドラゴン殺せる剣なら、車に撥ねられたときくらいの威力は出る筈。
 一応、近接戦闘(刀剣)で判定予定。
 レールガンは射撃(ライフル)で判定する予定です。
 撃つ事ができて、当てることができれば、神格さえ追い払える一品。
 ニャルラトテップがいるとわかっている以上、オリ主君は対策しなきゃヤベェと思っています。
 ニャルラトテップがこのレールガンを向けられた場合、ドン引きして発射される前に逃げます。
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