キャンペーンシナリオ[トータス旅行記]リハビリ作 作:重言 白
なので打切り的に終わる可能性もあります。
その1
目が覚めると、滝壺の淵に引っかかっていた。
背嚢は無事みたいだが、南雲ハジメの姿は見えない。
おそらく、違うところに流れ着いたのだろう。
とりあえず暖をとらなければ。
濡れたままでは風邪を引くかもしれない。
剣の先を使って地面に魔法陣を刻んで、詠唱を行う。
「求めるは火、其れは力にして光、顕現せよ、“火種”」
この世界の魔法は魔術と違い、正気を削らないので使い勝手が非常に良い。
魔法陣も事前に刻んでおくこともできるし、繰り返し使うこともできる。
服を乾かしながら暖をとっている間に、作って貰った純鉄の刀に魔術をかける準備をする事にした。
《刀身を清める》というは、幽霊や宇宙からの色のような物理的な影響を受けない存在に、攻撃が当たるようにするための魔術だ。
ただし魔術の対象として使える素材に制限があり、純粋な金属で作られた武器にしか使うことができない。
また、この魔術をかけるときには生贄として、人より少し小さいくらいの動物の血と精神力を捧げる必要がある。
具体的には50kg相当の動物の血だ。
今回は捧げる血の準備ということになる。
ここが地下でなければ、ビヤーキーか狩り立てる恐怖にお使いを頼めば良かったのが……まあ、仕方ない。
人の話だが、血液の量は体重の1/13ほどと言われている。
つまり、約3.8Lの血液が必要だ。
そして人は12%までなら血液を抜いても無事でいられる。
私の体重は75kg、血液量は約5.7L。
抜いて大丈夫な血液量は約0.7Lということになる。
5、6回血を抜けば足りる計算だな。
“火種”に使った魔法陣の隣に、5倍以上の大きさの魔法陣を描く。
そして手首を軽く切り、ドクドクと血を流しながら詠唱する。
耐久値 14-1 = 13
「求めるは凍結、其れは不動なる闇、遍く全てを押し留めよ、“凍結保存”」
詠唱を終えると、流れ出した血が一点に集まり固まり始める。
元々は食材を保管するために考案した冷蔵庫の代用魔法だったのだが、真っ先に血を保存することになるとは思わなかった。
ある程度血を抜き、少しフラついた辺りで傷を押さえて血を止め、滝壺の水を飲んだ。
「……テケリ・リ 」
あ、忘れていた。
背嚢の中から、厳重に密封された小さな箱を取り出した。
その鍵をあけると蓋が開き、中から玉虫色をした粘液状の生き物が飛び出してくる。
それは私の手首に吸い付き、流れ出る血液を舐めとるように蠢いている。
「って、血を止めなきゃいけないのに、飲むな」
手首からそれをひっぺがし、傷口に布の切れ端を結んで止血を行った。
応急手当 53 >= 08
回復量 1D3 >= 2
耐久値 13+2 = 14(最大値)
STR減少量 3D10 >= 22
STR 65-22 = 43
さて、止血が終わった辺りでコレをどうするか考えよう。
視線をそれに向けると、もじょりもじょりと蠢く玉虫色の体に目のような器官を作り出してこちらも見ていることに気づく。
こいつはミニ=ショゴス。
昔巻き込まれた騒動の中で、紆余曲折の末に原因だった研究者から押し付けられ……預けられた実験体だ。
『かつてショゴスが反乱を起こしたのは、我々が酷使しすぎたのもあるが、それ以上に彼らに社会性というものがなかったからだ。
なのでこのショゴスには少量ずつ餌を与えることで成長を抑制し、その間に社会性というものを学習させようと考えたわけだ。
君が失敗したところで、せいぜい地図から町が1つ消える程度。
安心して育ててくれたまえ』
思い出したらイラついてきた。
今度会ったときには、全力の《ヨグ=ソートスのこぶし》を叩き込んでやろう。
それはまあ置いておいて、今はこのミニ=ショゴスをどうするかだ。
正直な話、小さなコウモリ程度の大きさしかないこいつは戦力外だ。
色々と食わせてせめて……馬くらい大きくなって貰わないと。
しかし変な物を食わせてしまうと、せっかくこれまで良い物を食わせ続ける事で悪臭がしないようにしてきたのが無駄になってしまう。
魔物の肉を食わせるにしても、せめて加熱してからあたえることにしよう。
……ショゴス用の食糧確保のために《門の創造》で1度地上に戻るか?
いや、ここから地上までの距離もわからない状態で使うのは危険だろう。
そういう無茶をするのは、《生贄用のダガーに魔力を付与する》魔術で精神力を回復する手段を手に入れた後でいい。
ただでさえ魔術は大量に精神力をすり減らすリスクがあるんだから、多様するべきではないのだ。
とりあえず、現状の目的を整理しよう。
最終目的は元の世界への帰還、もとい《万能鍵》の開発。
そのために、まずはこのオルクス大迷宮の最奥にあるであろう反逆者の拠点の捜索。
そして最優先目標はミニ=ショゴスと私のための食事の確保。
ここなら飲み水があるし、火も簡単に熾せるので、しばらくは此処で探索することにしよう。
どれだけ気絶していたかはわからないが、今のところ此処に魔物が来る気配はないので、安全地帯なのかもしれないし。
衣食住? 食住さえ確保できれば死にはしない。
突然襲われるかもしれないし、《肉体の保護》をかけておこう。
MP 15-5 = 10
装甲付与 5D6 >= 13
?? >= ?
聞き耳 53 >= 35
残念ながら、安全地帯ではないらしい。
《肉体の保護》をかけた後、罠として使えるように魔法陣を描いていると、狼のような唸り声が遠くから聞こえ始めた。
その唸り声は少しずつ、明らかにこちらに向かってきているとわかる。
目星 67 >= 12
隠密 20 >= 14
滝の影に隠れて様子を窺っていると、尾が2本ある大型の狼が2匹、滝壺で水を飲み始めた。
どうやらここは魔物達にとっても水源になっているようだ。
……あの位置なら、上手く行くか?
「……求めるは火、其れは力にして光、顕現せよ、“火種”」
小声で聞き取られないように、魔法の詠唱を行う。
その意思に反応して、狼達の背後に刻み込まれた魔法陣が輝き、火が付いた。
その火は狼のうちの片方の尻尾に引火する。
火が付いた方の狼は慌てて、火を消そうと水の中に入った。
そこは射程内だ。
「《ヨグ=ソートスのこぶし》!」
MP消費 10-5 = 5
正気度喪失 1D6 >= 2
正気度 49-2 = 47
CON対抗 10D10 >= 65
標的にした狼は大きく吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた。
意識はしっかりと奪えたようで、動く様子はない。
あと1体も、こっちに来たときに仕留める!
そう思ってまだ起きている狼の方を振り返ると、牙を剥き出しにして飛びかかってくる直前だった。
近接戦闘 50 >= 90
振り返った拍子に体がよろけ、狼の牙は空をきった。
しかしあの1瞬で10m以上の距離を詰める速度は、どうあがいても後手に回ってしまうだろう。
どうにかして隙を作らなければ、《ヨグ=ソートスのこぶし》を当てることも出来なさそうだ。
私が剣を構えている間に、狼が再び飛びかかってくる。
近接戦闘 50 >= 92
近接戦闘(刀剣) 46 >= 97
飛びかかってきた狼にタイミングを合わせて剣を振るったが、狼は俊敏な動きで避けた。
そして地面に叩きつけられた剣は質が悪かったのか、中程からボキッっと折れてしまった。
仕方ないので純鉄の刀を抜き、構える。
傷が付いたら《刀剣を清める》の効果が無くなってしまうため、新品のまま使いたかったのだが、仕方ない。
近接戦闘 50>= 66
近接戦闘(刀剣) 46 >= 82
両者共に空振り。
いい加減当たってくれないだろうか。
近接戦闘 50>= 38 レギュラー成功
近接戦闘(刀剣) 46 >= 08 イクストリーム成功
狼の突進はこれまでにないほど、正確に私の動きを捉えて向かってきている。
私はその突進に対して、的確に刀を合わせて振るうことに成功した。
純鉄の刀 1D10+1D4+14 >= 20
私の振るった刀は体当たりを仕掛けてきた狼を、口から尾まで貫き通した。
間違いなく即死だろう。
狼は数度体を震わせると、動かなくなった。
「コッチは皮を剥いでから焼いて食うか。もう1匹は《刀身を清める》ための生贄にするとしよう」
これならさっき血を抜いた意味がなかったな。
まあ3日もすれば血の量も元に戻るので、気にしないで良いだろう。
気絶した方は暴れられないように固定した後、サクッと仕留めて《刀身を清める》ための生簀にした。
POW減少 75-5 = 70
正気度喪失 1D4 >= 1
魔術が発動されるのと同時に、体から何かが抜ける感覚に襲われる。
そして同時に、手にしている刀が変わったという感覚があった。
見たこともないが、本物の妖刀を持つとこんな気分なのかもしれない。
一応血で洗ったとはいえ清めてあるので、清浄なオーラ的なものをこの刀からは感じた。
「あー……疲れた」
ここが今何階層なのかはわからないが、ここから下に行くなら魔物はどんどん強くなっていくだろう。
装備も食料も魔力も、何もかもが足りていない現状では攻略の難易度は極めて高そうだ。
例えるならば、“ソルト アンド サンクチュアリ“の7回以上周回したデータをレベル1、ノーデス縛りで初見プレイヤーがクリアするような難易度…•かもしれない。
なかなか前途多難のようだ。
焼いた2頭分の狼の肉をミニ=ショゴスに与えながら、そう考えた。
ミニ=ショゴス:食事によるステータス向上
SIZ 5+55+50 = 110
STR SIZ:STR = 4:3 >= 82
CON SIZ:CON = 2:1 >= 55
INT 20+2D10 >= 36
DB STR+SIZ = 192 >= +1D6
ビルド 2
耐久 SIZ+CON/10 = 13
それにしても、この狼の肉は硬い上に不味いな。
日本の家畜がどれだけ美味しく育てられているかが、よくわかる味だ。
吐きそうなくらい不味い。
というか吐く。
「ゲホッ! ……あ」
吐瀉物だと思っていたものは血の塊だった。
そういえば魔物の肉は人体にとっては有毒だったっけ?
まさかここまで強い毒とは思っていなかった。
血を吐いたことがきっかけだったかのように、全身にヒビが入って砕け散るような激痛と共に、文字通り皮膚がひび割れるように裂けていく。
あまりの苦痛と出血量に意識を失ってしまいそうだが、此処で気絶してしまえばそれこそ魔物の餌になって死ぬ。
せめて滝の裏に隠れなくては……。
這いながらなんとか移動し、意識を失った。
??? ?? >= ??
このシナリオ中、おそらく最も重要かつ、ないと詰みになるアーティファクト
・ミニ=ショゴス
ある研究者から押し付けられた実験体。
ちなみに実験されてた頃から記憶があるので、研究者は敵視しているが、いつも美味しいご飯をくれるオリ主君のことは気に入っている。
研究者? 南極海底在住とだけ言っておきます。
名前募集中です。
成長判定
・応急手当 53 >= 14
・聞き耳 53 >= 66
成長度 1D10 >=2
聞き耳 53+2 = 55
・目星 67 >= 80
成長度 1D10 >=4
目星 67+4 = 71
・隠密 20 >= 90
成長度 1D10 >=3
隠密 20+3 = 23
・近接戦闘(刀剣) 46 >= 68
成長度 1D10 >=3
近接戦闘(刀剣) 46+3 = 49
ひとつだけ言わせて欲しい。
なんで狼戦どっちもダイスアレなの?
一応、1対1から攻撃を受けるなり、攻撃したカウンターで電撃を喰らうようにしようと考えていたのに、カスリもしないし、あろうことか即死だよ!
別に深層の魔物が弱いわけじゃないです。
ダイス目が狂ってるだけです。