キャンペーンシナリオ[トータス旅行記]リハビリ作 作:重言 白
目を覚ますと、滝の裏で天井を見上げていた。
なんとか助かったらしい。
完全に毒が抜けたのか、血が戻ったからか、異様に体が軽い。
バチッ
……なんだ? 今の音。
そんなことを考えながら辺りを見渡していると、突然滝が斬り裂かれた。
????? 60 >= 27
回避 54 >= 13
なんとか身を投げ出す事で躱せたものの、直撃していたら無事ではなかっただろう。
私の後ろの壁にクッキリと刻み込まれた、爪のような切れ込みを見てそう考える。
敵が滝の向こうにいるとわかったので、ひとまず外から攻撃をされないように壁を盾にして待機する。
しばらくすると滝を超え、その魔物は現れた。
「グルルル……」
魔物は筋骨隆々な白色の熊のような姿をしていた。
腕と爪が異常に発達しており、先ほどの攻撃はコレを使ったのだろうと容易に想像ができる。
顔だけ何故か真っ黒で、首元と腕には赤黒い筋のような紋章が刻まれていた。
黄色いつぶらな眼には殺意すらなく、まるで周りを飛んでいて鬱陶しい虫を潰すときのような、塵を見るような目でこちらを見ていた。
正気度判定 1/1D8 46 >= 01
正気度喪失 46-1 = 45
アレは不味い。
勝てるかどうかではなく、生き残れるかどうかで考えなければならないくらいには危険だ。
ミニ=ショゴス……既にだいぶ大きくなってるけど、一応普通の個体と比べれば小さいミニ=ショゴスはその体積の都合上、攻撃を避ける事ができないだろう。
……って、既に私よりも大きくなっていたミニ=ショゴスは何処に行った?!
私が意識を失っている間にどこかへ行ったのだろうか?
まあ、気にする必要がないなら、私は単独で逃げるとしよう。
射撃(爪) 60 >= 00
熊は両腕の爪を振るおうとしたが、此処は天井の低い滝の裏。
なんと両腕の爪が引っかかり、抜けなくなったようだ。
爪を抜こうと熊が暴れている間に、私は悠々と滝の裏を脱出した。
滝の裏から逃げ出してしばらく経ったが、追ってくる気配はない。
どうやら諦めたか、まだ爪が抜けていないようだ。
「テケリ・リ」
とりあえず拠点が使えなくなったから別の拠点を探そうと考えていると、背嚢の中からミニ=ショゴスの声が聞こえた。
中身を確認すると、あの狼を与える前くらいに縮んだミニ=ショゴスが中に入っていた。
体積を抑え込む方法があった?
いや、体積を縮めても重さは残るだろう。
分離でもしたのだろうか?
そういうふうに考えていると、ミニ=ショゴスが背嚢の中から銀色のプレートを取り出した。
ステータスプレートを取り出して、何かを伝えようとしているのだろうか?
そう思ってステータスプレートを見て、体が固まった。
古城貴洋 17歳 男 レベル:9
天職:考古学者・玉虫色の粘液生命体20%
筋力:130
体力:210
耐性:500
敏捷:130
魔力:350
魔耐:250
技能:鑑定[+アーティファクト鑑定]・魔力操作・胃酸強化・自動回復・耐炎耐雷・纏雷・言語理解
ステータスの数値が跳ね上がっているのは、まあ置いておこう。
え? 何がどうして天職が増えてるの?
というか技能の中にある自動回復と耐炎耐雷っても含めて、ショゴスの肉体と一緒だな?
気絶している間に、何をされたんだ?
そういえば、気絶直前に血を抜いていたんだっけか?
それだけ血が不足した状態で、あの量の出血……。
間違いなく失血死する量だな?
しかし、起きたときには傷は全部治っていた。
魔物の肉を食べて傷が治るのであれば、おそらく毒とは書かないだろう。
だから誰かが治療を施した?
あるいはFFのラストエリクサー的な薬品に漬け込まれながらなら、生き残れるかもしれない。
そしてこの場所に医者はいないだろうし、ラストエリクサー的な薬品もない。
つまりそれ以外の方法で生き残ったというわけだ。
さて、ここで縮んでしまったミニ=ショゴスを見てみよう。
ショゴスは通常、ダメージを食らっても縮むことはない。
斬られても接合するし、潰されても合体する。
火と電気がほとんど効かないし、凍りもしない。
魔術ならある程度のダメージを期待できるが、その膨大な耐久性と再生能力に押し負けるだろう。
それに攻撃を躱すような俊敏な動きは期待できないが、移動は結構早い。
そして身体を変化させてあらゆるものに化ける変身能力。
……大量のこんなのに反乱を起こされれば、そりゃあ勝ち目がないわけだ。
「つまりミニ=ショゴスの肉体は、今コイツとは別の何処かにある?」
ここで私のステータスを思い出してみよう。
玉虫色の粘液生命体20%
つまり今、体の20%がショゴスになっているということなのだろう。
仮の、仮定の話だ。
ゴールド・エクスペリエンスという架空の能力がある。
その能力は生命力を与えることで、生命を生み出す能力だ。
作中では折れた歯をハエに変えたり、石畳から木を生やしたりしていた。
その中で1つ、気になる描写がある。
抉られた目や喉、足、斬り飛ばされた腕など、様々な体の部分をパーツとして生み出し、それを埋め込むことで体を治しているのだ。
それと同じことが行われた?
つまり、魔物の毒に侵されて壊れた部分をミニ=ショゴスが補うように変化し、体の1部がショゴスと同質になりつつも生き残った。
正気度判定 0/1D6 45 >= 44
そんな正気を失うような現実を知ったが、便利だし良いと思う。
体を任意で変化させる技能がないのは、おそらく変化させるほどの容量が足りなかったのだろう。
ところで、この纏雷はなんなんだろう?
ミニ=ショゴスの性質ではないだろうし、狼も電気なんて使っていなかったはずだ。
とりあえず使ってみるか。
「“纏雷”」
すると身体の周りで赤黒い電気がバチバチッと弾け始めた。
纏うと書いてあるだけあって、射出できるようなものではないらしい。
導線になるような物があればトラップくらいには使えそうだが……。
とりあえず狼でも探して、ミニ=ショゴスに食わせて体積を回復させよう。
狼を4匹仕留めた後、毛皮を剥いでショゴスの体積をさっきのように膨らませた後、恐る恐る私も肉を食べた。
胃酸強化という技能があるので大丈夫だとは思うが、再びのたうちまわることになる可能性もある。
今回もダメそうなら、1度《門の創造》で帰ることにする。
しかしそれは杞憂だったようで、しばらく経ってもなんの異常も起こらなかった。
狼の毛皮は鞣さなければ使い物にならない。
先ずは付いている血と脂を小削ぎ落とさなければいけないのだが、あの水場に戻るのは危険かもしれないので、この場で処理をすることにする。
現代の鞣しは薬品などを使う必要があるが、原始的な鞣しであれば噛んだり叩いたりするのでもいいのだ。
もちろんその分劣化が早くなるかもしれないが、一生物というわけでもないので構わんだろう。
先ずは“水球”の魔法で発生させた空中に浮かぶ水の玉の中に、汚れた毛皮を1枚入れる。
次に“水球”の中の毛皮をしっかりと洗う。
“水球”が汚れ始めたら、入れ替えて綺麗な水にする。
しっかりと汚れが落とせれば、皮に付着している肉と脂を残さず小削ぎ落としていく。
削ぎ終われば、端っこからしっかり延々と噛見続ける。
気が遠くなるほど噛み続けたあと、洗って平らな場所で乾かせば完成だ。
鞣し 10 >= 95 94 59 51 06 48
まともに出来たのは1枚だけで、残りはミニ=ショゴスのおやつになりました。
肉と脂だけ小削ぎ落とすのが非常に難しかった。
しかし、この毛皮は下手な鎧よりも頑丈そうだ。
両腕と両脚に巻きつけて置くことにする。
二尾狼の毛皮 装甲4、耐久10
それと、再び二尾狼を食べてもステータスは殆ど向上しなかったが、兎っぽい魔物を食べたときには再びステータスが大きく向上した。
あの超強化は同じ魔物を食べても得られないのだろう。
古城貴洋 17歳 男 レベル:11
天職:考古学者・玉虫色の粘液生命体20%
筋力:190
体力:270
耐性:500
敏捷:230
魔力:400
魔耐:250
技能:鑑定[+アーティファクト鑑定]・魔力操作・胃酸強化・自動回復・耐炎耐雷・纏雷・天歩[+空力][+縮地]・言語理解
今回得られた“天歩”は、高速移動の技能のようだ。
あの兎はかなりの速度で空中さえも跳ね回っていたが、この技能がその仕組みらしい。
空中に足場がある事を想像しながら使ってみると、浮くことができた。
もしかしたら盾のように使えないかと思ったが、軽く殴ったら壊れたので期待は出来そうにない。
「……もう1枚、ステータスプレートが欲しい」
一応ミニ=ショゴスも魔物肉を食べている以上、私と同じように技能を使えるようになっている可能性がある。
まあ、技能がなくとも変形して再現できるのがショゴスの強みなのだが。
そもそも再現するまでもなく、そのままで押しつぶした方が強いので心配するだけ無駄だな。
……あの兎と同等の速度で、空中さえも足場としながら縦横無尽に体当たりをするショゴスとか、想像もしたくない。
技能といえば、ミニ=ショゴスも私と一緒に召喚されたんだった。
つまり、言語理解を習得している可能性がある?
これまでミニ=ショゴスの鳴き声だと思っていたが、ショゴスの言葉はかつて主人であった古のものの使う笛の音に似た言語と同一のものだったはずだ。
テケリ・リと言葉には意味がある?
試しに、意識しながら話しかけてみよう。
「聞こえていたら返事、あるいはコッチを見てくれ」
『……ようやく通じた』
ミニ=ショゴスの全身に目が整形され、その全てが一斉にコチラを見た。
シンプルに怖い。
『……そんなに怖い?』
「声出してたか?」
『……主のからだには、わたしたちのいちぶがつかわれてる。そこから何となくわかる』
えぇ……。
じゃあ今こうやって困惑しているのも伝わっているのだろう。
しかし言葉が通じるなら、あの後何があったかもわかるだろう。
ということで、聞いてみた。
『……主はおにくを食べたあと、のたうちまわってきぜつした。最初はほおっておいたんだけど、死にかけてたから、わたしたちのからだのなかでなおした。こわれたぶぶんを食べてとりかえたけど、またこわれた。そうやってとりかえつづけてたら、主のからだはなおった。わたしたちのからだはちちんだ』
やはり、考えていた通りのことが起こっていたらしい。
深く納得すると共に、魔物肉を食べるときは回復手段を用意してからにしようと、心に決めた。
成長判定
・回避 54 >= 60
成長度 1D10 >= 2
回避 54+2 = 56
・鞣し 10 >= 05
ダイスの神は邪神(確信)
どうして正気度判定で1クリした直後、敵の攻撃で100ファンするの……?
一応ある程度の筋道は考えていますが、ダイスが荒ぶりすぎて道を逸れまくっているため、ほぼ脊髄反射で書いています。
ちなみに前回のラストのシークレットダイスは幸運判定でした。
結果は96でファンブル。
ステータスとか確認した後に爪熊が現れる予定だったのに、確認する前に現れるというマイナスを付与しました。
library of ruina もですが、自分の最低値が相手の最大値を上回ってないと安心できないですね。
追記
ショゴスって南極の生き物なので凍りませんでした。
装甲のところに記載がなかったので忘れていました。