天河原戦に勝利した次の日、グラウンドでの練習前。
歩夢:「神童くん、三国さん、本気でフィフスセクターに逆らうつもりなんですね?」
エマ:「何でそんなことを.......」
三国:「目が覚めたんだよ。あんなサッカーを認めて自分のサッカーに嘘をついてたけど、もう嫌なんだ」
神童:「俺たちは天馬たちと一緒に、サッカーの解放を目指します」
南沢:「そうか」
南沢先輩は、円堂さんに自身のサッカー部からの退部を申請し去っていった。根性無しめ......
果林:「南沢くん........」
去って行く南沢先輩の後ろ姿を、果林先輩は悲しそうに見つめていた。
そして練習終了後、帰ろうとする俺たちを先輩たちが呼び止めた。
果林:「神童くん、三国くん、考え直す気は無いのね?」
三国:「朝香、お前は今のサッカーが本当に正しいと思ってるのか?」
彼方:「彼方ちゃんだって正しくない事なんか分かってるよ····。でも····、しょうがないじゃん。もしサッカー部どころか···学校ごと潰されたら·······どうするのさ····」
せつ菜:「私たちだって、本当は何にも縛られずに思い切りサッカーしたいですよ!! そんなの決まってるじゃないですか!!!」
竜太:「だから俺たちは決めたんです。とにかく実力で勝ち続けて、フィフスセクターをぶっ潰すって」
天城:「そんなこと出来るわけ無いド! 中にはきっと「チームメンバー全員シード」とか言う頭のおかしいチームもあるかもしれないド!!」
チームメンバー全員シードか.........。下手をすればチームメンバー全員が化身使いなんてチームもあるかもな。言わんけど
霧野:「とにかく無謀すぎる!!」
竜太:「じゃあ先輩たちはこのまま逃げ続ければ良いです。行きましょう」
そして俺たち八人が部室を出ていくのを、先輩たちは黙って見つめていた。
― 次の日 ―
その日の放課後の練習前、俺たちは全員部室のミーティングルームに集められた。
円堂:「インターハイ予選二回戦の相手は、
竜太:「ラフプレーか····。フィフスセクターなら、選手生命に関わる怪我を負わせる事も
冗談ではなく本気で潰しにかかってくるだろう。かと言ってやり返したら円堂さんが怒るし、う~む。
神童:「よし。練習始めるぞ!!」
するとミーティングルームの扉が開き、剣城が入ってきた。
竜太:「何の用だ?」
剣城:「監督さん? フィフスセクターからの指示だ。次の試合、俺を出して貰う」
それを聞きざわつく俺たち。すると円堂さんは、
円堂:「お前を? ·····良いだろう」
天馬:「監督!?」
神童:「監督!! 本当のサッカーを取り戻すんじゃなかったんですか!?」
エマ:「終わった······」
せつ菜:「それで勝敗指示はどうなんですか? フィフスセクターがそこまでするのに、まさか出て無いなんてことは有り得ないですよね?」
剣城:「察しが良いな。1 ー 0で万能坂の勝ちだ」
まぁ当然だな。それで指示が出ないのはあり得ない。
彼方:「じゃあ練習しても意味無いね~。お昼寝しよ~」スヤピ~
そして先輩たちは、ミーティングルームを後にした。
~ 竜太 side ~
竜太:「ったく、こんなときにスパイクの紐切れやがって」
練習中に俺のスパイクの紐が切れてしまい、練習後に天馬たちに「俺はスポーツショップに寄って帰る」と言い先に帰って貰い、俺も買い物を終えて帰り道の河川敷に出るとボールを蹴る音が聞こえてきた。
竜太:「彼方先輩?」
土手から階段を下りてグラウンドに出ると、彼方先輩が泣きながらボールを蹴っていた。
彼方:「グスッ····もう··どうしたら良いのか·····分かんないよ~~·····。「先輩?」っ! 大海くん!? ····何で此処に?」
竜太:「練習中にスパイクの紐が切れちゃって、買い物の帰りです」
彼方:「そっか~······」
先輩はバツが悪そうな顔をすると俺を手招きして近くのベンチに座った。
彼方:「練習しても無駄とか言ってたのに、情けない所見られちゃったね~」
竜太:「まったくですね羞恥に悶えろ」
彼方:「フォローする処かトドメ刺しにきた!?」
竜太:「まぁ二割のジョークはさておき」
彼方:「八割も本気なの~!? ジョークがブラック過ぎる気がするんだけど~?」
竜太:「まぁ前振りはここまでにして·····」
彼方:「うう···泣きそう」
竜太:「黙らっしゃい。やっぱり先輩の中にも、勝ちたいって気持ちはあるんですね」
彼方:「そりゃああるよ~無い訳ないじゃん。けど·····、」
竜太:「怖いんですね」
彼方:「そうだよ····」
彼方先輩は顔を伏せて啜り泣く。そこで話題を変える事にした。
竜太:「彼方先輩がサッカーを始めたキッカケって何ですか?」
彼方:「え~? 私がサッカーを始めたキッカケ?」
竜太:「ええ。差し支え無ければ教えてくれませんか?」
彼方:「う~ん、別に良いけどそんなに面白い物じゃ無いけどそれでも良い~?」
竜太:「大丈夫です。ちゃんと聞きますから」
彼方:「そうだねぇ~、6才のときに円堂監督や大海コーチの世界大会決勝の映像を観たことかな~? 皆本当に楽しそうにボールを追い掛けてて、それで思ったんだ~。「サッカーって凄い!」って」
竜太:「やっぱりそう言う人多いんですね」
彼方:「アハハ。そりゃあそうだよ~。大海君は良いよね。果南さんと龍也さんが両親なんて」
竜太:「·····よく言われますけど、そんなに良いものじゃ無いですよ? あの二人サッカーになると恐ろしいくらいスパルタで、正直言うと辞めようかと思ったこともあるんですから。それにいつも父さんや母さんと比べられるし」
彼方:「なるほどねぇ~」
竜太:「でも、小さいときから両親に、「人生一度きり何だから、後で後悔するようなことはするな」って耳が痛くなるほど言われてて。それに、やっぱり俺サッカー好きですからね」
彼方:「大海くんはフィフスセクターが怖くないの?」
竜太:「そりゃあサッカー出来なくなるのは怖いですよ。けどそれ以上に、自分の気持ちに嘘ついてやるサッカーに意味は無いと思ってるんで」
彼方:「そっかぁ·····(強いなぁこの子は。彼方ちゃんは、そんな勇気持てないよ·····)」
竜太:「先輩·····」ハグッ
俺が先輩を優しく抱き締めると先輩はビックリした顔で俺を見つめてくる。
竜太:「先輩、何か思い詰めた顔をしてたから。俺が小さいときに、俺が泣いてると母さんがこうやって慰めてくれて。こうすれば先輩も落ち着くかな? って」
彼方:「竜太くん·····もう、ヒドイのか優しいのか分からないよ~。でも、ありがとう。暫く貸して貰うね~?」
竜太:「どうぞ」
先輩は暫くの間、俺に身を
― 続く ―
竜太、そこ代われ('言')
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